華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

 映画  ”リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 ”

2005-06-27 19:42:26 | ★映画  
好きな俳優ショーン・ペンが リチャード・ニクソン暗殺を企てた男・・・
つまり狙撃手の物語かと思って観に行った    違ったなぁ

人は独りでいてはいけない   サム・ベックのそばには何も無い
心地よいあたたかいもの  やわらかなもの  香りのいいもの  朗らかな笑い声
微笑の眼差し  やさしく伸べられる手  抱きしめてくれる胸・・・
何も無い
いつもそばにあるのは リチャード・ニクソンがテレビの中で演説するアップの顔だけ

きれいな妻  可愛い三人の子ども達と別居して一年という
事務机などを売るセールスマンに再就職できたと妻へ報告に行く
・・・かつて仕事で失敗したのかな・・・
子どもを撮りたいと家へ行くと妻に拒まれる
夜中に無人の家に忍び込んで室内を歩く
・・・家庭人に戻りたいのだなぁと思う・・・

鷹揚な社長からセールスマンの心得を学ぶように本やテープを渡される
客にはったりをかけるような応対は出来ないと思うサム
原価から多くの儲けを取ることは出来ないと思うサム
賢く堅実な自動車修理工の友人ボビーは いつもサムの話を聞いてくれていた
横柄な客の応対にも 「仕事だから いいんだよ」とサムに笑ってみせる
・・・サムはこの黒人の友人から学べなかったのだろうか・・・

サムの気持ちに違和があるとき なぜか点けっぱなしのテレビの中でニクソンが演説している
融資審査に受かったらボビーと一緒に仕事を立ち上げようと サッサと退職してしまう
アメリカン・ドリーム  サムのまわりから その可能性がどんどん消えていく
家賃滞納の部屋の中で独りで座っていると テレビにはニクソンの演説のアップ
ここからニクソン暗殺へと気持ちが動いていく
こういう過程は ”タクシー・ドライバー”に似ている  
ロバート・デ・ニーロも独りだったなぁ

環境や境遇のせい あるいは理解してくれる人が身近にいないということもあるかもしれない
でも かつては夫であり父親でもあったのだし 友人ボビーもいる
人は持って生まれた自分の資質で生きていくのかなぁと思う
マイナーな考え方の人はどんな助言があろうとも どんどん自分の思い込みを下降させていく
自分の考え癖  慣れている楽な思い方
自分で自分に風穴を開けないと わたしもスパイナーになりそう・・・・
   
コメント (4)
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 映画 ” ブラザー サン  シスター ムーン ”

2005-06-21 17:43:37 | ★映画  
古い時代 神の平和の使いたらむ自分の行くべき道を見つけたアッシジのフランチェスコの物語

病が癒えて 窓辺の小鳥に気がつき 屋根の上を渡って小鳥を追っていく
そっとつかまえて 大空へ解き放す場面はとても美しい
広々と真っ青な空 朱色の屋根瓦の上に立つフランチェスコのまっ白なガウン
見ていて思わず深呼吸してしまった
やがて 神の教えの道を歩んで行くフランチェスコを象徴するような美しい場面である

裕福な商人の家に生まれながら 悪い環境の中で生き働かざるをえない貧しい人々に心を痛める
父と母へ「いただいたものをお返しします」と言って着衣を返し 素裸になって野へ出て行く
♪自分の魂をとりもどしたい
 野に暮らし 木に登り 川で泳ぎ この足で大地をたしかめたい
 靴もはかず 何も持たず 乞食になりたい  その自由がほしいのです

朽ちた廃屋のような教会を再建しようと ひとつずつ石を積んでいくことから始める
♪夢をまことにと思うならば あせらずに築きなさい
 その静かな歩みが 遠い道を行く
 心をこめれば すべては清い
 この世に自由を求めるならば あせらずに進みなさい
 小さい事にもすべてを尽くし 飾りない喜びに気高さが住む
 日ごとに石を積み続け あせらずに築きなさい
 日ごとにそれであなたも育つ  やがて天国の光があなたを包む

♪ブラザーサン シスタームーン
 その声はめったに私には届かない  自分の悩みだけに心を奪われて
 兄である風よ  姉である空の精よ
 私の目を開いておくれ 清く美しい心の目を 私を包む栄光が目にうつるように
 神に与えられた命 私にも神は宿る  その愛がいま この胸によみがえる
 ブラザーサン シスタームーン
 今こそ その姿に触れ その声を耳に そして胸を打つ あふれるこの愛

♪憎しみの畑に 愛の種を   よこしまの土に 許しの苗を
 疑いの野に 信仰の芽を  与えることで与えられ 許すことで許される
 死ぬことでよみがえる おわりない命


フランチェスコが言う
「雲雀のように無欲が幸福の元ではないのか  我々を造られた神への感謝を歌って暮らせば」
教皇が言う
「あなたたちの貧しさに 私は恥じる」

物にも思いにも囚われないなら 潔い無垢な心で静かに生きられるのだろうか
   
コメント (5)
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 ” トルストイ民話集 ”  トルストイ 著

2005-06-18 00:13:12 | ★本
宗教性 道徳性に富んだ短編が12話 収められている
”イワンのばか”をはじめとして どの物語も子どもの頃に
お話として一度は聞いたことがあるような気がする物語ばかりである

どの話も平易な語り方で読みやすい
聖書の言葉は耳に馴染みがないけれど 物語の形で語られるとわかり易い
欲の深さは何のいいこともない とわかる
状況を変えて きっとわたしもそのような似た行動をしているのだろうと思う
傍観者として 他人の行動はその言動の善悪がよく見えるものなのだなぁと思う
物語の中で主人公の人生・因果応酬がさっさと語られてしまうと 
人の一生の時間って かくも短いものなのだなぁと思う
時は大切なものである と 時間にも思いがいく

”洗礼の子”より
・・彼がわが身を忘れて、心を浄めたときに、はじめて他人の心をも浄めることができた
・・彼が死を恐れなくなって、神のうちに自分の生活を見いだした時に、かたくなな心が折れた
・・彼の心が燃えだして、初めて他人の心に火を移したのであった

好きな二編は  ”愛のあるところに神あり ”  ”二老人 ”
凍えている人 力なく不自由している人へ  自分の出来ることで手伝う主人公
自分の持てる物を損や得や惜しむ気持ちは無く 衷心から他人を我が事のようにもてなす主人公
人間の善の心がよく見渡せる

わたしは丸ごと全部 善でありたいとは思わない
情けない部分のほうが大であるけれど  
ときには明確に少しでいいから  わたしの中にも善があると確信してみたくなった


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” 格闘する者に○ ”  三浦しをん 著

2005-06-15 21:49:55 | ★本
就職活動中の女子大生可南子が主人公  出版社 漫画雑誌の編集者が希望なのである
就職試験の会場で 筆記試験の記入の仕方を説明する出版社の担当試験官が言う
「カクトウするものに○をしてください」 
へ? 該当するものに丸をしてください・・の間違いジャン と主人公は思う

のほほんとした政治家の実父  毅然とした継母  頭脳優秀な弟
可南子が付き合っているのは 年齢60代後半の書道家西園寺さん
この西園寺さんとの交流が 川上弘美の【センセイの鞄】より好きだなぁと思う
物語は展開が早く 文章にスピードがあるので さっさと読ませる
漫画のような雰囲気でもある
ただ やはりこの作家らしく 情景描写の惹かれるところもちゃんとあった

    ****

私は新宿のビル群が好きだ。 あの無機質なようでいて繊細さを兼ね備えたビルたちが、
毅然と、しかし身を寄せ合って夕闇の中に浮かび上がり、真珠のような窓の明かりを
纏っているのを電車から眺めるとき、私はとても寂しい気分になる。

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映画  ” ミリオンダラー・ベイビー ”   ” ザ・インタープリター ” 

2005-06-06 11:55:15 | ★映画  
”ミリオンダラー・ベイビー ”
女性ボクサーが主人公の物語としか知らないまま観に行った
貧しい子どもの頃から働き 生活も切り詰めてボクサーへの夢のために自分をつくっていく
自分が何をしたいかを掴めたマギー   トレーナーはこの人に・・と迷わない心
こういうまっすぐな目線を持てる人は潔く 強いなぁと思う
ヒロインが素質を開花させてトップへ登っていく姿は わくわく観ていられる
でも しかし 後半がこういうストーリーになっていくとは知らなかった
いかに生きるか  いかに生きたか  いつ死ぬか
人と人との深い絆  信頼  愛情
主役三人がそれぞれのしぐさを演じるその後方に まだ無言の情感を漂わせて深い
物語のラストの選択にも簡単には言葉が出てこない
でも この映画 俳優たちの演技の深さに目がいってしまう
特にモーガン・フリーマンの厚い存在感 
どういう生き方をしてくれば 信頼と情愛をかもし出してそこに居られるのだろう  
観た後に どんどん考えさせられる映画


”ザ・インタープリター ”
国連通訳って すごいなぁ   国連の会議場ってこんなふうなのかぁ
颯爽として頭脳明晰を絵に描いたような人々が行きかう   かっこいいなぁ
国連内の警備もシークレットサービスたちの警備も  そうだったのかぁ
実に実に大変な仕事だなぁ    国連は撮影をよく許可したなぁと思う
わたしのような無知な者へ 国連のことをよっく理解しなさいっていう配慮かも
物語はサスペンスタッチで楽しめた
ヒロインが死を賭して 「人間の声は銃声に勝る」  この言葉へ持ってくるラストは感動する
妻を失ったシークレット・サービスのショーン・ペン
家族を失った女性通訳の二コール・キッドマン
主人公二人のいかにも来し方を共感させる存在感 演技に 俳優ってすごいなぁ と思う

なんだか 俳優たちの実に気持ちがいってしまう
役を演じるとはどういうことなのか  
役者の実生活がどんなふうだと他人を感動させる演技が出来るのだろう
自分のことしか考えない うすっぺらな生き方をしている者には きっと友人も出来ないのだ
よっく振り返ってみなくっちゃ   気がついてよかったぁ

      

       
コメント (1)
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