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映画・演劇のレビュー

ウラナチ・プロデュース『TRIP』

2011-11-29 21:14:09 | 演劇
北加賀屋に新しく出来たこのスペースに初めて行った。というか、この企画がオープニング・フェステバル作品のようだ。まず、この空間のことから書き始めたい。受付となったク・ビレ邸は、古い木造住宅をリフォームした建物で、基本的には外観はそのまま残して(そこは弄れないらしい)内装を大胆に改造したこの計画全体(北加賀屋のとあるエリアの古い住宅を順次改装して芸術活動の一大拠点を作るものみたいだ)のインフォメーシ . . . 本文を読む
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濱野京子『レッドシャイン』

2011-11-29 20:40:43 | その他
終盤まで話があまり弾まない。最初はモタモタして、いつまでたってもドラマは動き出さない。ソーラカーレースというのが、あまりよくイメージ出来ないし、そこに辿り着くまでのドラマがなんだかカスカスで、エネルギー研の6人のメンバーも魅力的には描けていない。中盤まで読んだときにはこれは大丈夫か、と心配したほどだ。 ようやく、大潟村でのレースに突入したところから動き出す。だが、それはレースシーンがエキサイ . . . 本文を読む
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『ナイト・トーキョー・デイ』

2011-11-28 21:14:47 | 映画
 なんだか冗談のような映画なのだが、きっと作り手は大まじめに作っているのだろう。監督はスペインのイザベル・コイシェ。彼のような真面目な人がどうしてこんな映画を引き受けたのか。よくわからない。  映画はたぶんシリアスなはずなのだが、僕にはとてもそうは見えない。大体最初の女体盛りってなんですか。裸の女に人の体の上にお寿司を乗せる。バカバカしくて笑える。でも、実際こんなものがあるのでしょうか。僕にはわ . . . 本文を読む
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水の会『サン』

2011-11-28 20:53:14 | 演劇
 水の会の最終公演だ。彼らのデビュー作からずっとほぼ全部の作品を見た。とても誠実な作風が好ましく、とても大好きな劇団だった。本作は、今では役者3人になった彼らが、自分たちのことを、とてもよく知っている3人の劇作家に書き下ろしを依頼した。2人芝居3本立である。演出は脚本を依頼された3人の1人である中村賢司さんが担当する。それぞれは30分程度の短編。タイトルには「サン」という言葉を入れること、というの . . . 本文を読む
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『パーティーは終わった』

2011-11-28 20:33:56 | 映画
 行定勲がbeeTVのために作った第2作。前作『女たちは2度遊ぶ』と同じようにオムニバス・スタイルをとる。まぁ、これはもともと短編連作で配信されたケータイドラマだからそういうスタイルが製作の前提である。前回は吉田修一の短編小説を原作としたが、今回は伊藤ちひろのオリジナル。全体はコメディータッチで包み込んであるが、個々の作品はさまざまなジャンルを横断する。感触は軽いタッチの作品になっている。  同 . . . 本文を読む
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『カウボーイ&エイリアン』

2011-11-26 22:08:59 | 映画
 ようやくこの映画を見た。一刻も早くこのあほらしい映画を目撃したかった。いくらなんでも、これはないだろ、と思った。今年一番の「とんでも(ない)」映画ではないか、と期待した。  最初この映画の予告編を見たときの衝撃は忘れない。冗談だろ、と思った。この安直なタイトルも凄いが、そのバカバカしい設定に驚いた。しかも、もちろん、内容はタイトルそのまんまだし。ここには想像力の入り込む隙間もない。そのくせ、 . . . 本文を読む
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LINX'S ~03 (ゼロサン)②

2011-11-26 21:34:24 | 演劇
 Aプロの4作品は見事なバランスで構成配列がなされてある。まず、初体験の匿名劇壇(『救世主』)である。これが予想を上回る収穫だった。まるで期待しないで見たので、驚きも大きい。話自体も、あのビジュアルも、インパクトは大きい。舞台装置といったって、あれはただの脚立である。だが、その上に女性が乗っていて、彼女が纏うマントが脚立の下にまで及ぶ。ただそれだけで、圧倒的な存在感がある。舞台中央で彼女はほほえむ . . . 本文を読む
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大石エリ『たった15分』

2011-11-26 21:32:12 | その他
 ケータイ小説というものを生まれて初めて読んでみた。実は最初はそうとは知らず読み始めた。しばらくしてから、これがその「ケータイ小説」なのだと知った。魔法iらんど、というサイトで公開され、「第4回iらんど大賞」を受賞した作品、ということだ。  読んでみて、最初はちょっとあまりに甘すぎて気分が悪くなってしまったが、この小説はこんなものなのだ、と納得して、気にせずどんどん先を読み進めることにした。恋と . . . 本文を読む
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LINX'S ~03 (ゼロサン)

2011-11-22 20:23:41 | 演劇
 初めてLINX'S を見る。もともとこういうイベントは苦手で、あまり食指はそそられなかったのだが、今回のラインナップには興味が持てた。それとこのイベントを企画立案した石田1967さんの情熱にもそそられた。なぜ、彼がこんなにも芝居に興味を抱き、芝居に駆り立てられるのか。その秘密が、このイベントを見ることで、少しは見えてくるのではないか、なんて思ったからだ。僕も芝居は大好きだが、なんだか今は流される . . . 本文を読む
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さはらカーニバル『姐獣図鑑』

2011-11-22 19:20:25 | 演劇
 5年振りのさはらカーニバルである。最近はわかりやすく単純な芝居ばかりで、こういうタイプの芝居がめっきり少なくなったので、とても刺激的だった。もともと小劇場演劇って、もっと難解なものだった。なのに、最近は観客に迎合したのか、それとも、作り手があまり考えなくなったのか。底の浅いエンタメが多い。  ここで言う難解とは、ひとりよがりだったり、頭の悪い僕らにはわからないような小難しいものだったり、するの . . . 本文を読む
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濱野京子『ヘヴンリー・プレイス』

2011-11-22 19:15:58 | その他
 この小さな小説を大事にしなくっちゃ、と思った。児童向けの作品だけど、大人の僕が読んでも泣けた。それはここには小学6年の少年が、本当の意味での大人になっていく瞬間がしっかりと捉えてあるからだ。大人の思惑に縛られて自分の意志を出せずに、そんな自分を肯定することで生きてきて、心の病になる。だけど、ラストで、初めて自分の責任において一歩を踏み出すこととなる。よくあるパターンかも知れないが、ここにはありき . . . 本文を読む
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『悪魔を見た』

2011-11-20 22:22:27 | 映画
 これは凄いわ。何が凄いって、話が無茶苦茶ですわ。よくもまぁ、こんな話で映画を作ろうと思ったものだ。感心する。俗悪の極み。でも、B級低俗映画を目指すのではない。作り手は、第1級の犯罪映画を目指したのかもしれない。だが、もしそうなら、この映画自体が犯罪だ。ここまで残酷にしなければならない理由がわからない。これではただのグロでしかない。犯人であるチェ・ミンシクも大概だが、彼への復讐に燃えるイ・ビョンホ . . . 本文を読む
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『戦場カメラマン』

2011-11-19 21:25:37 | 映画
 このタイトルから想像出来る映画とはまるで違うものを提示する。監督は『ノーマンズ・ランド』のダニス・タノビッチ。もちろん派手なアクション映画ではない。だが、感動のヒューマン・ドラマでもない。この醒めた視点が従来のこの手の映画にはなかったものだ。戦場を舞台にして命を賭けて報道に取り組む、なんてイメージからは程遠い。名誉と一攫千金を狙う、のでもない。だが、イメージ的にはそっちの方が強い。主人公のカメラ . . . 本文を読む
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『REDLINE』

2011-11-18 22:02:25 | 映画
『スマグラー』があんまり素晴らしかったので、石井克人監督の前作『REDLINE』を見なくては、と思いレンタルしてきた。これは石井監督が原案、脚本、音響とか、(ラストのクレジットを見ると、何度も彼の名前が出てきた)いろんなことを手掛けたアニメーション映画で、7年の歳月をかけて完成したらしい。公開は昨年10月。なんだかぎとぎとした映画で、キャラクターデザインとか、いまいち乗り切れない感じだったから、劇 . . . 本文を読む
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濱野京子『木工少女』

2011-11-18 21:26:13 | その他
 こんな小説もたまにはいい。気持ちよく読めた。YA小説というなんだかよくわからないジャンルのコーナーで見つけた。軽く読める本が欲しい時、ときどきこの棚に手を伸ばす。知らない作家の本で、でも、なんだかいい感じ、そんな本がある。その中には軽過ぎて物足りないものも多い。でも、思いもしない秀作が隠れていることもあるから要注意だ。今回も、まるで期待しないで読み始めた。  すぐに読み終えれる。電車の往復1回 . . . 本文を読む
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