くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

タンゴ・冬の終わりに

2006年11月10日 | 観劇
オレステス後の蜷川演出はいかに。タイタス、あわれ、オレステスと洋物が続いていたので、清水邦夫作品はなかなか新鮮な感じがした。

主人公は精神を病んだ元役者。堤真一さんが魅せてくれる。狂気にとりつかれているのだけど、オレステスのように激しく狂うのではなく、夢と現実の間を漂うようにいったりきたりする。かつての栄光を思い出しながら…。切なくなるくらい疲労感や哀愁が漂っていた。それでいて、熱さもある。声もいいんだよなあ。40代ならではの抑えたお芝居に引き込まれた。それを受ける妻役の秋山奈津子さんがまたかっこいい。小劇場から翻訳劇まで幅広い分野で活躍している女優さんで存在感がある。自分のところへ二度と戻ってこないであろう夫を支える強さや、その裏側にある哀しさ、行き場のなさが痛いほど伝わってきた。

常盤貴子さん…、がんばってはいるんだけど、百戦錬磨の出演陣の中にいると影が薄くなってしまう。舞台に関してはまだまだこれからという感じだった。

堤さんはこの舞台に平行して連ドラにも映画にも出ている。竜也くんもこういう風にできないのかな。たまには連ドラで竜也くんを観てみたいもんだ。

階段→将門
カーテンひらひら→あわれ
照明→天保
狂気→オレステス
桜吹雪、孔雀の羽ひらひら&壊れる背景&パッへルベルのカノン

蜷川さんお馴染みの手法のオンパレード。蜷川さん、ちょっと煮詰まってませんか?それでもひたすら走り続ける蜷川さん。とまれない理由があるのかな。破壊と再生を繰り返しながら、トンネルを抜ける時が来た時、巨匠が今一度、新たなものを魅せてくれることを期待したい。

オープニングとエンディングで100人もの若者が叫んだり歌ったりするのが印象的。作品全体に70年代のレトロ感があったが、あの若者たちは学生運動真っ盛りの青春群像だったのかしら。必死に主張し叫び続ける。やっぱり蜷川さんは時代に対して怒っていた。