習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『光と血』

2020-03-30 22:02:50 | 映画
これはきつい。今の気分では最後まで見ることはできない、と思う。でも、見始めた以上はやめられないから、見通した。藤井道人監督の2017年作品。DVDになっていたので、見たのだけど、これはつらすぎる。 話が詰め込みすぎで、あまりに悲惨なことだらけで、目をそむけたくなる。この世界ではこんなことがどこにでもある、のかもしれないけど、それにしても、あんまりだ。あんまりが、こんなふうにつながると、やめて、と . . . 本文を読む
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『そらのレストラン』

2020-03-30 21:23:28 | 映画
大泉洋主演、北海道の自然を舞台にし、食を題材にしたシリーズの第3弾だ。前2作『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』の三島由紀子監督(最近絶好調だ。『幼な子われらに生まれ』『Red』と傑作を連打中!)からバトンタッチされたのは『神様のカルテ』シリーズの深川栄洋。器用な彼なら信用できる、と思ったのだが、これが、なぜか、つまらない。あれだけ快進撃を続けた深川監督は今、ちょっとスランプ気味だ。そう言えば、最 . . . 本文を読む
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『スティルライフオブメモリーズ』

2020-03-30 20:24:34 | 映画
矢崎仁司監督最新作。あまりにセンセーショナル内容ゆえ、見るのをためらっていたけど、ようやく見る覚悟を決めた。(少し大袈裟だけど、これは女性器アートの探求なんていうお話で、エロ映画ではないことはわかりきっていても、公開時、やはり劇場行くのは躊躇してしまった) タイトルが素敵で、その気分をこの内容からどう見せていくのかが興味の焦点だったが、ほとんど台詞がなく、音もない静かな映画で、とんでもない要求を . . . 本文を読む
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光の領地『同郷同年』

2020-03-29 10:02:38 | 演劇
シンプルな3人芝居だ。タイトルにあるように同郷同年の3人が、放射性廃棄物処理場誘致を巡って繰り広げるドラマである。シーンごとにどんどん状況が変わっていく。そこにある明確な時間の経過を経て、立場や状況が大きく変わっていくさまはドキドキするくらいにスリリングだ。 静かな対話劇なのだけど、彼らの関係性や、その変化から、彼らの態度、対応がどんどん前回とは違う展開をしていくさまは圧倒的である。いくつかの局 . . . 本文を読む
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『Fukushima 50』

2020-03-27 16:48:13 | 映画
東日本大震災、福島原発事故から9年。この3月に公開されたこの大作映画はあの事故の現場にいて、対応した東電の職員たちの姿を描くドキュメントだ。事実をベースにして最大限の再現を通して、あの日あそこで何があったのかに迫る。これだけの大作映画を作るためにどれだけの労力とお金をつぎ込んだか、想像を絶する。しかも、あれからまだ9年である。記憶も生々しい今、それでも、今だからこそ描ける、これは未来への提言だろう . . . 本文を読む
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『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』

2020-03-27 16:05:41 | 映画
これは酷い。前作も大概な出来だったけど、今回は開きなおったのか、やる気がないのか、もう散々な出来の映画である。先日の清水崇監督の『犬鳴村』も酷かったが、こちらはその比ではない。Jホラーの2大巨匠が並んで討ち死に。 だけど、どちらかというと、これのほうがまだ楽しめるかも。もしかしたら、わざと笑えるようにこういう突っ込みどころ満載の作り方をしたのではないかと思わせるドキドキ感も、ないではないからだ。 . . . 本文を読む
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『スゥィングキッズ』

2020-03-26 12:42:11 | 映画
『サニー 永遠の仲間たち』のカン・ヒョンチョル監督最新作という、ただそれだけで見に行く。それくらいにあの映画はすばかしかったし、あれを撮った彼なら何を撮ろうと信用できる。 1951年、韓国。朝鮮戦争時、巨済島捕虜収容所を舞台にしたダンス映画なのだけど、単純な映画ではない。こんなにも様々な要素を投入しながら、基本は明るい音楽映画。一応は、タップダンスに心惹かれていく少年と、彼にタップの楽しさを教え . . . 本文を読む
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『シングストリート 未来へのうた』

2020-03-26 12:05:24 | 映画
元気の出る映画が見たかった。音楽があればそれだけで生きていける、これはそんな高校生たちの群像劇だ。好きになった女の子に取り入るため、バンドを組む、なんていうベタの話なのだけど、それだけではない。彼らはまず、音楽が好きだ。女の子は後づけ。初めに音楽ありき。転校してきた学校でイジメにあう。これもまぁ、よくあるパターン。だけど、彼には音楽がある。そして、仲間がいる。もう書いていて恥ずかしくなるような設定 . . . 本文を読む
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劇団浮狼舎『ひなげし咲く庭で待つ』

2020-03-25 20:56:15 | 演劇
こういう現代劇で、しかも「恋愛もの」を神原さんが書くなんて、めったにないことだろう。でも、作品自体は決して異色ではない。それどころか、いつもの神原ワールドで、原っぱも出てくるし、小さなコミュニティーでのお話で、(さすがに長屋ではなく商店街だけど)善意の人たちがいて、でも、そこで諍いが生じて、ちゃんと(?)人が死んでいく。 心を病んだ男が主人公で、寂しさと甘えから,妻ではなく、誰か他のひとに心惹か . . . 本文を読む
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辻村深月『傲慢と善良』

2020-03-22 11:24:18 | その他
辻村深月の『ツナグ 想い人の心得』を読んだ。実によかった。実は先月この『傲慢と善良』も読んでいた。こちらもすごくいい作品で、でも、忙しくて書くのを忘れていた。というか、この小説の痛さが、これについて書かす気持ちを萎えさせたのかもしれない。 結婚を直前に控えて姿を消した婚約者を探して旅することになる男。彼は彼女の何を知っていたのか、何を知らなかったのか。一生を共にする覚悟を決めたはずのパートナーの . . . 本文を読む
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辻村深月『ツナグ 想い人の心得』

2020-03-22 10:59:14 | その他
映画にもなった『ツナグ』の続編である。このパターンならいくらでも連作は可能だ。だから、もう読まなくてもわかる、って気がしてしばらく読むことを躊躇していたけど、読み始めると止まらない。しかも、ひとつひとつのエピソードが前作以上に深まっていてそれにも驚く。安易な二番煎じと高をくくっていた自分を恥じる。作者は確かな覚悟をもってこの第2作目に挑んだことが伝わってくる力作だ。「ツナグ」というアイデアだけで、 . . . 本文を読む
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劇団大阪新選組『短編まつり3~そのスペースは空いてますか~』

2020-03-22 09:24:54 | 演劇
昨年の傑作『短編まつり2 ~屋根裏 EXPO 2019~』に続く第3弾。今回はスタジオカリバーに戻って小さな作品にした。30分ほどの短編が3作というスタイルはいつも同じだ。今回のお題は「ポン酢、トランプ、宇宙」。3つの作品のテーマはそれぞれ自由な選択をしているはずなのに、なぜか、今回も同じようなテイストの作品が並ぶ。 新選組はコロナウイルス感染予防のため公演の自粛も相次ぐ中、上演に踏み切る。短編 . . . 本文を読む
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『世界の涯での鼓動』

2020-03-21 11:34:17 | 映画
昨年の『マチネの終わりに』と同じようなパターンのラブストーリーなのだけど、(公開後はこちらのほうが少し早い)当然こちらのほうがずっといい映画だ。ヴィム・ヴェンダース監督最新作。たった1度、5日間しか一緒にいられなかった2人の恋の物語。彼らが別々の場所で相手のことを想いながら、自分の仕事と向き合う姿が描かれるのだけど、彼らの仕事というのがこの映画のメインとなる。大事なのは甘い恋愛シーンではなく、それ . . . 本文を読む
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『アマンダと僕』

2020-03-21 11:02:14 | 映画
昨年『サマーフィリング』を見てこの監督(ミカエル・アース)のファンになった。あの映画はとてもよかった。大切な人の死という現実をどう受け止めて、そこからどう生きていくのかが3つの夏、3つの場所で描かれる。彼があの作品の後に手掛けた本作もまた、同じ話で、2作連続同じテーマで2本を作ったのだ。こういう内容だから昨年日本では2本セットで劇場公開されたみたいだ。ようやく、こちらの映画も見ることができてうれし . . . 本文を読む
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『弥生、三月』

2020-03-21 10:28:49 | 映画
もしかしたら、と期待したのだが、残念ながら期待はずれの一作。30年以上の歳月を3月だけに集約して描くというアイデァは興味深いし、15歳から50歳までという時間の設定も面白い。波瑠と成田凌がその30数年をひとりで演じる。時間軸は自在に前後するからわかりにくいけど、提示されたものを自分で頭の中で整理していくように作ってある。彼らの30年が見えてくる。ラストでは彼らの縁が実は誕生の瞬間からだったことが明 . . . 本文を読む
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