習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

オリゴ党『だれかのおとうと』

2016-09-29 20:13:39 | 演劇
  このタイトルに心魅かれた。しかも、ハガキ(今回の公演ではチラシは作れていないからこのポストカードがチラシの代わりになり、ばら撒かれた)に書かれた文章にも。この芝居に関する情報はその一文だけだ。内容に触れているわけではないけど、娼婦、姉弟(ここでは「きょうだい」とひらがな表記)という本編のキーワードもちゃんと、ここには提示されてある。   美しいと醜いは表裏一体の関係に . . . 本文を読む
コメント

『怒り』

2016-09-25 08:44:21 | 映画
  この秋、一番見たかった映画をようやく見た。なんだか、期待値が高すぎて見るのが怖い気もしたけど、満を持して、見る。最初から最後まで期待通りの作品に仕上がっていたので、ほっとした。   というか、ほっとした、って、なんだぁ? それって、実は思った以上の映画ではなかったということの裏返しではないのか。そうなんだ。予想した通りの傑作だったことに、少し戸惑いを隠せない。なんだか . . . 本文を読む
コメント

『オーバーフェンス』

2016-09-24 22:29:06 | 映画
  この秋、一番の期待作は『怒り』であろう。じゃぁ、それをまず見に行けよ、と思うけど、まず、2番目の期待作であるこれから見に行く。山下敦弘監督が、佐藤泰志の作品を映画化するのは、いかにも、で、これは結果的に、高い評価を得ている熊切和嘉監督『海炭市叙景』、呉千保監督『そこのみにて光輝く』に続く「函館三部作」最終章となる。先の2本と比較する必要はないけど、同じ原作者の同じような「いじけた小 . . . 本文を読む
コメント

『グッバイ、サマー』

2016-09-24 22:29:06 | 映画
  これはなんとミッシェル・ゴンドリーの自伝的映画らしい。14歳の少年がひと夏の旅に出る話だ。自分たちで作った自動車型の家。今回のゴンドリーのガジェットはこの「動くログハウス」だけ。学校に溶け込めない少年と、同じようにクラスに違和感を抱く転校生。今回はファンタジーではない。結構リアルで、ふつうの青春映画だ。彼らの旅をセンチメンタルに描く。青春回顧映画。   あの時、ゴンド . . . 本文を読む
コメント

SSTプロデュース『月光町月光丁目三日月番地』

2016-09-24 22:26:02 | 演劇
  船場サザンシアターが出来てもう5年になる。だから、「SSTプロデュース」も5周年。5年間で8本の作品を上演してきた。当麻さんが自分の劇場を作り、そこを拠点にしてSSTプロデュースとして自分が好きな作品を好きな役者を集めて上演する。ここはそんな夢の場所だ。妥協することなく、自由に贅沢な時間を使い、作品を作る。なんて素敵なことだろう。   もちろん、私財をなげうって、とん . . . 本文を読む
コメント

アマサヒカエメ『次は、終点』

2016-09-23 22:00:17 | 演劇
  この3月、旗揚げ公演をなんとHEPホールで行い、700名以上の動員を記録したという新鋭劇団。早くも第2作の登場である。若い集団で元気のある人たちが、自分たちを信じて「好き勝手する」って、いいなぁ、と思う。若いから何でも許されるわけでもないし、若いということは未熟で、お金もない(はずなのに、HEP)し、傲慢(かも)。でも、何をも怖れることなく攻撃的なその姿勢が羨ましいほどだ。ただ、今 . . . 本文を読む
コメント

エイチエムピー・シアターカンパニー『四谷怪談』②

2016-09-19 21:54:55 | 演劇
   女性だけの公演である「猫組」に続いて、男性ばかり5人で演じる「鼠組」も見た。同じ作品を同じ演出で見せるのだが、微妙に違うものになる。その差が面白い。   向こうが女性7人に対してこちらは5人である。そのぶん各役者への負担は大きくなる。そのとばっちりを一番に食らったのが、澤田誠だ。なんと彼はお岩をはじめ9役も演じることになった。終演後、ロビーで澤田さんに会っ . . . 本文を読む
コメント

『ビック・フレンドリー・ジャイアント BFG』

2016-09-19 21:36:16 | 映画
  スティーブン・スピルバーグが久々にファンタジーの世界に戻ってきた。しかも、原作はロアルド・ダールの児童文学だ。さらには今回初めてディズニーとタッグを組む。内容は単純で、これはおとぎ話や童話だ、と言っても問題ない。純粋に子供たちのための映画である。素直すぎるほどに素直な映画児童映画。 『E・T』から30数年。最近はSFすらやらず、シリアスな映画ばかりを作ってきたけど、彼の原点は子供 . . . 本文を読む
コメント

演~en~『恋の波間はラストクルーズ』

2016-09-19 20:53:46 | 演劇
  先週のレトルト内閣『革命少年』に続いて、なんと2週連続で三名刺繍さんの新作を見る。銀幕遊学レプリカントの佐藤香聲さんの演出だ。このなんともいいようのない「土曜サスペンス劇場」のようなタイトルとチラシ。もちろんそれはあきらか確信犯だ。故意に軽いタッチで作られてある。 神戸港のナイトクルーズで出逢った謎の美女。別れ際、彼女が残した言葉。もう一度彼女に逢いたいという想いに導かれ、訪れた . . . 本文を読む
コメント

エイチエムピー・シアターカンパニー『四谷怪談』

2016-09-18 20:15:08 | 演劇
9月7日から20日まで2週間で18ステージ、男性キャストだけの「鼠組」と、女性だけの「猫組」の2ヴァージョンで見せる。関西の小劇場でこれだけのロングランはあまりない。エイチエムピーは精力的にこのロングラン興行に挑んでいる。僕が見た15日の回は満席だった。   『桜姫東文章』を原作にした前作『桜姫』に続いて今回「現代日本演劇のルーツ」シリーズの新作として取り上げたのは鶴屋南北の『四谷怪 . . . 本文を読む
コメント

『キング・オブ・エジプト』

2016-09-16 19:26:40 | 映画
  これもまた食傷気味のSFX大作だ。だが、飽きずに見たのは、これが可能性を秘めた作品かも、という一縷の期待があるからだ。それと、少しお疲れ気味なのであまり小難しい映画は勘弁、との思いもある。アホなアトラクション映画は見たくない。ちゃんとした娯楽活劇を見たい。昔ならスピルバーグが作ってくれた。でも、彼は今はもう『インディー・ジョーンズ』は作らない。 技術の進歩はどんな奇跡も可能にした . . . 本文を読む
コメント

『四月は君の嘘』

2016-09-16 19:19:29 | 映画
久々に難病物の映画を見た。昔はアイドル映画の定番だったのだが、今ではもうアイドル映画なんて言うジャンルが消滅してしまったから、自然となくなったけど、こんなところに隠れていたなんて。広瀬すずと山崎賢人主演の青春映画という次元でさすがにうんざり、という気もしたのだが、監督が新城毅彦なので、やはり外せない。8月の『青空エール』の時も同じような理由で見たけど、あれは期待通り、やはり面白かった。三木孝浩がつ . . . 本文を読む
コメント (1)

『ディアスポリス  -DIRTY YELLOW BOYS-』

2016-09-13 22:41:38 | 映画
  これは「この秋、一番の期待作」の1本。(この秋はこれだけではなく、期待作がたくさんある!)熊切和嘉監督によるアクション映画だ。東京の裏都庁、という設定が斬新。それだけでいろんな騒擾力を刺激する。不法滞在の15万人に及ぶ外国人たち。彼らとどう向き合うか。金融庁の関与しない銀行、厚労省の認可しない病院、そこには何でもある。そして、彼らを守る裏警察もちゃんとある。その署長が松田翔太。彼が . . . 本文を読む
コメント

『超高速! 参勤交代 リターンズ』

2016-09-13 22:38:53 | 映画
  まさかの続編だ。アイデァ勝負の作品だから、絶対もう一回なんてないわぁ、と思う。台本は不可能。何をしても前作を越えられないし、二番煎じにしかならない企画。討ち死に覚悟で作ったのではないか。前作がまさか!のヒットで松竹は気を良くして、例によってもう1本、という昔ながらのワンパターン。(しかも、タイトルの『リターンズ』ってなんだぁ? 時代劇のタイトルではないよな、それ。)   . . . 本文を読む
コメント

レトルト内閣 『革命少年』

2016-09-13 22:11:25 | 演劇
   三名刺繍さんが今回取り上げたのは在日の家族。戦火の中、神戸で生まれた少年が戦後を生き抜く姿を描く。朝鮮半島から日本にやってきた父親。彼を追ってひとり日本へやってきた母。彼らが夢見た日本は決して彼らに優しいわけではない。強制連行ではなく、自分の意志でここにきた。甘くない現実にぶち当たり、でも、父親はいつまでも夢だけを追いかけて、やがて家族を棄てる。三人の幼い子供たちを抱え . . . 本文を読む
コメント