眞子内親王の婚約者・小室圭氏に対するバッシングが一向に止まらない。
母親の金銭トラブルをめぐり3年以上にわたって激しいバッシングに晒されてきた小室氏だが、今月8日、沈黙を破って28枚の説明文書を発表した。文書は、母親が元婚約者から交際期間中に受け取っていた金銭数百万円について、小室氏側が「借金」と認識していない根拠、元婚約者と解決に向けた話し合いが頓挫した経緯などを丁寧に説明するもので、その主張には客観的に見て、説得力もあった。
ところが、この文書に対してネットやワイドショーが一斉に、さらなる非難の声を上げたのだ。
しかも、その非難の理由というのが、まったく正当性のない、いちゃもんとしか思えないものばかり。
たとえば、この間、ワイドショーのコメンテーターたちがこぞって叫んでいた「一方的」という批判がまさにそうだ。母親の元婚約者と合意していないのに、小室氏が一方的に自分の言い分を主張するのがおかしいとわめいているのだが、マスコミはつい最近まで、小室さんはきちんと説明すべき、と迫っていたのではなかったか。それが、説明した途端に、「一方的な主張をするな」とはどういうことなのか。元婚約者の告発にだけ乗ってそれこそ「一方的に」小室氏を糾弾してきたマスコミがどの口で、という話だろう。
さらに呆れたのが、「28枚」という文書の量をあげつらい、「長すぎる」「読む気がしない」などと攻撃するコメントまであふれていたことだ。
『バイキングMORE』(フジテレビ)では、アンミカが「労力はすごいですけど、長くなればなるほど、心が離れる」などと、上から目線で批評。横粂勝仁弁護士も「弁護士業界では長い文書を書く人は能力がないとされている。下手ですね」などと、それこそ弁護士とは思えない中傷コメントを口に。
神田愛花にいたっては、『ワイドナショー』(フジテレビ)で「私たち、そんなに小室圭さんに時間割けないじゃないですか」「全部読もうっていう気が起きなくて」と言い出す始末だった。
小室氏はメディア関係者でもないのに、なぜ、読ませるための工夫までしなければならないのか。しかも、勝手に時間を割いて騒いでいたのはマスコミなのに、「小室さんに時間が割けない」って、お前は何様なのかと言いたくなる。
小室圭氏の録音データに坂上忍、宮根誠司らがイチャモン
もうひとつ多かったのが、文書の中にあった録音データについての批判だ。
小室氏が借金でなかった証拠として、2012年9月の話し合いの際、婚約者が「(お金を)返してもらうつもりはなかった」と発言した録音データがあることを明かしたのだが、ワイドショーやネットニュースはこの証拠に納得するどころか、逆に「隠し録音するような人物は信用できない」と大合唱を始めたのだ。
坂上忍は『バイキング』で「僕がびっくりしたのは、録音しといたほうがいいって、そこですぐ録音するんだ」「なんか頭のいい人ってやること、すごいなって思っちゃって」と嫌味たっぷりに揶揄。宮根誠司も『情報ライブ ミヤネ屋』で、「録音データと言われると、ちょっとね…」と違和感をあからさまにした。
しかし、この批判はどう考えてもおかしい。改めて説明しておくが、2012年9月の話し合いというのは、小室氏の母親が元婚約者から婚約を破棄したいという申し出を受けたもの。ようするに、小室氏側は一方的に婚約破棄を通告された被害者なのだから、音声を採っておくというのは当然の行為だろう。それをあたかも、日常会話を盗み録りしたかのように捻じ曲げて印象操作するのだから悪質というほかはない。
その後も同様だ。12日に、小室氏の代理人が解決金を払う意向を表明しても、「言っていることが違う」「文書が反感を買ったから手のひら返し」「金を払えばいいってもんじゃない」と、結局非難の嵐。
そして、15日発売の「週刊文春」が、元婚約者が返済を求める音声の入った音声データを報じると、ネットもワイドショーもそれに乗っかって「小室文書と食い違い」「小室さんのウソ」などと、あたかも小室氏の主張が虚偽であるかのように煽り立てはじめた。
しかし、「週刊文春」が出してきた音声データは、元婚約者の「返してもらうつもりはなかった」という発言があったとされる2012年9月の婚約解消の話し合いから11カ月後の2013年8月に行われたもので、このことは小室氏の文書にもはっきりと記されている。
婚約解消の話し合いでお金を「返してもらうつもりはなかった」と言われたにもかかわらず、2013年8月に元婚約者より返済を求める連絡があったため、面会。借金と認識していないため要望に応じかねると返答したと、説明されているのだ。
ようするに、「週刊文春」の出してきた音声は、元婚約者が方針を変えて、返済を求めてきたときの会話を録音したものにすぎず、それによって、小室氏の文書の嘘を証明するものでもなんでもない。
それどころか、「週刊文春」の音声データには、元婚約者から「返す意図はないと」と問われた小室氏が「あ、すいません。返すというか、もともと贈与を受けているという風に認識しております」などと返答するやりとりが収録されており、むしろ、文書の主張の信ぴょう性、眞子内親王との婚約報道以前から小室氏側の認識・対応が一貫していたことを証明するものでもある。
ところが、「週刊文春」やワイドショーは、婚約解消から1年近く経った2013年8月の話し合いの新音声データのほうが重要性・信憑性が高いとしてし、小室氏が提示した婚約解消の話し合いの音声を否定するのだ。『バイキング』などは、小室氏が録音した2012年の音声データに質問部分が入っていないことをあげつらい、「切り取り」「歪曲」「誘導」とまで言っていた。
小室圭氏を一方的に悪者に仕立て上げるバッシング報道に玉川徹が…
こうやってひとつひとつ検証すれば、ワイドショーの小室文書批判がいかに中身のないいちゃもんであるかがよくわかるはずだ。
元婚約者に公の場で反論する形にならないようにと沈黙を保ち水面下で交渉すれば、「説明しろ」。仔細な説明文書を公表すれば、「世話になった人を一方的に非難して恩知らず」「読む気もしない」。早期に解決金を払わなかった理由について、「解決金を払うことで借金の返済と誤解されることを避けたかった」「借金を踏み倒そうとした人間と見られることは受け入れられない説明すれば、「被害妄想」。解決金を払う意向を表明しても、「金で済む問題じゃない」……。
しかも、このマスコミ報道の理不尽さは、今回の文書に対するものだけではない。小室氏の母親と元婚約者の金銭トラブル自体、小室氏サイドを悪者にするために完全に歪められている。
マスコミがつくりあげたイメージでは、小室氏の母親が元婚約者から借金したあげく、勝手に婚約破棄して借金を踏み倒したかのようになっているが、実際は、説明なく婚約破棄をしたのは元婚約者側なのだ。正当な理由のない婚約破棄は、一般的に、数十万円から数百万円の慰謝料が発生する。しかし、小室氏の母も小室氏も婚約解消の話し合いの席で慰謝料などは求めていない。
そういう意味では、元婚約者が支援したお金について当初、「返してもらうつもりはない」としたのは当然の話で、実際、裁判をすれば元婚約者側に勝ち目がないだろうというのは、小室氏を非難している弁護士も含め、多くの専門家の一致しているところだ。
しかも、話し合いについても、小室氏側が拒否したわけではない。元婚約者が突然、方針を変えて返済を求めてきた上述の2013年8月の話し合いで、応じられない旨を返答すると、その後元婚約者からの連絡は途絶える。そして、小室氏と眞子内親王との婚約が明らかになったとたん、突然、週刊誌で告発したのだ。告発を受けた後の、解決に向けた話し合いでも、認識の食い違いを整理している段階で、もう話し合いはやめたいと言い出したのは、元婚約者側である。
ワイドショーが総バッシングするなか、唯一、小室氏を擁護してきた玉川徹氏は、13日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で以下のように語っていたが、まさにその通りだろう。
「いままで国民がどういうふうに理解していたかっていうと、元婚約者側の一方的な主張をずーっとメディアが増幅して、それに基づいて国民のイメージっていうのができあがっているわけですね。これはやっぱりアンフェアだと思うんですよ、僕ずっと言ってるんだけど」
「そもそもが婚約をしているときに支援をしてましたと。元婚約者のほうから一方的に婚約を破棄してるわけ。そのときに、『じゃあ清算はどうしたらいいんですか』と女性のほうから言ってきたときに、『いやいいですよ』と言ってるっていうのは音声データも残ってるので間違いないわけ。ところが、その11カ月後に手紙をまた送ってきて、『やっぱり貸したもんだから返してくれ』って言ってきたって話でしょう」
「僕ここまでの時点で、人間としてというか男として、僕だったらこんなことないなと。つまりプライドがたぶん許さないし。これだけを取り出して聞いたら、誰が聞いたってえーって思う話だと思いますよ」
小室氏バッシングの背景にあるのは、生活保護バッシングにも通じるグロテスクな貧困差別
実際、玉川氏でなくても、元婚約者側の言い分がすべて正しいとも言い切れないことは、まともな社会人ならわかる話だ。
ところが、ワイドショーや週刊誌、ネットニュースはその婚約破棄の経緯や、元婚約者の行動の部分をネグって「借金だろうが借金じゃなかろうがお世話になったのだから誠意を示せ」などとわめいているのだ。
いったいなぜか。ワイドショーも世論も、エクスキューズのように、「眞子様には幸せになってもらいたい」「お祝いしたい気持ちはあるのに」などと言っているが、本音はこの結婚が気に入らず、潰したくて仕方がないのである。
それは、小室氏と母親が“不誠実”だからではない。2人を「身分をわきまえない、分不相応な人間」と考えているからだ。
そもそも眞子内親王と小室氏の結婚問題をめぐっては、元婚約者との金銭トラブルが報道される以前、婚約内定発表直後から、保守勢力や安倍応援団を中心に激しい反対の声があがっていた。
ネットでは「これは国民の義務として反対すべき縁談」などと息まく意見や、「#眞子様婚約反対」なるハッシュタグまで登場。小室氏に対しても、「眞子様の婚約相手も韓国人の疑いがあり、中韓ののっとりの一つです。 断固反対します!安倍さん、皇室も取り戻してください」といったいかにもネトウヨな陰謀論丸出しのヘイトデマ攻撃や、「出自がハッキリしない男性は願い下げ」「どこの馬の骨ともわからない」「内親王の降嫁先としては胡散臭すぎる」などと根拠のない、前時代的な差別的言説が投げつけられてきた。
それと並行する形で、週刊誌を中心に、家庭問題や母親の男性問題など、真偽不明の様々なバッシング報道が大々的に展開され始めたのである。
なかでも多かったのが、小室氏の母親や小室氏が貧乏なくせにセレブ気取りの生活をしていると嘲笑する記事だった。派手な生活をするために、男にすりよっているかのように書き立てるものも少なくなかった。
また、小室氏の教育についても、お金もないくせに学費の高いインターナショナルスクールに通った。お金もないくせに学費の高いICUに通った。お金もないくせに留学した、といった誹謗中傷が浴びせられた。
こうした情報も、結婚に反対する宮内庁の保守派が流していたという見方もあるが、しかし、だとしても、こういう類のバッシングがここまで広がったのは、やはりマスコミや視聴者、読者の間に「貧乏人のくせに」という差別意識があるからだろう。
高橋真麻が小室圭氏に放った差別意識丸出しのグロテスクな言葉
生活保護バッシングや教育格差の拡大を見てもわかるように、日本社会は「貧乏人は貧乏人らしく質素な生活をしてろ」という差別意識に強く支配されている。
皇族でも名家の出身でもない小室氏が眞子内親王と結婚しようとしたことで、その差別意識が爆発し、金銭トラブル報道や分不相応な私生活攻撃という歪んだかたちに発展していったのではないか。
実際、今回の文書問題をめぐる報道でもそのことを象徴するシーンがあった。それは、ワイドショーのなかでももっとも酷い小室氏バッシングをしている『バイキング』12日放送でのこと。この日は、まさに小室氏が28枚の文書を公表したことが話題の中心だったのだが、元フジテレビの高橋真麻が「1枚だろうが100枚だろうが小室さん側の見解でしかない」「まだ弁護士じゃないのに弁護士っぽい文章を書いてくるのもちょっとどうかな」と批判したうえで、こんなグロテスクな貧乏人差別をさも当然のように言ったのだ。
「あと個人的な見解ですけど、たぶん本当に400万円は工面できなかったと思うんですよ。返すってなっても。だからそういうプライドの高さみたいなのが垣間見えるのが、非常に人間として、眞子様をお預けして大丈夫なのかなっていう不安が払拭できない」
親が有名俳優で恵まれた生活をしてきた高橋真麻には想像できないかもしれないが、十代の少年が勉強をしながら、バイトで学費や生活費を稼ぐというのは、相当ハードなことだ。入学金や学費をバイト代と奨学金で賄ったという認識であれば、小室氏にとっては人生そのものや尊厳にかかわる大きな問題であり、借金ではないと主張するのも当たり前の話ではないか。
それを、お金が工面できないから、返す必要がないと言っているだけ、プライドがあるからお金が返せないと言えないだけ、と決めつける。これは、まさに生活保護受給者を「怠け者」とバッシングするのとまったく同じ構図と言っていい。
今のワイドショーのグロテスクさを浮き彫りにしたと言っていいが、しかし、テレビという公の電波でここまでの差別的コメントが堂々と語られてしまうというのは、結局、皇室制度の本質と無関係ではない。
妹の佳子内親王が「結婚においては当人の気持ちが重要」「姉の一個人としての希望がかなう形に」と表明していたが、結婚は個人のもの、という近代社会においてごく当たり前の権利すら、皇族には認められない。そして、自由恋愛で皇族と結婚しようという相手には、必ず「分不相応」という差別的バッシングが繰り広げられる。
それは、そもそも皇室制度そのものが差別的な本質をもっているからだ。その差別的本質を少しでも変えていくためにも、眞子内親王と小室氏にはバッシングに負けずぜひ意志を貫いてもらいたい。(編集部)