習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『スーパー・チューズデー 正義を売った日』

2013-12-21 21:13:07 | 映画
大統領選を舞台にして、一人の野心家の青年が、政治の世界の醜い現実に揉まれて自分を見失っていく姿を描く。ほんのちょっとした失敗で命取りになる。でも、正義ってこんなものなのか? 選挙戦を勝ち抜くための様々な汚いやり取りなんて、今までもいろんな映画で見てきた。だから、この映画が描くものに対して別にショックは受けないけど、この映画を見ていて、なんだかやるせない気分になったのも事実だ。 政治家になるっ . . . 本文を読む
コメント

『みんなで一緒に暮らしたら』

2013-12-18 19:42:05 | 映画
 これは一種の理想論だ。年老いた人たちが仲よし同士でお互いの介護も含めて、みんなで助けあって幸せに暮らせたなら、そりゃあ素敵かもしれない。でも、そういうコミューンって若い人たちであっても難しい。  最近、老人を主人公にした映画が大流行りだ。映画を見る観客が高齢化してきたから、自ずとそんな老人をターゲットにした企画が増えてきたからだろう。かつては若者文化だった映画は今では、高齢者に支えられた娯楽に . . . 本文を読む
コメント

『シグナル』

2013-12-18 19:40:49 | 映画
 谷口正晃監督の最新作。『時をかける少女』で仲里依沙を、『乱反射』では桐谷美玲を主人公にして、往年の大林宣彦の少女映画のような新鮮で、清冽な小佳作をものにしてきた彼が今回、手付かずの新人、三根梓を起用した青春映画。田舎町の映画館が舞台になる。  心に深い傷を負って、そこから出られなくなった少女が、ひとりの青年と出会い、少しずつ心を開いていく。よくあるパターンのお話なのだが、それが映画館を舞台にし . . . 本文を読む
コメント

『47RONIN』

2013-12-17 21:54:11 | 映画
. . . 本文を読む
コメント

重松清『ファミレス』

2013-12-17 21:48:39 | その他
『ファミレス』というタイトルは、「ファミリーレストラン」のことではなく、『ファミリーレス』のことではないか、と途中で気付く。終盤ではちゃんとそのことが明言されるのだが、さらに最後には、だからこれは「ファミリーレストラン」でいいのだ、と思わされるように出来ている。そのへんが重松清らしい。そんな作品だ。家族を失くしてしまう話だ。だが、その先に話は進む。 3人の50前後の男たちが主人公。いい年して . . . 本文を読む
コメント

『利休にたずねよ』

2013-12-16 21:10:38 | 映画
 こんなにも緊張感にある映画を見られてうれしい。とても静かな映画で、派手なシーンはないのに、ドキドキさせられる。軸となるのは利休(市川海老蔵)と秀吉(大森南朋)の対決のドラマなのだが、実は、利休が自分自身と向き合うドラマでもある。どちらかというと、後者。茶の湯という小宇宙の実現をこんなにも見事に映像化して見せきる。  この映画の凄いところは、動きがほとんどないのに、しかもセリフもほとんどないのに . . . 本文を読む
コメント

『運命のボタン』

2013-12-16 20:32:50 | 映画
 映画の原題は『THE BOX』と、とてもそっけない。でも、この日本語タイトルの方は、もっと味気ない。どちらもそのまんま。ある箱の話で、そこにはボタンが入っている。そのボタンを押すと、運命が変わる。ミステリーなのか、と思い見始めるのだが、話は意外な方向へとスライドしていく。啞然とするけど、それでも惹きつけられる。リチャード・マシスンの短編小説『死を招くボタン・ゲーム』(原題は『 Bu . . . 本文を読む
コメント

劇団ほこりまみれ。 『我々の愛したアノ娘』

2013-12-16 20:31:46 | 演劇
ウイングカップ参加作品の第6弾。残すところは後ひとつになったのだが、この作品も含めて、今回の参加団体全体のレベルはすこぶる高い。過去3回のようなアンバランスはない。しかも、みんな凄く真面目。見ていて、こちらが恐縮するほどだ。真面目すぎてつまらない、というのはよくあるパターンだが、これらの作品はそうではない。真面目で、よく出来ていて、面白い。それって、凄くないか。 さて、今回の「劇団ほこりまみ . . . 本文を読む
コメント

『永遠の0』

2013-12-13 21:46:26 | 映画
 素晴らしい映画だ。ラストの岡田准一の幽かな薄い笑い顔が心に沁みる。零戦で空母に激突する。機体が急降下していく。その時、彼は何を感じたのか。そこにタイトルが出る。映画が始まって既に2時間15分が過ぎようとしている。これはそんな「0」に向けてのドラマだ。生きて帰ると約束したから、何があっても死ぬわけにはいかない。臆病者と言われてもムダ死には出来ない。妻と娘のところに帰るため。このラストシーンが始まり . . . 本文を読む
コメント

突劇金魚『夜に埋める』

2013-12-13 21:36:47 | 演劇
 朝子と川田が夜の海に漕ぎ出すラストシーンが美しい。夜の高層ビルの赤いランプが恐竜の目に見える。芝居はアトリエS-pace という小さくて狭い空間を実に見事、有効に使い切る。階段状で迷路のような抜け道だらけのこのセット(サカイヒロト)は、この芝居の重要な要素だ。闇と隙間のジグザグな通路、廃墟を思わせる。具象と抽象がごっちゃになる。そんな空間で展開する不思議なお話。  朝子は夜のビルの清掃の仕事を . . . 本文を読む
コメント

三角フラスコ『花鋏』『指先から少し血が流れ始めた』

2013-12-13 20:45:15 | 演劇
こんなにもド真ん中。『指先から少し血が流れ始めた』は受け止めるほうも指し示すほうも、かなりの覚悟が必要な作品なのではないか。作者の中村賢司さんの今の気持ちが気負うことなく、かといって冷静すぎることもなく、等身大に提示されている。養護学校で働く。あまりの重労働で心身のバランスを崩していく。逃げるのではない。自分の力量不足を嘆くのでもない。ただ、疲れた。オーバーワークのため、子供たちを大切にしたいと . . . 本文を読む
コメント

劇団きづがわ『真珠の首飾り』

2013-12-13 20:41:05 | 演劇
 これはとてもオーソドックスな芝居だ。正攻法で自分たちのメッセージを声高に伝える。伝えたいことがあるから、それをしっかり伝えきる、そのための芝居だ。しかし、それがひとりよがりの押しつけにはならない。気持ちのいいほどにストレートなメッセージがちゃんと届く。しっかり受け止めた、と言える。そんな芝居なのだ。演出の林田時夫さんの熱い想いが客席に沁み渡る。  日本国憲法がいかにして作られたのか、という戦後 . . . 本文を読む
コメント

コンブリ団『ガイドブック』

2013-12-09 22:41:33 | 演劇
 はしぐちしんの1年半ぶりの新作。でも、前作は『ムイカ』の再演だったから、もっと久々、ということになるのか。それはさて置き、コンブリ団は来年10周年を迎えるらしい。当日パンフの挨拶文で知る。今回が第7回公演。実にマイペースだ。10周年だからといって何もしないかもね、と書く。そんな風に、はしぐちさんは今回も自由自在で、絶好調だ。  自分のスタイルに縛られることなく、手に入れたこのスタイルでどこまで . . . 本文を読む
コメント

『リアリティー』 ほか3本

2013-12-09 22:41:09 | 映画
 これはとても痛ましい映画だ。ただの魚屋のオヤジが、TVのバラエティ番組のオーディションを受けて、その気になる。自分もスターになれると夢見て、気づくとすべてを失ってしまっている、という話。妻がいて、子供たちがいる。ささやかだけど幸せな人生。なのに、現実を見失って夢の世界の住人になる。しかし、彼が生きているのは、この現実で、夢の世界はそこには訪れない。マフィアの抗争を描く大作『ゴモラ』を撮ったマッテ . . . 本文を読む
コメント

碧野圭『書店ガール2 最強のふたり』

2013-12-09 21:18:40 | その他
完全に前作の続き。あの後、ふたりはどうなったのかが描かれる。前作を読んだ時、最初はあまり面白いとは思わなかったけど、だんだんこの作品の世界に嵌ってきて、ページを繰るスピードが上がって行き、一瞬で読み終えた。よく出来たTVドラマを見ている感じ。別にどうってことはない小説なのだが、読ませるのだ。しかも、書店員の話なので、とても身近な気分にさせられる。(と言っても、自分が書店員なのではない。本が身近な . . . 本文を読む
コメント