兄弟

2008年04月14日 | 健康・病気
「兄弟」(なかにし礼著 文春文庫)を読んだ。
これは小説というより実話なんだろうな、と思って私は読んだ。
ほら吹きでみえっぱりの兄政之と
真面目で堅実に人生を生きた弟禮三の物語です。
同じ親から生まれたのにどうしてこうもちがう人生を生きてしまうのか。
政之には戦争に行ったということはあるだろうが、
それに甘えてしまったと思う。
特別操縦見習士官だったのに、
特攻隊の生き残りだと嘘をつき、戦後、自分を美化して生きた。

禮三がどのようにして作詞家になったのかが書いてある。
政之が弟にしたことのひどさを思うと、
禮三の生き方のまっとうさが伝わってくる。
でも、この物語を弟禮三が書いたということに、
ちょっとなァーという気持ちにさせられた。

でもこの禮三の生き方が私は好きだ。
こんなふうに生きられたらよかった。
このように生きたかったが私にはできなかった。

禮三は最初の新婚旅行で石原裕次郎と会う。
そこで作詞をするように勧められる。
それまで禮三は大学生活をしながら、
シャンソンの訳詞をして暮らしていた。
禮三が立教大学に憧れ、2度も入ったことに感心した。
(息子と同じ大学ということが嬉しかった)
1度目は金がなくて仕事をしなければならず退学した。
彼は苦しみながらも作詞をし、石原プロに持っていく。
そしてそこから作詞家への道へと続いていく。

私にもそれに近いことがあったがそれを活かせられなかった。
禮三は努力した。
私は努力しなかった。
(このことはいつか九想話に書きたいと思います)

私にも3歳ちがいの兄がいる。
読みながらその兄のことをずうっと考えていた。


兄弟 (文春文庫)
なかにし 礼
文藝春秋

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コメント (4)
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