林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

五島美術館・特別展

2006-11-14 | 色めがね

以前から行きたかった世田谷区上野毛の[五島美術館]へ行った。
特別展「鎌倉円覚寺の名宝展」の招待券を、母の法事の時に円覚寺から頂いたからだ。
いつもの偏屈三人組で出かけた。

鬱蒼とした森の中に寝殿造り風の立派な美術館があった。
特別展は、予想どおり大したことは無かった。
もともと円覚寺は禅宗の寺院である上、関東大震災で壊滅的な被害を受けたので、「名宝」があるわけないのだ。

重要文化財の「仏光国師坐像」を中心に、染織品や書が展示され、平べったい展覧会だ。
ま、よく見れば作られた当時はさぞかし綺麗なものだったろうが、720年を経て、滲みや汚れが目立ち、ぼろぼろになったものまであって、「名品」かねぇ。
国師坐像は小さいながらも、なかなか迫力はあった。

無料で入館したのだが、正規の1,000円は高い。
しかし、地味な展覧会にも拘らず、大型バスの団体客もおり、結構賑わっていたのは、美術館の魅力か総本山円覚寺の動員力か?

あまり手入はされていないが、段差を生かした庭園がよかった。
あちこちに石仏・石灯篭・道祖神が多い。多すぎるほどだ。
東急が各地を乱開発して、持って行き場が無かったものを、捨てるわけにもゆかず、庭園に設置したのだろう。

庭園内で偶然逢った裕福そうな老紳士が、たまたま東急OBだったので、鎌をかけてみたら、あっさり認めてくれた。
見晴らしのいい東屋で、戦後の混乱期や東急の発展過程を話しあって、暫くの間、楽しい時間を過ごした。
偏屈三人組は「よいしょ」も上手いから、ご老人をたらしこむのが得意だ。

美術館は入館済みなので、手持ちの[鎌倉文学館]の「芥川龍之介の鎌倉」展の招待券を差し上げた。
これも円覚寺から頂いたものだ。

美術館の周囲に、東急創業家一族の邸宅がある。
それぞれ大変立派な家屋だが、敷地は狭い。
周辺の旧地主と思える大邸宅に較べると、大したことはない。

だが、「強盗(五島)慶太」は美術館を遺し、ライバルだった西武の「ピストル堤」は、自分の巨大な墳墓を鎌倉に遺した。
五島家一族は、広くもない敷地に未だに立派な邸宅を維持している。
堤一族は会社名義の広大な家屋敷から追放され、株券の遺産相続係争中だ。

上野毛は豪邸が揃っていて、見物散歩にいい。
それぞれが派手に自己主張していて面白い。
三人で一軒ずつ批評しながら歩いた。
ここは成金の街ではないか。

そのまま歩いて、等々力渓谷へ向かった。


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