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航空警備隊 救難消防車〜海上自衛隊八戸航空隊

2018-06-27 | 自衛隊

                

さて、格納庫でP-3Cの機体と、エンジン部品換装の貴重な瞬間を
見せていただいた後は、航空隊基地に必須の消防施設です。

冒頭youtubeは、ここに装備されている消防車の放水の様子です。

この時に哨戒に出ている飛行機は2機だと思うのですが、
エプロンには見渡す限り2機しかP-3Cの姿はありません。

格納庫の中に2機いるのは確認しましたが、まさか全部で4機ってことはないでしょう。
2017年現在で、海自のP-3C保有機数は62機ということですが、
全国に航空基地は全部で六ヶ所にあるので、少なく見積もっても
10機くらいは保有しているはずですよね。

しかし、航空基地のページでも飛行機の保有数って明らかにしませんね。
何か軍事上の機密に属するんでしょうか。

海自の航空基地見学に訪れるのは下総2回を足すと3回目です。
下総でも、基地消防隊の消防車に乗せていただいたことがあります。

おお、消防車の下に一般人でも乗車できる脚台が用意されているぞ。

消防車の車庫に近づいていくと、最新型の救難消防車の横に、
消火活動の時に着る防炎服が立っていました。

隊員さんが消防服と寸分違わない立ち方をしているのは
偶然か、それとも、いつもこの消防服を着ているため、
消防服の「中の人」であることが常態化して、
ついつい普段からこのポーズを取らずにいられないのか。

この右側の消防服が、誰も入っていないのに(入ってませんよね)
どうしてこんな状態なのか、その理由はあとでわかりました。

消防車はこれも下総基地で見た

救難消防車 IB型  OSHKOSH

となります。
救難消防車、というのはイコール自衛隊所有のこのタイプであり、
航空事故に備えて空港に配備される化学消防車を意味します。

●水槽が大きい

●強力な放水の衝撃に耐えるため大型車

●広大な飛行場で速やかに展開する速力

●高い不整地走行能力

これらの条件を備えた車体で、これはアメリカのウィスコンシンに
本社がある「オシュコシュ」というメーカーのものを輸入しています。

オシュコシュ社について調べると、日本でこの「グローバルストライカー」
救難消防車を輸入しているのは陸自、としか書いていないのですが、
わたしは下総でも確かに同じタイプを見た記憶があります。

 

「オシュコシュ」というと、アメリカの子供服ブランドで、
向こうでは安いので息子によく買ったものだ、という話も確か
下総基地見学の後ここでした覚えがあるので、間違い無いでしょう。

 

車両の前面上部に放水ノズルがついています。

もちろん手で持ってホースから放水することもできます。

この隊員さんの制服は所属が「航空警備隊」となっています。
第二航空隊群の編成表を見ても「消防」という文字はありません。
八戸航空基地隊隷下の警備隊として消火部門を担当、という位置付けのようです。

ちなみに、この隊員さんが被っている八戸航空基地隊の隊帽は、
鍬形の立派な兜がモチーフです。

この後はグローバルストライカーの運転席に乗せてもらい、
気持ちの赴くままに放水をさせてもらいました。
(が、カメラを自分が持ったままだったので放水シーンはなしです)

この運転席に座って滑走路を見ると、ちょうど正面にポツンと
消防車が停まっているのが見えました。

滑走路にいつでも侵入できる場所で待機しているのです。

ところで、ふと疑問に思ったのですが、今この時、
消防車の中に誰か乗っているのでしょうか。

何か滑走路で事故が起こった時、人がもし乗っていなかったら、
人は建物から駆けつけることになり、ここに車を置いておく意味がありません。

ということは・・・やっぱり中に人が・・・。

例えばアメリカの空母では、「アラート」の状態になった時には、
カタパルトにつながった機体にはパイロットが乗り込んで、
コクピットの電源はいつもONにしたまま待機するそうです。

パイロットは1時間か2時間で交代するそうですが、アラートの間は
他の作業ができないので、そこでじっとしているしかありません。

カタパルト発進しないヘリコプターなどはいわゆるトラブルシューターという
係が機内でドアを閉め、こちらもじっとしています。

流石に寝るわけにはいかないので、横になって目を閉じるだけです。
これは人によっては「寝ている」と解釈される場合もあります。

 

何が言いたいかというと、もしこの滑走路で待機している消防車に
待機する人がいるなら、その人は飛行機のアプローチがあるまで、
「目を閉じてじっとしている」こともアリなのではないかということです。

ちなみに空母のトラブルシューターを買って出る人は「大変多い」そうです。

そんな推測はどうでもよろしい(笑)

次にこの救難消防車の設備について説明していただくことになりました。

「どうぞこちらからお入りください」

訓練では滑走路を走るだけなので、タイヤはとても綺麗です。
いや、たとえオフロードを走っても毎日ピカピカに磨き上げるのかな?

 まず、車体右側から。

車体後部から中を見せてもらいました。
椅子は跳ね上げ式になっていて、基地を出るような時にしか使わないようです。

自衛隊の消防部隊は、地域災害の時にも出動し消火を行う場合があります。

リール、ボンベ、ストレッチャー、ソリなどが整然と収納されています。

ちょっと「ソリなんですか?」と聞いただけで、全部引き出して見せてくれました。

ところで、先ほど乗った運転席に、こんな状態で防炎服が置かれていました。
これ、どういうことかわかります?

座席に乗り込み、席に座ると同時に、足を長靴に突っ込み、
上着とマスクも瞬時に付けられるようにスタンバイしているんです。

いやー、これは暑い(断言)

八戸の冬は厳しいらしいので、冬場の訓練はいいけど、夏は魔法瓶状態、
一度訓練で着用したら1キロくらいは体重が減っていそうです。

こちらも、整理整頓を異常なくらい旨とする海上自衛隊にしては、
まるで脱いだまま散らかした如く乱雑に捨て置かれているように見えますが、
これも、車両に乗るなり、ここに足を入れて次の瞬間ズボンを引き上げ、
防災服を身につけることができるような置き方をしているんですね。

これを見る限り、防災服のズボンは長靴と一体になっていることがわかります。

もう一度防災服(中の人なし)を見てみましょう。
ズボンが靴と一体型なので、こんな風に人の形を保って立っているんですね。

 

 この夜間消防訓練の映像は必見です。
 
皆が「みんな〜」のAAみたいになって、猛烈な火に立ち向かっております。
 
参考画像
 
USJで「バックドラフト」を見たことがある人なら、実際の経験がなくても
いかに火というのが恐ろしいか、お分かりだと思います。
 
上のyoutubeも、防災服をフル装備で身につけ、
その猛烈な炎に平常心で立ち向かっているように見えるとしたら、
それは恒常的な訓練の繰り返しの賜物なのに違いありません。
 
 
 
実際の消火訓練は、この飛行機を模した構造物で行われています。
この中に取り残された搭乗員を救出する、という説明が出てきたので、
実際にその搭乗員の役を誰かがするのか?とびっくりしたのですが、
映像を見ると、現場から担いで救出している隊員というのは、
この「中の人のいない防災服」でした。
 
これだけリアルだし適当に重いし燃えないので、救助訓練人形にもなるんですね。
 
防災服を担架に乗せて緊縛し、救急車に乗せて運ぶまで行いますが、
担架に乗せている女子隊員がつい笑っているように見えるのは気のせい?
 
 
こちらは従来型のタンク車。

 
海上自衛隊も救急車を保有していることを改めて知りました。
 
自衛隊の救急隊員は、救急医療に必要な技能を持つスペシャリストです。
彼らは救急車積載器具取扱訓練AEDを使用した心肺蘇生法訓練
外因性・内因性救急シミュレーション訓練などを受けています。

大規模災害が起きると、航空基地所属の消防部隊はすぐさま現場に出動し、
他機関と連携・協力して人命救助に当たることを任務の一つとしています。
 
 
 
消防車庫には、このような出動ランプがあり、非常時には点灯するようになっています。
 
向こうに見えるのは管制塔です。
わたしたちはこの後、管制塔の見学を行いました。
 
今のうちにお断りしておきますが、管制塔に上る前に、わたしたちは
またしてもカメラと携帯電話を没収されたので、内部の写真はありません。
 
 
 
 
続く。
 


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7 Comments

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地上救難 (Unknown)
2018-06-27 06:44:35
飛行機の機数はイコール戦力なので秘です。数がわかれば、どれだけ戦い続けられるか想像出来ます。総数は公表されていますが、個々の基地にいつ何機いるかは公表していないと思います。衛星から撮影したら、数が丸わかりなので、あるだけエプロンに並べることもしません。

自衛隊では消防ではなく「地上救難」が正式な名前です。救難機の救難員と区別するために「地上」(護衛艦だと「艦上」)を冠して「地上救難」と呼んでいます。訓練の動画であるように消防が主任務ではなくて、機内の搭乗員を救助するのが主任務です。

アラートは「待機」と呼んでいます。発進出来る態勢に持って行くまでの時間に応じて「2時間待機」とか「30分待機」とかいくつかの種類があり「5分待機」ならパイロットは搭乗し、エンジンも始動済みで直ちに発進出来る態勢です。

飛行前点検に1時間くらいかかるので「2時間待機」の機体は整備しますが、それより短い時間の待機だと整備はしません。部隊にいる機数と緊急事態に急に上げなければならない機数を見積もった上で何機を整備し、何機を待機にするか決めます。当然、搭乗員や整備員も機数に合った数が待機になります。

滑走路脇の消防車も待機なので、乗員は乗っていると思います。

消火訓練は基本なので全員やります。航空部隊だと動画の「丸タンク」と呼ばれるオープンエアですが艦艇だと「機関室」で、閉鎖した高床式の建屋で、床には水が張ってあり、そこにガソリンを垂らして火をつけ、十分に火が回ってから、わざわざドアを開けて入って消します。

マジで映画のバックドラフトです。初めてやった時には泣きそうになりましたが、二、三回やると慣れます。三分で火が消えるくらいしかガソリンは垂らさないのですが、最初にドアを開けて入るのは怖いです。
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航空機の機数 (お節介船屋)
2018-06-27 14:31:42
船屋が航空機の機数に疑問を挿んで申し訳ないですがUnknownさん本当に秘でしょうか?
P-3Cの調達を101機とする説明やP-1が何故70機とされたのか公になっています。何部隊で何機必要等。
又冷戦期の終了でP-3Cを80機として余剰の機をOP-3C等に改造するのも説明されていたと思います。

日本は余りにも開示しないでもよい事項を民主主義とか、知る権利とかを振り回して、開示させ国家として不利益となる事も実施しており、憂慮すべき事ともなっておりますが、理解を得る必要からは秘以外は明らかにする努力も必要でしょう。
国会議員の中に官庁から説明させ知り得た秘事項を平気で喋る輩もいますが、業務で知り得た秘等は自衛隊員を辞めても硬く秘めておく事が求められるでしょう。
調べて頂ければと幸いと思います。

航空機は在場機、減耗機を含めて検討がされており、護衛艦も一時、正面と後方で5護衛隊群が必要との考えもあったようですが、実現はしていませんが、47隻から53又は54隻への増加は認められているようです。ただ掃海艇やミサイル艇の減少での実現でしょうが。

車両については3自衛隊共通仕様書での調達となっており、防衛装備庁から公告されてます。
救難消防車はⅠBとⅡに仕様が統一され調達されているようで陸海空自衛隊同じ車となっているのではないでしょうか?
装備品予算で火器・車両等の区分で陸自の中に車両が含まれており、陸自で纏めて防衛装備庁に要求されているのではと思われます。
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放水見たかった(笑) (鉄火お嬢)
2018-06-27 15:16:01
確か前にも消防車の放水体験の話があった気がしますが、残念だなー、誰かにスマホのカメラを向けさせてでも、ぜひエリス中尉の「ヒャッハー!」な放水シーンを撮影、公開して頂きたかったです!舞鶴の航空基地の取材にお供したときに、たぶんあちらは多少年数過ぎてて、ここまでゴツくないですが、ヨーロピアンな洒落た消防車がありました。いや錨のマークが付くと何でもカッコよく見えるww「ソリ何ですか?」「見てのとおりソリです」とマジレスされませんでしたか(爆)
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定数と現在数 (Unknown)
2018-06-27 16:38:07
航空機の定数や調達数は開示されていますが、どの基地にいつ何機いるか(現在数)は、聞いても教えてくれないと思います。
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OSHKOSH (20b)
2018-06-27 23:26:53
ストライカーは格好良いですね。
OSHKOSHは軍用車のイメージが強くて、HEMTTが好きなのですが、一度厚木で輸送される米軍のOSHKOSH LVSR(かな?)を見ました。
同社のホームページはプロダクツ毎に分かれており防衛産業向け製品は専用サイト
https://oshkoshdefense.com/products/
空港向け製品も専用サイトが有り、ずっと見入ってしまいます。
http://www.oshkoshairport.com/
製品によっては、動画のページも有り各車両の性能や機動力を見ることができ、
防衛製品サイトにある航空機救難消防車(ARFF)P-19Rも動画を見れます。今は無いようですが戦術消防トラック(TFFT)というのも有りました。
元々の公式動画がYoutubeで閲覧できます。
この会社のサイトは面白くて大好きなんです。ネットサーフィンではまってしまったサイトでした。
また余計な事を失礼しました。
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皆さま (エリス中尉)
2018-06-28 12:09:31
unknownさん
艦の消防訓練はやはり限られた人数しかいないため全員でやるんですね。
火災が起こった時に誰でも動けるようにしておかないとということなのでしょう。

お節介船屋さん
「何部隊で何機必要」という資料って、どこかで見ることができますか?
今回、どの基地にP-3Cが何機いるのか調べたのですが、どこを見ても載っておらず、
もしかしたら実動部隊においては配備は非公開なのかな、と思ったわけです。
調達の段階でしか出てこない数字なのかもしれませんね。
(と書いたらunknownさんが端的に説明してくれていました)

鉄火お嬢さん
下総の時には確かTOにカメラを渡して撮ってもらう余裕があったのですが、
今回はなぜか全く忘れていました。
案内されている方にもスケジュールが結構タイトなんじゃないかと思われ、
ここでキャッキャ水撒いて遊んでいる場合ではないかも、と
若干遠慮したということも預かっていると思います。

御察しの通り「これソリなんですか」「ソリです」という会話がそのままありました。
「見てもおわかりのとおり」とまでは流石に言いませんでしたが、
その代わりとして実際に見せてくれたのだと思います。

20bさん
ストライカー、名前がまずかっこいいですよね。
「ストライカー師団」なんて名前だけでもう痺れちゃいますよね。あ、あれは装甲車か。
貼っていただいたオシュコシュのプロダクツページ、見てみましたが、
緑のストライカーが出している水に戦闘機が重なっているイラスト、いいですね。
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unknownさん (エリス中尉)
2018-06-28 14:32:45
アラートについてですが、米海軍には「アラート・パッケージ」という言い方で、
5、15、30の三段階あり、それぞれ5分以内、10分以内、30分以内に
発信できる状態で待機するそうです。
「アラート5」になると、本文にも書いたカタパルトに戦闘機が繋がっている状態、
コクピットの電源はフルでONになっていますが、パイロットは1〜2時間で交代します。
ベトナム戦争の時にはソビエト機が接近して来た時に緊急発進命令が出たそうですが、
そのほとんどが「ベア TU-95」だったそうです。
「ミッドウェイ」の話ですが、一度ベアが三機異常接近したことがあって、この時には
艦上のあちこちからシャッター音が聴かれ、数日後には戦闘機から撮ったベアの写真が
艦内に張り出され、アラートで出動していてベアを見損なったパイロットが、
遭遇したパイロットを取り囲んで話を聴くなどお祭り騒ぎだったそうです。
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