どもども、いつもお世話になっております、そうだいでございます。
いや~、毎日、忙しいです。忙しいまま、今年2018年も終わりに近づいております……結局、今年もバッタバタよ!
そんな中でもまぁ、この映画を見逃すことだけはできなかったのです。
そう、あのおギドラさまが、満を持して「アニゴジ」シリーズのラスボスとして降臨なさるというのですから、これを観に行かずして一体なにが『長岡京エイリアン』かと!!
……といった感じでありまして、今年の5月に公開されたアニゴジの前作『決戦機動増殖都市』に続きまして、今回もいそいそと映画館に足を運んだわけであったのでありますが、おギドラさまの最新2018モデル、そのご活躍のほどは~!?
堂々たる悪役っぷりは流石でしたが……ハードル上げすぎじゃね!?
こんな感じだったでしょうか。満足はしたけど、ちょ~っと違うんだよなぁ。おギドラさまらしくもあり、おギドラさまらしくもなし!
いや、なんてったってアニゴジですから! 前作でもさんっざん期待値を上げておきながら、ああいった感じに見事にメカゴジラ復活をスルーしちゃったアニゴジなんですから、そりゃおギドラさまだって、フツーに映像化するわけがないのです! それはわかってた。
メカゴジラ、ねぇ。なんであんなに、かたくなに復活させなかったんでしょうかねぇ。もちろん、怪獣型である2万年前のメカゴジラよりもずっと強大になった決戦兵器としてメカゴジラ・シティを登場させたのは非常に良かったのですが、せっかく怨敵ゴジラがシティの中心部にまで出張って来てくれたのですから、せめて一瞬だけでもいいから、上半身だけでもいいから、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破』の第8の使徒みたいに怪獣型になったメカゴジラのマニピュレーターみたいな部分が出てきてゴジラを押さえつけるとかいう演出があっても良かったと思うんですけどね。アニゴジって、そういうファン向けのサービスを全然やってくれないからイヤなんだよなぁ。でも、徹底した塩対応が実にアニゴジらしい気もするし、まぁよしとしましょう。
だいたい、あんなに東宝怪獣ほぼフル登場だった小説版のアニゴジ前日譚(『怪獣黙示録』と『プロジェクト・メカゴジラ』)の中でも、メカゴジラだけは完成前に基地をゴジラに壊されて起動しなかったという残念きわまりない扱いになってますからね。キングシーサーとかチタノザウルスだって出番があったのに、なんとあわれな……ひとりだけ抜け駆けしてスピルバーグ監督の映画に出ちゃったことへのひがみか!?
それでまぁ、アニゴジの前日譚小説にも前2作にもいっさい登場していなかった我らがおギドラさまが、ついに前作の中盤ぐらいで名前だけ X星人の口から語られるようになって、いよいよ本作で「黄金の終焉」としてゴジラの前に立ちはだかるとか! 悪役としてこれ以上のお膳立てがあるでしょうか、いや、ない!!
前回の記事での付録にもある通り、怪獣王ゴジラの最大のライバル怪獣としても有名な宇宙超怪獣キングギドラの、記念すべき10回目の登場作こそが今回の『星を喰う者』となるわけであります。さすがに単独映画シリーズ持ちのモスラには後れを取りましたが、それでも堂々の2ケタ入りよ!
宇宙の破壊神として1964年に地球に降臨したおギドラさまでしたが、一見きらびやかなその黄金のお姿も、10作目の今回に至るまで挫折が全く無かったというわけでは決してなく、むしろ多難ないばらの道と言うべきものでありました。
1965年には早くも X星人に使嗾される屈辱を味わい、68年にはキラアク星人に招かれて久しぶりに出現したかと思えば、待ち受けていたゴジラら地球怪獣7頭の一方的なリンチに遭い、初めて死亡の憂き目を見てしまいます。72年に最初の復活を遂げるも、相方のガイガンが人類のメーサー殺獣光線車の攻撃にすら昏倒してしまうヘタレだったためにゴジラ・アンギラスのペアになすすべもなく敗退し、続く73年の流星人間ゾーンにおいても、翼で突風を起こすくらいの攻撃しかしない棒立ち状態だったために、すきを見て間合いに入ったゾーンに首中心をボッコボコにされて撤退してしまいます。昭和のおギドラさまは、空を飛んでいないと基本的に勝ち目がない!
さて、平成の新時代に入って復活したおギドラさまにも苦悩の道行きは際限なく続き、91年には「未来人のペット3匹が水爆実験の爆発に巻き込まれて誕生した変異怪獣」として、98年には「地球の生命体のエネルギーを吸収する恐怖の大魔王」として、2001年にはなぜか「日本列島を守る護国聖獣」として映画に登場します。経歴がむちゃくちゃ! しまいにゃ正義の怪獣になっちゃってるよ! でも、日本を守ると言ってるだけで「日本に住んでいる人類を守る」とは一言もいってないので、ギリギリOK ……にはならないか。何よりも、あの従順な忠犬みたいな顔が大キライ。
かろうじて98年のグランドギドラは造形も立ち回りも昭和の初代おギドラさまの気風をかなり残していて非常にいいのですが、いかんせん平成『モスラ』シリーズの中での登場なので、結局はあのモスラ単体に負けてしまうし、そのお身体も主人公との対比を考慮して「身長60メートル」にダウンサイジングされてしまっているのが無念でなりません。
それで、2004年の『ゴジラ FINAL WARS』では、キングギドラという従来のお姿ではないのですが、「宇宙最強超怪獣カイザーギドラ」という上位互換のパワーアップタイプとして登場! したのですが、映画の時間的な都合もあってか、印象としては結構あっけなくゴジラにやっつけられてしまったような気がします。もともとボリュームのあるおギドラさまに輪をかけて豪華感を足すためか、スーツの体格が四つ足の「ジャンボキング」体型になっているのですが、それがかえって機動性を低下させてもっさもっさした鈍重な印象になってしまっていたし、主な武器がビームか噛みつきという「いつもの」新味のない感じになっていたのも残念でしたね。だいたい、全身黄金の怪獣がパワーアップしたら一気にくすんだ黒っぽい体色になっちゃうって言うのも、う~ん。要するに、存在自体が至高のおギドラさまを余計にランクアップさせようというこころみ自体が、蛇足で不遜以外の何者でもなかったということなのでしょう。身の程をわきまえなさい。
それにしても、おギドラさまの復活はカイザーギドラ以来の14年ぶりになるんですか。前の出演との間にこれほどの時間が空くのも久しぶり(史上最長は『流星人間ゾーン』~『ゴジラ VS キングギドラ』の「18年」)になるのですが、気がつけば『 FINAL WARS』もそんなに昔になるのかぁ。
そんでもって今回の「星を喰う者」、究極の最強宇宙怪獣ギドラのお出ましなのでありますが、まぁなるほどそう来ましたかといいますか、「ギドラの首だけでゴジラに対応する」という演出に、まずは驚き入りました。ゴジラなぞ、全身で戦うにも値せずと! 大きく出ましたね~。
今作におけるおギドラさまは、肩書も「高次元怪獣」ということで、ゴジラや地球人類、X星人やブラックホール第3惑星人(本記事では「エクシフ」や「ビルサルド」の呼称をあえて原典に戻しています)のいる次元とは違う次元に棲む怪獣ということになっています。そのため、作品の世界に登場する時はブラックホールを通じて出現するのでギドラの全身が出るということはなく、3つのブラックホールから別々に黄金に輝く首のみがニュルニュルと出てきてゴジラを襲うという形になっているのです。その身体の全長は、地球で確認できた首部分のみで「約20km 」ということで、全身なぞ測定不能! 作中、主人公たちの脳内に予兆のようなイメージ映像でギドラの全身シルエットは出るのですが、結局そのお姿が出てゴジラと相まみえるということはなかったのです。アニゴジらしいねぇ!
その規格外の大きさに加えて、本作でのギドラはまさに「黄金の終焉」という X星人の尊称に恥じないラスボスっぷりを見せつけ、小説版の前日譚も含めて今まで同等の脅威にほとんど出遭わなかったゴジラ(いいとこメカゴジラ・シティくらい)が、なすすべもなくギドラの噛みつき攻撃だけで瀕死の重傷を負ってしまい、逆にゴジラの熱戦攻撃はギドラには全く通用しないという、まさしく異次元なパワー差でゴジラを圧倒してしまいます。現次元の生物や兵器の攻撃がいっさい効かないのに、ギドラの攻撃だけが相手に通じるという一方通行な関係がすごい&ずるい! 初代も含めて、今までこんなに段違いの能力差でゴジラを追い込んだことがあっただろうか!?
ただ、まぁその……このまんまゴジラがギドラに喰べられて地球も丸ごといかれちゃったら救いも何もないんでねぇ。そこはやっぱり悪役怪獣の哀しさと言うべきか、ご多分に漏れず本作のおギドラさまにも、その異次元なパワー差を縮める「弱点」はちゃんと用意されており、そこを見事に突いた主人公ハルオの活躍により X星人の野望はついえ、地球上で「現次元化」してしまったギドラの3本の首はゴジラによって物理的にボッコボコにされ(もはや恒例の様式美♡)、生き残った首がはふはふのていで逃げ込んだブラックホールの穴もゴジラの熱戦によって3つともきれいに爆破されてしまうのでした。この無様な敗残っぷりも、X星人との連携自体が弱点となってしまっているという構図も、まさに昭和ギドラへのリスペクトに満ち溢れていますよね。やっぱり、ファンへの対応に関してかなり冷ややかなアニゴジシリーズではありますが、根底には原典たるゴジラシリーズへのそうとうに深い造詣と理解がありますよね。なんだかんだ言っても、虚淵玄さんの作品構想はすばらしい。
特にシリーズの最終作となる本作のラストは、怪獣の存在を通じての痛烈な文明批判ということで、個々の点だけで観れば確かに人類のゴジラへの屈服と取られてもおかしくないバッドエンドなのですが、大きな視点で観れば「文明の発展を引き換えに、人類の小さな幸福と尊厳を守った」希望に満ちた選択とも取ることができるわけで、非常に完成度の高いしめくくりとなっていたかと思います。
2万年後の地球だとか、ゴジラの顔がおじいちゃんみたいだとかいう見てくれだけで面食らって、アニゴジを食わず嫌いするのは大きな損ですよ! ゴジラシリーズの一環としてというよりも、ひとつの SF叙事詩として楽しむべき作品かも知れませんね。
話を戻しますが、そういったストーリー上のお膳立てとして、今回のおギドラさまはもうこれ以上望むべくもない程の厚遇を受けているわけなのですが、なんだか映像化にあたっての扱い方がもったいないというか、作品に最初っから出ずっぱりというわけでもないのに、後半に出てからの活躍っぷりに、おギドラさまならではの「豪快さ」が欠けているんですよね。なんか、しみったれてる。
まず、宇宙空間の中の黒い穴からポッと出てくるというのが地味なわけですが、地球人類最後の希望だか何だか知りませんが、ろくな武器も持っていないたかだか全長1.5km 程度の宇宙船1台を破壊するのにねちねち時間をかけているのが実におギドラさまらしくないです。映画館で観ていたので正確には計っていないのですが、あれ、おギドラさまの顕現からアラトラム号が爆散するまで1分以上かかってましたよね!? 遅い! 遅いよ~。あんなの、初代おギドラさまだったらまともに相手にもせずに引力光線あてながら素通りでドカーン!でしょ。真の破壊神は、相手をもてあそんで殺すような関心の情すら見せないのです。そんな憐み、あるわけねぇだろ! 殺される側の傲慢ですよね。
あと、もうひとつ不満なのは今回のギドラのデザインなのですが、それ自体は特にどうでもよろしいのですが、制作スタッフがそのデザイン元に関して「ゴジラがもし全く違う進化を遂げたら」という構想の元に、作中にゴジラの派生怪獣として登場したセルヴァムをイメージと CGモデリングの基本にしたというのです。
は!? おギドラさまが、あの大宇宙の破壊神おギドラさまが、ちっぽけな辺境惑星・地球の怪獣ゴジラとかセルヴァムなんかと同類!? ふざけんのもいい加減にしろよ!!
地球なんかのちゃっちいスケールで想像すんじゃねぇ!! セルヴァムなぞからおギドラさまをデザインするだなんて、神を冒涜するにも程というものがあるわ!! スライムを元に竜王のデザインを考えるバカがどこにおる!?
この制作スタッフの姿勢にはカチンと来てしまいましたね……実際舞台裏がそうだったとしても、公式見解で言うんじゃねぇよ! 想像力の貧困さというか、引き出しの少なさを露呈してるだけじゃんかよう!! やめてくれよォ。
ま、そういうわけで今回も、我が『長岡京エイリアン』の恒例みたいに最後にブチ切れてしまいましたが、やっぱりアニゴジはおもしろかったですよ。色々ととっつきにくい部分もありますが、一度は観ておくべきシリーズですね。ともあれ、おギドラさまも無事に復活していただけて良かったですよ。
そして、実は今回の興奮も冷めやらぬ来年には、いよいよあの「ハリウッド版ゴジラ」シリーズを舞台にしておギドラさまが復活されるといううわさも、ちらほら! お次は首だけなんていうケチケチした形にはならないでしょう。実に楽しみですね……いかんせん舞台があっちなので、初代のような「東洋の龍」っぽいデザインにはならないかと思うのですが、西洋のドラゴン系だったとしても、ムートー夫妻ごときに勝って調子に乗っているギャレゴジの横っ面をひっぱたく活躍に期待したいですね。来年もゴジラが熱い!!
最後に余談なのですが、巷間なにかと話題のソフビ「ムービーモンスターシリーズ」のおギドラさま、もちろん私も買いましたよ。
3000円……ろくな可動部分もないこれが、3000円か。
いや、私も X星人に負けないくらいのおギドラさま信者を自認しておりますので、文句は申しません! 申しませんが……はぁ。
なんか、マンゴーゼリーとかオレンジグミがめっちゃ食べたくなるおギドラさまですよね。星じゃなくて、お前が食欲をそそってどうする!! ぎゃふん。
いや~、毎日、忙しいです。忙しいまま、今年2018年も終わりに近づいております……結局、今年もバッタバタよ!
そんな中でもまぁ、この映画を見逃すことだけはできなかったのです。
そう、あのおギドラさまが、満を持して「アニゴジ」シリーズのラスボスとして降臨なさるというのですから、これを観に行かずして一体なにが『長岡京エイリアン』かと!!
……といった感じでありまして、今年の5月に公開されたアニゴジの前作『決戦機動増殖都市』に続きまして、今回もいそいそと映画館に足を運んだわけであったのでありますが、おギドラさまの最新2018モデル、そのご活躍のほどは~!?
堂々たる悪役っぷりは流石でしたが……ハードル上げすぎじゃね!?
こんな感じだったでしょうか。満足はしたけど、ちょ~っと違うんだよなぁ。おギドラさまらしくもあり、おギドラさまらしくもなし!
いや、なんてったってアニゴジですから! 前作でもさんっざん期待値を上げておきながら、ああいった感じに見事にメカゴジラ復活をスルーしちゃったアニゴジなんですから、そりゃおギドラさまだって、フツーに映像化するわけがないのです! それはわかってた。
メカゴジラ、ねぇ。なんであんなに、かたくなに復活させなかったんでしょうかねぇ。もちろん、怪獣型である2万年前のメカゴジラよりもずっと強大になった決戦兵器としてメカゴジラ・シティを登場させたのは非常に良かったのですが、せっかく怨敵ゴジラがシティの中心部にまで出張って来てくれたのですから、せめて一瞬だけでもいいから、上半身だけでもいいから、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破』の第8の使徒みたいに怪獣型になったメカゴジラのマニピュレーターみたいな部分が出てきてゴジラを押さえつけるとかいう演出があっても良かったと思うんですけどね。アニゴジって、そういうファン向けのサービスを全然やってくれないからイヤなんだよなぁ。でも、徹底した塩対応が実にアニゴジらしい気もするし、まぁよしとしましょう。
だいたい、あんなに東宝怪獣ほぼフル登場だった小説版のアニゴジ前日譚(『怪獣黙示録』と『プロジェクト・メカゴジラ』)の中でも、メカゴジラだけは完成前に基地をゴジラに壊されて起動しなかったという残念きわまりない扱いになってますからね。キングシーサーとかチタノザウルスだって出番があったのに、なんとあわれな……ひとりだけ抜け駆けしてスピルバーグ監督の映画に出ちゃったことへのひがみか!?
それでまぁ、アニゴジの前日譚小説にも前2作にもいっさい登場していなかった我らがおギドラさまが、ついに前作の中盤ぐらいで名前だけ X星人の口から語られるようになって、いよいよ本作で「黄金の終焉」としてゴジラの前に立ちはだかるとか! 悪役としてこれ以上のお膳立てがあるでしょうか、いや、ない!!
前回の記事での付録にもある通り、怪獣王ゴジラの最大のライバル怪獣としても有名な宇宙超怪獣キングギドラの、記念すべき10回目の登場作こそが今回の『星を喰う者』となるわけであります。さすがに単独映画シリーズ持ちのモスラには後れを取りましたが、それでも堂々の2ケタ入りよ!
宇宙の破壊神として1964年に地球に降臨したおギドラさまでしたが、一見きらびやかなその黄金のお姿も、10作目の今回に至るまで挫折が全く無かったというわけでは決してなく、むしろ多難ないばらの道と言うべきものでありました。
1965年には早くも X星人に使嗾される屈辱を味わい、68年にはキラアク星人に招かれて久しぶりに出現したかと思えば、待ち受けていたゴジラら地球怪獣7頭の一方的なリンチに遭い、初めて死亡の憂き目を見てしまいます。72年に最初の復活を遂げるも、相方のガイガンが人類のメーサー殺獣光線車の攻撃にすら昏倒してしまうヘタレだったためにゴジラ・アンギラスのペアになすすべもなく敗退し、続く73年の流星人間ゾーンにおいても、翼で突風を起こすくらいの攻撃しかしない棒立ち状態だったために、すきを見て間合いに入ったゾーンに首中心をボッコボコにされて撤退してしまいます。昭和のおギドラさまは、空を飛んでいないと基本的に勝ち目がない!
さて、平成の新時代に入って復活したおギドラさまにも苦悩の道行きは際限なく続き、91年には「未来人のペット3匹が水爆実験の爆発に巻き込まれて誕生した変異怪獣」として、98年には「地球の生命体のエネルギーを吸収する恐怖の大魔王」として、2001年にはなぜか「日本列島を守る護国聖獣」として映画に登場します。経歴がむちゃくちゃ! しまいにゃ正義の怪獣になっちゃってるよ! でも、日本を守ると言ってるだけで「日本に住んでいる人類を守る」とは一言もいってないので、ギリギリOK ……にはならないか。何よりも、あの従順な忠犬みたいな顔が大キライ。
かろうじて98年のグランドギドラは造形も立ち回りも昭和の初代おギドラさまの気風をかなり残していて非常にいいのですが、いかんせん平成『モスラ』シリーズの中での登場なので、結局はあのモスラ単体に負けてしまうし、そのお身体も主人公との対比を考慮して「身長60メートル」にダウンサイジングされてしまっているのが無念でなりません。
それで、2004年の『ゴジラ FINAL WARS』では、キングギドラという従来のお姿ではないのですが、「宇宙最強超怪獣カイザーギドラ」という上位互換のパワーアップタイプとして登場! したのですが、映画の時間的な都合もあってか、印象としては結構あっけなくゴジラにやっつけられてしまったような気がします。もともとボリュームのあるおギドラさまに輪をかけて豪華感を足すためか、スーツの体格が四つ足の「ジャンボキング」体型になっているのですが、それがかえって機動性を低下させてもっさもっさした鈍重な印象になってしまっていたし、主な武器がビームか噛みつきという「いつもの」新味のない感じになっていたのも残念でしたね。だいたい、全身黄金の怪獣がパワーアップしたら一気にくすんだ黒っぽい体色になっちゃうって言うのも、う~ん。要するに、存在自体が至高のおギドラさまを余計にランクアップさせようというこころみ自体が、蛇足で不遜以外の何者でもなかったということなのでしょう。身の程をわきまえなさい。
それにしても、おギドラさまの復活はカイザーギドラ以来の14年ぶりになるんですか。前の出演との間にこれほどの時間が空くのも久しぶり(史上最長は『流星人間ゾーン』~『ゴジラ VS キングギドラ』の「18年」)になるのですが、気がつけば『 FINAL WARS』もそんなに昔になるのかぁ。
そんでもって今回の「星を喰う者」、究極の最強宇宙怪獣ギドラのお出ましなのでありますが、まぁなるほどそう来ましたかといいますか、「ギドラの首だけでゴジラに対応する」という演出に、まずは驚き入りました。ゴジラなぞ、全身で戦うにも値せずと! 大きく出ましたね~。
今作におけるおギドラさまは、肩書も「高次元怪獣」ということで、ゴジラや地球人類、X星人やブラックホール第3惑星人(本記事では「エクシフ」や「ビルサルド」の呼称をあえて原典に戻しています)のいる次元とは違う次元に棲む怪獣ということになっています。そのため、作品の世界に登場する時はブラックホールを通じて出現するのでギドラの全身が出るということはなく、3つのブラックホールから別々に黄金に輝く首のみがニュルニュルと出てきてゴジラを襲うという形になっているのです。その身体の全長は、地球で確認できた首部分のみで「約20km 」ということで、全身なぞ測定不能! 作中、主人公たちの脳内に予兆のようなイメージ映像でギドラの全身シルエットは出るのですが、結局そのお姿が出てゴジラと相まみえるということはなかったのです。アニゴジらしいねぇ!
その規格外の大きさに加えて、本作でのギドラはまさに「黄金の終焉」という X星人の尊称に恥じないラスボスっぷりを見せつけ、小説版の前日譚も含めて今まで同等の脅威にほとんど出遭わなかったゴジラ(いいとこメカゴジラ・シティくらい)が、なすすべもなくギドラの噛みつき攻撃だけで瀕死の重傷を負ってしまい、逆にゴジラの熱戦攻撃はギドラには全く通用しないという、まさしく異次元なパワー差でゴジラを圧倒してしまいます。現次元の生物や兵器の攻撃がいっさい効かないのに、ギドラの攻撃だけが相手に通じるという一方通行な関係がすごい&ずるい! 初代も含めて、今までこんなに段違いの能力差でゴジラを追い込んだことがあっただろうか!?
ただ、まぁその……このまんまゴジラがギドラに喰べられて地球も丸ごといかれちゃったら救いも何もないんでねぇ。そこはやっぱり悪役怪獣の哀しさと言うべきか、ご多分に漏れず本作のおギドラさまにも、その異次元なパワー差を縮める「弱点」はちゃんと用意されており、そこを見事に突いた主人公ハルオの活躍により X星人の野望はついえ、地球上で「現次元化」してしまったギドラの3本の首はゴジラによって物理的にボッコボコにされ(もはや恒例の様式美♡)、生き残った首がはふはふのていで逃げ込んだブラックホールの穴もゴジラの熱戦によって3つともきれいに爆破されてしまうのでした。この無様な敗残っぷりも、X星人との連携自体が弱点となってしまっているという構図も、まさに昭和ギドラへのリスペクトに満ち溢れていますよね。やっぱり、ファンへの対応に関してかなり冷ややかなアニゴジシリーズではありますが、根底には原典たるゴジラシリーズへのそうとうに深い造詣と理解がありますよね。なんだかんだ言っても、虚淵玄さんの作品構想はすばらしい。
特にシリーズの最終作となる本作のラストは、怪獣の存在を通じての痛烈な文明批判ということで、個々の点だけで観れば確かに人類のゴジラへの屈服と取られてもおかしくないバッドエンドなのですが、大きな視点で観れば「文明の発展を引き換えに、人類の小さな幸福と尊厳を守った」希望に満ちた選択とも取ることができるわけで、非常に完成度の高いしめくくりとなっていたかと思います。
2万年後の地球だとか、ゴジラの顔がおじいちゃんみたいだとかいう見てくれだけで面食らって、アニゴジを食わず嫌いするのは大きな損ですよ! ゴジラシリーズの一環としてというよりも、ひとつの SF叙事詩として楽しむべき作品かも知れませんね。
話を戻しますが、そういったストーリー上のお膳立てとして、今回のおギドラさまはもうこれ以上望むべくもない程の厚遇を受けているわけなのですが、なんだか映像化にあたっての扱い方がもったいないというか、作品に最初っから出ずっぱりというわけでもないのに、後半に出てからの活躍っぷりに、おギドラさまならではの「豪快さ」が欠けているんですよね。なんか、しみったれてる。
まず、宇宙空間の中の黒い穴からポッと出てくるというのが地味なわけですが、地球人類最後の希望だか何だか知りませんが、ろくな武器も持っていないたかだか全長1.5km 程度の宇宙船1台を破壊するのにねちねち時間をかけているのが実におギドラさまらしくないです。映画館で観ていたので正確には計っていないのですが、あれ、おギドラさまの顕現からアラトラム号が爆散するまで1分以上かかってましたよね!? 遅い! 遅いよ~。あんなの、初代おギドラさまだったらまともに相手にもせずに引力光線あてながら素通りでドカーン!でしょ。真の破壊神は、相手をもてあそんで殺すような関心の情すら見せないのです。そんな憐み、あるわけねぇだろ! 殺される側の傲慢ですよね。
あと、もうひとつ不満なのは今回のギドラのデザインなのですが、それ自体は特にどうでもよろしいのですが、制作スタッフがそのデザイン元に関して「ゴジラがもし全く違う進化を遂げたら」という構想の元に、作中にゴジラの派生怪獣として登場したセルヴァムをイメージと CGモデリングの基本にしたというのです。
は!? おギドラさまが、あの大宇宙の破壊神おギドラさまが、ちっぽけな辺境惑星・地球の怪獣ゴジラとかセルヴァムなんかと同類!? ふざけんのもいい加減にしろよ!!
地球なんかのちゃっちいスケールで想像すんじゃねぇ!! セルヴァムなぞからおギドラさまをデザインするだなんて、神を冒涜するにも程というものがあるわ!! スライムを元に竜王のデザインを考えるバカがどこにおる!?
この制作スタッフの姿勢にはカチンと来てしまいましたね……実際舞台裏がそうだったとしても、公式見解で言うんじゃねぇよ! 想像力の貧困さというか、引き出しの少なさを露呈してるだけじゃんかよう!! やめてくれよォ。
ま、そういうわけで今回も、我が『長岡京エイリアン』の恒例みたいに最後にブチ切れてしまいましたが、やっぱりアニゴジはおもしろかったですよ。色々ととっつきにくい部分もありますが、一度は観ておくべきシリーズですね。ともあれ、おギドラさまも無事に復活していただけて良かったですよ。
そして、実は今回の興奮も冷めやらぬ来年には、いよいよあの「ハリウッド版ゴジラ」シリーズを舞台にしておギドラさまが復活されるといううわさも、ちらほら! お次は首だけなんていうケチケチした形にはならないでしょう。実に楽しみですね……いかんせん舞台があっちなので、初代のような「東洋の龍」っぽいデザインにはならないかと思うのですが、西洋のドラゴン系だったとしても、ムートー夫妻ごときに勝って調子に乗っているギャレゴジの横っ面をひっぱたく活躍に期待したいですね。来年もゴジラが熱い!!
最後に余談なのですが、巷間なにかと話題のソフビ「ムービーモンスターシリーズ」のおギドラさま、もちろん私も買いましたよ。
3000円……ろくな可動部分もないこれが、3000円か。
いや、私も X星人に負けないくらいのおギドラさま信者を自認しておりますので、文句は申しません! 申しませんが……はぁ。
なんか、マンゴーゼリーとかオレンジグミがめっちゃ食べたくなるおギドラさまですよね。星じゃなくて、お前が食欲をそそってどうする!! ぎゃふん。
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