三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

煉瓦外壁のわが家

2016年01月29日 06時10分20秒 | Weblog
写真は、1991年竣工当時のわが家であります。
ちょうど今から25年前ということになります。
25年という築年数になると、たしかJIAの方でそういった賞があるそうです。
年月が経てその建物がホンモノであるかどうか、といった意味合い。
わが家もようやくそういった年数に到達したわけです。
新築当時のわが家は、こぢんまりとした人数での出版社の職住兼用住宅。
基本は夫婦で働けるように、夜も昼もなく働けるように
そんなイメージで建てたのです。
働いてもらうスタッフも、まぁ5人程度と思って、
1階のオフィスゾーン25坪で十分以上と考えていた・・・。
ところが、そういう部分ってなかなか測りがたいものがある。
竣工から数年してスタッフは7~8人までになった。
あっという間にスペースが足りなくなってしまったのです(泣)。
で、「増築リフォーム」のやむなきに至り、なおそれでも手狭になって
やがて近隣地に事務所を新築せざるを得なくなった。

新築の時のこのプロポーションが大好きでした。
設計の高村正夫さんにとっても自宅以外でのはじめての住宅建築。
わたしより10歳くらい若いかれと、いろいろなことを語り合ったことが、
いろいろに思い出されます。
そういう、相談とも夢想の開示とも言えないような時間。
そのとき、「北海道らしい家」というイメージがあって、
「煉瓦の外壁の家にできるだろうか」と夢を語った。
それは、基本構造がコンクリートブロックであり、外断熱にするので、
外壁はむしろ「断熱材の保護」というような位置付けになる。
なので、その素材はむしろ自由に選択可能だという条件になったからです。
そんな与条件を受けて、わたしとしては煉瓦の外壁を希望したのです。
やはり北海道庁旧本庁舎建築、通称赤レンガ庁舎の、
百年の風雪に耐え、いまでも「白化」現象を見せるほどに生きている素材感。
そういった姿が、北海道のなにかを訴えかけてくれていると思っていた。
自宅の建築に当たって叶うモノならば、そういう建築でありたい。
そんな夢を語ったら、なんとかやってみようということになった。
ブロックと煉瓦積みの工程は、まことに心躍る光景だった。
その工事部分を担当してくれた、「畠山煉瓦」の社長さんが、
積み上がっていくブロックや,外壁煉瓦の様子を見てくれながら、
「いい家になってきたね」とニッコリしながら工事してくれた。
外壁の煉瓦は、「本煉瓦一丁積み」という積み方で、
煉瓦をまっすぐに積み上げていく、施工の側の緊張感を伴う施工法。
「いまどき、こんな工事頼まれること、滅多にない」
というかれの言葉が、こっちの背筋を少しピンッとさせてくれていた。
煉瓦外壁ばかりだとイメージ的にも工事費用的にも重すぎるので、
右側1/3ほどの外壁面積の仕上げとすることにした。
それでも、通りに面する側だけでなく、まったく見えない裏側も
しっかりと煉瓦で積み上げることにしてくれた。
もう片方の外壁の軽快なガルバリウム角波鉄板も楽しかった。

まことに恥の多い人生を歩いている次第ですが、
しかし自宅新築では、こうしたみなさんのおかげで
いまもなお、愛着を持って暮らせるわが家だと思っています。
いろいろな出会いに深く感謝している次第です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする