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鹿島立ち〜平成三十年 海上自衛隊遠洋練習艦隊出航行事

2018-05-24 | 自衛隊

平成三十年度遠洋練習航海に出航する海上自衛隊練習艦隊、
出航に向けた激励のための儀式を終え、乗員は岸壁から
練習艦「かしま」に乗艦していきます。

「かしま」乗員が出航作業を粛々と行う中、前甲板側の舷梯から乗艦した実習幹部たちが
行進曲「軍艦」に乗って行進し、整列を行います。

今年の実習幹部は右舷後方に横4列に並んで帽振れを行うようです。

左から二人目にタイ王国からの留学生の姿がありますね。

定位置に着くと、帽子のストラップを顎に掛けて準備。

この配置だと、後ろの方に並んでいる幹部の顔が見えないので、もしかしたら
残念に思った家族の方もおられるのではないかとちょっと心配しています。

舷側にずらりと一列、というのは出航してからのことになります。

「かしま」音楽隊が舷側にスタンバイ。
この時、岸壁では横須賀音楽隊が「軍艦」を演奏し続けています。

準備の間、横音は「錨を上げて」など軽快なマーチを中心に演奏していましたが、
隣の方が、何曲目かに、

「こういう時にアメリカの曲ばっかりというのはどうもね」

とまたしてもわたしに向かって呟きました。
言われてみれば4〜5曲めに演奏された「宇宙戦艦ヤマト」が
この日初めて演奏された国産のマーチというこの現状です。

「愛国行進曲」「太平洋行進曲」などは戦後世論への忖度ゆえ無理だとしても、
何年か前に演奏されたこともある「君が代行進曲」が最近さっぱり
演奏されなくなったのを、わたしは非常に寂しく思っております。

呉音楽隊が潜水艦をテーマにした委嘱作品を最近演奏しているように、
海自音楽隊は練習艦隊出航をテーマにした曲をどなたかに依頼してはどうでしょうか。
(提案)

ものすごいスピードで舷梯を引き揚げる作業が行われています。
またしても隣の方がわたしに、

「土曜日に海保の観艦式に行きましたが、あちらとは随分スピードが違いますな」

いや、わたしたちの乗った大型の巡視船は、何かあった時に
緊急出動するようなタイプの船ではないからでは・・・。

そんな好き勝手なことを言いながら見ている間にも、作業は早回しのように進みます。
舷梯に吊り上げのためのワイヤを引っ掛けて・・・。

牽引の準備が終わったら、最後に「かしま」乗員が乗り込みます。

前を上っている人が持っているのは、儀式で使ったお立ち台のようです。

手すりのない舷梯をものを抱えて駆け上るというのもなかなか怖いのでは・・。

この人が本当に本当の最後の「かしま」への乗艦者。

舷梯の吊り上げ作業を前列の国会議員は動画に撮っています(笑)

後ろ甲板では、作業の合図を待って、舫を持ったまま待機しています。

舷梯引き揚げの間、舷側から作業の進行を見守る係。

ところで、当ブログコメンテイター陣によると、「かしま」には
舷梯をぶつけてしまったと思しき痕が艦体に見られるわけですが、
一体どんな状況でそんなことになったのでしょうか。

これらの揚収作業を見る限り、よほどの強風でもない限り、
舷梯が外れるということなどありえない気がするのですが・・。

軍艦」が終わると、「かしま」艦上の遠洋航海音楽隊に演奏は移りました。
写真を見て呉音楽隊のクラリネット奏者が参加されているのに気づきました。

遠洋航海に随伴する音楽隊は全国の音楽隊からの志望者で構成されます。

舷側の他には艦橋付近に立つ実習幹部もいます。

純白の制服で舷側に立つ若き自衛官の一団、清冽さに溢れなんと凛々しいことか。

招待客は岸壁での見送りを促され、わたしも赤絨毯の後ろにやってきました。
左端でたった一人後ろを睨め回しているのは、防衛大臣付きSPです。
防衛大臣、外務大臣政務官、海幕長、横須賀地方総監らは台上からの見送りです。

ほとんど前振りなしで「まきなみ」がすでに離岸を始めています。

この同時刻、Kさんは軍港巡りの船の上から岸壁を見ておられました。
出航した「まきなみ」、海上からの写真。

時間差で出航する「かしま」の艦上では出航喇叭を待つ状態です。

X字型にかかっている舫を、二人の乗員がずっと持っていますね。
紺色の軍服はスウェーデン海軍、その左は在日米海軍の軍人です。

陸自の隊員が二人写っていますが、こうして陽の光の下で見ると、
空自の青とは全く異質の、まさに「紫紺」としか言いようのない色です。
「陸自らしさ」のポイントは右腕のワッペンだとこの日わたしは思いました。

「まきなみ」乗員に「帽振れ」がかかりました。

岸壁でも帽振れ。

こうして見ると海上保安庁の制服は、海自と全く違いクリーム色です。
帽子の振り方も、海自の人たちは軽く円を描くように降りますが、
海保は横に振っているような、若干違う振り方のように見えました。

今鹿島立ちせんとする艦上の若武者を、帽振れで見送る高官たち。

これと全く同じ光景が、ここ横須賀では戦前から繰り返されてきたのだろうな、
と、彼らの後ろ姿を見ながらわたしはしみじみと考えていました。

艦橋の上でも帽振れが始まっていますが、青ストラップの船務長?、
「かしま」艦長(赤)の二人は帽振れは行わないようです。

「まきなみ」艦上では左舷から右舷に移動を始めています。

わたしはこの時点で柵外に出て、自分の車に乗り込もうとしていました。
今年も観音埼に先回りして、見送りしようと思ったのです。

走る車からウィンドウ越しに「かしま」が最後の帽振れをしているのが見えました。

こちらは「軍港巡り」の船上から撮ったKさんの写真。
ほぼ同じ時間だったかもしれませんね。

練習艦隊去りし後の岸壁の様子。

さて、わたしはおそらく当日車で来場していた招待客の中で一番早く
横須賀地方総監部を離脱し、一路観音埼に向かいました。

去年観音埼灯台から見送るという方(司令官の盟友)に教えていただき、
ここを横須賀出航して30分後に練習艦隊が通過することを知りました。

観音埼灯台の下の駐車場に車を停めて歩いていくと、
すでに「まきなみ」の姿が見えてきていました。
この写真を撮ったのは1125、横須賀で最後に撮った「かしま」の写真は
1058です。

この日の観音埼灯台下には去年のように自衛艦旗を振る人の姿もなく、
去年と同じ「ご安航を祈る」の旗を立てて船を撮影している人に、
女性(おそらく参加者の家族)が一人話を聴きながら見送っているだけでした。

わたしは深い考えもなく、去年行ったから今年も、と思ったのですが、
あとで「観音埼まで行った」というと、ほとんどストーカーですね、と言われました。

舷側に白い登舷礼の立つ「まきなみ」には、防衛大学校の学生が
走水から四隻の船を出してお見送りをするのが毎年の恒例となっています。

「まきなみ」前方にいるヨットは、知り合いなのか、このあとずっと、
「まきなみ」が姿を消すまで横を伴走し続け、ご安航のおじさんに、

「迷惑だ!あのヨット、ナンバー調べて通報してやる!」

とブーブー文句を言われていました。
写真を撮っているおじさんには邪魔なヨットだったかもしれませんが、
「まきなみ」にすれば別に迷惑でもなんでもなかったのでは・・・。

続いて艦首から艦尾まで一列の登舷礼が美しく並ぶ「かしま」がやってきました。

防大の四隻は、最後にきっちり並んで、
「かしま」が去っていくのを見送っています。

「かしま」からは帽振れも行われ、一度は汽笛も鳴らされました。

この日、去年わたしがヨットに乗せていただいた防大卒の方が、
土曜日に行われた
学連OBレースの写真を送ってきてくれたのですが、
その写真に写っている防大卒女子は、なんとなんと、
この「かしま」に乗って遠洋航海に出航する予定の訓練幹部でした。

彼女も今この登舷礼の中に立ち、後輩の激励を受けているというわけですね。

見送りが終わると、防大の小艇は走水に帰って行きました。
一隻の艇には十人くらいの防大生が乗り組んでいます。

「かしま」は浦賀水道を通過しながら最後にもう一度汽笛を鳴らし、帽振れを行いました。

もちろんこちらに向かって帽振れしたわけではないと思いますが、わたしは思わず
彼らに向かって最後に大きく手を振り、心の中で行ってらっしゃい、ご安航を祈ります、
と呟いてから観音埼を去りました。

 

(練習艦隊シリーズはまだ終わってないので続く)