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映画・演劇のレビュー

劇団きづがわ『追憶のアリラン』

2016-12-31 01:02:25 | 演劇
この芝居とは直接関わり合うことはない個人的なことだが、この夏、僕も韓国に行ってきた。10数年前、初めて訪れた釜山を再訪した。今度もいつもと同じように徒歩での街歩きが中心で、今回はどちらかというと、観光地ではなく、なんでもないところばかりを見て来た。だから、あまり有名なところには行ってない。どちらかというと、人があまり行かないところが中心で、やはり楽しい。(まぁ、前回行った時、おのぼりさん状態だった . . . 本文を読む
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無名劇団『ハッスル☆ライフ』

2016-12-31 01:00:46 | 演劇
チラシにあった解説は強烈だった。「祖母と私」を描くということはそこにちゃんと書いてある。でも、あれだけ見たらもっと凄まじいお話を想像した。しかし、実施の芝居はもう少しマイルドなタッチになっている。太宰治の『走れメロス』を引用して、目的に向かって全力で走りぬけていく少女の人生を描く島原夏海の自伝的作品。 祖母と本人との関係を題材にしたのだが、それを劇団員と話し合いアレンジして台本とした集団創作 . . . 本文を読む
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『ポッピンQ』

2016-12-31 00:59:06 | 映画
東映動画(東映アニメーション)60周年記念作品である。歴史あるスタジオの還暦祝いとなる新作としては少し残念な作品だ。大予算の超大作を期待したのではない。お祭り的な作品ではなくてもいい。だけど、60年の伝統を受け継ぐ、そして未来へむけての記念碑的な、そんな作品であって欲しかった。でも、この作品では、わざわざ「60周年記念作品」という冠をつける意義を感じない。 ただ、確かに東映アニメらしい作品で . . . 本文を読む
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原田マハ『暗幕のゲルニカ』②

2016-12-31 00:56:08 | その他
残り300ページを読んだ。前回①を書いた後、すぐに一気に読んでいたのだが、その後が忙し過ぎて書く暇がなかった。あまり間が空きすぎて、何を書けばいいのか、わからないけど、最後まで読むと、なかなかエンタメで、最初の印象とは違う。 ゲルニカを奪え、という感じのサスペンスになる。これなら、僕は『楽園のカンヴァス』のほうが好きだ。戦争を背景にした美術ドラマで、ふたつの時代をつなぎ、あの頃も今も同じよう . . . 本文を読む
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原田マハ『暗幕ゲルニカ』①

2016-12-27 01:02:01 | その他
また、絵画と画家を中心に据えた作品だ。キュレーターだった原田マハは近年このパターンで幾つもの傑作をものにしている。本の帯には「『楽園のカンヴァス』を凌ぐ壮大な美術ドラマ」(by大森望)とある。そうかぁ、これは美術ドラマなのか、と感心する。こういうシンプルなネーミングはいい。 今回はピカソである。彼がいかにしてゲルニカに至ったか。ピカソとドラの話に止まらない。戦争についてのお話。2001年、9 . . . 本文を読む
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『百日告別』

2016-12-27 00:59:39 | 映画
トム・リン監督の新作だ。日本では来年の春、公開が予定されている。すでに東京国際映画祭で上映されている。待ちきれないから、またDVDで見た。もちろん、今回も日本語字幕はない。中国語字幕のみだ。でも、シンプルなお話なので、概要は十分に伝わる。 大きな自動車事故でたくさんの死傷者が出た。そこで妻を失った男と、恋人を失った女の、それぞれの痛みを描く。ふたりに接点はない。事故という共通項はあるけど、そ . . . 本文を読む
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12月の小説

2016-12-23 10:31:45 | その他
小説ではないけど、谷口ジロー、関川夏央の『坊ちゃんの時代』を読んだ。夏目漱石を主人公にした明治の青春群像だ。文士たちを主人公にする。1巻では漱石。2巻では鴎外。3巻では石川啄木を。だが、主人公はあくまでもたくさんの人たちのひとりでしかない。どちらかというと周辺のエピソードのほうが面白かったりもする。2巻ではドイツから鴎外を追って日本までやってきたエリスが出会う人々のお話。二葉亭四迷のほうが鴎外より . . . 本文を読む
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12月の映画 DVD

2016-12-23 10:27:28 | 映画
今月も時間の許す限り、見逃していた貴重な映画をTUTAYAでフォローした。1本1本にちゃんと触れたいけど、なかなか時間が取れなくて、そのうち、それらの素敵な映画が、もうどんどん記憶の果てになる。 8本見た。そのどれもが面白い。どちらかというと、同時期に劇場で見た映画よりも素晴らしい作品が多い。まぁ、膨大な量の映画がリリースされているのだから、その中から厳選した作品である、当たり前の話だろう。 . . . 本文を読む
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『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

2016-12-23 10:24:17 | 映画
今年2本目の三木孝浩監督作品だ。夏の『青空エール』はあまりのパターンにうんざりさせられるような企画だったのに、それを逆手に取り、新鮮な作品に仕立てていて、さすが、と思わされた。デビュー作『ソラニン』から一貫して青春映画を撮り続け、(『くちびるに歌を』のような作品もあるけど、あれだってある種の青春映画だと呼べる)なのに常に新しい作品を作り続ける。そのモチベーションの秘密ってなんなんだろうか。それぞれ . . . 本文を読む
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May『モノクローム』

2016-12-20 22:18:09 | 演劇
今回金哲義さんは「映画」を題材に選んだ。だが、それを「失われたもの」という普遍的なものへと還元する。いや、まだ失われてはいない。だが、もうすぐに完全に過去になる。そんなものとして映画を取り上げる。彼らしい。 昭和30年代。映画の黄金期。その影で失われていくもの。戦時中、戦意高揚映画に出演しパージされた大物女優。彼女をもう一度銀幕に復帰させようとした人たち。失われていたフィルム。 今、映 . . . 本文を読む
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覇王樹座『駄駄』

2016-12-20 22:13:41 | 演劇
大学生の学外公演を見るなんて、あまりないことだ。リスクも大きいから、なかなか勇気が出ないし、時間もない。でも、こういう機会が大切だな、と思った。チラシを見た時、心惹かれた。独りよがりで頭でっかちの作品になっていたなら、それは嫌だな、と思ったけど、この作品は大丈夫だった。 この芝居はあたりだった。挑発的なアプローチも含めて、いろんなことがとてもおもしろい。それだけに、90分間でどこに着地するの . . . 本文を読む
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雲の劇団雨蛙『夕暮れは、』

2016-12-20 22:09:59 | 演劇
当日いただいたパンフには「台詞と詩と手紙、朗読劇の為の台本」とある。そういうことだったのか、と後で気付く。 まるで何も知らないまま見始めたので、最初は驚いた。いくつもの手紙を読むという行為。そこには一貫性がない。個々のテキストの関係性がなく、独立したものが提示させる。それが1時間ほどの芝居というスタイルの中で提示される。そんなスタイルにとまどう。 還付される郵便。宛先不明のままでポスト . . . 本文を読む
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『ローグワン スターウォーズ・ストーリー』

2016-12-20 22:07:46 | 映画
なんとこれはエピソード4(要するに最初の『スターウォーズ』ね)の直前を描くスピンオフ作品。昨年復活したシリーズ7作目、エピソード7『フォースの覚醒』に続いて2年連続でお正月映画にスターウォーズが登場した。 これからは毎年『スターウォーズ』が見られるようだ。それはファンにとっては喜ばしい出来事だろうが、僕はもう2作目で飽きてしまった。『スターウォーズ』自体は好きだからうれしかったけど、なんだか . . . 本文を読む
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『海賊とよばれた男』

2016-12-18 02:13:56 | 映画
大ヒット作『永遠のゼロ』に続いて、原作百田尚樹、監督山崎貴、主演岡田准一で放つ第2弾。前作以上に困難な挑戦に挑む。この長大な原作を2時間半の映画にしてまとめ上げることは至難の業だ。どうしてもダイジェストになる。どこかをポイントにして作るわけにはいかない題材だから、お話はすべてをフォローするしかない。そうするとやはりダイジェストにならざる得ない。 主人公の戦後から話を起こした。まだ若い岡田准一 . . . 本文を読む
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『疾風ロンド』

2016-12-18 02:11:27 | 映画
この映画の原作小説を読んだとき、最悪だ、と思った。東野圭吾の数ある作品の中でも、最低ランクに位置する出来だ、と思った。悪夢のようなつまらなさ。最初から文庫で出るのも、さもありなん、というトホホ作品で、出来損ない、としか、言いようがない。だから、読んだことも忘れようと思った。 それから、数年。あの悪夢再び。なんと東映がこの小説を映画化する、と知った。何度となく予告編も映画館で見せられた。阿部寛 . . . 本文を読む
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