長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

明智小五郎にも帰ってきてほしいオレの事件簿  Vol. うつしよはゆめ

2012年08月06日 12時10分58秒 | ミステリーまわり
 はいは~い。どうもこんにちは! そうだいでございます~。

 前置きはぬき! 今回も文字数がとんでもないので、ちゃっちゃといっちゃいましょうね。
 それでもまだまだ終わらないという、この明智小五郎ワールドの広大さ! カンベンしてぇ~え、ちょうだい!!


とどまるところをしらねぇ!! 明智小五郎メディア化作品の歴史 ~ポスト・アマチの20世紀~
 ※昭和アマチ期は、こちら

ラジオドラマ『妖怪博士と少年探偵団』(1986年6~8月 NHK-FM「アドベンチャーロード」全25回)
 31代目・明智小五郎  …… 広川 太一郎(47歳)
 20代目・怪人二十面相 …… 羽佐間 道夫(52歳)
 16代目・小林芳雄   …… 萩原 等司(?歳)
 3代目・明智文代   …… 松阪 隆子(30歳)
 4代目・中村警部   …… 青砥 洋(?歳)
 ※『怪人二十面相』、『少年探偵団』、『妖怪博士』を原作としている

ドラマ『江戸川乱歩の美女シリーズ 妖しいメロディの美女』(1986年7月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 34代目・明智小五郎  …… 北大路 欣也(43歳)
 21代目・怪人二十面相 …… 岡部 正明(?歳)
 17代目・小林芳雄   …… 小西 邦夫(?歳)
 助手・文代      …… 佐藤 万理(27歳)
 5代目・波越警部   …… 坂上 二郎(52歳 2011年没)
 ※北大路欣也による不定期スペシャルドラマシリーズ『江戸川乱歩の美女シリーズ』の第1作で、『少年探偵団』シリーズ18度目の映像化
 ※『土曜ワイド劇場』で明智小五郎を演じてきた先代・天知茂の急逝の丸1年後に再開された新シリーズで、「天知小五郎」シリーズとの直接の関連は見られないが、「時代設定が1980年代現在」「助手が成人した男女ペア」「波越警部がコメディリリーフ」といった多くの要素を継承している
 ※本作は『少年探偵団』シリーズの『怪人二十面相』(1936年)と『仮面の恐怖王』(1959年)を原作としているが、大人向けの内容にするために「怪人二十面相」という呼称は使用しておらず、真犯人は「怪盗恐怖王」と名乗っている
 ※恐怖王役の岡部正明は声のみの出演で、劇中に登場する恐怖王は基本的に出演者の誰かの姿に変装しているという徹底ぶり!

ドラマ『江戸川乱歩の美女シリーズ 黒い仮面の美女』(1987年1月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 34代目・明智小五郎  …… 北大路 欣也(43歳)
 ヒロイン・青木美也子 …… 白都 真理(28歳)
 17代目・小林芳雄   …… 小西 邦夫(?歳)
 助手・文代      …… 佐藤 万理(28歳)
 5代目・波越警部   …… 坂上 二郎(52歳)
 ※北大路欣也による不定期スペシャルドラマシリーズ『江戸川乱歩の美女シリーズ』の第2作で、短編『兇器』と『月と手袋』をあわせた内容

ラジオドラマ『魔人復活 青銅の魔人』『地底の魔術王』(1987年7月 NHK-FM「アドベンチャーロード」全20回)
 31代目・明智小五郎  …… 広川 太一郎(48歳)
 20代目・怪人二十面相 …… 羽佐間 道夫(53歳)
 16代目・小林芳雄   …… 萩原 等司(?歳)
 3代目・明智文代   …… 松阪 隆子(31歳)
 4代目・中村警部   …… 青砥 洋(?歳)
 ※『青銅の魔人』、『地底の魔術王』を原作としている

ドラマ『江戸川乱歩の美女シリーズ 赤い乗馬服の美女』(1987年8月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 34代目・明智小五郎  …… 北大路 欣也(44歳)
 ヒロイン・結城志摩子 …… 叶 和貴子(31歳)
 17代目・小林芳雄   …… 小西 邦夫(?歳)
 助手・文代      …… 佐藤 万理(28歳)
 5代目・波越警部   …… 坂上 二郎(53歳)
 ※北大路欣也による不定期スペシャルドラマシリーズ『江戸川乱歩の美女シリーズ』の第3作で、短編『何者』(1929年)の初映像化

ドラマ『江戸川乱歩の美女シリーズ 日時計館の美女』(1988年5月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 34代目・明智小五郎  …… 北大路 欣也(45歳)
 ヒロイン・郷田千賀子 …… 真野 響子(36歳)
 18代目・小林芳雄   …… 岡崎 展久(のぶひさ 28歳)
 助手・文代      …… 佐藤 万理(29歳)
 5代目・波越警部   …… 坂上 二郎(54歳)
 ※北大路欣也による不定期スペシャルドラマシリーズ『江戸川乱歩の美女シリーズ』の第4作で、『屋根裏の散歩者』の3度目の映像化(ただし、明智小五郎が登場するのは本作が2度目)
 ※本作から、小林青年役が岡崎展久に交代している

ラジオドラマ『透明怪人と黄金どくろの謎』(1988年7~8月 NHK-FM「アドベンチャーロード」全15回)
 31代目・明智小五郎  …… 広川 太一郎(49歳)
 20代目・怪人二十面相 …… 羽佐間 道夫(54歳)
 16代目・小林芳雄   …… 萩原 等司(?歳)
 3代目・明智文代   …… 松阪 隆子(32歳)
 4代目・中村警部   …… 青砥 洋(?歳)
 ※『透明怪人』、『怪奇四十面相』を原作としている

ラジオドラマ『宇宙怪人と少年探偵団』(1989年7~8月 NHK-FM「アドベンチャーロード」全15回)
 31代目・明智小五郎  …… 広川 太一郎(50歳)
 20代目・怪人二十面相 …… 羽佐間 道夫(55歳)
 16代目・小林芳雄   …… 萩原 等司(?歳)
 3代目・明智文代   …… 松阪 隆子(33歳)
 4代目・中村警部   …… 青砥 洋(?歳)
 ※『宇宙怪人』を原作としている

ドラマ『江戸川乱歩の美女シリーズ 神戸六甲まぼろしの美女』(1989年8月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 34代目・明智小五郎 …… 北大路 欣也(46歳)
 ヒロイン・舞谷藤子 …… 南條 玲子(29歳)
 18代目・小林芳雄  …… 岡崎 展久(29歳)
 助手・文代     …… 高見 恭子(30歳)
 5代目・波越警部  …… 坂上 二郎(55歳)
 ※北大路欣也による不定期スペシャルドラマシリーズ『江戸川乱歩の美女シリーズ』の第5作で、『押絵と旅する男』の3度目の映像化(1972年の TVドラマ化のほか、1964年に明智小五郎の登場しない映画版が制作されていた)
 ※本作から、助手の文代役が高見恭子に交代している

ドラマ『江戸川乱歩シリーズ 蜘蛛男』(1989年11月放送 TBS『水曜ロードショー』)
 35代目・明智小五郎 …… 小野寺 昭(46歳)
 蜘蛛男       …… 本郷 功次郎(51歳)
 助手・文代     …… 森尾 由美(23歳)
 6代目・波越警部  …… なべ おさみ(50歳)
 ※TBS の「小野寺小五郎シリーズ」第1作で、『蜘蛛男』の4度目の映像化
 ※文代は明智小五郎の妻ではなく、単なる助手に設定されている

舞台公演『黒蜥蜴』(1990年3月に東京・新橋演舞場で上演)
 36代目・明智小五郎 …… 津嘉山 正種(つかやま まさね 46歳)
 8代目・女賊黒蜥蜴 …… 松坂 慶子(37歳 観たかった!!)
 ※三島由紀夫の戯曲の舞台化で、「三島由紀夫20年祭」記念公演(演出・坂東玉三郎)
 ※松坂慶子は、のちに2004年にも TVドラマ『乱歩R』で黒蜥蜴役を演じている

ドラマ『江戸川乱歩の美女シリーズ 妖しい稲妻の美女』(1990年4月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 34代目・明智小五郎 …… 北大路 欣也(47歳)
 魔術師       …… 日下 武史(59歳)
 18代目・小林芳雄  …… 岡崎 展久(30歳)
 助手・文代     …… 高見 恭子(31歳)
 5代目・波越警部  …… 坂上 二郎(56歳)
 ※北大路欣也による不定期スペシャルドラマシリーズ『江戸川乱歩の美女シリーズ』の最終作で、『魔術師』の3度目の映像化
 ※魔術師役の日下武史は、1970年にも TVドラマ『江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎』(テレビ東京)で同じ魔術師の役を演じていた
 ※同じ『魔術師』を原作としている先代・天知茂の『浴室の美女』と同じく、原作の「文代」にあたる人物は他のオリジナルキャラクター「綾子」(演・山本ゆか里)に変更されている

ドラマ『江戸川乱歩シリーズ 黒蜥蜴』(1990年10月放送 TBS『水曜ロードショー』)
 35代目・明智小五郎 …… 小野寺 昭(47歳)
 9代目・女賊黒蜥蜴 …… 島田 陽子(37歳)
 助手・文代     …… 森尾 由美(24歳)
 6代目・波越警部  …… なべ おさみ(51歳)
 ※TBS の「小野寺小五郎シリーズ」最終作で、『黒蜥蜴』の6度目の映像化
 ※三島由紀夫の戯曲でなく、江戸川乱歩の小説を直接の原作としている

ラジオドラマ『元祖・乱歩の奇妙な物語』(1991年11月 NHK-FM「特集・サウンド夢工房」全10回)
 31代目・明智小五郎 …… 広川 太一郎(52歳)
 3代目・明智文代  …… 松阪 隆子(35歳)
 ※『押絵と旅する男』(3回)、『人間椅子』(2回)、『目羅博士』(2回)、『屋根裏の散歩者』(3回)のラジオドラマ化

単発ドラマ『D坂殺人事件 名探偵明智小五郎誕生秘話』(1992年1月放送 フジテレビ『金曜ドラマシアター』)
 37代目・明智小五郎    …… 郷 ひろみ(36歳)
 ヒロイン・古本屋の女主人 …… 佳那 晃子(35歳)
 ※おおむね『D坂の殺人事件』を原作としており時代設定も戦前になっているが、明智小五郎が東京帝国大学の学生ということになっていて、身なりもすでに洋装で洗練されている

ドラマ『明智小五郎の挑戦 からくり人形の美女』(1992年7月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 38代目・明智小五郎  …… 西郷 輝彦(45歳)
 ヒロイン・畑柳倭文子 …… 美保 純(31歳)
 小林文代       …… 森 遥子(現・ようこ 25歳)
 3代目・波越警部   …… 荒井 注(54歳 2000年没)
 ※天知茂、北大路欣也に続く『土曜ワイド劇場』の「西郷小五郎シリーズ」第1作で、時代設定も「1990年代前半」になっている
 ※『吸血鬼』の5度目の映像化
 ※明智小五郎は独身であり、レギュラーキャラクターとして小林芳雄と明智文代をミックスさせたような助手「小林文代」が登場する
 ※「天知小五郎シリーズ」以来の登板となる、荒井注による波越警部の活躍する最後の作品

単発ドラマ『黒蜥蜴 美しき悪女の伝説』(1993年1月放送 TBS『月曜ドラマスペシャル』)
 39代目・明智小五郎 …… 伊武 雅刀(いぶ まさとう 43歳)
 10代目・女賊黒蜥蜴 …… 岩下 志麻(52歳)
 ※『黒蜥蜴』の7度目の映像化
 ※いちおう、三島由紀夫の戯曲でなく江戸川乱歩の小説を直接の原作としたということになっているが、時代設定が「1990年代前半」になっているほか、黒蜥蜴の末路が思いっきり SFでオリジナルなものになっている(歴代黒蜥蜴の中でも最も幸せな最期……じゃないか)
 ※明智役の伊武雅刀は、肩幅の大きな細めのブランドスーツに部分メッシュという、いかにもバブリーな時代の名探偵を演じていたが、翌1994年には「陣内小五郎シリーズ」(フジテレビ)で波越警部の役をクラシックに演じている

舞台公演『黒蜥蜴』(1993年4月に東京芸術劇場中ホールで上演)
 40代目・明智小五郎 …… 榎木 孝明(37歳)
 3代目・女賊黒蜥蜴 …… 美輪 明宏(57歳)
 ※三島由紀夫の戯曲の舞台化
 ※榎木孝明は1991年に、映画『天河伝説殺人事件』(監督・市川崑)で名探偵・浅見光彦(原作・内田康夫)の役も演じている
 ※この公演から、美輪明宏主演の『黒蜥蜴』は美輪が演出・美術・音楽・衣装も兼任するようになった


~1994年は「江戸川乱歩生誕100周年」ということで、乱歩作品のメディア化もかつてない盛況ぶりを見せた~


ドラマ『明智小五郎の挑戦 みだらな喪服の美女』(1994年1月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 38代目・明智小五郎   …… 西郷 輝彦(46歳)
 ヒロイン・大牟田瑠璃子 …… 杉本 彩(25歳)
 小林文代        …… 森 遥子(26歳)
 7代目・波越警部    …… 河原 さぶ(48歳)
 ※天知茂、北大路欣也に続く『土曜ワイド劇場』の「西郷小五郎シリーズ」最終作
 ※江戸川乱歩の『白髪鬼』の5度目の映像化だが、小説には明智小五郎と波越警部は登場しない

舞台公演『黒蜥蜴』(1994年2月~97年6月に東京芸術劇場中ホール、青山劇場で上演)
 41代目・明智小五郎 …… 名高 達男(43~46歳)
 3代目・女賊黒蜥蜴 …… 美輪 明宏(58~62歳)
 ※三島由紀夫の戯曲の舞台化

映画『屋根裏の散歩者』(1994年3月 監督・実相寺昭雄)
 42代目・明智小五郎 …… 嶋田 久作(38歳)
 主人公・郷田三郎  …… 三上 博史(31歳)
 ※実相寺昭雄監督による「嶋田小五郎シリーズ」第1作で、『屋根裏の散歩者』の4度目の映像化
 ※映像化された『屋根裏の散歩者』の中では原作に比較的忠実のようだが、エロいシーンはひとつのこらず実相寺オリジナル

舞台公演『結末のかなた』(1994年5月~95年6月に兵庫県・宝塚バウホール、東京・日本青年館大ホールなど3都市で上演)
 43代目・明智小五郎 …… 姿月 あさと(しづき 25~25歳 2000年退団)
 怪盗黄金仮面    …… 成瀬 こうき(25~26歳 2002年退団)
 19代目・小林芳雄  …… 瑠菜 まり(年齢非公開 1997年退団)
 8代目・波越警部  …… 大峯 麻友(30~32歳 のちに宙組初代組長となり2001年退団)
 ※宝塚歌劇団月組公演
 ※『黄金仮面』を原作としている

映画『RAMPO 』(1994年6月 監督・黛りんたろう or 奥山和由)
 44代目・明智小五郎 …… 本木 雅弘(28歳)
 ヒロイン・静子   …… 羽田 美智子(25歳)
 江戸川乱歩     …… 竹中 直人(38歳)
 横溝正史      …… 香川 照之(28歳)
 ※「映画誕生100年・江戸川乱歩生誕100周年・松竹創業100周年記念作品」
 ※本作は当初、黛りんたろう監督作品の制作が進められていたが、完成作に対して製作総指揮の奥山和由が不満を持ったため、奥山自身が監督となって制作し直された「奥山監督ヴァージョン」(98分)と「黛監督ヴァージョン」(93分)とが同時に公開される事態となった
 ※ただし、どちらのヴァージョンも大筋の流れと主要キャスティングは変わりがなく……正直どっちでもいい!
 ※「奥山ヴァージョン」をさらに編集し直した「インターナショナルヴァージョン」(100分)が、翌1995年5月に公開されている
 ※物語の主人公は現実世界にいる小説家・江戸川乱歩本人で、乱歩が自分の執筆した短編『お勢登場』(1926年7月)のヒロインに酷似した女性に出逢い、現実と虚構の境界が徐々に崩れていくといったメタフィクションな内容になっている
 ※映画の展開はおもに『お勢登場』と長編『化人幻戯』(1954年)をもとにしたものとなっているが、『化人幻戯』は戦後に連載された作品なので、『お勢登場』発表直後の戦前を舞台にした『RAMPO 』とはちょっとそぐわないような気がする
 ※「奥山ヴァージョン」では、パーティで江戸川乱歩が「映画で明智小五郎役と怪人二十面相役を演じる若手俳優たち(若杉英二と沼尾鈞ペアということになる?)」に挨拶されるというお遊びシーンがあるが、これも松竹映画『怪人二十面相』の公開が戦後の1954年のことなのでいささかおかしい
 ※作中に、小説家ではなく江戸川乱歩の担当編集者として横溝正史が登場する
 ※明智小五郎を演じた本木雅弘は、のちに江戸川乱歩原作の映画『双生児』(1999年 監督・塚本晋也)で主演している

単発ドラマ『乱歩 妖しき女たち』の1作『密室の少女』(1994年7月放送 TBS『月曜ドラマスペシャル』)
 45代目・明智小五郎 …… 佐野 史郎(39歳)
 魔術師       …… 豊原 功補(こうすけ 28歳)
 4代目・明智文代  …… 小川 範子(21歳)
 ※「江戸川乱歩生誕100周年記念ドラマ」と銘打たれ、脚本・小中千昭、監督・吉田秋生(マンガ家じゃないよ!)、音楽・小六禮次郎という布陣で製作された
 ※物語は、小中千昭による「1994年現在」のオリジナルパートと、主人公のサラリーマン(演・佐野史郎)が読みふける江戸川乱歩の4作品のドラマ化パートで構成されているオムニバス形式
 ※乱歩の短編『接吻』(1925年12月)、『人間椅子』(1925年10月)、『断崖』(1950年3月)と、長編『魔術師』(1930年)の中から、監禁された明智小五郎とのちの妻となる少女・文代とが初めて出逢う章段のみを抜粋した『密室の少女』の4作品が映像化されている
 ※1場面のみだが、本作の『密室の少女』は『魔術師』の4度目の映像化となる
 ※オムニバス4作の他にも、現実と虚構が交錯する現代パートでは『陰獣』『盲獣』『青銅の魔人』などを意識したシーンが随所にちりばめられている
 ※現代パートを含めた全作になんらかの役で佐野史郎が出演しているが、『密室の少女』では明智小五郎の役を演じている
 ※ドラマの各パートで違った女優がヒロインを務めており、『密室の少女』の小川範子のほかには、現代パートで川島なお美(33歳)、『接吻』で常盤貴子(22歳)、『人間椅子』で床嶋佳子(とこしま よしこ 29歳)、『断崖』で山咲千里(32歳)が出演している
 ※主演の佐野史郎とメインヒロインの川島なお美は、のちに2001年4月のドラマ『闇の脅迫者 陰獣』(テレビ東京『水曜 女と愛とミステリー』)で再共演を果たしているが、この作品には明智小五郎は登場しない

ドラマ『名探偵明智小五郎 地獄の道化師』(1994年12月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 46代目・明智小五郎  …… 陣内 孝則(36歳)
 ヒロイン・野上あい子 …… 野村 真美(30歳)
 20代目・小林芳雄   …… 黒田 勇樹(12歳)
 5代目・明智文代   …… 森口 瑶子(28歳)
 9代目・波越警部   …… 伊武 雅刀(45歳)
 22代目・怪人二十面相 …… 高杉 亘(わたる 30歳)
 ※フジテレビ制作の「陣内小五郎シリーズ」第1作で、『地獄の道化師』の3度目の映像化
 ※「陣内小五郎シリーズ」全4作の監督をつとめているのは、のちに同じフジテレビで「稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ」(2004~09年)を手がける星護
 ※「陣内小五郎シリーズ」は時代設定も含めておおむね原作小説に忠実な内容となっているが、全作品で物語の序盤や終盤に、本筋とは関わりの薄い「明智小五郎と怪人二十面相の捕り物アクション」が展開される
 ※波越警部役の伊武雅刀は、前年1993年に TBSドラマ『黒蜥蜴』で「1990年代前半っぽい明智小五郎」を演じたばかりだった
 ※原作に忠実な「明智小五郎の妻としての文代」が映像化作品に登場するのは、実は本作が初だった

ドラマ『名探偵明智小五郎 吸血カマキリ』(1995年7月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 46代目・明智小五郎   …… 陣内 孝則(36歳)
 ヒロイン・大河原由美子 …… とよた 真帆(28歳)
 20代目・小林芳雄    …… 黒田 勇樹(13歳)
 5代目・明智文代    …… 森口 瑶子(28歳)
 9代目・波越警部    …… 伊武 雅刀(46歳)
 22代目・怪人二十面相  …… 高杉 亘(30歳)
 ※フジテレビ制作の「陣内小五郎シリーズ」第2作
 ※『化人幻戯』の4度目の映像化(『RAMPO 』も加算して)

ドラマ『名探偵明智小五郎 暗黒星』(1996年1月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 46代目・明智小五郎  …… 陣内 孝則(37歳)
 ヒロイン・伊志田直子 …… 稲森 いずみ(23歳)
 20代目・小林芳雄   …… 黒田 勇樹(13歳)
 5代目・明智文代   …… 森口 瑶子(29歳)
 9代目・波越警部   …… 伊武 雅刀(46歳)
 22代目・怪人二十面相 …… 高杉 亘(31歳)
 ※フジテレビ制作の「陣内小五郎シリーズ」第3作で、『暗黒星』の2度目の映像化

CDドラマ『悪魔人形』(1996年7月 マーキュリー・ミュージックエンタテインメント)
 47代目・明智小五郎  …… 速水 奨(37歳 声優)
 21代目・小林芳雄   …… 山口 勝平(31歳 声優)
 花崎マユミ      …… 冨永 みーな(30歳 声優)
 23代目・怪人二十面相 …… 千葉 繁(42歳 声優)
 ※原作は『魔法人形』(1957年)
 ※かつてラジオドラマで明智小五郎を演じたことのある納谷悟朗(66歳)がナレーションを務めている
 ※小林少年役の山口勝平は、同じ年にアニメ映画版の『金田一少年の事件簿』で「金田一一」の役も演じていた

ドラマ『名探偵・明智小五郎 陰獣』(1998年3月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 48代目・明智小五郎  …… 稲垣 吾郎(24歳)
 ヒロイン・小山田静子 …… 秋吉 久美子(43歳)
 10代目・波越警部   …… きたろう(49歳)
 ※天知茂、北大路欣也、西郷輝彦に続く『土曜ワイド劇場』の明智小五郎シリーズだが、直接の関連はなく、『江戸川乱歩の美女シリーズ』というくくりでもなくなっている
 ※『陰獣』の4度目の映像化だが、原作小説に明智小五郎と波越警部は登場しない
 ※時代設定は「20世紀末現在」になっている
 ※稲垣吾郎は、岡譲司、小野寺昭とともに「明智小五郎と金田一耕助の両方を演じた」数少ない俳優のひとり
 ※『土曜ワイド劇場』での「稲垣小五郎2部作」の監督を手がけている佐藤嗣麻子は、のちにフジテレビの「稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ」(2004~09年)で全作品の脚本を担当している(「稲垣小五郎」の脚本家は長坂秀佳で、「稲垣金田一」の監督は星護)

映画『D坂の殺人事件』(1998年5月 監督・実相寺昭雄)
 42代目・明智小五郎    …… 嶋田 久作(43歳)
 主人公・蕗屋清一郎    …… 真田 広之(37歳)
 ヒロイン・古本屋の女主人 …… 吉行 由実(32歳)
 22代目・小林芳雄     …… 三輪 ひとみ(19歳)
 ※実相寺昭雄監督による「嶋田小五郎シリーズ」最終作で、『D坂の殺人事件』の2度目の映像化
 ※江戸川乱歩の短編『D坂の殺人事件』と『心理試験』(どちらも1925年)をあわせた内容になっているが、特に「明智小五郎の最初の事件」という扱いにはなっておらず、前作『屋根裏の散歩者』の続編になっている
 ※さすが実相寺監督! 史上初の「小林少年役に女優を起用」というこの倒錯っぷり
 ※原作もエロ要素がないことはないが、やっぱり今回もエロいシーンはまるごとぜんぶ実相寺オリジナル
 ※実相寺昭雄監督はこののちにも明智小五郎の登場する映画『鏡地獄』(2005年 『乱歩地獄』の1作)を手がけているが、「嶋田小五郎シリーズ」との関連は見られない

ドラマ『名探偵明智小五郎 吸血鬼』(1999年2月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 46代目・明智小五郎  …… 陣内 孝則(40歳)
 ヒロイン・畑柳倭文子 …… 有森 也実(31歳)
 20代目・小林芳雄   …… 黒田 勇樹(16歳)
 5代目・明智文代   …… 森口 瑶子(32歳)
 9代目・波越警部   …… 伊武 雅刀(49歳)
 22代目・怪人二十面相 …… 高杉 亘(34歳)
 ※「陣内小五郎シリーズ」最終作で、『吸血鬼』の6度目の映像化

舞台公演『アゲイン 怪人二十面相の優しい夜』(1999年4月~2001年5月に東京・紀伊國屋サザンシアターなど全国で上演)
 49代目・明智小五郎  …… 山中 崇史(28~30歳)
 23代目・怪人二十面相 …… 近藤 正臣(57~59歳)
 23代目・小林芳雄   …… 鈴木 利典(20~22歳)
 花崎マユミ      …… 高橋 麻理(21~23歳)もしくは、三木 さつき(27~29歳)のダブルキャスト
 5代目・中村警部   …… 三村 晃弘(28~30歳)
 ※劇団扉座プロデュース公演
 ※『少年探偵団』シリーズから30年以上の時間が経過した1999年現在が舞台で、年老いた二十面相が主人公となっているオリジナルストーリー(脚本&演出・横内謙介)
 ※「魔法博士」や「ねこ夫人」といった二十面相の関係人物も登場する

ドラマ『名探偵・明智小五郎 エレベーター密室殺人』(2000年2月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 48代目・明智小五郎 …… 稲垣 吾郎(26歳)
 ヒロイン・天野桂子 …… 麻生 祐未(36歳)
 10代目・波越警部  …… きたろう(51歳)
 ※『三角館の恐怖』の2度目の映像化だが、原作小説に明智小五郎と波越警部は登場しない
 ※時代設定は「20世紀末現在」になっている
 ※完全オリジナル作品の『明智小五郎 VS 金田一耕助』(2005年)をのぞけば、天知茂いらい続いてきた『土曜ワイド劇場』の明智小五郎シリーズの最終作となっている(2012年7月現在)



 いや~、1994年って、乱歩ファンにとっては良くも悪くもタイヘンなアニバーサリーイヤーだったんですねぇ。

 当時の私は地元の山形でぽあぽあした夢ばっかりみていた中学生だったんですが、それ以前にも『少年探偵団』シリーズでさんざんお世話になってはいたものの、乱歩の大人向け作品の制覇に本格的に乗り出すこととなったきっかけは、まさに今回紹介した映像化作品のひとつ、TBS 放送のスペシャルドラマ『乱歩 妖しき女たち』でした。

 『乱歩 妖しき女たち』、これは傑作だったと思いますよ!! あとでビデオ買っちゃったからね。現在もDVD 化されてないっていうのがおかしな話だなぁ、って思うんですけど。
 なにがいいって、このオムニバスドラマはどのお話も「シンプル」なんです。原作小説の映像化に徹していて、同時期にいならんでいた『土曜ワイド劇場』の明智小五郎シリーズや『RAMPO 』、実相寺監督のシリーズに過剰にのっけられていた「エロ・グロ添加物」がいっさいなかったんですね。
 実は私、あの名作『人間椅子』の衝撃の結末は小説じゃなくて、ここでのドラマ化で知っちゃったんですよ。でも、足しもせず引きもせずに20分くらいにまとめられたこのドラマが最初で本当によかった! ラストの手紙の内容には心底ビックラこきました。「ぐあ~やられた!!」みたいな。この『人間椅子』にかぎらず、小説家としての乱歩の手腕がたっぷり味わえる作品チョイスでしたね、『断崖』とか『接吻』とか。
 まぁ、「よけいなエロ・グロはない」っていっても、『陰獣』関係で川島なお美さんはエロかったけど。なんていうか、94~5年の川島さんはよかったねぇ……まさしく1日先はどうなっているかわからない「熟れ熟れバナナ期」でしたよ! だって、そのすぐあとの映画『鍵』(谷崎!)の時点で「あ、過ぎた……」になっちゃってましたからね。
 正直言って、ヒーローっぽさのかけらもない「佐野小五郎」はワンポイントリリーフということでピンとはこなかったんですけど、過剰な演技をさしはさまない佐野さんのドラマ各所での名演はすばらしかったなぁ。

 そして話はとびますが、よくよく思い出してみると、私が大学に入学して千葉で一人暮らしを始めるようになって、確か最初に東京に行って観た単館上映の映画も、テアトル新宿でやっていた『D坂の殺人事件』だったんだよなぁ。

 いや~、前にも言ったかもしれないんですけど、私はこの『D坂の殺人事件』を観ていて、途中からしきりに腕時計の時間が気になってきてチラチラ見たりしてたんですよ。今、何時かな? 何時かな? って。

 え? つまんないから? 否!! おもしろすぎて、「あと何分でこの映画おわっちゃうの? え~、20分!? 延長してくれ~! 上映時間3時間半くらいになってくれ~!!」と思ったから時計を気にしてたんです。
 「おもしろすぎて時計が気になる」。こんなこと、なかなかねぇぜ!? いや、私だけですか。

 『D坂の殺人事件』は、こりゃも~立派な「実相寺作品」なので、ことあるごとに原作にないエロシーンが挿入されてくるのですが、とにかく「頭の切れすぎる犯罪者」としての真田広之さんの演技が素晴らしいんですね。あ、この映画はタイトルに反してお話の骨子が、最初っから犯人が誰なのかがわかりきっている『古畑任三郎』パターンの「倒叙(とうじょ)もの」の傑作『心理試験』ですから。犯人は真田さんって言ってもいいんですねぇ。
 要するに、島田久作さん演じる明智小五郎と真田広之さん演じる犯人との、内側は壮絶なのに外側はひたすら静かな「だましあいバトル」がとにかくいいんですね。こここそが、実相寺監督の前作『屋根裏の散歩者』にはなかった『D坂の殺人事件』の進化ポイントなんです。『屋根歌の散歩者』の犯人はちょっと、明智小五郎と闘うにはかわいそうなくらいに力量不足でしたから。


 いろいろ言いましたけど、「原作重視」、「エロ・グロ重視」、私はおもしろいんだったらどっちでもいいと思います! でも、その映像化作品を観て「ちょっと乱歩の小説も読んでみよ!」という気になるもの。ここさえおさえておけばなんでもいいんですよ。
 だって、小説のほうがおもしろいのが、江戸川乱歩という大小説家の真の天才性なんですから。読む人間の感性にしのびよる文章。イメージが変幻自在なのは、その世界があなた自身の想像した幻影だからなのです……キャー!!

 ということで、わけわかんなくなったところで、また次回~。
 いよいよ、月をまたいだこのリストもおしまいか~!?
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