ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

ボストン美術館~わたしの好きなコレクション

2013-07-26 | アメリカ

ボストン美術館のコレクションで、とくにわたしが好きな絵をご紹介します。

これは、「ボストンコモンの黄昏」Boston Common at twilightという、
ハッサムの作品。
雪の積もった冬の景色なのに、なぜか観ていると暖かさを感じるという・・・。

わたしはこの絵が大好きで、ボストンに住みだしたころ美術館のアートショップで
この額を買い求め、以来ずっと寝室に飾っているほどです。

夕暮れの逆光に鳥に餌をやる女の子、それを見守るファッショナブルな若い母親。
これだけでも好きなモチーフですが、なんといってもこの景色は、
いまだに全く同じところで見ることができることも好きな理由。
後ろにトロリーバスの走る通りはトレモント・ストリートといい、このあたりに
免許センターがあったりします。

このあたりの建物はおそらく法律で保存することが決められているので、
1880年に描かれたこの絵と同じ街並みがそのままであるのです。

まあ、なんといってもここは地震が決して起こらないところですからね。
レンガ造りの建物は、マグニチュード3レベルでも跡形もなく崩壊するに違いありません。



題名も作者も知りませんが、いいなあと思ったので。

アツアツです。

恋に耽溺している二人は、世界から切り離されたような二人だけの世界に
彷徨ているように感じるものですが、
そんな恋人たちの情熱が見ているこちらにも伝わります。

男性は画家なのか、画板を膝に置いて一応仕事をしてるふりをしていますが、
女性が不自然なくらい顔をくっつけて、どう見ても邪魔してます。
男性はまったくそんなことはお構いなしで、片方の手で彼女の手を握ったりしています。

しかし、こういう奇跡のような時期は、あっという間に終わります。(断言)

だからこそ恋は美しい。
BUT BEAUTIFUL というジャズのバラードを思い出します。

Love is funny or it's sad.
Or it's quiet or it's mad.
It's a good thing or it's bad.
But beautiful.

命短し恋せよ乙女、ってところですね。



おそらく、ヘロデ王の幼児虐殺を逃れてエジプトに逃亡した
ヨゼフとマリアとイエスキリストの話だと思います。

マリアの抱く幼子イエスが自然発光しているわけですが(笑)
それにしても、ヨゼフはどこに行ったのでしょう。



好きな絵、ということは決してありませんが、懐かしい絵です。
小さいときにうちにあった画集には、このマネの「マキシミリアン皇帝の処刑」
の完成版(ここにあるのは下絵)がありまして、



これですね。
マキシミリアンとやらがどうしてこんなに色黒なのか、とか、
一人を処刑するのにどうしてこんなにたくさんで撃つのかとか、
幼心にいろいろと考えてしまったものですよ。

マキシミリアン皇帝はメキシコの海軍少将だった人で、皇帝になってから
クーデターを起こされ、処刑されてしまいました。



今回調べていたらこんなドラマチックな「処刑執行の朝」のシーンが見つかったので、
まったくボストン美術館とは関係ありませんが、貼っておきます。

処刑告知された本人が冷静に周りを慰めるの図。



ミレーの「種まく人」。

これも小さいときは怖かったですね。
どうして農作業をしているのにこんな真っ暗なのかとか、
どうして顔が見えないのかとか。

この「種まく人」、世界に二枚あるのですが、そのうち一枚がこれ。
もう一枚は何と我が日本の山梨県立美術館が持っているのだそうです。
知らんかった。

これまでなんどか、この二つの「種まく人」、両美術館の計らいで
並べて展示されたことがあったそうです。

どちらが本物、というかサロンに出品されたものであるかは、最近の科学調査で
「山梨のものが本物である」ということがわかったそうですよ。




おお、どなたかは知らぬがお美しい。
美術的価値とかなんとかより、モデルがきれい、もうこれだけで説得力ありまくり。

バラ色の肌、黒髪に知的なまなざし、
白のタフタのドレスには、ブルーのサッシュがとてもお洒落。
黒のレースを斜め掛けしたのは、彼女の黒髪に合わせたのでしょうか。

こんな美女がいたのだなあ、と思わず眺めてしまう魅力に満ちた作品。



そうかと思えば(笑)

ここまで(おそらく)リアルに表現せねばならんかったのか?
もう少し美化してあげてもよかったのではないか?
と、ついリアリストの彫刻家を心配してしまう出来。

フランス革命の大物、ミラボー卿。

あばたで有名だったその月面状のお肌と、大きなイボまで克明に再現。



なぜかいきなりここで現れたストラディバリ。
どうしてボストン美術館に展示されているのだろうか。

と思ったら、これはナポレオンの息子にプレゼントされたものだそうで。

ナポレオンはかなりの音痴だったという話があるので、このヴァイオリンを弾いた
ナポレオンの子息も、大して練習もしなかったのではないかと思われます。
せっかくのストラディバリも、猫に小判だったわけですね。

楽器は弾かないともう鳴らなくなってしまうので、このかつての名器も
おそらく今はただの飾りとなってしまっているのでしょうが・・・・

・・・・もったいない・・・・。



これも好きって絵じゃありませんが、目を惹きました。

肉の解体屋なんですね。
左の下の方に固まった毛皮のようなものは、剥いだ牛の皮。
上のテーブルには牛さんの耳の無い頭がどーんと乗っています。

おかみさんは作業中。
飼い犬は牛の下にある血を受ける皿を舐めております。

牛の胸郭部分に掛けられた紙か布は何のためでしょうか。

この時代、こんな風に個人が解体屋として生業としていたことが、
画家のおかげで詳細に後世に残ることになったのです。



今まではヨーロッパの部分でしたが、ここからはアメリカ芸術。
ボストン美術館は当然ですが、アメリカ芸術の収集も充実しています。



この絵の周りには実は子供がいっぱい床に座り込んでいて、
先生の説明を受けながら一生懸命何か書いていました。
今の季節ですから、サマースクールでアートを専攻した子供たちかもしれません。

ドラマチックな内容ですが、これはボストン生まれの画家コープリーが、
船乗りの少年ブルックワトソンが海に落ちて鮫に襲われた様子を描いた

「ワトソンと鮫」。

どうしてワトソンは何も着ていないのか、
そしてこのあとワトソンの運命はどうなったのか。

前に立って口を押えながら観ているこの女性も、同じようなことを考えているに違いありません。



いかにもアメリカ人らしい男の子。
この壁紙や、一緒に展示されている家具の類いも時代を統一しています。



この女性も、決してヨーロッパではない、アメリカ人ならではの顔ですね。
ニューベリーストリートを歩いていそうな女性です。



この真ん中の絵も、この美術館の有名作品。
アメリカ女性らしい赤毛と、淡いピンクのドレスがふんわりとして、
とても気持ちのいい絵です。

 

どちらもかけてある壁の色とのマッチングが素晴らしい。

左はミュシャの影響を受けているような。
右はアールデコっぽい。



夕焼けを見ていて「この美しさを永遠にとどめたい」
と思われたことはないでしょうか。
きっとこの画家も同じように思ったのでしょう。

どこかで見た夕焼けの景色。



月夜に船を走らせる人々。
明るい満月と、岸に見えるたき火の光の色の違いが幻想的な夜の景色です。



晴れているのか曇っているのか、朝か昼か夕方か、
全くわからない不思議な天気。
まるで夢の中のシーンのようです。

ヨットが見えるから荒天ではないのですが、妙に黒々とした
海の色と、いきなり海岸近くで砕ける波が不穏な雰囲気。



こういう棺を制作させられるだけの力を持った人物の、
おそらく若い妻が病気で亡くなったのでしょう。
どうしてこの棺が使われないままここにあるかまではわかりませんでしたが、
美しさに見入ってしまう女性です。

スリーピング・ビューティを思い出しました。



このボストン美術館ではサージャントの絵を見られるのが一つの大きな目玉となっています。
わたしはこのサージャントの絵も大好きで、




テートギャラリーが東京に来たときに、この
「カーネーション・リリー・リリー・ローズ」という絵のポスターを買い、
これも「ボストンコモン」と共に寝室に掛けています。

ところで、この上の「エドワード・ボイトの娘たち」という絵ですが、
絵の前に飾ってある壺、よく見てください。
絵の中に、全く同じかたちの壺が・・・・。



なぜかあった、ディートリッヒとガルボの写真。



一心に模写していた・・・美術大学の学生、でしょうか。

最後になりましたが、正面入り口を入ってすぐにある彫刻二体。

この横にチケット売り場があるのですが、そこの女性は、
さすがはこういうところのフロントにいるだけあって美人。
「メンバーシップにはいりませんか?」
と勧誘してきたので、「ここに住んでいないので」と断ると、
「ではどちらから?」
「日本です」というと、まるでサージェントの描く女性のような表情で
「Welcome to Boston!」
とにっこりと微笑みました。





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