三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【里山住宅博・ヴァンガードハウス2これからの家】

2016年09月12日 07時37分15秒 | Weblog


さて先日の神戸での住宅見学です。
関西訪問という機会はあまりないので、あちこち調べて駆け足行脚。
ということなので、残念ながらあまり事前情報チェックはできていませんでした(泣)。
そういうわたしにも、どうやらセンターハウスのような住宅に
新住協メンバー・ダイシンビルドさんが施工して建築家・堀部安嗣さんが
設計された住宅があるという、断片的な情報だけがあったという次第。
堀部安嗣さんはわたしは面識はないのですが、住宅作家として著名な存在。
その方が高断熱高気密の作り手と協同する建物ということで、
この機会に見学しようと考えていた次第です。
ヴァンガードハウスって、意訳すると前衛的な家ということになるのでしょうか。




上の写真は現場で見せていただいた図面で、4間×4間の黄金パターン。
階段部分だけ出っ張っているけれど、コストパフォーマンスの高そうなプラン。
北側に里山の眺望が広がる立地条件そのまま、
居間から可能な限りの開口をそちらに開くというシンプルなプラン。
暖房は床下エアコンを装置。居間と土間的なダイニングの中間に
エアコンスペースが置かれ、基礎断熱の床下に送風する仕立て。
そこで暖気が貯えられ、窓面直下などに開けられたガラリから上昇させる。
南側ダイニングに土間が採用されているのは
南面の日射熱をダイレクトに取得しようという工夫だと思われます。
夏場の冷房は階段室壁面に付けられたエアコンで家中を冷房する仕様。
いまはセンターハウス機能も担っているので、
そのエアコンを格納させている間仕切り収納が受け付けテーブル代わり。
断熱的には基礎断熱がGW200mm、壁は4寸角部材使用のようでGW120mm、
天井GW200mm、土間下FPボード50mmという構成でした。
省エネ基準相当の「燃費」に対して半分の性能要件が実現されている。
1階の居間・ダイニングの大きな開口部には木製3重ガラス入りサッシ。
玄関内部の壁はラワン合板が使われていました。
案内の方に確認させていただいたのですが、この建物では基本的造作面材として
たくさん使われているとのこと。
ラワン合板って一般的には目に付くところには使わないと思いますが、
見た目でも美しい表情を見せてくれていて違和感はありません。



上の写真は2階の様子。左側に主寝室、右側が個室ですが、
個室側はラワン合板で造作された間仕切り収納でセパレートされていて、
子供室2室という使われ方も想定しているようです。
またその個室群に対して4枚の引き戸もラワン合板で造作されていました。
このあたりの素材選択・造作はかなりチャレンジっぽいと思われました。
この廊下突き当たりに水回りが集中されていて、それも南北に通っている。
右側が南側で道路側で、洗濯・物干しスペースがまとめられていて、
左側にはお風呂とトイレ、洗面が配置されている。
回り階段の真ん中の衝立状の手すりは薄い壁厚なのに大変頑丈。
時間の関係であまり詳しくは聞き取れなかったのですが、全体として
寸法の感覚がしっかりしていて、コンパクトだけれど使いやすさが伝わってくる。
まことに「仕立ての良さ」が感じられる住宅だと思いました。

コメント
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