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空挺隊員のシニヨンと空挺歌「ライザーの血」〜平成30年度 第一空挺団降下始め

2018-01-18 | 自衛隊

「今日は『降下まつり』でしたねー」

次々これでもかと行われる空挺降下を見ながら口に出た言葉です。
下は18歳から最高齢52歳までの空挺隊員が日米合わせて
200名空挺降下を行ったというこの日の降下始め。

アメリカ陸軍の空挺部隊が参加するようになったのは去年からですが、
そのことについて某レッドフラッグ新聞が詳しく?報じています。

この日同行者との会話で、

「サヨクの人たちはとにかく武器武装についてすごく詳しいらしいですよ」

という話を聞いたのですが、この記事も大手新聞などより
米軍が降下始めに参加することになった経緯がよくわかるのです。


なんでも彼らは1月8日に行われる降下まつりの直前の5日になって、
米軍の参加を嗅ぎ付けたようです。

「敵地奥深くに投入され危険な任務を実行する日米部隊の
連携強化、一体化が進んでいます。」

うーん、この書きぶりは、つまり

「集団的自衛権が行使できるようになったので、米軍の戦争に巻き込まれ
奥地つまり敵国に投入されて危険な任務で自衛隊員が死んでしまう!
一体化が進んで、自衛隊が米軍のいいように利用されて日本が戦争する国になる!」

と言いたいわけですね。
日米両軍が一体化って正月早々何をわけわからんことを(笑いも起きない)


米軍の参加は前年度の12月21日に決まったそうで、
レッドフラッグによると防衛省の担当者は、

「米軍から『日米の連携強化をアピールしたい』との要請があった」

と米軍が訓練に参加することをこう説明したということです。

日米連携というのは日頃から両軍が陸海形を変えて行っていることで、
今更何を目くじら立てることがあろうか、とわたしなど思うわけですが、
記事の最後はやはりレッズらしく、ある
共産党市議による

「米軍から要請されたら断れない。
今回の訓練を出発点に歯止めがきかなくなるのでは」

という懸念の表明で締めくくっているのが様式美です。



沖縄に駐留する米軍の空挺隊が、自衛隊と共にその訓練を公開する。

日本に何かことあれば俺たちがいるぞ、という示威は、つまり
第一列島線を破るために、日夜攻撃を現実に仕掛けてきている某
国に対して
ショウオフするための軍事行為に他ならないのですが、赤い人たちって、
どうして現在進行形で行われている侵略については口を噤みながら
その一方、それを防ごうとする日米の同盟関係にばっかり文句を言うわけ?


さて、わたしたちにとっては寒いのであまり嬉しくないのですが、
空挺団を乗せるためにCH47チヌークがまた目の前に降りて来ました。

極限まで乗り出して着地地点の確認をしています。
この人落ちそうなんですけど、後ろで抑えてもらってるんですよね?

UH-1も目の前に降りました。
2年前まではどこか別のところで降下員を搭載して飛んでいましたが、
降下が展示のメインになったので乗り込むところも見せてくれます。

落下傘を背負った空挺隊員が一列になってヒューイに乗り込んでいきます。

乗り込むのに案外時間がかかるものです。

ドアを開けたままなので落下防止用のロープを張ってあります。
乗り組んだ隊員さんは皆胡座で待機。

将官旗を付けたチヌークからは迷彩軍団が降りて来ました。
やはり上空から指揮官降下を見学したようです。

そのあと、同じチヌークに米軍の降下員が乗り込んでいきました。
ところでこの写真を見て何か気づきませんか?

右から4番目、ヘリのクルーの右側にいる降下員、シニヨン結ってます

・・・・・つまり女性です!

こりゃたまげた、アメリカ陸軍は空挺団に女性兵士がいるのか。

調べてみたところ、空挺団の女性採用が決まったのは2015年からで、
戦闘任務の部隊でも女性の加入を認める声明が出されてからです。

海兵隊の特殊部隊養成プログラムに女性が加わり、ようやく一人が
それを終え指揮官として40人規模の小隊を率いることになる、
というニュースがオバマ政権末期に耳目を集めていましたね。

グリーンベレーも例外ではなく、厳しいプログラムを経て、
空挺隊に男性と同じ条件で加わる女性兵士が既に出現しているのです。

その後もしげしげとこの写真を見ていて、ヘルメットの形が
二種類あるのに気づいたのですが、グリーンのシニヨンの人が被っているのと
同じヘルメットの後ろの隊員も、体型が女性っぽい気がしてきました。

女性グリーンベレー、一人じゃない?

あれ、また小野寺防衛大臣がお供を引き連れて歩いて来ました。
いつの間にかチヌークに乗って機上から降下を視察したようですね。

まず先ほど乗り込んでいったヒューイから陸自の降下がありました。

そして女性隊員を含むアメリカ陸軍の降下が行われます。

この時、BGMは「リパブリック讃歌」に変わりました。
「リパブリック讃歌」は日本では「太郎さんの赤ちゃん」、首都圏では
「ヨドバシカメラのテーマ」など、
替え歌で親しまれているメロディですが、
なぜこの曲?

アメリカではよく替え歌を軍隊のテーマソングにするので、
この曲もそうではないかと思って調べてみると、ビンゴ。

空挺団御用達の

「ライザーの血」 Blood On The Risers

という替え歌が見つかりました。

ライザー(Risers)というのはパラシュートのキャノピー、
吊索と
ハーネスをつなぐ四つのストラップ部分のこと。
そのライザーの血・・・・・・・嫌な予感がしてきませんか。


実は、この歌、新人の空挺隊員がスタティックライン(傘を開くために
フックで機体に引っ掛けるケーブル)にフックを引っ掛けずに飛び降りたため、
パラシュートが開かず、予備傘も絡まってしまい、
地面に激突して
哀れ死んでしまうという内容なのです。

日本人なら縁起でもない、というところですが、あちらでは
啓蒙ソング(Cautionary tale)として、すなわち
空挺隊員の精神の戒めのために空挺団で広く歌われているのだとか。

 

 

1、彼は新米の空挺隊員、怖くて震えが止まらない
装備を点検しコンテナもきっちり閉めた
飛行機に乗ると飛行機のエンジンがこういっているようだ
”お前は2度とジャンプできないぜ!”

(コーラス)

血みどろ、血だらけ、なんて死に様だ
(三回繰り返し)
彼はもう2度と飛ぶことはない

 

元歌サビの「グローリー、グローリハレルヤ!」のところが

Gory, gory, what a hell of a way to die,

と変えられているのは誰が考えたかほんとに誰うま、って感じです。


しかし現地で鳴っていたのはサビの歌詞の字余り感を考えても
本家「リパブリック讃歌」の方だったと思います。

こんな内容をわざわざレコーディングして流すことはなく、
空挺隊員のブラックジョークというか、ランニングしながら歌う、
ミリタリー・ケイデンスのような位置付けで現場で愛唱されているのではないか、
とわたしは全部訳し終わった今、そう思っています。


というくらい、この歌詞、実に凄惨でシャレにならないくらい酷く、
内容はかなりの「閲覧注意」ですが、このノリもまた
アメリカ軍の一面ということで包み隠さず最後まで翻訳しておきます。

2、「誰かやる気のあるやつはいるか?」軍曹が探してる
俺たちのヒーロー、フィーブリーが「はい」と立ち上がった
凍りつく気流に飛び込んだが、スタティックラインに掛け忘れた
だからもう彼は2度と飛ぶことはない

(コーラス)

3、長いこと大声でカウントし、彼は衝撃の瞬間を待った
風を感じ、寒さを感じながら、落ちて行った
彼の予備傘から絹が溢れ、彼の両足にまとわりついた
だからもう彼は2度と飛ぶことはない

4、ライザーが首に巻きつき、コネクターが傘を壊す
サスペンションラインが彼の細い骨の周りに結び目を作った
傘が彼の経帷子になった 彼が地面に激突していったから
だからもう彼は2度と飛ぶことはない

5、生き、誰かを愛し、笑ったあれこれが走馬灯のように巡った
故郷に残してきた彼女のことを思った
彼は救護部隊のことも考えた 彼らがどんなものを見る羽目になるかと
そして彼は2度ともう飛ぶことはない

6、救急車が待機してる ジープが走り回ってる
メディックはジャンプして一斉に叫んでる 腕まくりして笑いながら
なぜって前回の「降下失敗」からもう一週間経ってるから
そして彼は2度と飛ぶことはない

7、地面に激突した時、ピシャーンと音がして血が高く噴出した
その直前彼の仲間は聴いた「なんて死に方だ!」という彼の声を
彼は横たわっている  自分の血糊の中で
そう、彼は2度と飛ぶことはない

8、(ゆっくりと二倍の遅さで)
ライザーの上に血、パラシュートの上に脳味噌、
降下服から内臓が飛び出してる
もう彼はむちゃくちゃだ 
皆で彼を拾い集めてブーツから彼を搔き出した 
そうさ もう彼は飛ぶことは出来ない

替え歌の元歌はここで終わりですが、この曲が生まれた第二次世界大戦後、
というかつい最近になって第101空挺部隊のベテランが、この続き、
「フィーブリーの息子バージョン」を作りました。

 

彼の妻と赤ん坊の息子に手紙が送られてきた
”奥さん、大変遺憾でありますがあなたのご主人は亡くなりました
しかしあなたが空を見上げれば、彼の名が空に刻まれています”
そう、彼はもう2度と飛ぶことはない

息子は長じて「僕も落下傘部隊に入る」といった
お父さんのような空挺兵に僕もなりたいんだと
お父さんの半分でもいいから上手に飛ぶのが望みだと
しかし彼はもう2度と飛ぶことはない

彼はアフガニスタン、続いてイラクに送られた
弾丸が飛んできて彼の背中深くめり込んだ
地面に倒れながら彼は手榴弾を敵陣に投げ込んだ

だから彼はもう2度と飛ぶことはできない

夫を、息子を失ったことは彼女を深く悲しませた
しかし彼女は誇りに思っている  二人が101部隊にいたことを
彼女は空を仰ぎ見る 夫と息子に彼女の嘆く声が届くだろう

彼はもう2度と飛ぶことはない

この歌はアメリカ陸軍の全空挺部隊で正式に採用されているそうです。
グリーンベレーは空挺部隊ではありませんが、その身上は

陸、海、空から作戦地域に潜入及び離脱ができる

というもので、空からはHALO(高高度降下低高度開傘)など
特殊な降下法を使用し、敵地にパラシュート降下することから、
空挺の時には空挺部隊のテーマソングを流していたのだと思われます。

チヌークから飛び降りた、女性を含む10人のグリーンベレーの傘が開きました。


ところで今回のことを調べていて知ったのですが、空挺部隊のソルジャーは
伝統的に歩兵と敵対というか、彼らをバカにしているらしいことがわかりました。

歩兵のことは「LEG」(歩くから?)と蔑み、喝を入れる時に

「なっとらん!お前らダーティレッグスか?」

とか罵るわけです。
同じ陸軍の中でも色々とあるんですね。
外の人には理解できないヒエラルキーが(笑)

 

 

続く。