華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

芝居  ” ひばり ”

2007-02-17 01:28:44 | ★芝居
主演の松たか子が ジャンヌ・ダルクに扮する芝居である
わたしは ジャンヌ・ダルクの生涯は ほとんど無知で 火刑に処せられたことしか知らない
演出が蜷川幸雄なので  重たい芝居になるのかなぁという偏見とともに 観に行った
3時間余の芝居で 間に休憩が15分入るだけ というタイムテーブルを見て びっくり
さぞかし  たくさんのセリフなのだろうなぁと  観る前から 驚嘆してしまう
ラッキーなことに 前から3列目の座席をゲットできて  わくわく 席に着く

舞台には  もうひとつ 高い台が中央に設えてある
開演のブザーと共に 男の子のような短髪の シンプルなグレーの服装の松たか子が ゆっくり現われる
貴族の女性や教会びとの服装の人たち  扮装が途中の兵士は舞台中央で衣装を着始める
30名余の出演者たちが中央の高い台を囲むように座り  異端審問会が開かれる法廷場面から始まる
出演者たちがその進行を見守り  ジャンヌ・ダルクの証言に立ち  そのときどきの様子を演じる
わたしたち観客も 裁判を見守る群集の役回りを演じているかのような気になってしまう設定である

STORY
百年戦争と呼ばれた長い戦争終結の糸口をつくり 祖国を救った19歳の少女が裁判にかけられている
なんの専門知識も経験もないまま17歳で軍隊の先頭に立ってイギリスと戦い  連戦連勝を収めた戦歴
13歳の頃から何度も聞いた 「 フランスを救え 」という神の啓示 それに伴って彼女が起こした奇跡
それらすべてが イギリスとフランス 政治と宗教 大人たちの虚栄心と欲望によって かき消されようと
していた       法廷で自らの半生を演じさせられている男装の少女の名は  ジャンヌ・ダルク


ジャン・アヌイの脚本がいいのと役者たちに力があるのだと思う    長丁場の芝居が短く感じられた
どの俳優たちも  その配役にふさわしく  厚みを感じさせる
長台詞によどみがなく  朗々とした声が人物の感情を表して  観ている者をぐんぐん引き込む
異端審問会の長老  教会の司祭  フランスやイギリスの王族たち  甲冑を着た兵士たちの中に 
とても華奢なジャンヌ・ダルクの松たか子がいる   
セリフの聞き取りやすい玲瓏とした声   凛とまっすぐな若々しい生命力にあふれて そこに居る
草原に座って天使の声を聞いているときの瞳の輝き   父親にぶたれる時の少年のような身のこなし
兵士に首根っこを吊り上げられる時の四苦八苦の表情  兵士やシャルル皇太子を説得する高揚感
皇太子の戴冠式の場面で 旗を持って立つジャンヌ・ダルクの表情は  大事を為し遂げた者の静かな
緊張と穏やかな感動に満ちていて   観る者の気持ちも一緒に感動が広がっていくようであった

17歳の羊飼いの娘が 「 祖国を救え 」と言う大天使の声を聞き 逡巡し  いくつもの関門を経て 
皇太子に謁見し  軍の先頭に立って フランスの勝利を導く
松たか子のみずみずしい演技を観ていると  本物のジャンヌ・ダルクは このように ひたむきな少女
だったのかもしれないと納得してしまう

松たか子の舞台からは いつも感動と元気をもらう   あの膨大なセリフの量  喜怒哀楽の表現力
人間の純粋さ 温かさ 一生懸命な素直な心  こういうものを演じるとき  彼女は輝き よく似合う
松たか子と同じ時代に生きて 誠心誠意の熱い芝居を観られることを   わたしはとても幸運に思う 
    

 
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映画  ” 幸せのちから ”

2007-02-12 00:22:13 | ★映画  
実話である という映画には  好奇心がわく      主役は ウィル・スミス
先日 テレビで放映された笑える映画 ” メン・イン・ブラック ” を観たばかりなので
ますます好奇心×二乗になって  用事がすんだ後の午後を するりと映画を観に行ってきた
映画チラシのウィル・スミスの表情が温かいのは 映画の中の息子役がオーディションで選ばれた彼の
実の息子だから というわけでもないだろうけど   わくわく 観に行ってきた

サンフランシスコで 骨密度を測定する医療機器を病院へ売って暮らしを立てていたクリス・ガードナー
全財産をはたいて何十個もメーカーから買取り その重い機械を手に持ち 自分で病院を回って売り歩く
一台売ると ひと月暮らせる高額な機械だけど  だんだん売れなくなり  部屋の隅に積まれている
妻がクリーニング店で長時間労働しても生活が苦しくなり 家賃が滞納し始め 夫婦はケンカばかりする
妻は姉のいるニューヨークで働くことになるが  クリスは自分が5歳の息子と暮らすことを望む
ある夜 託児所から息子を連れて帰ると 部屋の外に持ち物が置かれ  鍵が取り替えられている
息子のバスケットボールとトランクとビジネススーツとを持ち  駅の男子用トイレに鍵をかけて眠る
次の日からは 教会の無料ベッドに泊めてもらう抽選のために  毎夕方 大勢の人たちと並ぶ

晴れやかな笑顔で働く一流証券会社の人たちを見かけたクリスは 「 あやかりたい 」と思う
半年間の無給の研修期間を経たのち 20人のうちの一人という正式採用に向けて努力をする  
クリスが息子に「 夢はあきらめるな 掴み取るんだよ 」と言う言葉のとおり 最大の努力をしていく
朝早く 息子を託児所に預けて出社し 休憩も取らず 時を有効に使い 夕方には教会の行列に並ぶ  
繁忙なビジネスマンが 息子の世話を厭わず 話し相手になってやる姿は  すごいなぁと思う
消灯後は廊下の灯かりで採用試験のための勉強をする   数学に強いという特技を持っているが
あの頃流行したキュービックを 上司のクルマに同乗した短い時間で完成させたのは 鮮やかだった

採用試験の成績も完璧だったのかもしれないが  上司との会話に機知に富んだ受け答えができるのも
採用された一因かもしれない     プライベートで息子の世話をしていることが支障にならぬように
他人より何倍も仕事へ努力していることなどが ユニークな人として オーラを醸していたかもしれない    
わたしが 社長なら  ぜひ 採用してみたい人物である
正式採用されたのち 何年かして 自分で証券会社を立ち上げ  億万長者になったという  

「 夢をあきらめない 」 というクリスの信念とその実行を観ながら  元気をもらえた映画である
クリス・ガードナーの場合は  家族と一緒に暮らしたい やりがいのある仕事をしたい という夢で
あったかもしれないが   平々凡々のわたしにも  いくつかの夢がある
夢の実現に向かって努力していく過程をおろそかにはするまい と自分に決心しながら
やりたいこと 叶えたいことを持っている自分で  よかったなぁと うれしく思う  


   
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