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ローター稼働展示と先導艦交代〜平成三十年 海上自衛隊練習艦隊 体験航海

2018-05-26 | 自衛隊

 体験航海では、一般乗客のために艦内でイベントが用意されますが、
ヘリ搭載艦「まきなみ」では、搭載ヘリのローターを回して、
その風力を体で感じてもらう、という企画(たぶん)が行われました。

格納庫にはロープが張られ、皆が見守る中、周りの手すりを全て取り払う作業が始まりました。

艦内で甲板の手すりが全くなくなるのを見るの初めてです。
ローターを回転させるだけであっても、こうすることに決まっているようです。

青と緑の作業服がきれいに交互に並んでの作業です。

舫の作業を行う運用員は黒の制服を着用しますが、
搭乗員とメカニックあるいは飛行作業などの部署はいつも通りでいいようです。

手すりは外に向けて倒すとそのままセーフティネットになる優れもの。

 作業終了です。

ヘリのドアがここで初めて開けられました。

インカム兼耳栓?の黄色いイヤフォンがミッキーの耳みたいで可愛い(笑)

空自のパイロットスーツは文句なしにカッコいいですが、
ベースボールキャップと合わせた海自の深緑の搭乗員服もいいなあ。

左腕の日の丸から、つい海軍航空隊を想起してしまいます。

そういえば最近すっかり忘れていましたが、そもそも
わたしがこの世界に興味を持つきっかけが海軍航空隊だったんだわ。

思えば遠くまで来てしまったものです。(遠い目自粛)

思うところあって最近任務中の自衛官であってもできるだけ顔にブラーをかけ、
はっきりと写さないようにしていますが、このコクピットの中だけは
パイロットの様子を見ていただきたいので、加工なしで出します。

「P3のパイロットはヘリパイほど目が良くなくてもいいらしい」

と航空志望の新任幹部に聞きましたが、こちらのパイロットは眼鏡着用。

Pー3Cのコクピットだとこちらから向かって右側が機長ですが、
ヘリコプターの場合反対側の左側が機長となります。

固定翼機は一般の航空機の交通ルールが右側通行なので左に席がありますが、
回転翼機の場合、低高度で航路を決めずに飛行することが多く、そのため
右側の視野を広く確保する必要性から右席になっているようですね。

ですから、管制官が誘導する際、固定翼機に対してはパイロット席のある側が
内側に来る左旋回を、回転翼機に対しては右旋回を指示します。

そして二人が被っているものに注目。

まるでスイミングキャップのような布の帽子ですが・・・。

機長が前に立つ誘導員にハンドサインを出しました。

そして次に写真を撮った時には二人ともヘルメットを着用していました。
ヘルメットに専用のマスク型のサンバイザー。
スイミングキャップはヘルメットの下に、蒸れないように(多分)つけるものだった模様。

そしてまたしても謎のハンドサイン「V」がむちゃくちゃカッコイイ。

これが最終の合図だったらしく、このあとローターが回り始めました。
わたしの近くに立っていたTOが慌てて帽子を脱ぎ出したので、

「格納庫にいる限り帽子が飛んだりすることはないと思う」

とこれまでの経験からアドバイスを送りました。

ちょうど羽田空港を過ぎたあたりで、国内線の航路を盛んに飛行機が通り過ぎます。

スマホでローターが回るのを延々と動画に撮っていた人が多かったようですが、
もちろん回して見せるだけが目的で飛び上がったりしません。

わたしの後ろに小学4年生くらいの男児がいたので、前に押し出して

「子供がいるので前に行かせてあげてください」

と言ったのですが、中学生くらいの子は自分も子供だという意識があるからか、
頑として動いてくれませんでした。

せっかくローターが派手に回っているので、シャッタースピードを30分の1に落としました。
ローター以外は動くものもなく、このスピードでもブレず楽勝です。

人の頭越しにしばらくローターが回るのをただ見ていましたが、
ちょっと飽きてきたので左舷側に出て外から撮ってみました。
こちらには誰もいません。

展示が終わり、ヘリがローターを止めたころ、後ろに「かしま」が見えてきました。

「まきなみ」に遅れて出港した「かしま」、これから「まきなみ」に追いつくようです。

こちらでは展示を終わったヘリのローターを畳んで、
見学者に触れられないように後ろにまとめる作業中。

デッキブラシのようなものでローターを扱っています。

「ミッドウェイ」について書かれた本で読んだ話ですが、
ある整備員が風でふわっと動いたローターを、スピードがなく
回り始めだということもあって、ふと手を伸ばして手で止めようとしたところ、
すっぱり指が切れてしまった、ということもあるくらい、
ローターを扱うのは危険な作業であるようです。

その整備員は負傷してすぐ、静かに「俺が悪い」と言ったとか・・・。

「かしま」がもりもりと接近中。
左舷側から追い越すつもりのようです。

「まきなみ」が行った後、「かしま」のまえを第三高神丸が横断しました。
東京湾で作業する砂利船だそうです。

ほとんどギリギリのように見えますが、よくあることなのでしょうか。

続いて通りかかった不思議な形の船。
真ん中部分の喫水線がほとんど海面と同じです。

船名が読めなかったのですが、何をする船かな?

ANAの飛行機が脚を出したまま上空を通過しました。
「まきなみ」の煙突からの空気で機体が歪んで見えます。

あっという間に「かしま」が「まきなみ」に追いつきました。

旗艦だから先に行くのか、単に横須賀に入港する順序の関係なのか、
その理由はわかりませんが、何れにしてもこの「追いつき、追い越し」が
本航海中の最大のイベントとなったことは間違いありません。

甲板から「まきなみ」の艦橋に士官が見えました。

実は今、高松市の金刀比羅神宮における追悼式を済ませ、
直会も終えて空港のラウンジでこれを製作しているのですが、
その食事会の席で、
戦後掃海活動で殉職された隊員のご親族のかたが、
その遺志を継いで海上自衛隊に入り、
「まきなみ」の
「長」配置にいるということを聞きました。

つまりわたしはこの時、その方の乗務する船にまさに乗っていたことになります。

 左舷側に並んだ「かしま」に対し「まきなみ」では登舷礼が行われました。
左舷側で敬礼を行う実習幹部たちです。

「かしま」甲板には立ったままの体験航海参加者がいっぱいです。

この日も船を降りた後、自分がクタクタに疲れているのに気がついたのですが、
よく考えると、航海の間というのはほとんど座ることがないんですよね。

見るものが多く、写真を撮ったりしているので2時間くらいは余裕で過ぎますが、
2時間揺れる船で立ちっぱなし、動きぱなしって考えたらかなり重労働です。
 

「まきなみ」と違い、「かしま」には艦橋の上の階が
観覧席のようになっていて、ここにも人があふれています。

いざとなれば国家元首級の方々の貴賓席にもなるような作りなのでしょう。

そこにものすごいスピードで現れたプレジャーボート?

撮っている時には全く気づかなかったのですが、この後ろに
ディズニー・シーが写っています。

左の山は「プロメテウス火山」、客船は「SSコロンビア」、
右側の建物は「タワー・オブ・ザ・テラー」ですね。

「かしま」に揚がっているのは「U」「W」「1」、
一番上の紅白三角は「回答」のようです。

「まきなみ」に対する回答だと思われますが、正確には

「協力に感謝する。御安航を(Thank your cooperation, bon voyage)」

となります。

一番上は、艦隊司令である泉海将補座乗を意味する二つ桜です。

ついに「かしま」の艦首が「まきなみ」と並びました。

その時、「かしま」艦橋から発光信号が送られてきました。

内容はアナウンスされたと思いますが、残念ながら記憶にありません<(_ _)>

発光信号を送ってきている探照灯の部分を拡大してみました。

さらにアップ。
さすがは解像度の半端ないNIKON810である。
ちなみに、この航海のために買ったタムロンの中望遠レンズ使用です。

「まきなみ」がこれに対してどう返答をしたのかはさらにわかりませんでした。

発光信号は、「かしま」が艦尾の艦名が読めるくらい前に進むまで続けられました。

航行中の「かしま」をこんなに長時間間近に見ることができたのは初めてです。
繰り返しになりますが、

「皆さんはまきなみに乗れてラッキーです」

とわたしたちに来た自衛官からの案内状に買いてあったわけが、この時わかりました。

 

 

続く。