三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【空間がこころを育てる 子どもが歓ぶ回遊動線】

2017年04月24日 07時08分30秒 | Weblog


きのうの北海道十勝・岡本建設さんのオープンハウス2です。
本日は間取り計画についてです。
この家は40坪を超える大きめの住宅ということです。
で、設計プランの特徴として「ゆったり」とした間取り計画になっている。
写真下の1階平面図を見ると、真ん中に階段や収納があって、
その周囲にゆったりとした移動動線が配置されている。

不思議とこういう家に子どもさんたちが来ると、
この間取りを敏感に空間認識して、元気が出るものらしい(笑)。
きっと動物としてのDNA的な部分に強く刺激が加わるのではないか、
と思われるほど、子どもたちには魅力的な自由空間に感じられるのでしょう。
とくに一番上の写真、和室からの階段・収納までの「距離感」にゆとりがあり、
こんなふうに開放的な動線空間として視線認識に飛び込んでくる。
子ども心に開放感、自由さが広がってくる。
この「距離」、たぶん135cmくらいなのでしょうが、
普通の90cmサイズに慣れた空間認識に対して、自由度が高く感じられる。
贅沢な空間ともいえるけれど、
人間心理の「自由さ」への「仕掛け」と考えると価値感は大きい。




で、一方向は居間の大空間に向かって広がっていて、
また反対方向はやや細めの間隔の廊下になっている。
空間の変化というものにデザイン性が感じられて、
圧迫感がなく、開放感が印象として強く感じられるのですね。
階段手すりも見通しが利くようになっているので、
空間がより広々とも感じられるのでしょうか。
一方で水回りの集中する廊下的な空間は、適度な空間注意刺激も与える。
そういった空間的コントラストが全体として人間心理を刺激してくる。
そういえば、家中の各所で通気も考えた室内開口があって、
視線に「逃げ」の装置としても考えられている。
こういった「開放感」は、しかしZEH申請上では不利に働く。
「局所的暖房必要」面積が大きくなって、必要エネルギー量が増えざるを得ない。
北海道の住宅は「全室暖房」を絶対要件的に満たす必要から、
大きなワンルーム的志向を強く持ってきた住宅文化なのですが、
むしろ局所暖房の方が有利になるバカげた計算式が制度的に強要されている。
やむを得ない部分もあるけれど、疑問を禁じ得ません。
こうした開放性の高いプランでありながら、なおNearlyZEH適合であるのは、
ごくふつうに寒冷への対応としての外皮性能が高いという
基本性能の部分で他地域とは隔絶した底力としての技術力を表してもいます。
コメント
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