華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

クリスマスナイトの贈り物

2020-12-27 10:53:55 | ★芝居
雪の降らなかったクリスマスは 前夜から待ちかねた日である
お仕事休みの日でもあり 朝の用事が済むと クリスマスバージョンに装って お出かけ

ある店へ行って 以前から欲しかった黒いレザーの手袋を購入する
艶やかな柔らかい手触りの革の手袋は 自分へのクリスマスプレゼント

普段着のダウンコートが へたってきてるなぁと思っていたけど
ふと入ったお店で シンプルなデザインの黒いロング丈のダウンコートを見つけて一目惚れ
SサイズばかりのなかにLサイズは これ一点だけ
わたしを待っていたのだねぇ
羽織っていたコートに 感謝さよならして 即 購入
黒いコートは好みじゃないけれど 鏡に映る姿はスレンダーで大人の雰囲気
これからは大人っぽく颯爽と歩きましょっと🎶
つまりはクリスマスプレゼントが ふたつ ってことになるね💕

そのコートを羽織って銀座へお出かけ
コロナ罹患率のめっちゃ高い東京の真ん中へ わざわざのお出かけ
まず 美味しいパンのお店で ゆっくりランチ
シャンテへ行って 映画"燃える女の肖像" を観る
時代が18世紀のフランスということもあり 室内は蝋燭の灯り
女優たちの立ち居ふるまい 姿が美しかった
ラスト数分間のヒロインの表情は いろんな思いを伝えて 深く感動した

クリスマスナイトの本命は 岩井秀人の舞台 "いきなり本読み" 
松たか子 神木隆之介 大倉孝二 後藤剛範 の出演者たち
演出家の岩井に紹介されて一人ずつ舞台に登場して 横一列に机の前の椅子に座る
はじめて台本が渡されて まだめくってはいけない と演出家から言われる
どんな内容の物語か 俳優たちも未知のまま 松さん A 神木くん B と役を振られて本読みが始まる
次の場面では 大倉がヒロイン 松が医師 などと役を交代させられる

ふだん 観客は 台本の読み合わせ場面など 知ることができない
そこは こういう感じで と演出家がイメージを伝えてやり直し 
あるいは 松が男のセリフ 男優が女の子の役で読むよう指示が出る
どの俳優も初見の台本の読みに たちまち表情をつけて声で人物を立ちあがらせ
人物たちの所作が目に見えるようで ラジオドラマを聴くように 楽しい
同じ医師のセリフも 俳優が替わると 別の雰囲気が出て とても面白い
もちろん物語も奥が深い考えさせられるお話である
実力のある俳優たちの素敵を 目の前で堪能できた

舞台上で体を動かしたり 道具を使ったりするだけではなく 
舞台の椅子に座ったままの俳優たちからイメージをもらって 
とても楽しい演劇を観られた
今年は 楽しく嬉しい 素敵なクリスマスでした✨



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再び 桜の森の満開の下

2018-11-22 08:51:17 | ★芝居
大好きな舞台がもうすぐ終演と思うと いても立ってもいられず 公休希望を出して行列する決心をした

夜の開演へ並ぶには時間がかかりすぎるので  早起きして昼の部へ並ぶことにした

劇場のドアオープンが朝9時なので 9時ちょうどに劇場前に着いたら すでに行列で わたしは20人目    

一番前の人は 朝7時からドアの外で待っていたとのこと…

すごい すご~~い  この熱意  リスペクトです

館内の当日券待ちのところに並び直して 各自立ったり座ったりして行列を作る

暖かそうな敷物を持ってきてる人 小さい椅子を取り出す人 なにか勉強の続きなのかノートを広げる人…

長時間待つことへの決意と情熱と その用意に親近感を持ってしまう

わたしは本を読んだり 居眠りしたりして過ごすうち 1時になり 当日券の引き換えが始まる

立ち上がって行列の後方を見たら びっくり‼

長~~い人の列が一階への階段の下へ続き なお30人ほど並んでいる

よきお芝居に 半日をつぶしてでも もう一度観たい人たちがこんなにいる と感激してしまう

わたしは舞台の右脇の補助席を購入できた   先日の席のように前から3列目という幸運

華やかな楽しい舞台を ゆっくり楽しむことができた

美しく哀しい物語に ラストの桜吹雪では ポロポロ涙がこぼれてしまう

役者の人たちの心身を傾けた演技  その人物になって心と身体で演じるから 切実さが伝わってくる

物語を咀嚼し 理解し それを伝えるために たくさんの試行錯誤 練習を積む

演者という仕事をする人の誠実  一生懸命さに触れて 感動もひとしおである
出会えた幸いに わたしも頑張らなくっちゃ と思う 




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贋作 桜の森の満開の下

2018-09-06 22:06:16 | ★芝居
待ちかねて心待ちにしていたお芝居を観てきた

NODA MAPのお芝居の中でいちばん好きな舞台である

再演しないかなぁと ず~~っとず~っと待っていたら 願いが叶っての再演情報

出演者が大好きな俳優たちばかり  最高の舞台になる予感がして すごぉ~~く楽しみにしていた
数か月前のチケットの先行発売日にはドキドキ緊張しながら挑み 無事にチケットをゲットしたのである


待ちかねての観劇前夜はワクワクしてなかなか寝付かれず 当日はオッシャレして嬉しく出かけた

近くのデパートで開場までの時間をのんびりフロアを歩いていたら バッグコーナーで素敵な品に惹かれた

シンプルなデザインのエンジ色のリュック 

先日 一目惚れしたワンピースに似た色…  先日 紺色のリュックを購入したばかりなのに…

迷ったけど 革製品で高価だけど 赤いリュックは持ってないしなぁ とか呟きながら 買っちゃった

一目惚れって抗えないもんだなぁ とか呟きながら 持参したバッグの中身を嬉々として入れ換える

今日は待ちかねた舞台の日なんだからお祝いだ とか呟きながら 劇場へ行く 


13時半の開場なのに 入り口辺りから長蛇の列   張り切ってる人たちだなぁと同感の思いに笑みがこぼれたが

よく聞いてみたら 当日券に行列してしてる人たちなんですって

しかも今から始まる14時の開演ではなく 今夜19時からの開演に並んでる人たちだって

もし 14時からの当日券が欲しければ 朝9時に劇場が開館するときから並び始めると 受付の人が話してくれた

パリ公演へ行ったりして 東京公演は日数が少ないような気がしてたけど すごぉ~~い

前売り券を取れなかった人たちが多いンだね

チケットの取れた幸運を 心から天に感謝した 


初演のときよりも大きく迫力の存在感がある桜の大木が舞台の中央にそびえている

舞台から3列目という奇跡的な指定席で 妻夫木クンのキラキラした瞳 額の汗まで見える

深津絵里の澄んだ声が可愛らしく響いたり 冷酷に暗く落ちてきたりして異界感が増す

舞台を被う大きな和紙や紐テープの使い方がユニークで楽しく 人物たちのカラフルな衣装が華やかできれい

なによりも厚く降りそそぐ桜吹雪の美しさに圧倒されて 感動する

美しく哀しい物語  観終えるのが惜しくて ずっと座っていたかった

舞台上に降り積もった桜の花びらを何枚も拾いあつめて 何度も舞台を振り返りながら劇場を出た
11月の東京公演には ぜ~~ったいに行列して 必ず また観ようと固く決意した 
  



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NODA MAP“ 足跡姫 ”

2017-02-22 00:38:08 | ★芝居
数ヶ月前から楽しみにしていた芝居を 観てきた

野田秀樹の芝居は ラストで泣ける

今夜は泣くことないだろうとタカをくくってたら 知らぬまに 涙が流れていた

妻夫木クンのセリフは気負いがないのに 勝手に 野田秀樹の勘三郎への想いを感じてしまうのか 涙が線になって頬を流れていた

心通じた人の死は つらい

野田秀樹の友への想いに 泣けた

宮沢りえの緩急ある台詞 体の動き  妻夫木の台詞の抑揚  古田新太の存在感  池谷のぶえも よかったなぁ

野田の 勘三郎へのオマージュが ガッツリわたしの心に入ってしまい  観劇後はお酒を飲んで酔いたい気分

だぁれも わたしが酔ってることを知らない

だぁれも わたしがお芝居を観て 涙を流したことを知らない

心親しき人の死は 別れは 本当につらい

後に残された者は 何をしたらいいのだろうか

野田秀樹はちゃんと前を見ている今だろうけど  わたしはそうなったら どうするのだろうと泣ける

脚本家って 役者って すごいなぁと 涙を流しながら 気力をもらったナイトである   



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NODA・MAP ” エッグ ”

2012-10-10 19:57:00 | ★芝居

妻夫木聡さんと仲村トオルさんは、「あるスポーツ」をやるアスリートです。

妻夫木さんは、三回目で、仲村さんとは初めてです。

でも、役柄は逆で、新人とベテラン選手をそれぞれにお願いします。

妻夫木さんの持つ、あの憎めない軽薄すれすれの飄々とした軽さと 仲村さんの眉間に隠された実直さとが

いい感じのコントラストになると信じています。

その歌を主に歌ってもらうのは、深津絵里さんで、彼女とは今までたくさんの舞台を作ってきましたが

実は歌える役者さんであることを知っていたので、ひそかにいつか「歌手の役」をと思っていました。

   野田秀樹




待ちかねてた芝居へ  わくわく楽しみに 出かけた

前から8列目という チョー嬉しい席で 観ることができた

妻夫木クンは 骨太になってて  安心して芝居を観ていられた

眉間に真面目を醸し出してる仲村トオルさんは渋くて  アスリート的なボディは  すごかったぁ

深津絵里ちゃの歌声もしぐさも  アイドルぶりッコは キュートで笑えた

秋山菜津子  大倉孝二  藤井隆  橋爪功・・・   そうそうたるメンバーである

更衣室ロッカーの使い方の面白さは  手品のようで 楽しかった

適材適所な俳優たちの演技で 明るい軽妙な始まりの物語が  ずしんと重たい終わり方をして  考えさせられてしまう

いきつもどりつの複雑な構成に  いつもながら 脚本のすごさを思う

橋爪功  野田秀樹  大倉孝二  仲村さんも  走る妻夫木クンも  みんな若者ではないのに

物語のスピーディと相まって  動きにキレがあって  休憩なしの二時間余が  あっという間だった
もう一度 観にいきたい舞台です  










 

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” 十二夜 ”

2011-01-18 22:55:31 | ★芝居

 串田和美の演出  松たか子主演のシェイクスピア「十二夜」を 観てきた

 船の遭難で離れ離れになった双子の兄妹のまわりで 恋が右往左往するお話

 海辺にやってくる賑やかな楽隊の音楽から 舞台が始まる

 セバスチャンとヴァイオラの双子の兄妹(松たか子の二役)が 行き着いた先でそれぞれ出くわす恋のてんやわんや

 主演の松たか子はヴァイオラという名の妹だけれど 男装してシザーリオという小姓になる   

 役柄 ずっと少年の扮装で 男の子っぽく見えるけれど  女の子らしさもチラホラして 可愛い

 ロマンティック・コメディは 安心できるハッピーエンドで  楽隊は また海辺を遠くへ去っていって 終わる


 一緒に乗っていた船の遭難で亡くなった兄を思いながら  空へ向かって ヴァイオラことシザーリオが 独白する場面がある

 「おにいさん  あなたを思って あなたを生きるために  わたしは 髪を切って  少年の姿で生きます 」と
 
 切々と哀しみの想い 決意の想いをこめて言われる台詞には 情感が込められていて  聴いていると せつなくなる 

 「 お兄さん お兄さん 」と呼びかける声にさえ ひしひしと悲しみが込められていて シザーリオの思いに もらい泣きしてしまう

 松たか子の涼やかな澄んだ声色は 豊かな表情があり  情のあるセリフの言い回し 艶は 役者としての素晴らしい才能だと思う


 そうして  わたしは思う

 現実の日々の暮らしのなかでも  人にものを言うときは  思いを込めて 喜怒哀楽を ちゃんと伝えたいものだ

 電話で人と話すときは  特に こちらの意をちゃんと伝わるように話したいと思う

 目は口ほどにものを言うけれど  口調 言葉遣い 吐息にさえ 思いを込めて 真摯でありたいものである 



  
 

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芝居  ” 2人の夫とわたしの事情 ”

2010-04-28 20:14:04 | ★芝居
松たか子のひさしぶりの舞台を 楽しみにして 観に行った

タイトルがタイトルなだけに どんなシリアスな話かと深刻な気持ちだったけれど  ラブコメディで 客席は笑ってばかり


  作 :サマセット・モーム
  演出・ケラリーノ・サンドロヴィッチ
  翻訳:徐 賀世子
  出演:松たか子 段田安則 渡辺 徹 新橋耐子 皆川猿時 水野あや 池谷のぶえ西尾まり 皆戸麻衣

  ヴィクトリア(松たか子)は戦争に行った夫ビル(段田安則)の戦死を知り 一年後 夫の親友フレディ(渡辺徹)と結婚する
  成金のレスター氏は あいかわらず 人妻ヴィクトリアに横恋慕
  そこへ 戦場で記憶喪失になっていた最初の夫が 突然 帰ってくる
  再婚してることを どう打ち明けるか   どちらかの夫が出て行くのだろうか


幕が開いた舞台上は  明るいラブリーな奥様の寝室

ネイリストに爪を塗ってもらいながら お喋りする松たか子は  表情 しぐさが生き生きしてて 弾むような可愛いらしさ

コケティッシュで わがままで・・というのが透けて見えるようで  楽しくなってくる

明るく よく通る声が 台詞を聴きやすくして  本人の大真面目さが よけい おかしみを誘って  観客を笑わせる 

男性二人が ヴィクトリアの魅力に振り回されてしまうためには  このくらい キュートで可愛いらしい女性でないと 説得力がないだろうな

細身の体に 青いドレス 黒のドレス エンヂ色のドレスが よく似合って 清潔なお色気がフンプン♪

演技力のある役者たちの自然な言い回しに 各人の人柄がちゃんと表れてて  安心して観ていられる  

自分のことばかり考えてるような あっけらかんと明るいヴィクトリアだったけど  夫からのほっぺにキスの後の一瞬の表情は なんなんでしょね

こういうコメディも軽やかに演じる松たか子の魅力 役柄の広さを  おおいに楽しめた芝居である






 

 


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芝居 ” 海をゆく者 ”

2009-11-15 21:35:02 | ★芝居

 小日向文世 吉田鋼太郎 浅野和之 大谷亮介 平田 満 というオトコだけ五人の芝居

 演技力もクセもありそうな50代半ばの中年男だけの芝居って  すごく面白そう

 ロンドンやニューヨークで評判だった芝居を  栗山民也が演出した

 あらすじは知らなくても 役者たちの名前を見ただけで ぜひ観たい と思ってしまった 

 数ヶ月前に 土曜の夜のプレビュー公演のチケットを ゲット出来た

 PARCO劇場なので い~っぱい寄り道して行こうと  午後から 渋谷へ出た

 あっちこっちウロウロしたあと  おいしくスパゲッティを食べながら 本を読んで 開場を待つ


 幕が開くと アイルランドの港町の一軒の家の居間が現われる

 散らかり放題の きっちゃない居間    昨夜からの酔いがさめてない盲目の兄を 弟が世話を焼く

 クリスマス・イブの日にやってくる友人たちも  みすぼらしく 騒々しい

 朝食の食卓にさえ まず酒を飲む兄  くすねて飲む友人    舞台では 最初から最後まで 男たちは酒を飲んでいる

 しょっちゅう人を呼ぶ兄の大声  答える男たちも大声で怒鳴る  裏庭へ行くまでの騒動のおかしさ

 そういう騒々しさの中で 会話のきれぎれから  各人の繋がり 過去や現在の暮らしぶりがわかってくる

 あけすけで 猥雑で 陽気で  外国の港町の男たちって こんなふうなのかもしれない と愉快

 役者が上手いと 安心して舞台を観ていられる

 無職のぶっきらぼう者   仕事を持ち家庭が上手くいってる陽気な者   失明した者の不安

 室内を歩く猫背の背中や椅子に座ってる膝の抱え方から 家庭で疎外されてる者の様子が伝わってくる   

 後半  不思議なお客さんがやってきて カード遊びが始まり どうなることかと観客も緊張していく

 クリスマスの朝の光が あたたかく室内に射し込む一瞬の静寂は  素敵だった 


 劇中では 男たちが常に酒を飲んでいるので 観ているわたしも だんだん飲みたくなってしまった

 終了後 物語の余韻を反芻しながら ビールを一杯飲める店はないかと見まわしながら 駅へと歩く

 一軒 入りかけたけど レジのまわりが混んでたので興ざめしてしまい 自販機でティを買って飲んだ

 冷たいビールを飲みたかったのに  なんとなく 軟弱モンだったなぁ 





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ミュージカル  ” ジェーン ・ エア ” 

2009-09-18 00:53:40 | ★芝居

 原作は 昔むかしに一読したけど 若かったからか恋に縁がなかったからか する~っと読み終えたのかもしれない
 こういう辛い物語を  あのキラキラ輝いて 全身が弾けるような松たか子が どんなふうに演じるのだろう

 日生劇場は ハレの日の観劇の場 という雰囲気で  ロビーには華やかな和服姿の女性がいたりして 
 わたしがよく行く いくつかの劇場とは  なんとなく客層が違って感じられた
 数ヶ月前にゲットしたチケットは  舞台から7列目というラッキーな席だった
 舞台装置は イギリスの荒野のような寒々とした風景の中に 大きな老木が立っているだけの設え
 舞台上の左右には高段の客席を設えてあり  その板壁には衣装や帽子などが掛かっている
 この一場で 物語がどう場面転換していくのかと 期待が膨らんだ

 客席の照明が暗くなるとともに  黒髪をひっつめに結った黒いドレスの松たか子が現われ 荒涼とした風景を見渡す
 まっすぐ前を見つめる凛とした表情  すっきり清らかな立ち姿は  一目瞭然 そこにジェーン・エアが居る 

 両親を病で亡くし 意地悪な伯母の家に引き取られたのち  ひどい寄宿学校へ入れられ・・という子ども時代を
 大人のジェーンは 舞台の端で 回想しながら 語る
 暗転を用いず  人物たちの動きの端で 出ではない役者や黒子たちによって テーブルやソファが運び込まれて
 ロチェスター家の居間やジェーンの部屋になったりする 
 馬に乗った館の主人とジェーンが遭遇する場面は  照明の使い方が いかにも馬とぶつかったように見えて 巧みだった

 この舞台は 台詞のところどころが歌になって語られるミュージカルなのである
 子役の子ども 伯母さん 召し使いもが歌うのを聴きながら  世の中には声のいい人がいるもんだなぁと思う
 きれいな歌声のメロディに乗せて語られると  台詞も聴き入ってしまう

 ロチェスター役の橋本さとしは 上背のある風貌が憂うる雰囲気を醸し出していたけど ややサラリとし過ぎかな
 松たか子の すっくと背筋を伸ばして語る様子は 辛い境遇にあっても 自分の信念に従って行動し生きるジェーンの
 意志的な潔癖な心のありようを感じさせる 
 いつもながら 澄んだよく通る声は 台詞が聴き取りやすく  歌っても 言葉が はきはき聴きやすかった
 人へ温かく歌う場面  ロチェスターとの情感あふれる思いで歌い上げる重唱の場面  澄んだ歌声は耳に気持ちよく 美しく響く

 自分に迷ったとき 気弱になったとき  ジェーンのように温かく揺るぎなく 信頼できる友人が傍にいてくれたら
 わたしも 自分らしく 慎ましく 敬虔に生きていけそうな気がする



    
 
  
  
 

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芝居  ” 女教師は二度抱かれた ”

2008-08-07 18:50:52 | ★芝居
なんというタイトル    松尾スズキちっくなタイトル   出演者がすごい    
大竹しのぶ  市川染五郎  阿部サダヲ  浅野和之  荒川良々  松尾スズキ他
数か月前に チケットの先行予約の案内に申し込んだら  あっさり ハズレ
劇団大人計画は  いつだって  どうしたって  プラチナチケット

まぁ  いっかぁ と諦めていたけど  当日券があるかも・・と コクーンへ問い合わせてみた
あるンですって     で  昨日はお仕事が休みだったので  並びに行きましたぁ
午後2時開演の部に  11時半頃に行ったら  すでに20番目
ホールの入り口前は 風通しのいいエントランスなので 壁に寄りかかって座り込み 本を読んで待つ
涼しくて 静かでねぇ     ところどころ居眠りしてましたぁ 

1時から当日券の売り出しが始まったけど  全席があって 驚いた 
S席9500円  A席7500円  バルコニーK席5000円  立ち見席3500円
たっぷり時間があって暇~な日なので  たまには行列も楽しそうだからと 並んでみたのだし
幸運ついでに 奮発して  *席をゲットしちゃった 

大竹しのぶは 緩急自在の存在感   声音まで変えて 可愛らしさが出る
少し狂気が入ったヒロインになるときは  可憐で 純心さがあふれて 狂気への説得力がある
うん そうだよね  ひたむきで まっすぐな心根の人は壊れていかざるを得ないよねと 頷いてしまう
市川染五郎は  口跡がよく 弾けたり 悩んだり  いろいろな動きを 楽しく観せてくれた
姿形のきれいな人なので  学生服の高校生になっても  清々しく映る
阿部サダヲ  松尾スズキ    登場するだけで  すでにおかしい
何を見せてくれるか予想がつかないのが 愉快   おもしろくて  おかしい

芝居の中身は  笑わせながらも  ほろほろ心に沁みる哀しさがある
ただ  どの役者からも 演じる自分たちが舞台上で楽しんでる という雰囲気が伝わってくるので
観ているお客さんたちも 役者と一体になって一喜一憂して 芝居を楽しめたのではないだろうか
わたしは 芝居人たちから 元気をもらって帰ってきた 




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芝居  ” SISTERS ”

2008-07-21 23:35:33 | ★芝居
わたしが芝居を観るときの基準は  とっても 気まま
出演する俳優 女優が好きかどうか   その演出家の以前の作品が 好きかどうかに依る 

長塚圭史 作・演出による ” ビューテイー・クイーン・オブ・リナーン ”を観たときは  衝撃だった
この作品は 大竹しのぶ 白石加代子の出演を知って 「この女優が出るなら 絶対にいい芝居のはず」
そう思って観に行き  物語の重さに 数日間 考え込んでしまったっけ
アイルランドの 村人たちよりも羊の数のほうが多いような田舎に暮らす 病気の母とハイミスの娘
二人は 肉親なればこその罵り 皮肉 嫌味の悪口雑言の言葉をぶつけ合う
見苦しいほどの悪意だけれど  本音を言い合える二人には お互いへの愛情が見えるようだった
娘に結婚の機会が訪れたとき  母は取り残される恐怖に  密かにその機会を壊してしまう
娘は 母を殺し  この先 母のように揺り椅子に座ったまま  孤独な人生を生きていく暗示で終わる
母を殺す場面  その後の大竹しのぶの表情は  今 思い出しても 泣けてしまう
大竹しのぶは  どうして こんなに孤独な 絶望の表情ができるのだろう
身体全体が 哀しみを現して  震えて泣いているのである
こういう演技をする大竹しのぶ  拮抗するおぞましき母役の白石加代子
女優二人に 重い芝居をさせる演出家の長塚圭史を  初めて知った作品だった


この ”SISTERS”も  長塚圭史の作・演出である
出演は  松たか子  鈴木杏  田中哲司  中村まこと  梅沢昌代  吉田剛太郎
とても楽しみにして観に行き   観終わった今は 物語を思い出しては 気持ちが塞いでしまう
今夜も あの劇場で  あの辛い物語の中に 松たか子が立ってるのだろうかと思うと 悲しくなる

ホテルを経営してる従兄弟に請われて  東京の有名レストランでシェフをしている信助(田中哲司)が
新婚の妻 馨(松たか子)を連れて ホテルにやって来る
親戚にあたる児童文学者(吉田剛太郎)とその娘 美鳥(鈴木杏)も 十年余 ホテルに住んでいる

旅行鞄を持った馨が登場して 掃除婦と会話を始める数分で  馨のひりひりした様子が伝わってくる
松たか子は 立ってるだけで  危なさそうな張りつめたような緊張感を身体から醸し出す
ここに来る前に何があったのだろう    この先 何事かが起きるに違いない という不安さを孕む

息が詰まるような緊張に 一息つく程度の暗転は何度かあったけれど 休憩なしの二時間余の芝居
鈴木杏も  かつて ”奇跡の人”では 将来が楽しみな少女だと思ったけれど この舞台では
よく通る声で 口跡がいいし  動きに迷いがなく  かっちりした成長ぶりを見せられた
松たか子の 玲瓏とした涼やかな声は  きっぱりと潔くて 聞きやすいのは  いつも安心できる

結婚したばかりの若い夫婦  妻に自殺された男  姉と妹  父と娘の近親相姦
状況はいろいろだけれど  これは 愛を語る物語だと思う
「 無かったことをあったように話すより  あったことを無かったように話すことのほうが難しい 」
妹を亡くした馨が 美鳥に向かって何度も こう言って  美鳥の現実を救おうとする
幼いまま 同じ境遇にあった馨の悲痛な叫びは  とても とても傷ましい

終盤  舞台上に じわじわ水が流れてきて溜まり  床が ゆらゆら たゆたう
床を転げ回り  髪や服から水を滴らせながら 傷ついた心を吐露する馨
真っ赤な花が いくつもいくつも 部屋の奥から流れてきて 水の上で ふわふわ揺れている
愛の美しさ  愛の哀しさ  死の美しさ  死の哀しさ
自分のエゴで  美辞麗句で自身を正当化しては いけない
人の心に 生涯消えぬ傷をつけては いけない
信助に名前を呼ばれて返事をする馨には  暖かい 穏やかな生が繋がっていってほしいと
祈るような気持で  舞台を見つめてしまった


  
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芝居  ” ひばり ”

2007-02-17 01:28:44 | ★芝居
主演の松たか子が ジャンヌ・ダルクに扮する芝居である
わたしは ジャンヌ・ダルクの生涯は ほとんど無知で 火刑に処せられたことしか知らない
演出が蜷川幸雄なので  重たい芝居になるのかなぁという偏見とともに 観に行った
3時間余の芝居で 間に休憩が15分入るだけ というタイムテーブルを見て びっくり
さぞかし  たくさんのセリフなのだろうなぁと  観る前から 驚嘆してしまう
ラッキーなことに 前から3列目の座席をゲットできて  わくわく 席に着く

舞台には  もうひとつ 高い台が中央に設えてある
開演のブザーと共に 男の子のような短髪の シンプルなグレーの服装の松たか子が ゆっくり現われる
貴族の女性や教会びとの服装の人たち  扮装が途中の兵士は舞台中央で衣装を着始める
30名余の出演者たちが中央の高い台を囲むように座り  異端審問会が開かれる法廷場面から始まる
出演者たちがその進行を見守り  ジャンヌ・ダルクの証言に立ち  そのときどきの様子を演じる
わたしたち観客も 裁判を見守る群集の役回りを演じているかのような気になってしまう設定である

STORY
百年戦争と呼ばれた長い戦争終結の糸口をつくり 祖国を救った19歳の少女が裁判にかけられている
なんの専門知識も経験もないまま17歳で軍隊の先頭に立ってイギリスと戦い  連戦連勝を収めた戦歴
13歳の頃から何度も聞いた 「 フランスを救え 」という神の啓示 それに伴って彼女が起こした奇跡
それらすべてが イギリスとフランス 政治と宗教 大人たちの虚栄心と欲望によって かき消されようと
していた       法廷で自らの半生を演じさせられている男装の少女の名は  ジャンヌ・ダルク


ジャン・アヌイの脚本がいいのと役者たちに力があるのだと思う    長丁場の芝居が短く感じられた
どの俳優たちも  その配役にふさわしく  厚みを感じさせる
長台詞によどみがなく  朗々とした声が人物の感情を表して  観ている者をぐんぐん引き込む
異端審問会の長老  教会の司祭  フランスやイギリスの王族たち  甲冑を着た兵士たちの中に 
とても華奢なジャンヌ・ダルクの松たか子がいる   
セリフの聞き取りやすい玲瓏とした声   凛とまっすぐな若々しい生命力にあふれて そこに居る
草原に座って天使の声を聞いているときの瞳の輝き   父親にぶたれる時の少年のような身のこなし
兵士に首根っこを吊り上げられる時の四苦八苦の表情  兵士やシャルル皇太子を説得する高揚感
皇太子の戴冠式の場面で 旗を持って立つジャンヌ・ダルクの表情は  大事を為し遂げた者の静かな
緊張と穏やかな感動に満ちていて   観る者の気持ちも一緒に感動が広がっていくようであった

17歳の羊飼いの娘が 「 祖国を救え 」と言う大天使の声を聞き 逡巡し  いくつもの関門を経て 
皇太子に謁見し  軍の先頭に立って フランスの勝利を導く
松たか子のみずみずしい演技を観ていると  本物のジャンヌ・ダルクは このように ひたむきな少女
だったのかもしれないと納得してしまう

松たか子の舞台からは いつも感動と元気をもらう   あの膨大なセリフの量  喜怒哀楽の表現力
人間の純粋さ 温かさ 一生懸命な素直な心  こういうものを演じるとき  彼女は輝き よく似合う
松たか子と同じ時代に生きて 誠心誠意の熱い芝居を観られることを   わたしはとても幸運に思う 
    

 
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 芝居  ” タンゴ ・ 冬の終わりに ”

2006-11-25 00:07:03 | ★芝居
ず~っと以前に テレビで放映された この芝居 ( 主役は 平 幹二郎 )を観たことがある
政治闘争とかの時代に青春だった主人公の挫折が主題かなと思い  学生運動とか社会変革とか  
男性のそういう意識改革のようなものは まるでわからないので  暗く重い芝居 という印象だった
今の時代に再演の意味はなんなのだろうと思いながらも  主役は 堤 真一   ぜったい 観ます♪

堤 真一の舞台や映画はほとんど観ている   現代の平凡なサラリーマン 古い時代の都落ちの武者
快活で哀しく 朗らかで暗い  台詞回しの緩急で病んでいる主人公の心の明暗が切実に伝わってくる
ひたむきで一途な  それゆえの哀切 清潔感が  長身の佇まいから 醸し出されて 魅せる

”タンゴ・冬の終わりに”の物語は  時代の特定はないが 日本海に面した町の映画館が舞台である
スター俳優だった清村盛(きよむら せい)は3年前に引退して 妻と共に生家の映画館へ戻ってきた
弟が継いでいるが  春には売却されて取り壊される話が進んでいる
盛は 現実とかつて演じた主人公のセリフが交互して自分の言葉を失い  幻の孔雀を追い求めている
精神を病んでいる夫が現実を取り戻すきっかけになるかと 妻は夫を騙って別れた恋人へ手紙を出す
今は結婚している水尾(みずお)と その夫が映画館へやってくる
盛の記憶に水尾はいない   若い女性のかつての恋の話を聞きながら 盛は 「その男はあなたを
愛していたのだ」と 分析し解説する    水尾の指先が ゆっくり いとおしそうに盛の頬を触れていく
震えるような指先は  かつての恋人へ 今も変わらぬ愛を伝えて 盛と水尾の気持ちがひとつになる
一瞬のその静かなしぐさは美しく 時が止まり  観ていて 涙がこぼれた 
水尾をわからないまま動揺した盛は少年の頃に盗んだ孔雀の剥製をみつけたと 古い座布団を抱える
探していた孔雀が見つかってよかったわとうなづく妻  それは ただのボロボロの座布団よ と言う水尾
孔雀は 冬の終わりに 美しく輝くのだという    予期せぬ悲劇が起きて 物語は終わる

哀しい芝居なのに  なぜだか観終わって ほっとする気持ちがあった
盛が 「美しい人は若くして死ぬべきだ」という引退の言葉を そのように生きたから?
少年の頃から夢と理想の象徴であった孔雀を みつけたとボロ座布団を抱きしめることができたから? 
水尾が誰かわからないまま  あのきらめきが眩しい と ふたたび 盛が恋し始めるから?
妻は夫を救いたいがために 水尾を町へ呼ぶ  すべてを覚悟する夫への強い愛と悲しみ
誰もが 今の自分の時を 精一杯 まっすぐ生きて 崩壊していく  その潔さ

蜷川幸雄の演出は 群衆のうごめきから 物語の幕が開く
吉原の紅灯の人込みだったり  ジャングルの行進だったり  町の往来を行き来する人々だったり
この芝居の舞台の幕開きは 映画館で映画を観ている100人ほどの若者の感情の怒涛で始まる
客席のほうを向いて 映画の場面に怒り 歓喜し 嘆き 失望を体中で表現して 映画館を去っていく
若いときの剥き出しの喜怒哀楽の感情は 失われていくものなのだろうか
生きる時間が長くなるほどに 自分の中で良き熟成となり 芳香の時を待つものであればいいなと思う

  
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芝居  ” ヴァージニア・ウルフなんか こわくない? ”

2006-06-16 22:52:04 | ★芝居
アメリカの劇作家エドワード・オルビーの原作を  ケラリーノ・サンドロヴィッチ(日本人)が演出
俳優は  大竹しのぶ  段田安則  ともさかりえ  稲垣吾郎の4人
シアター・コクーンは舞台を客席の中央に丸く設えたので 観客は間近に役者の呼吸を感じられそう

数年前の深夜  映画 ”ヴァージニア・ウルフなんか こわくない” が テレビで放映された
有名な映画だったから見てみようと思って見たのだけれど  とてもショッキングな物語だった
このアメリカ映画は白黒画面で  主役は リチャード・バートン と エリザベス・テーラー
このうえなく乱雑に散らかった部屋    棘も毒気も含んで相手を罵る言葉のやり取り
度を増していく傷のつけ合い 暴き合いに  見ているのがくたびれてしまうのだけれど ラストは泣けた
この物語を 大竹しのぶと段田安則がどんなふうに演じるのだろうかと期待して 観に行った

1960年代のアメリカ  某大学教授宅の深夜  ジョージとマーサの夫婦が酔っ払って帰宅する
ソファに脱ぎ散らかした衣類  床に落ちてるゴミ  卓上に放ってある食べ残しの食器やグラス
だらしなく あけすけな言い方の大竹のマーサ   鷹揚なふうでいて辛辣な応答の段田のジョージ    
今夜マーサの父である学長主催のパーティで知り合った若い夫婦が  招かれて訪ねて来る
初対面の若い新任助教授夫妻の前で  ジョージとマーサは互いの不満を言いつのり 罵りあう
ひっきりなしに酒が注がれ  大学でのジョージの仕事の夢と挫折をえぐるマーサの毒々しさ
ジョージは若夫婦の結婚の裏側の事情にまで立ち入り  平穏さに隠されていた本心を暴いていく
「明日の誕生日には一人息子が帰宅する  幼い頃はどんなに可愛らしかったことか 」 とマーサが
慈しみを込めて 息子の様子を語る場面は 大竹の声 体中から愛が匂い立つようだった

マーサは ジョージの触れられたくないことを眼前に引きずり出して  軽蔑の言葉を浴びせる
一瞬ジョージに甘えるしぐさをしたかと思うと  たちまち攻撃する汚い言葉を投げつける
大竹しのぶのセリフは 汚い言葉で相手を罵るときは しぐさも下品な中年の女がそこに居る
セリフのトーンの強弱  言い回しの緩急  感情豊かに一人の女の切実を演じる
結婚生活の惰性と幻滅  圧倒的な憎悪  軽蔑  絶望  悪意
内面を振り絞るような悪臭に満ちた言葉はなんなのだろう
聞くに堪えない罵りの言葉のうしろに  なにがあるのだろうと気になりながらラストを待つと
結婚23年目を迎えるジョージとマーサの絶望と哀しさと寂しさが  形をあらわしてくる
若夫婦が帰った後に 「ゲームは終わった 」と言うジョージには マーサへの愛情すら見える
「ヴァージニアウルフなんか怖くない~」と歌うジョージ  「わたし 怖いわ」と暗く呟くマーサ
静かに 蒼白く  ゆっくり朝がやってくる
                                     
  
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芝居  ” メタル マクベス ”

2006-06-03 15:29:01 | ★芝居
マクベス?  またぁ?  でも クドカン  主演が内野聖陽と松たか子   行かなくっちゃ!
劇団☆新感線の音楽劇「メタル マクベス」 宮藤官九郎 脚色  いのうえひでのり 演出 
休憩25分を入れて4時間の公演は 指定座席が取れなかった立ち見の身も乗れました~♪
生演奏のへビーメタルって こういう音楽なのかぁ   こんなふうに体がノッテいくンだぁ 
ビートの効いた重厚なリズムに舞台上の役者たちのボディが しなり のけぞる
立ち見のわたしの腰や足先が  ズンズン リズムをきざんで 楽しい~♪
セリフには アドリブのように言葉遊びが飛び交い  剣で戦う場面はスピーディでメリハリがある
歌の歌詞が舞台後方のスクリーンに映されるので  とっても よくわかって ありがたかった

シェークスピア悲劇の ”マクベス ”がベースだけれど  物語は戦争の絶えない23世紀と
1980年代の日本のヘビメタバンドの物語を 行き来して演じられる
レスポール王の上條恒彦は 歌も声量も堂々としていて 存在感があった
主人公の内野聖陽は  茶目っ気  小心さ  誠実さ  深い孤独  さまざまを見せてくれる
夫をけしかける妻の松たか子も 声がよく通りセリフが聞きやすく  目先の欲に取りつかれる若々しい浅慮の雰囲気が可愛く  きれいでさえある
後半 妻が「小さい人間のわたし達が 大きな大それたことをしてしまった」と恐れ 肩を寄せる場面
夢遊病の妻が 繰り返し手を洗い続け 深いため息を漏らす場面の松たか子の立ち居には 哀れさがにじみ出て  ひしひしと寂寥感が伝わってくる
喜劇のようなふざけた場面でも 歌い踊る森山未來の動きは 鍛えられたダンサーのきれいさである
北村有起哉の細身の体は 落ち着きと冷静さをかもし出して マクダフ役に似合っていた

時代設定を変えても  人の心に巣食う野望とその滅亡は 繰り返し同じだろうと思う
「なぜ戦うのか?  王のため 家族のため それとも人殺しが好きなのか?」と先王がマクベスに問う
たった今現実のこの世界で戦争をしている国のTOPたちは なぜ戦っているのだろうか

長い時間の芝居  舞台上を走り回る役者たちの鮮やかな躍動する動き  役者間の呼吸の間合い
膨大なセリフ量    双眼鏡で見つめていても伝わってくるいきいきとした表情 表現力  
いつもいつも芝居人のパワーに感動する
いい芝居を観ることが出来たなぁ      わたしも  がんばろう っと
                                      
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