飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

話す力

2023年07月04日 14時39分28秒 | 国語科
協働的な学びという言葉がでるようになってから、グループ活動、班活動などの話し合いが多く目にするようになった。
この手法は古典的なものであり、その目的は違えど、自分もよく使う方法だ。
「隣の人に自分の意見を言いなさい」と言って、自分の考えを整理させる意味で発言を促したりもする。
ある意味、説明する力を必要とする活動だ。

学校の本質的な目標は、学校教育必要としない子供を育てることこと。
学校において学ぶべきものが何もなくなればそれは必然的に卒業を意味する。
これが本来の習得主義であり、現在はこれでなく期限がくれば自動的に卒業させる履修主義になっている。
本来はおかしなことだ。
自動車教習所を例にして考えて見れば分かる。
教習所の目的は、安全に自動車を運転できる交通法規の理解と運転技術を習得すること。
だから、この二つができなければ卒業できない。
決められた期間がきたから免許証が与えられるわけではない。
たとえ、どんなに時間がかかろうとも一般道に出て、危険な行為をするような未熟な技術者には運転免許は与えられない。
だから学校の目標は、学校教育を必要としない子供を育てることにある。

教室で多くの教師がこの話す活動を多くしている。
その目的はなんだろう。
また、その目的を子どもたちにきちんと語っているだろうか。
趣意説明、これは学級においては絶対に必要だ。
なんのためにこの活動をするのか、それが明確になるということは子供たちの学習に向かう意欲に大きく影響する。
また、とくに高学年になると自分が物事に価値を見出さないと本気で取り組まなくなる。

こんなふうに子どもたちに話す。
大人になってから人前で何かを話す力は必要です。
しかも、わかりやすく説明する力は必ず必要になってきます。
なぜなら、君たちが社会に出て仕事についたときに話をして説明するという場面がとても多いからです。
例えば、私のように学校の先生になったときには何かを教えるときにはわかりやすく説明することが必要です。
お医者さんなら、患者さんに病気の説明を詳しくわかりやすく説明しなければなりません。
料理人ならば、新しいメニューを考えて、それをお客さんに出す前に、店長さんに料理の説明をしなければなりません。
会社でなにかを売る人になるならば、その商品の良さをわかりやすく説明できるようにならなくてはなりません。
会社に入り、新しい何かを始めるときには社長さんの前でプレゼンテーションと言って、その企画が優れていていかに社会のためになるのかを様々なデータを使って説明しなくてはなりません。
それ以前に、会社に入るときの入社試験では、自分の良さを相手に理解してもらえるように説明できないと合格はもらえません。
1分間で自己アピールをしてくださいなどとよく言われます。

先生も様々な試験を受ける中で、何度も経験しました。
そんなときに小さな声で何を言っているかわからない人をその会社の人は取りたいと思うでしょうか。
この人は、自分の会社の製品の良いところをきちんとお客さんに説明してくれるだろうか。
できない人かもしれないと思われてしまいます。
絶対にいいことはありません。

でも、でも大丈夫。
この話す力や、説明する力は大人になれば誰でも勝手に身につくよ。
だって、日本語をみんな話しているんだから。
もちろん、年齢を経るにしたがって多少は進歩はあるかもしれません。
でも、ほっておいてみんな力がつくなら、世の中の誰でもが説明上手ということになりますが、実際は違いますね。
結局は練習回数がものをいいます。
文章をかいたりするのと一緒で、説明する力も毎日の積み重ねが大事です。
少し勇気や思い切りが必要かもしれませんが、授業中先生が「隣の人と相談しなさい」「班の中で発表しなさい」全体で「これ説明できる人はいませんか」ときいたときに、自分から進んでそのチャンスを掴む。
そうすれば、必ず説明する力はついてきます。
上手く言えなかったらどうしよう、はずかしいなという気持ちが躊躇していたら時間だけが過ぎて進歩や成長はやってきません。
将来の自分に必ず必要となる力、説明する力を伸ばして言ってほしいと思います。

こんなふうに子どもたちにメッセージを贈る。
もちろん、教師は子どもたちが人前で説明する機会を多く設ける必要がある。
また、その説明はどのようにしたらよいのかという方法論や上達論も段階的に指導していく。
学級の中にも、人の話を好意的に聞く雰囲気や失敗を前向きにとられる風土を育成することが必要なことは言うまでもない。
教師が説明する力をもち、その上達論を理解していないと、子どもたちの純粋な勇気にこたえることはできない。

saitani



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