三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【唐破風と注連縄 この手があったか(笑)】

2019年05月25日 06時16分54秒 | Weblog


古寺社巡礼はわたしの基本的趣味。
その土地の歴史とか風土性。その時間の蓄積感がたまりません。

写真は山形市内中心部、駅から5分くらいの位置にある日枝神社。
前からちょっと気に掛かっていましたが、
ホテルからも近かったので、参拝してみた。
この写真位置の参道から正面というアングルは
車道からは見えない位置取りになる。
参道がほぼ道路に対して並行しているのですね。
道路は南北方向のようなので、社殿は南に対して開いている。
正面から見て唐破風の丸みと調和させるような注連縄の丸みが
ワンパッケージでビジュアル構成されている(笑)。
まるで神さまの目玉がじっとこっちを凝視するかのよう。
その目玉がなんとも「ぎょろ目」っぽくて
これはあきらかに狙ったデザインに相違ないと伝わってきた。
注連縄から下がる縄もまつげっぽい。
「唐破風」というのは名前とは無関係で
実は日本オリジナルの屋根デザインであるそうなのですが、
日本人はこのデザインがまことに大好きだといわれる。
神社などの宗教性、あるいは公共性のデザインに於いて
「和の国」ということにも通じる「民族性」表現なのか。
こじつけっぽいけれど、どうもある真実ではないかと思われますね。
しかし、この唐破風と対照させた注連縄の位置取り。
注連縄って,特段カーブの傾斜角度には限定性はないのでしょう。
なので、このようにけっこうな急角度にするのも
まったく自由に意図することができる。
「この手があったか」と一本取られた感に浸らされた。

で、面白くありがたく参拝してふと見上げたら
今度は鈴の色合いが、やや褪色してはいるけれど、
どうも伝統的な赤の丹色と緑色が左右で配色されていることに気付く。
おいおい、であります。創建時にはさぞ耳目を「賑わせた」に違いない。
この神社は日枝神社。日吉・日枝あるいは山王神社という
社名の神社は山王信仰に基づいて大山咋神と大物主神(または大国主神)
を祭神とし、日本全国に約3,800社ある。
日吉大社では猿を神使とするが猿との関連性についてはよく分かっていない。
おそらくは原始信仰の名残りではないかと推測されている。
山形なので、山岳信仰ということから勧請されたものでしょうが、
サルを神使とするというキッチュさにおいて、
こういった建築デザインを受容する社風を持っているのでしょう。
宗教、建築、風土性など面白く一体で表現されていますね。
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