戦力外通告

2008年04月01日 | 健康・病気
「戦力外通告」(藤田宜永著 講談社)を読み終えました。
513ページの長編です。
東京新聞などに1年間連載されたものなんですね。

主人公は宇津木秀明55歳。
アパレルメーカー「鳥本」をリストラされて無職となる。
妻と、結婚した娘がいる。

私と同じ歳の無職の男の小説、
ということを知ってこの本を読みたいと思った。
しかし、読んでいくと私の境遇とはまったく違い、
それなりに会社で成功をおさめた男の話だった。
先代の社長が病死して、
社長になった息子と意見が合わずに退職させられた秀明。
仕事を探しながらも、中学のときのクラス会があり、
むかしの友人たちとつきあい始める。
クラス会のために故郷の長野県の佐久市に行ったときに、
昔つきあっていた1つ下の女性と偶然に出会い、恋に落ちる。

妻の恵理子は、秀明が無職になってから仕事を始める。
そして職場の若い男と恋をする。
小説の後半は、妻からも“戦力外通告”をされそうになる秀明が、
自分の恋と妻の恋との折り合いをどうつけるかで悩む。

まぁ、男なんて勝手だなと思う。
自分だったらどうするか?
いや、その前に、現在の環境で私に“恋”なんてありえない。
だからそんなことを思い煩う必要はないが、
小説のストーリーに心を揺れ動かすのは私の自由だ。
せめて小説を読んでいるときぐらい“恋心”を持っていたい。

最後まで読んでいて、主人公にうらやましさを感じていた。
無職になったといっても、あまり経済的に困っている様子はなく、
六本木や銀座などを飲み歩き、恋人とは軽井沢のホテルで会う。
移動にはタクシーをよく使い、私の暮らしとは雲泥の差です。
あぁ…、同じ55歳とはいえ、
この落差はなんなんだと思いながら読み続けた。


戦力外通告
藤田 宜永
講談社

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