華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

映画 ” トウキョウ ソナタ ”

2009-05-28 19:08:48 | ★映画  
 見逃した映画を レンタルショップで借りてきた

 監督が黒澤清で 香川照之 小泉今日子 役所広司が出演なので あらすじを知らないけど 楽しみに観た

 会社をリストラされた男たちが  大勢出てくる   

 家族に打ち明けられず 毎朝 これまでどおりスーツ姿で出勤を装って ハローワークに通い 長蛇の列に並ぶ

 三ヶ月間も家族にナイショを通した男の 危なっかしさ  気の毒なラスト

 世の中の男たちは  家族を養うために 仕事を得ることに いっしょけんめいである 

 生きていくための収入がないと暮らせないし 社会の中に組み込まれていない位置は 不安である


 一家の世帯主である父親がリストラされて 家族に打ち明けられないところから  嘘が始まる

 亭主関白の夫に 唯々諾々と従う妻   家族を守るためにアメリカの軍隊に入隊したいという長男  

 親に無断で学校を早退したり  ピアノを習いたくて 給食費をその月謝に使う次男

 いくつかの食事の場面は 会話もなく 黙々と食べてるだけで  家族の寒々感が漂っていた

 家族の小さなズレが大きく広がって  みんなが一人になって もがく

 人の付き合いって 長ければ長いほど 小さな齟齬やズレ あるいは澱のようなものも溜まってくる

 まぁ いっかぁ で やり過ごせなくなってきたときの家族が  どうなっていくのだろうかと心配だった


 夫が 拾った大金を盗み 車にはねられたとき 

 妻が 押し入った強盗の人質として 逃亡のクルマに同乗したとき

 長男が 外国に行って 他の国の状況を考え始めたとき

 次男が 無賃乗車で捕まり 黙秘をし 拘置所に入れられたとき

 このとき それぞれが過去の自分を死んだのだと思う

 翌朝 それぞれが疲れて帰宅し  何も話さず いつものように朝食を食べている

 これまで生きてきた自分の考え方 行動を変えることって  なかなか できない 

 さまざまの喜怒哀楽が自分を作ってきたのだから 褒められたこと 上手くできたことも多々あるけど

 自分に固執して 失ったものも  いくつもある

 家族のなかの役割 その建前 ズレ 澱が  一人ずつの心を頑なにしていく
 
 それぞれが痛い思いをしたけれど  再生できて よかった   

 次男の才能が この家族を温かく朗らかな方向へ変えていくような気がして ラストは希望を感じられた



 

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