http://gendai.net/articles/view/syakai/140079
「いまの小沢さんは好々爺ですよ」
「鉛筆一本の怖さを知らないんですよ」
日本未来の党の嘉田由紀子代表(62)は自信たっぷりにそう言った。マスコミの世論調査で、自民優勢と第三極の伸び悩みが一斉に報じられた先週末のことだ。
「いいじゃないですか(笑い)。他の党が油断してくれればいいんですよ」
鉛筆一本とは、嘉田が自らの県知事選挙で得た自信からくるものだ。
06年の知事選。敵方は自公民相乗りだった。組織のない嘉田は、川上から川下へ下る辻立ち遊説を展開した。
「上流のほうの町は、それこそ10人とか20人ぐらいしか聞いている人はいなかった。そこから川沿いにだんだん都市部に場所を移して街頭に立つ。一人一人を大事に演説するんです。そのとき私はいつも『鉛筆を一本握ってください。投票用紙に私の名前を書いて下さい』と言って、演説の最後に、『鉛筆持ったら嘉~田!』と連呼するんですね。すると聴衆が唱和してくれるようになる」
未来が訴える最大の争点は「卒原発」。3・11以降、初めての総選挙でもあり、まず原発ゼロを問わなければ総選挙の意味はないとまで言い切る。
「卒原発というのは、単に原発の問題じゃなくて構造的なものを含んでいるんですよ。原子力村は、官僚と一部の資本と規制で守られている。この構造を壊すことが、官僚支配の政治の仕組みを壊すことなんです」
嘉田は終盤にかけて、原発問題に関心を持つ東日本や、日本維新の会の牙城でもある関西の街頭に立ち「鉛筆持ったら」を連呼する予定だ。自民党有力幹部も「未決が40%以上いる選挙区は、反原発の潜在的な声かもしれない」と警戒感を口にしている。嘉田の選挙スタイルは、あの小沢一郎とまったく同じだ。
「小沢さんにお会いしたときに、私の川上から川下選挙を見ていたと共感してくれましたね。それにしても、マスコミは、相変わらず小沢さんの傀儡(かいらい)とかそんなことばかり聞くし、県庁に来るファクスやメールも半分は『なんで小沢と組んだのか』と。批判する人たちは小沢さんが怖いんですよ。私は平気。なんで小沢さんを使わないのかなって。私は研究、小沢さんは政治という、ともにフィールドワークの仲間。だいたい、いまの小沢さんは好々爺ですよ(笑い)。裁判でもずいぶん叩かれてね。だから私は、『小沢さん、ここは少し休んでていいですよ。小沢ガールズでもなんでも全部引き受ける』っていう思いですよ」
鉛筆一本で流れを変えられるか。
(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫)