華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

” 逆立ち日本論 ” の抜粋

2007-12-29 15:28:15 | ★本
養老 :
ヴィクトール・E・フランクルというユダヤ人の精神医学者で、『夜と霧』でアウシュビッツ収容所での体験を書いた著者のことです。 彼は自分の両親と妻、子どもを収容所で失います。かろうじて自らは死を免れ解放された後、一貫して「人生の意味」について論じていきます。そして、生きる意味は、自分だけで完結するものではなく、常に周囲の人や社会との関係でこそ生まれる、と強調するのです。
彼は、いつ死ぬかわからない過酷な状況の収容所で「人生の意味とはなにか」を問い続けます。息を引き取るまで奪われることがない精神の自由こそが、最期の瞬間まで人生を有意義にする。過酷な状況下でいかなる態度をとるかに、人生の意味はある。そう考えるのです。
「この各個人がもっている、他人によってとりかえられ得ないという性質、かけがえないということは、人間が彼の生活や生き続けることにおいて担っている責任の大きさを明らかにするものなのである。待っている仕事、あるいは待っている愛する人間、に対してもっている責任を意識した人間は、彼の生命を放棄することが決してできないのである。」(みすず書房)
そして、人生の意味というのは、人生からなにを期待するかではなく、人生がなにをこちらに期待しているかを考えることだと言うのです。ぼくたちが人生の意味を問うているのではなく、問われているのだと。それはそれぞれが自分に与えられた使命を全うすること、日常で正しい行動をとることにあり、人によって具体的にそれは異なるのだというのです。


養老 :
死ぬまでにはとても片付かない問題が多いですね。だけど、そういう死ぬ前に片付かない問題を抱えることが大切なのだと思いますよ。
内田 :
ぼくは「ディスクトップに並べておく」という言い方をしてます。自分の意識の「ディスクトップ」に開いたファイルをどれくらいたくさん載せられるか。どれだけディスクトップが散乱しているのに耐えられるか。この無秩序に対する耐性というのはけっこうたいせつじゃないかと思うのです。
整理したがる人は、解決できない情報でも「未整理ファイル」というタグをつけて整理してしまうでしょう。でも、一度ファイルしてしまうと、それはもう意識にはなかなかのぼってこない。問題というのは、デスクに載っていて「ああ、まだ片付かない。やだなぁ、困ったなぁ、めんどうくさいなぁ」といつもこちらのストレスの種になっているからこそ「問題」として機能している。
デスクトップがぐちゃぐちゃになっても相変わらず問題は増え続けますから、もうそうなるとデスクの面積を広げていくしかない。それで人間の脳の容量は増えてきたんじゃないかと思うんですよ。
問題を解決するのが悪いと言っているわけじゃないんです。でも、なにかしら解決方法を選んだときには、「どうして自分はこのソリューションを選んだのか?」ということが次の「ディスクトップ」事項になるはずなのです。「何で自分は他ならぬこの問題を優先的に解決しようと望んだのか?」という問題が次の問題になる。「どの問題から私は目をそらしたのか?」も問題になる。だから、一つ問題を解決するたびに問題はどんどん増える。絶対に減らない。


内田 :
自己評価とか自己点検というのは外部評価との「ズレ」を発見するための装置だと思うんですよ。ほとんどの人は自己評価が外部評価よりも高い。「世間のやつらはオレの真価を知らない」と思うの向上心を動機づけるから、自己評価と外部評価がそういうふうにずれていること自体は、ぜんぜん構わないんです。でも、その「ずれ」をどうやって補正して、二つを近づけるかという具体的な問題にリンクしなければ何の意味もない。自己評価が唯一の尺度で、外部評価には耳を傾けないというのはただのバカですよ。
だいたい、自分の個性って、ほとんど他人に言われてはじめて気がつくものじゃないですか。「ウチダって意外といいやつだよな」と言われて「え! 意外にいいやつ…ということは一見するといやなやつなんだ」ということに気づくというものであって(笑)。「私はこれこれこういう人です」と自己申告するものじゃないですよ。


内田 :
翻訳するとき、原著を日本語のぼくの言語感覚に落し込めるものもありますけれど、とても手持ちの語彙や語法では手も足も出ないものもある。
憑依するというのは、言ってしまうとパンツを脱いで裸になって他人の家へはいっていくようなことなんです。すごく恥ずかしいことなんですよ。だから、パンツを脱いで入っていってもいいという覚悟があるところに限られる。
パンツを脱ぐというのは、文字通り、生まれてから何十年かかけて身につけてきたプリンシパルとか価値判断とか美意識とか、どんどん剝ぎ取ってゆくということです。
ぼく自身がフラジャイルな、傷つきやすい状態になって入っていかないと駄目なんです。ぼくがディフェンスを固めていたのではダメなんです。それって、けっこう怖いことですよ。うかつなことをしたら、そのまま人格解体してしまうかもしれない。だから、「この人は、私を決して傷つけない」という確信がないとそういうことはできません。でも、「何を言ってるかぜんぜんわかんないけど、この人は絶対いい人だ」ということは行間からわかるんです。


内田 :
師弟関係では、弟子の方が「これだけ先生に忠実にお仕えしているのに、先生、ちょっとぼくに冷たすぎない?」というぐらいの先生が、いちばんいい温度だと思いますね。
冷たいと感じているのは弟子の方でね。先生が冷たいわけじゃないのですよ。弟子の側がこれだけ先生に奉仕しているのだから、それと等価の教えを与えてくれてもいいじゃないかという等価交換で考えていると、先生は「冷たい」人に見えてくる。
でも、師弟関係が等価交換なわけがない。師匠の使っている物差しは、こっちのとはぜんぜん目盛りの打ち方が違うはずですから、これだけの努力をしたから、これだけの教えが対価として受け取れるはずだと考えちゃダメなんです。
弟子が求めるものと必ず違うものが師匠から返ってくる。先生は先生なりの基準で、弟子に向かって「はいよ」と贈り物をくれてるんですけれど、弟子は先生と価値の度量衡が違うから、「そんなものをお願いしたわけじゃないのに」といじけてしまう。そして、先生は自分に関心がないのだとか、先生はわざと意地悪をするとか、勘違いをする。
「先生、ビートルズとストーンズでは、どちらがよいのでしょうか?」と訊くと、「デイヴ・クラーク・ファイブだね」と、ぜんぜん関係ない答えを告げる。それが師匠というものなんです(笑)。



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 ” 逆立ち日本論 ”   養老 孟司    内田 樹  著

2007-12-27 19:24:35 | ★本
「人は何であれポジティブに定義したがる。 しかし、 すべての人が同じ定義に同意すれば、話はそこで
終ってしまう。  もはや誰も考えることをしなくなる。 定義したくて仕方がないのに定義できない何ものかは、 人に考えることを強い続け、 ついにはそれはブラックボックスのように畏怖すべき巨大な概念として、 人々の頭に棲みつくようになる。 
その典型が「ユダヤ人」というわけだ。

正義、清潔、過度の順法のいきつく先は、 きわめて硬直化した住みづらい社会であることに、もういい加減気づいたらどうか。 生命はそもそもポジティブな同一性に回収できない、矛盾無限繰り込みシステムなのだ。 生命体である人間が作る社会システムもまた、厳密な無矛盾性を維持できるはずがない。 無理に無矛盾性を追求しようとすれば、 いずれクラッシュを免れない。 」

 ↑ 池田 清彦のこの書評を読んで  読んでみたくなった個性的なおふたりの対談集である
言葉のやり取りが 漫才のように愉快なところも多々あり  読みながら クスクス笑ってしまう
常々 わたしの思考の土台も視界も とても狭いことは  よくわかっているので
頭のいい人たちの深い思考に  瞠目したり 感嘆したり 不消化だったりしながら 読んだ
ふだんは 友人とこういう話題で話すことはなく  新聞の見出しを見ても のほほんと不感応でいる
友人との似た者同士のなぁなぁの日常会話で安穏としている思考回路のわたしには
頭脳明晰な人の 多方向に思惟をめぐらせるものの考え方見方は  新鮮だった
賢いおじさん達が  むつかしい話を寛いで楽しく話している卓の末席に わたしも座らせてもらって  
会話を聞いていた気分で読めた本である
自分のしっぽを噛んで ぐるぐる回ってるような考え方をするわたしは  一読では理解しきれないので
ときどき読み返して  自分を知る あるいは 考えを組み立てる拠り所にしたいものだなぁと思う
なるほどと膝を打った箇所  感得した文章は  たくさんあるので抜粋しきれない
ひとつだけ載せてみる
内田 : 世界の深さは、すべては世界を読む人自身の深さにかかっている。
     浅く読む人間の目に世界は浅く見え、 深く読む人間の目には世界は深く見える。
     どこにも一般的真理など存在しないというのは、究極の反原理主義ですよね。


目次

 第一章  われわれはおばさんである
 第二章  新・日本人とユダヤ人
 第三章  日本の裏側
 第四章  溶けていく世界
 第五章  蒟蒻問答主義
 第六章  間違いだらけの日本語論
 第七章  全共闘の言い分
 第八章  随所に主となる







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愛を想う夜

2007-12-25 01:45:31 | ★こころ模様
しんしんと冷え込んで 窓の外に 雪が降っていれば  なお よかったのだけれど
年に一度  愛を想うのに 似つかわしい夜
わたしの心の扉を開けて  愛を確かめてみる
ある ある~♪     たっぷり 豊穣の海のように 豊かにあるよ

いろんなもの ことへの愛はあるけれど  今夜は 人への愛を想う
ひたむきに頑張る心   純朴な心   誠実さの匂う心
わたしに足りないものを持っている人に 憧れる

男の人へ 「 好きです 」と告白しないことにしたの
若いおねえさんだった頃は  目で 態度で しぐさで 好きです♪と アピールしてみたけれど
もともと 性質としては  わたしは 偉大なる片想いの者
わたしの心のなかに愛があることを わたし自身が確かに知っていれば  それでいいのだと思う
逢いたい   顔を見て 声を聞きたい   一緒にいて時間を共有したい。。。
欲張り心は  どんどんエスカレートしていく


クリスマスは ロマンチック・ナイト     聖夜    サイレント・ナイト   静かな夜
今夜は  愛をこめて 人を想い  祈る夜です





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あたたかさに 手をかざす

2007-12-19 18:47:23 | ★こころ模様
毎日をバタバタ動き回っていても  朝昼晩を刻々みつめながら過ごしていても  日々は積まれ
十二月も 半分の日が過ぎました
来週は  クリスマス  大掃除  年末年始の支度・・という おっそろしき多忙の週
いまのうちに  とろ~~んと  ぼんやりしておかなくっちゃネ    (^0^)v

仕事のあと  パン屋さんに立ち寄って 珈琲と温めた小パンで 夕方のおやつを食べました
窓際の端っこの席に座って  駅へと行きかう人たちを 大きな窓ガラスから眺めて過ごしました
仕事へ行くのか 帰るのか   遊びに行くのか 帰るのか   大勢の人たちが通って行く  
女性の服装を目で追ったり  小さい子の様子に苦笑したり  こちら側に居て  わたしは傍観者
夕闇が濃くなる前の  昼の名残りの のんびりタイム

本を読もうと思ったのだけれど  近くの席の女性たちの話し声の大きさに  まいってしまった
・・ちゃん付けで呼び合って話す三人の年配の女性たち
楽しく笑い転げてるのはいいのだけれど   どうして  そう 声が大きいの?
あのサァ   自宅の茶の間じゃないンだからねぇ
素の あまりのオープンさに  まるでスッポンポンで話しているかのように感じられて はずかしくなる
男性でも 電車の中や往来で  なんだかなぁと思う年配の人たちは見かけるけど
人が年齢を重ねることは  他人を意識しなくなったり  はじらい心を失うことではないよね
わたしも  無意識に似たようなことをしてるのかなぁと思うと  どぎまぎしてしまう 
            
   


人は  誰かにそばにいてほしいという気持ちを 生まれたときから持っていて
その気持ちは 成長しても すり減らないで残っていると 私は思うんです

損得勘定で結ばれていない 見栄やプライドを捨てて  ありのままの自分をさらけ出して一緒にいる
無償の関係  人が人を想う心が見える映画です


                   _ ある映画を評して語っていた 角田光代の 文章の抜粋  _






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花びらの形の時計

2007-12-16 00:43:47 | ★こころ模様
 
   


写真を撮ることができたので  ぜひ 見ていただきたいでっす
正面のお顔 と 横向きのお顔です

白蝶貝を模したパール色  花びらの形をダイヤモンドが縁取りしている可愛い時計です     
明るく華やかで  可愛らしくて  どことなく チープな派手さ加減が  きれいで 楽しいのでっす

気持ちが ルンルン明るく楽しくなれるので  外出の時は 浮喜嬉~♪と 左手に着けています

                


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黄金色の銀杏の樹

2007-12-14 18:41:06 | ★こころ模様
空を見上げてばかりいるせいか  今年は 木々の紅葉黄葉を 楽しんでいる
公園の桜の木は  この頃は ほとんど葉を落して  ごつごつした黒い木肌をさらしている
長く生きてきた木の喜怒哀楽が  幹のねじれ方 縦横の枝ぶりに現れているように見える  
頼もしき桜の老木   信念を持つ翁の風格だなぁ

直線道路の欅の並木は すっかり葉を落して  冬を待つ姿形で 悠々と立っている
掌を空へ向かって伸ばしたような高い枝は  真っ青な空を背景にして 雄々しく見える
生きることの煩雑琑末ごとを 合理的にきっぱり解決して  潔く冬を待つ孤高の木のイメージだなぁ  

今年は 銀杏の木の黄葉に  ことのほか惹かれる
朝陽の中で見上げる銀杏は  微風にそよいで 葉が揺れると  金色の光の音楽が聞こえてきそう
たっぷり豊かな黄色は  寒さの胸に沁みいるように温かく  きれい
夕方の時間の銀杏は 逆光の陽射しが透けて  黄金色がこぼれるように 輝いている
その時々で 木々の金色に微妙な変化があって  いつまでも眺めていたくなる

数日前から  黄色い葉が さやさやと 散り始めている
春に桜の花びらが散る様子をきれいだと思っていたけれど  銀杏の葉の散る様が
こんなふうに きれいで風情があることを知ることができて  うれしい
歩く人の髪に乗ったり  手提げ袋のなかに  ひらりと一枚 紛れていたりする
木のまわりは 葉が黄色い絨毯となって  厚く敷きつめられている
わざわざ車道に降りて  その黄色の上を ほこほこ歩くのも楽しい
街路樹のそばのお店の人たちは  たくさんの落ち葉を掃くのが大変だろうな
銀杏の葉を掃くのなら  わたし 喜々としてお手伝いしたいなぁ
帰り道は 振り返り 振り返り  とっても名残り惜しく 明日も また会えるかなぁと思う  



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忙中閑のオシャレごころ

2007-12-07 20:54:19 | ★こころ模様
初冬の街は  穏やかな晴天の日が続いていて 過ごしやすい日々です
家の用事をするのにも 外出をするのにも  きれいな青空の下では気持ちがパワフルになれます
いつも師走のイメージは  寒い木枯らしが ぴゅーぴゅー吹いている印象だけれど
今年の十二月は  街路樹の紅葉に惹かれ 葉の移ろいを眺め  いつまでも晩秋を楽しんでいます

先日 仕事が早く終わった日の午後  急に思い立って  美容院へカットに行ってきました
初夏の頃からご無沙汰していたので  ゆるくパーマのかかった髪は ロングヘアになっていました
いつも結っているだけではつまんなくなってきたので  希望のイメージを言ってお任せしました
6センチほど切ってもらいましたが  フェミニンな甘~いわたしの出来上がり~   (^。^)v
カット当日の雰囲気はそうだったけれど  数日たったこの頃は あっちゃこっちゃ髪が跳ねてる       
ひと月ほどすると いい感じに落ちついて馴染んでくるはずでっす   たぶん・・   (^0^; 


友人への贈り物を選ぶために  時間があれば インテリアのお店をウロウロしていました
彼女に似合いそうなモノたちを探しているうちに  オシャレな時計が目につくようになりました
わたしは 学生時代以降  腕時計を持たない・したくない で過ごしてきました
ケイタイ電話を持たないのと同じ気持ちで  なんとなく邪魔 という理由で・・
でも  このごろの時計はデザインのユニークなものたちが  いっぱいあることを知りました
邪魔にならないような小さい時計を見ていたけれど  どうせ着けてることに変わりないのなら
いっそ パーッと目立つほうがいいかも と思っていたら   一目惚れに出会っちゃった
白蝶貝を模したパール色  花びらの形をダイヤモンドが縁取りしている可愛い時計です     
明るく華やかで  可愛らしくて  どことなくチープな派手さ加減が きれいで 楽しい
わたしへの一足早いクリスマスプレゼントにしました   
え~っと  ダイヤモンドは もっちろん ガラスよ     (`∇´) ケケケッ  
あっちゃこっちゃ跳ねてる髪の毛 & 直径37ミリの目立つ腕時計を身に付けて
冬のオシャレが出来上がりました       ルンルン~♪  





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初冬のはじまり

2007-12-01 10:07:26 | ★こころ模様
とうとう カレンダーが一枚の月になってしまいました
うかうか過ごしていると  さっさとこの月も終わってしまいそう
年の締めくくりの月だものね
片づけたり 出かけたり ご挨拶したり・・   気ぜわしい月です
ふだんが  ぼっさりしてるので  ちゃんとしなくっちゃ と なにやら武者震いでっす
楽しく がんばろうっと  (^。^)v   


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