華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

芝居 ” 蛇よ! ”

2005-03-15 23:00:01 | ★芝居
大竹しのぶ × 松尾スズキ の二人芝居”蛇よ!”  作・演出も松尾スズキ
この二人が一緒の舞台に立つ・・・と想像しただけで もう笑える

4本のコント風の芝居   舞台の暗転に二人の白黒映画を映すのもおかしい
特に蛇が登場するわけではないけれど 真面目に自己主張しながらも
大竹と松尾のたった二人でも噛み合わないセリフのやり取りが くねくね蛇チック
「初めてのSM」・・ 自殺願望の男が湿地帯のラブホテルで女を待っている
SM倶楽部から派遣されて来た女は 近道なので沼を越えて来たと言う
蝙蝠が飛び 胸まである泥だらけのゴム長をはき 身に蛭がくっ付いている
なにやら方言を話し 登場からして すでにおかしい
大竹しのぶは 長大なセリフをなんなく話し キラキラ演じる   
真面目であればあるほど ひょうひょうとしておかしい松尾スズキ
彼のセリフ 動きに身をよじって男性のお客さんたちが笑っている
役者たちがまず楽しんでいるのが伝わってきて やっぱり 面白い芝居

このスパイラルホールの2階では よく美術工芸の作品展をやっている
この日は 多摩美大工芸学科の卒業制作展をやっていた
_陶 ガラス 金属 3つのプログラム_を見ることが出来た
意外性  可愛らしさ  よくわからない  素敵さ・・・に見つめ続けてしまう
私の住まいが大邸宅だったなら 置いてみたい作品はどれかなと思って見てしまう
いくつもあったなぁ
出かけた先で こういう思いがけない出会いがあるのは とても嬉しい

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

” クライマーズ・ハイ ” 横山秀夫 著

2005-03-10 21:14:00 | ★本
クライマーズ・ハイ・・・
普段冷静な奴に限ってね、脇目もふらず、ガンガン登っちゃうんだ
興奮状態が極限にまで達しちゃってさ、恐怖感とかがマヒしちゃうんだ・・・

主人公悠木は群馬の北関東新聞社に勤めている40歳の記者
友人の登山家安西のこと 悠木の家庭のこと 新聞社内の派閥争い
日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した事故などが身辺に起きる長編

男同志の気遣い方 家庭での男の居場所 上司達との確執 部下への目線
なによりも新聞を作っていく煩悶・過程の熱気をビンビン感じることが出来た
編集部内には大勢の人間が一緒にいるのに独りで仕事をしている男のイメージがある  
寝不足 大きな決裁 さまざまの場面で悠木はいつ爆発するかとはらはらさせられる
人が真剣に仕事に向き合うというのは こういう在り様なのかと思う
二度三度 臍をかむ・・と思う場面がある  読みながら熱くなってしまう
悠木ならではの判断の仕方・決裁  よくも悪しくも周りの人間へ波紋が広がる
右を選んでも左を取っても他人を巻き込み 悠木は悶々とする

家庭が温かいわけでもなく 恋する女もいない 趣味として何かを手に取ることもなく
友人や部下と談笑する場面もない悠木の多忙な日常で この人はどうやって何によって 
自分の心を寛がせるのだろうか と思う

真空の部屋の中に閉じ込められているかのような独りの時間を 私は孤独とは思わない
きっかけは我が身から出た錆としても 激しい悔恨に胸を叩いて叫び出しそうになっても
独りで深く存在の井戸を降りて行くことは孤独とは思わない
悔いの渦の中で膝を抱え蹲って浮上できる時を待ち続けるだけ
この独りの時に私の傍には何があればいいだろうか
今思いつくのは しんしんと心に沁み入る音楽  好きな音楽に無心に包まれたいと思う
浮上は新生の時再生の時  大切な人と生きたくて浮上する

悠木の物語を読みながら 生きていく ということに涙がこぼれた


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フォントサイズ変更

フォントサイズ変更