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年忘れ人物ギャラリー(航空人編)

2014-12-31 | 飛行家列伝



人物編は、ここ2年くらい集中して連載した女流飛行家を中心にお送りします。
まずは、

サビハ・ギョクチェン「大統領令嬢は戦闘機パイロット」

ウムラウトのついているこの苗字の読み方、「ゴクチェン」
と何処かで見ましたが、わたしがこの夏トルコ人のじいさんと話した時に
ギョクチェンと発音していたので、これで正しいようです。

トルコ建国の父である大統領、ムスタファ・アタルチュクの養女であり、
彼からほぼ強制されるようにして「世界初の女性戦闘機パイロット」
となったサビハ。
与えられた名、ギョクチェンとは「空」を意味していました。

アタルチュクの「英雄伝説の彩り」として彼女は養父に創造された
存在ではなかったか、というわたし自身の推測を、
日本とトルコの関係を語る上で欠かせない「エルトゥールル号事件」
とトルコ政府の「恩返し」と共に語ってみました。



映画「アメリア 永遠の翼」についてお話ししたのは

つい最近のような気がしていましたが、夏だったんですね。
最近時が経つのが妙に早く感じるのですが皆様はこの一年、
あっという間でしたか?それとも・・・、

と時候の挨拶につながってしまいましたが、まあそういうことです。
来年もよろしくお願いします。




ルース・エルダー(「アメリカン・ガール」

いつの時代も女性は美人だと得をすることが多いものです。

彼女は、美人ゆえ太平洋横断の女性第1号に挑戦し、
(といっても横に乗ってただけ)失敗したものの女優になって、
しかし南部なまりのため大成せず、とかなんとか言いながら
女性飛行界の重鎮となって、死ぬまでに6回も結婚しました。

おそらく、本人的には楽しい人生だったんじゃないかと思います。

本稿ではそんな彼女の人生と「美人税」というか、美人ゆえに
褒貶の貶もあったよね、ってなことを語ってみました。

ちなみに、その後女性で初めて「乗客となって大西洋を横断した」
のが、ご存知アメリア・イアハートです。

  

リディア・リトヴァクとマリナ・ラスコヴァ

「スターリングラードの白薔薇」とあだ名された
ソ連軍の女性エースパイロット、リトヴァクと、
「ナハト・ヘクセン」(夜の魔女)とドイツ空軍が恐れた
女性飛行隊を率いたラスコヴァ、ブダノワについてお話ししました。

ソ連という国はある意味共産主義なので男女平等なのか(適当)、
能力のある女性を戦闘機に乗せ戦わせるということをしたため、
彼女のように何人かの女性エースが誕生しています。

アメリカでは、後に出てくるナンシー・ラブがそうだったように、
戦地に輸送業務で向かおうとしただけで

「万が一戦死することがあったら責任を問われる」

という考えから、軍はそれを決して許しませんでした。
日本の場合は

「もし女が飛行機に乗っていることがわかったら、
日本は女の手を借りて戦争をしているといわれる」

というのが女性拒否の理由でした。
日本はまず無理だったでしょうが、もしアメリカでそれが許されたら、
「スコードロン・ナイト・ウィッチーズ」とかリトヴァクのような
美人のエースが出てきて、それはそれで後の戦史が面白くなったのに。
(顰蹙?)



ジャクリーン・コクラン
「レディ・マッハ・バスター」

そのアメリカの航空隊に女性が関わった例となると、
この人の名前が真っ先に出てきます。

ベッシー・リー・ピットマンという水車の修理工の娘が、
ベッシー・コクラン、そしてジャクリーン・コクランと
出世魚のように名前を変えながら成り上がり、
エステティシャンから玉の輿にのって富豪の妻に収まって、
趣味でやってみた飛行機で今度は女子飛行隊を作って名声を得る。

絵に描いたようなシンデレラストーリーですが、その割には
彼女の名前は今日アメリカでもそう有名なわけではありません。

晩年、欲をかきすぎて政治家を目指して落選したのが彼女の
人生における唯一の挫折だったと言われていますが、
思ったほど後世に名を残さなかったのも生前の彼女の誤算でしょう。

しかし、音速を超えた最初の女性(マッハバスター)とか、
あるいは母艦着艦した最初の女性、などというタイトルを見ると、
実力はあるのに、逆にどうして英雄として讃えられないのかは、
あるいは彼女の出生にあるのではという気もします。

実績があれば男はむしろ成り上がりであることは勲章ですが、
女の成り上がりには性を利用したという誹りを免れないためかなあ、
とふと考えてしまいました。



ナンシー・ハークネス・ラブ(「クィーン・ビー」)

飛行機に乗るのが好きな良家の子女が航空士官と結婚し、
ふとしたことから女子飛行隊の隊長になりました。

コクランのようなガツガツした出世欲もなく、ただ
飛行機会社を経営していたことから、軍に女子飛行隊を作ることを
提案したところ、夫の上司の引きでトントン拍子に話は進み、
彼女は女子飛行隊の初代司令(女王蜂)となるのでした。

コクランのライバルとされていたラブですが、実際には陸軍は
最初にラブを選び、コクランの力技も後から考慮した結果、
コクランを練習支隊の司令に任命し、全ては丸く収まりました。

コクランがマッハを破ったり選挙に出たりして変わらずハッチャケている間、
ラブは家庭人に戻り、マーサスヴィンヤードの彼女のうちには
かつての部下が彼女を慕ってしょっちゅう訪れていたということです。



ルイーズ・セイデン(「タイトルコレクター」


野心がないといえば、野心のなさとその実力がこの人ほど反比例していた
飛行家はいなかったのではないでしょうか。
可愛らしくて人受けするタイプだったらしい彼女はビーチクラフト社の
ビーチ社長に気に入られ、飛行機に乗り始め、さらには飛行機製造業の
ハーバート・フォン・セイデン社長と年の差婚をして、
女性だけの飛行レース「パウダーパフ・ダービー」であっさり優勝。

さらには男女混合のペンデックストロフィーレースでは、
同じく女流飛行家のブランシュ・ノエスとワンツートップ優勝。

「タイトルコレクター」の名を欲しいままにした彼女は、
頂点であっさりと引退し、見事な引き際を見せました。

パウダーパフレース出場者

の面々を見ると、(ルイーズは左下)美人のエルダーさんは別格として、
彼女が可愛らしいタイプの女性であることがわかるでしょう。
ちなみに、左上がシリーズで扱ったこともある

フローレンス”パンチョ”バーンズ、(「リアル・キャラクター」

そしてルイーズの右隣の写真が

 

ボッビ・トラウト(「プレーンクレイジーとフライングフラッパー」


です。
ボッビのライバルで、どちらかというとこちらの方が有名だった、



エリノア・スミスとともに「女性同士にライバル関係は存在するか」

ということをテーマにお話ししてみました。
「サンビーム・ガールズ」

結論は・・十分予想できることですが、もし気になったら読んでみてください。

 

パク・ギョンウン(「日本人・朴敬元」


日帝統治時代、朝鮮半島出身で初めて女流飛行家となった彼女ですが、
それゆえ本国では現在、全く名前を無視されています。
彼女の生涯に枕詞のように付けられる「偏見を跳ね返し」という言葉は
実はそれこそが偏見ではないのか、そして彼女が飛行家になれたこと
そのものが、今韓国のいう「過酷な日帝支配」とは矛盾していないか。

そんなことを語ってみました。



有名な飛行家ではありませんが、当時の女流飛行家に
いかに綺麗な人が多かったかということをいうためだけに
この人の絵を描いてみました。

でもって、痩せてるんですよね。このころのアメリカ人。



映画「ライト・スタッフ」の長丁場エントリのために描いた
音速を破った男、チャック・イェーガー。

これを描いた頃まだ元気だったのですが、その後訃報を聞いていないので
まだまだお元気の様子です。(2014年12月31日現在91歳)

ちょうどその頃、89歳で音速を超えてるんですよねこの爺さん・・。
今際の際に「音速を越してくれ。そのまま逝くから」って頼みそうだなあ。




全く航空人ではありませんが、「大空のサムライ」つながりで。

「大空のサムライ」では全くないことになっていた主人公坂井三郎のロマンス。
日本以外で今も発行されている「SAMURAI!」には、片面1ページに
坂井氏の最初の妻であった従姉妹の「ハツヨさん」の写真があります。
この写真は紛れもなくその結婚式のために髷に結い、
角かくしをつける前のハツヨさんの写真です。

彼女はこの著書の前書きでも坂井氏が語っているように、
戦後すぐに病没してしまいました。 



その「SAMURAI!」に掲載されていた扉絵の坂井三郎。
零戦の日の丸をバックにしており、まさにこの本には
ぴったりの写真だったのでしょう。
ちなみに当初は現在でも再版を重ねており、
少なくともアメリカでは今も好んで読まれているようです。 




佐村河内事件を音楽関係者の立場から語ってみる。

人物といえばこんな人物も描いてますね。
今年のわたしにとっての一番の修羅場といえば落馬して手首を骨折し、
一時は右手の使えない人になっていたことですが、
お休みしている間にサムラゴーチ事件が起こり、ちょうどいいやと思ったので
復帰第1作としてこの絵を描いてみました。

復帰第1作が佐村河内というのはどうよとその時も描いたのですが、
気が付けばこのエントリが今年最後、つまりこの絵が
今年最後にお見せする絵になってしまうわけです。 

航空人でもないしそれも如何なものかと思わないでもありませんが、
わたしにとっての今年の10大ニュースは

1、落馬して骨折
2、練習艦隊のレセプションに招待される
3、日本将兵のご遺骨を晴海埠頭でお出迎え
4、地球防衛軍顧問に就任
5、その流れで地方総監表敬訪問
6、富士総火演初参加
7、朝霞駐屯地訪問
8、艦上慰霊祭に参加
9、兵学校同期会に参加し元学生の友人ができる
10、某所より三つ桜の刻印されたカップを拝受する


・・・・それ以外は海軍自衛隊関連以外思いつかない、
というくらい、この骨折はわたしにとっておおごとだったので、
その復活第一作であるこの絵を持ってくるのは、今年を振り返るのに
たいへん意味のあることなのだと、無理やりこじつけて終わります。


ちなみにこのエントリ、「いいね!」が95もついて、

自分の考えが世間にご賛同いただけたらしいことが嬉しかったです。


それではみなさま、来年もよろしくお願いいたします。
どうぞ良いお年を。




 



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2 Comments

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空軍の伝統? (雷蔵)
2014-12-31 06:23:48
航空自衛隊で初の女性将補が出ましたが、別嬪さんでした。

http://www.asubaru.or.jp/role_models/detail/156

美人が多いのは空軍の伝統かもしれませんね。なんて言うと、多方向から石が飛んで来そうです。

今年からの読者ですが、楽しく読ませて頂きました。来年も素晴らしい記事をお待ちしています。よいお年をお迎え下さい。
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その話は (エリス中尉)
2015-01-02 22:55:12
前に「顰蹙ですよ」といったような気が・・。
元旦の記事で書いた金王八幡宮に行ってきて、元自衛官の宮司をお見かけしましたが、
其のお年にはとても見えないキュートな方でした。
インターネットで見ることのできる写真より実物の方が素敵に見えます。

こちらこそ、雷蔵さんが読者に加わっていただくことで大変勉強させていただきましたし、
色々と刺激にもなりました。
心から感謝する次第です。
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