ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

海上保安制度創設70周年記念観閲式

2018-05-20 | お出かけ

ここのところ頂いたコメントに全く返事ができない状態が続いておりますが、
その理由は、またしてもイベントがいくつも重なってしまったからです。

その中にわたしにとって未知の世界、海上保安庁の観閲式&訓練展示がありました。


海上保安庁。

自衛隊とは方向性は違えども同じ海の防人であるこの組織に、
このわたし、興味がないどころではなかったのですが、
残念ながらこれまで全くといっていいほどご縁がありませんでした。


ところがこの度、ある重要人物からチケットをいただいたことがきっかけで、
(色々とありましたがそちらは本編で)参加がかなった海保観閲式です。

今日はまだ体験航海シリーズの途中でもありますし、まさに今日、
横須賀から練習艦隊をお見送りしてきたこともすぐにお話ししたいので、
例によって今日はダイジェストと参ります。

海保の観閲式が行われるのは平成25年以来、つまり5年ぶりです。
尖閣諸島問題やサミットなどが行われた関係で中止していたのですが、
今年は海上保安制度が制定されて70周年の節目ということで、
国民に広く業務に対する理解を訴えることを目的に行われることになりました。

観閲式は自衛隊より小規模となる巡視船四隻が単縦陣となり、
東京湾を航行する間、受閲部隊が逆行してくる形で行われます。

わたしの船は(艦じゃない、これだけでも新鮮!)いわゆる先導船で、
ここ横浜所属の「いず」となりました。

他の三隻はいずれも晴海からの出港となります。

乗船して出航を待っていると、横浜所属のFL01「ひりゆう」が出港していきました。
放水展示で大活躍する予定です。

しかし「ひりゆう」・・・なんと大胆なネーミング(笑)
「ゆ」を小さくしていない辺りにちょっと遠慮が見える気がします。

海保は消防船(フローティング・ボート)にあの飛龍を使ってしまっているのか。

出航の時にはわたしは船橋前部の、前甲板が見えるところから見ていました。
この出航作業も、海自と全く違って大変興味深いものでした。

同じ海の警備を行う組織で、しかも出自は同じ海軍でありながら、
海自と海保には文化の違いが多いこともこの日知ったことでしたが、
同じであることも発見。

例えば「帽振れ」です。

そして出航は1200。

「いず」船体が岸壁を離れて行くと、いつもドラマや映画などで
「横浜」を説明する時に必ず現れる景色がそのまま現れます。

総合訓練ならびに観閲式が行われる東京湾に行く「いず」は
出航後ベイブリッジの下を通過します。

羽田空港を左に見ながら航行していくことしばし、晴海から出航した
巡視船「やしま」「そうや」「だいせん」がいつの間にか後ろに。
訓練海域まで「いず」を先頭に、四隻でしばらく航行していきます。

二番船の「やしま」船橋上部に設えられた観閲台。
わかりやすくするため紅白の幕を張っています。

この日は防衛大臣政務官だったような気がします。

1400、観閲が始まりました。
関係機関など、船艇のパレードです。

これは石垣所属1,000トン型巡視船PL84「ざんぱ」。

登舷礼の行い方も、もちろん海自と一緒です。
海の儀礼は世界共通だからですね。

PL13「もとぶ」(横浜所属)。

PLとは巡視船を意味する「patrol vessel」のことです。
海保のことになるとこんなことすら調べないとわかりません。

ちなみに「もとぶ」はこの4月に就役したばかり、パリパリの新造船です。

右手観閲船隊、左が受閲船隊です。

そ こ に !

ああ、なんだかものすごく見慣れた光景。
ネイビーブルーのセーラー服が登舷礼に立っている灰色の艦体、
それは・・・・!

横須賀地方総監部から、我らが「はたかぜ」さんの登場です。
あーなんだろ、この、アウェイでいきなり知り合いにあったような安心感。

続いて、わたしにとっては懐かしい(アメリカで見たので)、アメリカ合衆国の
沿岸警備隊、コーストガードの「カッター」がゲストでパレードを行います。

Alex Haleyというこの名前、どこかで聞いたことがあると思ったら、あの
「ルーツ」の作者であるアフリカ系作家と同一人物でした。

若き日に沿岸警備隊に入り、CPOまで昇進したそうです。

船艇の後は航空機のパレードも行われました。

ガルフストリームVのLAJ501「うみわし」。
高速道路横羽線の羽田付近を通ると海保の格納庫が見えますが、
「うみわし」はそこの所属のようです。

海保の観閲式ではこんなこともやるんですね。
消防船が水を盛大に撒き散らしながら通り過ぎる放水展示です。

まず先ほど横浜から一足先に出航した「ひりゆう」。

なんとびっくり、「はまぐも」は赤い水を出してるぞ。

川崎市消防局の消防艇「第6川崎丸」はド派手な蛍光色の緑。

市川市消防局「ちどり」はオレンジ色。

色とりどりの水を撒きながら進む消防船団の姿はなかなかシュールです。

続いて、人命救助訓練です。
まず、海に落ちた人をリペリング降下で救出するという訓練展示。

少し前に海に落ちたという設定の人が、オレンジの浮きの近くに浮かんでいます。

吊り上げ救助なう。

もう一回吊り上げ救助が行われました。
さっきと違ったアプローチでへローキャスティングを行います。

この要救助者は、ヘリに揚収された後、ヘリ搭載艦「とさ」に搬送されました。

息つく暇もなく、次の訓練展示が始まります。

今度はケミカルタンカー(のつもり)で火災に続く爆発発生(という想定)。

先ほどのカラー船団が寄ってたかって消火活動を行ってます。
あまりに水の量が多くて燃えている船が全く見えません。

続いて、訓練展示のハイライト(多分)、テロ容疑船捕捉、
制圧訓練が始まりました。

海賊のマークをわかりやすくつけた「はまかぜ」がアグレッサー?です。

ゴムボートで海面を飛び回るように走って不審船に警告し、
動きを止めるのが複合艇。

もうこれが凄いんだ。

複合艇というのはつまりゴムボートなんですが、これが凄まじいスピード。
この機動が半端じゃありません。

複合型ゴムボートに乗ってテロ容疑船を追いかけるのは
特別警備隊、略称特警。

この展示は高速機動連携訓練といいます。

容疑船は追いかけられて武力攻撃してきました。
「専守防衛」いただきました!

巡視船による正当防衛射撃がおこなわれます。

監視艇、警備艇が周りを取り囲み、移乗などを行い、
容疑者を取り押さえ、ついに容疑船は制圧されました。

海自の観艦式でもおこなわれる高速機動連携訓練です。
一斉回頭などを行いました。

大型巡視船と護衛艦「はたかぜ」が連携して行われるこの訓練には、
もう見ているこちらの心臓は高鳴りっ放し。

続いては小型の巡視船隊の機動訓練です。
「ひざん」「あかぎ」(なに、赤城だと・・・?)「つくば」が
空砲射撃を行いました。

というところで総合訓練は終了です。
ここからは楽しい「フェアウェル」の時間。

関係船艇艦艇が観閲船にお別れの挨拶をしてくれます。

ご当地色豊かに、各船工夫を凝らしたフェアウェルを行います。
例えばこの巡視船「ふどう」は神戸の・・・・あれ???

岡山の水島からはPC43「おきなみ」。

PS35「ともり」の船尾にいるこの怖い人は誰・・・・?
((((;゚Д゚)))))))

PS15「びざん」がどこの船かもうお分かりですね?

で、出た〜〜〜!

ああ、なんたる安定感。(個人の感想です)
我らが「はたかぜ」の艦尾には・・・・。

ピクルス王子とパセリちゃんが!

今日一番目立っていた気がする「ひりゆう」さんは水撒きながら最後のご挨拶。

この日「いず」の後ろをずっと警護してくれていた巡視船「のげかぜ」。
頼もしかったです。

横浜港に向かう「いず」に、挨拶してくれる「にじかぜ」。

こうして12時に出航、2時から約1時間の観閲式と訓練を終え、
4時半に「いず」は横浜港に無事帰ってきました。

 

次回からは詳しく、初めて見た海保の観閲式についてお話ししていきます。

 

続く。

 


乗艦〜平成三十年度 練習艦隊 体験航海

2018-05-20 | 自衛隊

 「かしま」艦上で行われたレセプションから明けて一夜、
わたしたちは再び晴海にやってきました。

晴海埠頭にはいつも車でやってくるのですが、今日は電車でJR新橋からタクシーです。
なぜなら今日は晴海から横須賀までのワンウェイだからです。

出港前、晴海のターミナルからレインボーブリッジを望むテラスから撮った写真。
今日は素晴らしい体験航海日和になりそうな空の色です。

テラス二階からこれから乗り込む「まきなみ」と「かしま」のメザシ状態を一枚。
岸壁には体験航海の乗客がいますが、まだ乗艦は始まっていません。

この時になって初めて、今年の練習艦隊が二隻で行われることに気がつきました。

この後、受付のために結構な時間並ぶことになりました。
今回のわたしは、TOの職場団体の一人としての参加です。

今回あることからTOが自衛隊に関わったところ、幹部学校が
体験航海への集団での参加をお誘いくださったため、わたしとTO二人で行こうか、
と思っていたら、TOの職場の人たちが我も我もと参加を申し込んできました。
中には在宅勤務で浜松から駆けつけてきた四人家族もいたほどです。

自衛隊の船になんとなく関心はあったものの、実際に乗る機会など全くないので、
それにすぐにでも乗れるとなると皆驚くほど『食いついてきた』とのことでした。

 

この日わたしたちは随伴艦の「まきなみ」に乗ることになっていました。
担当の自衛官が送ってこられた「ご案内」には、

「皆さんは(かしまではなく)まきなみに乗れてラッキーです!」

と!マーク付きで書かれています。
どうして「まきなみ」がラッキーなんだろう、という疑問は最後まで残りましたが、
今にして思うと、乗艦者の数の違いだったかもしれません。

「かしま」甲板にはもう一番乗りした乗客の姿が見えます。

受付済ませた後、わたしたちはグループにまとめられ、一緒に乗艦することになりました。
「まきなみ」組は「かしま」後方にある別のラッタルから乗艦するようです。

わたしたち一団を案内してくれた方は制服は着ていませんでしたが、
どうやら防衛省の職員が駆り出されていたようです。

「かしま」後部から左舷を回っていよいよ「まきなみ」に乗艦です。

案内されたのは格納庫。
ここでわたしたちは一行をこの日一日エスコートしてくれる自衛官とご対面しました。

「今日1日よろしくお願いします。
わたしは艦艇出身で、大抵のご質問には答えられると思いますので、
何か質問があったら遠慮なく聞いてください」

という挨拶を聞いた時、わたしは、どうやら今日の体験航海では
自分勝手にいろんなところに行くことはできないらしい
と知りました。

いや・・・いいんですけどね。いつも自分勝手に動いてるので、たまには。

搭載ヘリの周りにはまるで結界を張るように舫が敷かれています。

「このヘリのプロペラの先の形、おもしろーい」

TOがいうので、この形でSH-60はKかJかを見分けるのだと説明したところ、
ものすごい勢いで博識ぶりに?感心されました。

そういえばわたしがそれを教えてもらったのもこのブログのコメント欄だったなあ・・。

形は違いますがどれにも「ガスタービン」の表示。

ガスタービンとは、燃料を燃やして動力を得るエンジンの一種です。 
取り入れた空気を圧縮し『燃焼器』の燃料に噴射して燃焼させると、

高温高圧で「ガス」になった気体が『タービン』を回転させ、推進力を得るので、
「ガスタービン」です。

ガスタービンは『圧縮機』で圧縮するために大量の空気を吸い込む必要があるので、
外側に先端が繋がっているのだと思ったのですが、果たしてこれは
「まきなみ」艦内のエンジンのためのものなのかどうか・・・・?

左舷側から煙突、艦橋など上部構造物を見上げたところ。

実は、この時わたしは格納庫で待たされているのにすっかり飽きてしまい、
勝手にグループを離脱して独自に艦内見学を始めてしまったのでした。

前甲板にはすでにたくさんの人が到着し始めています。

「まきなみ」からすぐ下の海面には、クラゲが大量に発生していました。
これは日本近海でどこにでも見られるミズクラゲですね。

四つの輪に見えるのは胃腔と生殖腺なんだそうで、この輪のせいで
「ヨツメクラゲ」という名称も持っているそうです。

端っこをお魚にかじられてしまったらしいクラゲもいました。

さて、勝手に艦内ツァーを決行中のわたしとTO。
出航作業を艦橋で見たいので、外階段から上がっていきます。
体験航海などの時、自衛艦は狭いラッタルを一方通行にすることがあり、
「まきなみ」でも艦橋には外付け階段から上り、退出は艦内の階段、
と決められていました。

外付け階段にはチャフ・ロケットシステムを見ながら上っていきます。

アルミニウム箔やワイヤー等の入ったコンテナを空中に射出して、
飛来するミサイルの誘導装置や、相手方のレーダーを欺くための装置です。

艦橋横ウイングに到達しました。
当たり前ですが停泊しているので速度は0ノットを指しています。

ウィングから甲板を見下ろす。

艦橋には本日参加のお子様たちがたくさんいましたが、どうもそのほとんどが
「まきなみ」乗員のご子息たちではないかと思われました。

ちなみに今モニターの前に座っているのが後ろに立っている自衛官の御令息で、
とーちゃんに「お前早くそこ次の人に代われ」などと言われ、
頭を叩かれたりしておりましたが(笑)息子はそれにもめげず色々と質問し、
とーちゃんもまんざらでもない様子でそれに丁寧に答えてあげていました。

そうか、この日は「昼間のパパはちょっと違う」を見せる絶好の機会でもあるのね。

艦橋にいた実習幹部のお嬢さん方。

操舵室後方には、今日の予定が丁寧な字で書き込まれています。

0940の「晴海出発」の後にあるMKNは「まきなみ」KSAは「かしま」でしょう。

1010 航空機ローターラン 

1245武器操法展示

1115手旗・ラッパ演奏(格納庫)

など、今日の体験搭乗者に見せるための展示予定も。

燃料等の「ネザミザコクザセリザチョリザヒリザ」
この表記にはいつ見てもウケます。

「在庫量」として「燃料」「水」とかじゃいかんのか。

先ほどの息子くんに、とーちゃん自衛官はずっと船のことを説明してあげていました。
実にほほえまC。


さて、このまま出航作業に入るのを待つか、とわたしたちが艦橋隅に落ち着くと、
その時TOの携帯に下にいる同行者から電話がかかってきました。

「みんなと一緒にいてほしいそうです」

とほほ、やっぱり単独行動は禁止されていたのか・・・。
出航作業を艦橋で見るのを諦め、格納庫に戻ることにしました。

甲板からは人がいなくなり、こちらでも出航作業が始まりました。

こちらはその時折しも海面に着水していた水上艇。

舫作業を行う時、必ず甲板のハッチが開けられます。

作業を行う海曹海士がスタンバイ。
右から二番めの人が持っている棒は何かしら。

舫の作業メンバー打ち合わせ中。

格納庫に行くために甲板まで降りてきました。

舫作業に合図を送る赤旗白旗の人もスタンバイ。

そして格納庫まで戻ってきました。

こちらでも出航作業の準備が始まろうとしています。

TOの職場の女性たちは、自衛艦に乗るのが初めての人たちばかりだったのですが、
彼女らが事前に、「もし海に落ちたらどうなるんだろう」と心配していたので、
わたしは艦尾にいる黒ウェットスーツのダイバーを指差し、

「その時には、あそこにいるイケメンが飛び込んで助けてくれますよ」

女子にこれをいうと、必ずと言っていいほど

「そんなことになったら恋が芽生えるかもですね!」(ワクワク)

という返事が返ってくるのももはやお約束のようなものです。

 

さて、いよいよ平成三十年度練習艦隊体験航海、横須賀に向けて出航です。

 

続く。