三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

ふたたび中札内美術村へ

2014年05月10日 16時09分44秒 | Weblog



先週行ってきた帯広郊外・中札内美術村の光景です。
この美術館というか、美術館群は北海道らしい景観の中で
ゆったりと十勝ゆかりの美術作品と対話できる施設。
お菓子屋さんの「六花亭」さんが、
その包装紙のデザインを坂本直行さんに頼んで以来、
地域の美術家たちの後援者的なスタンスで歩んできている
表徴のような施設群です。
六花亭は売上高が、東京に本社を持たない製造業としては188億円ということで、
日本最高なんだとか。
そういった企業が札幌周辺ではなく、そこから暖簾分けした
十勝から出現しているということで、
まさに地域のブランドだと思います。
北海道は、十勝地方を除いてどちらかと言えば国の税金頼みの体質が強く
自主独立の気概が欠けている部分があるのではないかと反省します。
この六花亭の経営方針は、
「ひとつ鍋」という地域のロマンをそのまま、お菓子にした製品が
予想以上に地域から喜ばれたことがヒントになったと言います。
「ひとつ鍋」とは、民間主導の開拓であった十勝平野の開拓期に
牛やブタ、鳥などの家畜と人間が「ひとつの鍋」で
食を分け合って命を繋いできた、その開拓の苦闘を製品に込めていたもの。
そこから、地域の誇りを企業立志の基本に置いた経営を行ってきたといいます。
吉野家が米国からの牛肉輸入がストップしたとき、
価格ではなく、味の点で米国産の牛肉でなければ吉野家の味ではないと
米国産以外の牛肉を使わず、吉野家から牛丼メニューが消滅した時期、
この六花亭本店を訪れたことがあります。
そのとき、壁面一杯に吉野家の姿勢にエールを送っていました。
その後、十勝産のバターが枯渇したときも、
潔く、入手できる範囲でしか、製品を出荷しませんと宣言していた。
まことに「品質本位」「地域密着」とは、
こういう企業姿勢を言うのだと感嘆させられました。

そういった流れから、
地域から出た画家たちとの交流が生まれ、
坂本直行さんの絵を包装紙としてずっと使い続けている。
この中札内美術村、必ず年に1-2回は来ています。
柏の樹林のなかを逍遙しながら、
静かに絵画鑑賞できる、稀有な美術館だと思います。
ただ、そういうことなので、さすがに冬場は閉鎖せざるを得ない(笑)。
しかしそういうことも含めて
北海道であること、十勝であることに
誇りを持っていると伝わってくるものがあります。
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