オセンタルカの太陽帝国

私的設定では遠州地方はだらハッパ文化圏
信州がドラゴンパスで
柏崎辺りが聖ファラオの国と思ってます

竜の三角。

2007年11月01日 10時38分57秒 | 伊豆の歴史

最近、最も気に入っているアニメは『モノノ怪』という作品です。
画面がむやみにキレイで錦絵を見ているかのよう、これは是非もっと盛大に描き込んでもらって映画館で観てみたい!と思うくらい。話の作りも種明かしもまさに私好みのもので、至福の時間を過ごせます。DVDも出てますが、思ったよりお安くなってますね。(アニメのDVDは破格に高いという印象なのに)。私がお金持ちだったらついつい全部買ってしまいそうです。いい時代になったものです。さらに、このモノノ怪の後番組が『もやしもん』という菌マンガで、最近身体が弱くなって始終菌に悩まされている私は、これもまた楽しくて楽しくてなりません。かもすぞー。いい時代になったものです。

話を戻します。
この「モノノ怪」の第2話が「海坊主」という話だったのですが、そのエピソードの舞台が伊豆近海だったのです。上方から船で江戸を目指していると、伊豆沖で突然太陽が昇らなくなり、主人公たちは海の真ん中で迷子になってしまうそこで物知りの登場人物が言うんです。「新島野島崎、そしてこの辺りにある南蛮の島を結ぶ三点の間にある海域を、“竜の三角”と呼ぶと聞いた事があぁる。そう!この海に入った船はことごとくこの世ならざるあやかしに襲われ、決して陸に帰ってくることはかなわないという。ここは、あやかしの海なのだ!」
物語中に出てくるアヤカシは、「虚空太鼓」、「迷い船」(空中船)、「魚の亡者」(船幽霊)、「海座頭」、「うつろ船」の5つ。
いいですね♪ …でも作中で主人公は「モノノケとアヤカシは違う」って言ってます。何がどう違うんでしょうか、詳しくない私には分かりません。

試しに三点を線で結んでみました。「伊豆諸島の新島」と「房総半島の野島崎」、そして「このあたりにある南蛮の島」。・・・「南蛮の島」っていうのが具体的な地名じゃなかったのですが、付近で一番近い異国の島が、サイパン島・グアム島含むマリアナ諸島ですよね。とりあえずグアム島に繋いで見ました。台湾やフィリピンという可能性もありますが、それでは「魔の海域」と呼ぶには範囲が広すぎ(しかも三角がいびつ)になってしまいます。・・・で、その「魔の三角形」、、、 なんだこりゃっ(長っ) 魔の三角形というよりは、「魔の直線」という方がふさわしいですね。

ところで、ムー読者・海の怪談好きの人なら御存じかと思いますけど、この「日本のバミューダ・トライアングル」は実在するものです。ウィキペディアに詳しい説明が載っていますし、そこには「日本人は昔から、この海域の海底にすむドラゴンが船をひきずりこむと恐れているから、ドラゴン・トライアングルという」と書かれています。一方で、ウィキペディアにもその経緯が詳しいのですが、この「日本の魔の海域」が紹介されたのは比較的新しくて(1950年代)、誤謬と捻じ曲げに満ちた(要するにメリケン人が面白半分にでっちあげた)デタラメなものだった、ということも有名です。(その反論のヌシはと学会の山本弘なのですが、と学会の人たちは有名なバミューダ三角海域すら否定してしまう人たちばかりなので、「海は恐ろしい所」としてもらわないと困る私は困っちゃう。いわく、「日本人自身はその海域に何も無いことを知っているので、この説を信じる人はいなかった」)。しかし、江戸時代を舞台とするこのアニメにおいて、日本人も海に詳しい人は「魔の海域はある」と信じているらしい様子が描かれていて、おもしろい♪と思ったのでした。

なお、提唱者のメリケン超常現象研究家チャールズ・バーリッツによるドラゴン・トライアングルの範囲は、「房総半島の野島崎」と「小笠原諸島」、そして「グアム島」となっています。「たいした違いはないね」と思われるかも知れませんが、その三角をさきほどの地図と重ね合わせてみると、

ほら、小笠原が意外に右寄りにあるおかげでキレイな感じで重なりが避けられてる。
私にはこれが、(さきほどの、舞台設定が江戸時代なのに竜三角という語を登場させていることと合わせて)制作者たちがワザとやっていることにしか思えないのです。インチキなバーリッツ説なんてそもそも念頭に置いてませんよ、という。ま、物語の都合上、大坂から江戸に行く途中なので、漂流でもさせない限り房総半島や小笠原を舞台には出来ない(伊豆沖が最も位置的に都合が良い)ということもあるでしょうが、海運の時代であった江戸時代には当然のように“魔の海域”が各所に船乗りたちによって語られていたに違いなく、制作者たちはそれを表現したかったんだろうと思います。また、グアムはともかく、幕末に幕府が本格的に調査を命じるまで小笠原への航路は存在しなく、その時点で「江戸時代に魔の三角が存在したなんてことをいうこと自体が誤り」といいたくなるかもしれませんが、一方できまぐれな太平洋に大昔から「魔の海」と呼ばれた場所が存在しなかったなどというはずもなく、伊豆諸島沖に魔の海域が存在したとしても(伊豆諸島は伝説の宝庫です)、それは上述の地図とは違う形(=もっときれいに三角形と呼べる形)であったでしょう。可能性としては、江戸時代初期に駿府で徳川家康に会ったドン・ロドリゴやセバスチャン・ビスカイノらがその存在を告げた「日本の南海にあるという金銀島」あたりが妥当なんじゃないか。(あるかどうか分からないけど、物知りな奴らが絶対あると主張している島こそ伝説の舞台としてふさわしい)。

ただ、伊豆諸島に限らず「不吉な海」というのは日本近海にゴマンと存在していたはずで、しかし海と関わらずには生きていけない日本の海の民はさまざまな海の風習や、物の怪除けのさまざまな逸話を語り継いでいったはずなので、今回のこの物語も別に伊豆沖でなくても良く、それを敢えて胡散臭い1950年代のドラゴン・トライアングルと絡めて今回のこれを語ったということについて、制作者たちにも何らかの意図があったのだと思う。
それを証し立てるように、物語中で乗っていた船が霧の中で針路を見失ったという事を説明されるとき、地図が示されるのですが、その地図がこんな地図。

「もうすぐ石廊崎が見えるはずだ」といったあとで、「この島が新島だ」と言って筆で指し示すのが、どう見ても朝鮮半島(ですよね?)の傍らにある小さな(A)の島。そして、「この島と野島崎を結ぶ線と…」と言いながら指し示す点が地図上の(B)(隠岐島?)、そして、「このあたりにある南蛮の島」と言いながら指し示されるのが地図上の(C)(ここは、、、 敢えて言うなら竹島?)なのです。ううーーん、私も何となく魔の海があるのなら太平洋よりも日本海の方が雰囲気あると思います。さすがにこの地図を伊豆沖だと言い張るのは・・・ とってもおもしろい作品です。

アニメの中では、この海にあやかしが出た理由は、登場人物の一人の個人的な理由として処理されてしまいました。せっかく意味ありげな場所として竜の三角が出てきたのにもったいない。というわけで、以後は「伊豆沖のこの海域を魔海として活用するにはどうしたらいいか」ということを考察したいと思います。
そもそも「日本に魔海と呼ばれる箇所は存在するのか?」ということから腰を据えてじっしり調べないとならないと思っているのですが(ざっと検索してみた所、むかしからそのように呼ばれていた形跡のある海域として房総半島南海の鬼ヶ瀬襟裳岬、志摩沖の大王崎、能登沖の姫島礁、関門海峡の部埼などがあるようですが …まだ他にもあるに違いない)、魔の海と呼ばれる為の条件をリストアップしてみました。

(1).遭難が多い
と学会がバミューダ三角海域を否定する理由として、「船が沈んだり行方不明になる理由として、超常現象などではなく暴風や海流などの自然現象で説明出来るものがほとんどである」とバッサリ片付けてしまう事が多いのですが、自然現象が暴れる事だって十分に魔の海の重要要件かと思う。ただ、海だったらどこでも大波、激しい海流、台風、濃霧等はあり得るもので、どの程度から“魔の”を冠してよいものかという定義付けが必要かと思う。

(2).海の超常現象
超常現象として扱えるような「説明の付かない」現象

(4).妖怪の出る海

(5).説明がつくものの、或る特定の海にのみ見られる現象
特異な海流の変化(壇ノ浦)、赤潮、海藻の海(サルガッソ)

(6).重大事件のあった海
平家の滅亡(壇ノ浦)、大和・武蔵の沈没(レイテ沖・坊ノ岬沖)、海底噴火(明神礁)

 

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