飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

ブラックジャック「人生という名のSL」子供の感想

2024年08月21日 05時01分08秒 | 道徳科
学級経営の一環として担任時代に教室に置いていた本がたくさんある。
そのひとつが手塚治虫の「ブラックジャック」だ。
これは名作中の名作である。
手塚治虫の漫画は、単なる漫画という領域には収まりきらない優れた点が多くある。
そんな本を教室に置いておくと、子どもたちは「読んでごらん」なんて言わなくても自然と手にするようになる。
借りて、家で読みたいという子も出てくる。

そんな作品の中でも、自分が心に残った物語について子どもたちはどう考えるのだろうかという思いが込み上げてくることがある。
この「人生という名のSL」もそんな物語だった。

以下、子どもたちの授業後の感想。

■この話で言いたいことは、まず一つは、一度送ってきた人生は、あともどりはできないということが言いたいのじゃないかと考えました。
 理由は、人生という名のSLでSLは終点まで行ったらもどれないということから、SLというのが、人の人生で、終点というのが、人の最後の死ぬということだと考えました。
 人間は死んでしまったら、過去にはもどれないというのをSLにたとえていっているのじゃないか考えました。

■私は、本当の主治医は、自分だと思えてきた。
 自分が「さあ、がんばって治すぞ!」という気持ちがあってこそ治るんじゃないかなあと思った。
 いくらのぞみのない病気でも治そうという気持ちがなければ、無駄死にじゃないかと思う。

■私は、この話を読んで、ブラックジャックは見かけによらずやさしいなと思った。
 わけは、最後の方でピノコとあった時、ピノコが自分のことをどう思っているか聞くとブラックジャックは、「わたしは、八頭身美女にも興味はない。
 私の見かけの姿なんて興味はないよ。
 どうにでも整形できるからな。」
 と冷たく言った。
 でも、その後、ショックをうけているピノコに、「お前、私の奥さんじゃないか。それも最高の妻じゃないか。」と言ってくれたし、他のところでも、やさしくしてる。
 私ははじめ冷たい人だと思っていた。
 治療一つに、三千万くらいのお金を払わせ、払えないなら治療はしてくれない。
 だけど、ブラックジャックにやってもらえば絶対に治る。

■最後のところは、ブラックジャックの人生を語ったところ。
 「ひとりぼっちのブラック・ジャック」とあったがそれはちがうと思う。
 ブラックジャックはきっと今まで治した患者たちとともにあると思う。
 ブラックジャックの人生、それはそういうものだったんじゃないかな。
 私の人生は、まだまだ長いか…それとも、短いかはわからないけれど、私は自分の人生を精一杯生きぬこうと思う。

■それとこの本の中では、もう一度過去の自分を振り返ってみなさいと言っているように感じました。
 未来ばかり目指すのではなくて過去の自分はどうだったかなと考えるのも必死だと考えました。

■医者は、けがや病気をなおすだけでなく、精神の支えになってくれる人が本当の医者だと思います。
 ブラックジャックもそうだと思います。
 現実に、このような医者がいるでしょうか。
 最後にみかけよりも、心が一番大切だと教えてくれました。
 5年生のときに読んだ宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と同じように、夢の中の出来事で「生命の大切さ」を訴えています。
 命を大事にしようと思いました。

■はじめのところで車掌さんが「この汽車は片道だけ…つまりいったきり帰りの列車がないんですよ。」と言っています。
 これは、人生はもどることができないと言っているのだと思います。

■一人ぼっちになっても、決して医者をやめようなどと思わないように。
 人生を一生懸命生きている人だっているんだということを夢の中のSLで言っているような気がします。
 過去の夢をみるということはふだん強がりを言っているけど本当は寂しい。
 一人では生きていけない。
 いろいろな人の活躍があって生きているんだと思ったと思います。
 人生はSLのように、外から見ると立派だけれども中身は外見だけ判断したらいけないと考えました。


多くの子供達が様々な感想をもった。
「先生、まだよくわかないので時間をください」
そう言ってきた子もいた。
これは教科書にあるような勉強とは少し違う。
これからもずっと考え続けなければならないことのような気がする。

saitani



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