ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

2013年度第一空挺団降下初め(空挺団長降下)

2013-01-16 | お出かけ

第一空挺団降下初めについてお伝えしています。
この日の訓練展示のテーマですが、

「島嶼防衛を想定した訓練」。

どうです?

つまり、離島における軍事進攻ならびにその奪還を想定しているのです。
なんと時期を得た、いかにもマスコミと隣国の嫌がりそうなネーミングではないですか。

プロペラ機を領空侵犯させて、もしかしたらこちらに「最初に撃たせて」
「あの事件」よもう一度とでも思っているらしい時代遅れの覇権主義国が隣にいて
現在進行形でケンカ売ってるわけですから当然ですよね。

ところで、先日このブログでも話題になったこの国の元駐在大使、
放言でクビになったあの元大使が東京でこの件について記者会見しました。
「この臨界点を超えてはならない」と日本に対してのみ自制を求め、
日本とこの国は「夫婦みたいなものだから仲良くするしか道はない」などと
一般人になっても相変わらずなことを言いたい放題だったようですが、
このBKD(ビーケーディー)に対してわたしは言いたい。
隣国を援助する国は亡びる、というマキャベリの言葉を添えてね。

「あれは単なるタチの悪い隣の赤の他人。
一度たりとも結婚などした覚えはない」


結婚相手は一人しか選べないんだから、
わたしはどうせなら相思相愛の台湾を選びたいわ(笑)
おっと、こんな話をするつもりではなかったの。

でも、もう一言だけ言わせていただきますね。
今回この降下訓練を報じた中国の新聞は、
まず、タイトルに

「アジア太平洋の平和に挑戦する安倍氏の強硬な動き」
としたうえで、
日本の防衛政策に精通するあるアナリストは
「今回の演習を通じて日本の軍事力を民衆に見せることで、
政権基盤を固めることを期待したもの
と指摘する

なんて書いているらしいんだけど、ご冗談を(笑)
あんたとこじゃあるまいし、軍事訓練で政権基盤が固まるような国なら苦労しませんて。

だいたい、降下訓練も訓練展示も毎年やっていて、これは「降下始め」なの。
年頭行事なのよ。わかる?

でも、この論調、全く同じような調子をどこかで読んだような・・・・。
あ、朝日と毎日でしたか。
あの新聞は、中国の新聞と同じ立場の記事を書いているってことだったのね。(棒)



それはともかく、それぞれが配置に付き、アナウンスがいよいよ「お試し降下」
(つまり、この後お偉いさんが飛ぶので露払い」の開始を告げました。



お試しは一人だけの降下なので、使用機も小さなUH-1から。



 

雲一つない真っ青な空に飛びだすパラシュート。
このパラシュートはフランス製。
昔、この第一空挺団の前身である帝国陸軍挺進団について書きましたが、
その訓練の様子で傘を安易にたたむことが命の危険に直結するため、
真剣にその実習を受けるシーンがありました。

「きちんと傘をたたむこと」ですが、今でもそれは最重要なのだとか。
たたみ方がまずいと最悪開かないというような事故を招くのだそうです。

 

着地点を示すため、下で目印のスモークを焚きますが、
この地点にほぼ違わず見事定点着地。
何の苦も無く両脚で降り立っています。
この日の訓練で何十人もの空挺隊員が降下しましたが、見ていたところ、
着地の時に立てない隊員は一人もいませんでした。
風がない日だったせいでしょうか。
それとも、そんなことは彼らにとって「当たり前」なのでしょうか。



簡単に見えますが、着地の時受けるショックは大変なもの。
鬼塚曹長みたいにC-1から落下傘なしで降りるわけでもあるまいに、
ふわふわ落ちてくるんだから大したことないんじゃない?って?
いやいやいや、その着地のショックは、ほとんど

「二階から飛び降りたのとほぼ同じくらい」

軽く言いますけどね、ヤワな一般人が二階から飛び降りたら、骨折るよ?下手すると。
なぜ空挺団というのが、いかに人間離れした鍛え方をしているか、というと、
こういう降下など、「目的のための手段に過ぎない」つまりできて当たり前。
この後の戦闘行動こそが本当の、そして最終目的であるからなのです。



傘を抱えて走る露払い降下員。
すれ違うのは赤旗、つまり「敵役」の戦車隊。
この模擬戦闘では「敵陣」は赤旗で示されていました。

あ、いま気づいたけど、敵が「赤旗」って、これ・・・・。



せっかくなので降下要員アップ。
航空祭と違って、たとえソロ降下でも名前は呼んでもらえません。
しかしたとえ名前は無くても、空挺団員である限り、それは
「とんでもない強靭な肉体を持つ自衛隊最強の精鋭」と同義なのです。


空挺団所属ということは、イコール空挺レンジャーの資格を持つということです。
自衛隊のエリートを自認する彼らは、元々高い身体能力を篩い分けられた
精鋭集団である上に、たとえば一か月くらい山中でサバイバル訓練をし、
泥水啜り草を食んだり、一晩中山中行軍して、辛さのあまりおかしくなった人がふと、
崖から下に飛んでしまったりするような極限の(その隊員はしかも死ななかったという)
訓練で、いやがおうにも鍛え上げられた、人間凶器のような集団。

ここで、本日のサバゲー・・・ではなく、訓練についての説明がアナウンスされました。



この赤旗と赤い煙の立つ部分が、侵攻し占拠された敵陣地。



こちらが我が日本軍基地。



これは・・・赤陣地の近くの「司令部」。
煙を出しているのは「ここがそうですよ」という観客へのサービス。



AH-64Dアパッチロングボウが降りてきました。

 

お迎えが二人来て、要人らしき人を取り囲んでアテンドしています。
黒い服に白い襟、白髪。
うーん・・・・・・これは・・・・・・・

服部幸應?

んなこたーない。
防衛大臣かとも思ったのですが、政権交代で新防衛大臣になった小野寺さんは
もっと若く見えるしなあ・・・。



さらにチヌークさんが後ろのドアを開けました。
これ、タラップの傾斜が急にならないように計算して
斜面に後部を向けて着陸していますね。
毎年やっているのでどこに停めるか決まっているのかもしれません。



そこから降りてきたのは・・・・・あれ?
どう見てもこれは一般の人ではない?
お年寄りや女の人までいる。
報道関係者にも見えないし、この人たちはなんだろう。
もしかしたら噂に聞く「自衛隊協力会」の人たちかな。

さて。
用意が整ったところで、突然ですがここで空挺団団長の降下です。
なんと。
空挺団というのは、それそのものが非常に特殊な部隊。
日本で唯一の空挺団でありますからして、ここの偉い人となると、
長がつくからといっても机の後ろにへばりついていることは許されません。

現場のトップが高度300メートルからフリーフォールでダイブすることを
当然のように要求される、それが陸自第一空挺団なのです。

前田忠男空挺団長は、防大31期を昭和62年に卒業したと言いますから、
47、8歳というところでしょうか。
この年齢の陸将補というのは若いような気もしますが、いずれにせよこの年齢では
若い隊員と同じ条件で飛ぶのはきつそうです。



陸将補の降下とあって、皆興味津々。
降下地点にはわかりやすいようにスモークが焚かれています。



しかし、スモークとは全く違うところに行ってしまいそうな団長の落下傘。
「ああああ」
「だめじゃーん」
やはり中年になると勘が鈍るのか。
皆がハラハラして見守る中、元第一空挺団の昔取った杵柄、
左回りに旋回しながらポイントへのアプローチを試みている様子。



それでもなんとかポイントに近づいているようではある。
他の隊員に比べるとぐっと体重もありそうですが、これが錘となって、
軽すぎて飛ばされてしまうよりは傘も安定するのかなと。

しかし、パイロットなら「いつまでも空を飛びたい!」という気持ちを持ち続けるのも
わからないでもありませんが、落下傘とはいえ生身で空を飛ぶのって、どうなんでしょうねえ・・・。
勿論、実際の降下訓練も忘れない程度にときどきおやりになるんでしょうが、さすがに
陸将補にもなると、荷物かついで行軍とか、銃持ってマラソンとかしないでしょうから、
やはり降下そのものに少し恐怖心が生まれてしまうのではないかしら。

そして、この多くの関係者の前で観衆の上に落ちてしまったり、派手に転んで
「亀の子」になったり、もしそんな無様なことになったが最後、
今後どんな偉そうに訓示をしたって説得力ゼロ、部下の心に全く響きません。

このプレッシャーは体力の衰えよりきついと見た。

そんな万感の思いを込めて、陸将補は飛ぶ。
BGMは円博志、「夢想花」。

「飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで回って回って回ってまわる~」(嘘)



というわけで、回りながら陸将補、スモーク地点からはるか離れてはいるものの、
ちゃんと二本の足で習志野演習場の大地を踏みしめることができました。
下半身写ってませんが。

後から当日来ていたらしい元自衛隊の髭の隊長、佐藤正久議員のブログを見ると、
このFF(フリーフォール)をするにはどうやら資格がいるようです。
前田陸将補はその資格を持っており、白い傘はFF用のものなのだとか。
FF用は、作戦に使用する機材を携行して降下するので、普通のスポーツ降下の傘より、
若干大きなものなのだそうです。



何しろ偉い人なので、一般の隊員とは違い、自分で片付けなくてもOK。
二人の隊員が駆け寄り、パラシュートの取り外しも手取り足取りやってくれます。



「見事でしたな陸将補どの!(って呼ぶのかな陸自だし)」
とニコヤカに団長の降下成功をねぎらう隊員。
ヘルメットの隊員は黙って傘を片付ける係です。
「いやー、ちょっと流されてしまったわい」
「そんなことはありません!さすがです!」
なんて会話をしているのでしょうか。(妄想)



こちらは陸将補に少し遅れて降下したやっぱり偉い人。
えー、この人の肩書は・・・・忘れました。
さっきの陸将補の傘とこちらの傘をまとめて片付けています。
ちなみにこちらの人も降下成功。



会場の右手には大きなスクリーンがあり、ずっと第一空挺団の
紹介ビデオなどやっていたり、どういうわけか
「I love you ふくしまーI need you ふくしまー」
という、あまり大きな声では言えないけれど、音楽関係者にとっては
かなり「イラっとくる」あの福島応援ソングが流されたりしていました。

実演が始まると、見ることのできない人のために、このように
アップの映像が流されていたようです。
まあ、ほとんどの人はあまり見ていないようでしたが。
これはどうやら陸将補どのが意気揚々と引き揚げるの図。




というわけで、無事に偉い人の降下が終わりました。
さすがは第一空挺団、指揮官先頭を絵に描いたようなしきたりですね。

前田陸将補のモットーは

「心常に空挺を離れず」

さすがです。
心のみならず実際に空挺してしまってますから。


というわけで、案の定こんな話になると重爆の隅をつつくように
いろいろと突っ込まずにはいられないエリス中尉、
今日も肝心の降下訓練までたどり着けませんでした。


続きます。