華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

絵画展 ” セザンヌ主義  父と呼ばれる画家への礼賛 ”

2008-11-18 21:58:05 | ★絵画

       
ここ数日続いている暖かい陽射しに誘われて  楽しみにしていたセザンヌ展へ出かけてきた
いつもと違う路線の電車に乗って 窓外を眺め どことなく小旅行の気分で のんびり揺られて行った

みなとみらい駅の構内は  とても広くて きれい
エスカレーターを乗り継いで地上に出ると  目の前が 横浜美術館
青い空の下に木々が紅葉し  ベンチで寛ぐ人たちも 日向ぼっこが気持ちよさそう
横に広がるような建物の外観は 威圧感がなく 瀟洒な印象を持てる
天井の高い館内の中央には 石の階段があって なかなか趣のある美術館である
会場は お昼頃のせいか 閑散・・という雰囲気で  鑑賞者がワンフロアに数人という贅沢さ
15日から開催されて間がないせいなのか  東京の美術館で大きな絵画展をやってるせいなのか・・  
わたしは 絵に近づいたり 離れたり 解説をゆっくり読んだり  絵を眺め直したり
実に 実に 意のままに のんびり二時間余も セザンヌに浸っていた

セザンヌの林檎が描かれている静物画が好き   この一個の林檎には 七つの色が乗せられていた
セザンヌの絵は 風景画も人物画も 青が目立つなぁと思っていたら  彼の書簡を読むことができた


ベルナールへの書簡

 「われわれ人間にとって、 自然は表面としてよりも むしろ深さとしてあります。
 だから赤と黄で表わされる光の震動のなかに、大気を感じさせるために 十分な量の青を
 導き入れる必要があります。

 自然を円筒形、球形、円錐形によって扱い すべてを遠近法の中に入れなさい

 つまり、ひとつの面、ひとつの物の各局面が ひとつの中心点に向かうようにしなさい。 
 水平線と平行な線は広がりを、 つまりの自然の一断面を与えます。
 この水平線に対して 垂直な線は深さを与えます。  」


パンフレットより 抜粋

 ”ピカソが敬愛の心を示して「父」と呼んだ画家ポール・セザンヌ(1839-1906)
 印象主義とともに出発しながらも伝統的な絵画の造形原理に基づきつつ独自の新しい表現を創造した
 「セザンヌ主義」という言葉が存在するのは 彼の絵画が20世紀初頭のフランスにおける革命的な
 芸術運動に与えた影響がとりわけ顕著であるからである
 日本においても 大正期に「白樺」などの文芸誌に紹介され  洋画家たちに衝撃を与えた ”


今回の展覧会は セザンヌに惹かれ影響を受けた画家たちの作品も 観ることができた
ピカソ マティス ヴラマンク モディリアーニ  岸田劉生 安井曾太郎 佐伯祐三
中村彜 高橋由一 などなど  めったに観る機会のない日本の画家の絵も観ることができた
セザンヌの絵の人物と同じようなポーズ  同じような風景  同じような配置の静物画の果物
そのタッチや色彩や構図を見比べることができて  なかなか楽しい

セザンヌの絵を観ながら わたしも描いてみたい気持ちが むくむく・・
今のわたしは  どういう絵を描くのだろうか
わたしは 今 とても忙しいので  中途半端な気持ちで絵筆を取ることは したくない
人物の素描が好きなので ちょちょいと描いて練習していればよさそうなのだけど できない 
もう少しお歳をとったなら  我が人生を盛り込んだタッチ 色彩の絵が描けるだろうか
今は まだまだ人生の修行中の身だけど  いつか筆を取るときが 自分でも楽しみだなぁ


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絵画展 ” ヴィルヘイム・ハンマースホイ  静かなる詩情 ”

2008-11-10 12:41:41 | ★絵画
 
                       



知人から 招待券をいだだき  久しぶりに上野の森へ出かけてきた
端っこから公園へ歩いて行ったので  途中から 大勢の人たちが歩いてくるのに出会った
どこへ行くのだろうかと思ったら  ” フェルメール展 ”のほうへ行ってくれたので  ホッ
おかげさんで  わたしの行く絵画展は 適度な観覧の人たちで  ゆっくり観ることができた

新聞では 「後ろ向きの肖像画 」とか「 無人の部屋」を描くデンマークの画家という記事を読んだが
艶のない絵の具のタッチや初めて聞く画家の名前には ちっとも食指が動かず 忘れかけていたら
チケットをいただいてしまい  義理と人情から 観に行ったという消極さである

妻を描いたという顔の見えない人物画 や 人のいない室内 を 何枚も描いている
自宅なので  置物の位置を変えたり省略して 同じ構図 同じ部屋の題材が何枚もあった
間近で観ると 人や物の輪郭がはっきりしないような描き方なので  何メートルも離れて眺めた
どの絵も 全体に灰色の紗幕がかかったような ぼんやりしたような 柔らかい色調で沈んでいる

題材がそんなふうだから 観ていくうちに  とても不気味なような 不安な気持ちにさせられてしまう
人の顔の表情が見えない描かれ方は 人間は 単に室内の無機質な置物のようにも見えたり
絵を観る者の視線を拒む 頑なさのようにもみえる
1900年頃のヨーロッパは 活気にあふれた時代だったはずなのに こういう絵を描き続ける画家は  
いったい どういう心境の人  日常の暮らし方をした人なのだろうかと思う

モノトーンのような色調の 無人の 時の静止したような室内には いろいろと想像力を掻き立てられた
ドアの奥からわずかに射す光  あるいは窓から床に落ちる陽の光などは  そこだけ活き活きと
明るく はしゃいでいるようにさえ見えて  むしろ饒舌な時のひとコマのような印象を持った
穏やかで 静謐で  とても禁欲的な雰囲気に包まれていた絵画展だった



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カサコソ 落ち葉とともに 立冬

2008-11-07 23:16:23 | ★こころ模様
暦は いつも季節を先取りする
晩秋のお天気に  木々の色づき始めた葉っぱたちに気を取られてたら  もう立冬ですって
冬という字を見ても  ピンとこないほど 寒さから遠いのになぁ

都会の街に暮らしはじめて ン十年たつというのに  いつも 冬の訪れ方が 実感しにくい
わたしの子どもの頃  北の街のふるさとでは 十一月の初旬には  初雪が舞ったものだ
冬支度を始めてた大人たちが  今年の雪は早いとか 遅いとか話してたのを覚えている

ある朝  どかんと雪が積もってたりすると あたりまえのように オーバーを着て 長靴をはき
お友だちたちと きゅっきゅと 新雪を踏みながら  学校まで歩いて行った
吹雪の日だって  子どもたちだけで  ちゃんと登校した
年々  雪の降る量が少なくなってくる

立冬  この街で 今年の初雪は いつ頃見られるだろうか    
雪を待つ気持ちが  だんだん冬を実感させてくれる    楽しみだなぁ 

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のほほ~んと 秋をまどろむ

2008-11-03 20:59:51 | ★こころ模様
曜日ごとの 週ごとの用事をこなしてるうちに  月が替わってしまった
神無月さんを  ちゃんと大切に過ごせたかしらン

秋の真ん中の霜月さん  こんにちは
数日前の晴れ空の日は 360度見渡してみても はぐれ雲さえ見当たらない晴天だったなぁ
秋の晴れ空は 暑くなく 寒くなく  爽やかで 好きです

今朝  二歳くらいの男の子と手を繋いで歩いていた若いパパが  わたしとすれ違うとき
「 きれいな空だなぁ  見てごらん  きれいだなぁ 」と 子どもに話しかけた
( え?  そんなに きれいな空なの? )と 急に焦る気持ちになり 振り向いて空を見たくなった
すぐに振り向くのは 恥ずかしいので  親子が少し先へ行ってから 振り向き 空を見上げた 
水色の空のキャンバスに  白い筆を さっと掃いたような 柔らかな雲がたなびいていた
秋の空は  静かで やさしい
仕事先へと急いで歩いていたわたしは  若いパパの声で 今朝の空に会えて  よかったぁ
秋の柔らかな空を 木々の色づく葉っぱたちを  きれいだなぁと見つめる心を忘れちゃいけないね

それにしても  こういう偶然って  とても 愉快
パパと可愛いBOYが わたしとすれ違う数歩先か後に そういう会話をしていたら 
わたしは 空を見上げることなく  せかせかと歩いていたんだろうなぁ
曇りがちだったわたしの心に  天が 目線を高くせよ と 教えてくれたのかも・・
シンプルなわたしは  おかげさんで  今日は一日 ルンルン気分で過ごせました  






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