習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『弱虫ペダル』

2021-09-30 09:48:51 | 映画
この手のスポコン映画はもういいや、と思って最近は敬遠していたのだけれど、たまたま見たら、とてもよかった。三木康一郎監督は当たりはずれがあるからけっこうギャンブルなのだけど、これはあたり。ちなみに大吉(代表作?)は『植物図鑑』で、最凶(ハズレ)は『リベンジgirl』だ。 これは、ほとんどのシーンが自転車を走らせている場面だけ、というとんでもない映画。だけど、それだけですべてを語り尽くせるというのが . . . 本文を読む
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『くれなずめ』

2021-09-30 09:26:46 | 映画
この5月に公開されたばかりの映画なのに、もう配信で公開されていた。アマゾンやnetflixはレンタルよりも早い場合があるから驚きだ。劇場公開時に見たかったのに見逃した映画なので、大喜びで早速見た。いつも実験的な作品作りをする松居大悟監督作品。今回も攻める攻める。映画はすごくよかった。まだこれからの人だろうけど、ここまでの彼の代表作だろう。 成田凌が死んでいる、ということは最初からなんとなくわかっ . . . 本文を読む
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南杏子『ヴァイタル・サイン』

2021-09-29 10:53:07 | その他
現役のお医者さんで作家といえば、まず夏川草介だね、と思うけど、この南杏子さんも凄い。『ブラックウェルに憧れて』を読んで感心した。『いのちの停車場』もよかった。だからこの新刊にも期待したのだが、今回期待は裏切られた気分だ。つまらない、というわけでは、当然ない。辛すぎて耐えられないからだ。こんな仕事やめてしまえ、と何度も思う。読みながら感情的になった。要するにこれはそれほどリアルなドキュメントなのであ . . . 本文を読む
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斉藤洋『かげろうのむこうで 翔の四季 夏』

2021-09-29 10:16:44 | その他
児童書はよく読む。(YA小説も含む)読みやすくて、とてもためになるからだ。というか、そこには隠れた(と、僕が思っているだけだろうけど)面白い小説がたくさんあるからだ。ここから何人もの大人向けの小説にも進出する作家が出ているし。ここは新しい才能の宝庫だろう。 そして、この小説もそんな傑作のひとつだ。1時間ほどで読める。だけど、ずっと心に残る。とてもシンプルで美しい夏の物語だ。そこにはとんでもないこ . . . 本文を読む
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鯨井あめ『アイアムマイヒーロー!』

2021-09-28 10:47:21 | その他
最初はなかなか入り込めなかった。前作『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が好きだったので、この第2作に期待していたのだが、まるで乗れない。安易なタイムスリップものにしか見えなかったからだ。だから読んでいてもどかしかった。こんなはずじゃないだろ、と思いつつも話はなかなか進展しないし。 だけど、終盤になって、すべてが明らかになっていく過程で話にどんどん引き込まていくから、あきらめないで最後まで読もう。ラスト5 . . . 本文を読む
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アケオーラコミンチャ『いいからはやく終わらせて』

2021-09-28 09:55:34 | 演劇
この芝居を見る直前に見た道化座の『わが家の客』は凄い傑作だったけど、これもまた、別の意味で凄い作品だった。あれは中ホールでの公演で大作だったけど、こちらは小劇場での公演で小さな芝居だけど、同じように思いがけない傑作だった。これを見逃さなくてよかった。(西宮で芝居が6時に終わり、長堀橋でこの芝居が7時に始まるというタイトなスケジュールで、もう間に合わないのではないかと心配したけどちゃんと間に合った! . . . 本文を読む
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道化座『わが家の客』

2021-09-28 09:21:27 | 演劇
休憩を含めて3時間に及ぶ大作になった。地味で淡々とした芝居だし、しかも3人芝居なのにこれだけのボリューム。なのに全く退屈をさせない。動きもそんなにないし、2人,あるいは3人の対話劇だし。2018年度中国演劇大賞のベストである「観客賞」に輝いた作品だとチラシにはある。作者は喩栄軍。今回が日本初演で、演出を小原延之が担当した。1976年唐山大地震を背景にした夫婦の物語。 3幕からなる3つのお話のはず . . . 本文を読む
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『MINAMATA 水俣』

2021-09-24 21:33:37 | 映画
これは一応ジョニー・デップ主演のハリウッド映画なのだが、こんな題材を取り上げて、しかもこんなにも誠実な映画を作るなんて信じられない。社会派映画で、商業ベースに乗せるのは難しい企画だ。それをアメリカ人がこれだけの大作として作ったのだ。驚く。しかも、ほとんどが日本でのシーンであり、それを大掛かりなセットを建てて実現した。71年の水俣を再現している。とても現在の日本でロケしても当時の建物はないだろうから . . . 本文を読む
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『空白』

2021-09-24 15:35:24 | 映画
映画を見てこんなにもドキドキするのは久しぶりのことだ。いや、毎回それぞれの映画にドキドキさせられては、いる。だけど、この映画は他の映画とは次元が違う。今年一番の傑作である。冒頭からラストまで108分間緊張は途切れることはない。吉田恵輔監督は前作『ブルー』続き絶好調だ。 冒頭の娘が死ぬまでの部分(ここでタイトルが出る。ここまで結構長いけど、この映画のすべてのエッセンスが見事に詰め込まれてある。そし . . . 本文を読む
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『浜の朝日の嘘つきどもと』

2021-09-24 14:30:31 | 映画
これは「映画館への愛」についての映画だ。「映画への愛」だけでは足りない。映画は映画館があって初めて完結する。TVでは無理だ。配信でなんてもってのほか、もっと無理。映画はそんなふうに難しいものだのだ。見たいと思ってもなかなか見ることはかなわない。 どこかの映画館で上映されてなくては無理だし、たとえ上映されていても、そこに行かなくては見られない。しかも、上映時間や期間が決まっているから、その時間に、 . . . 本文を読む
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ジャブジャブサーキット『サワ氏の仕業 特別編』

2021-09-22 09:30:56 | 演劇
このよくわからさが、ジャブジャブサーキットらしくていい。短編集のはずなのに、まるでどこにも完結していない。1篇1篇は独立もしていない。短編連作ではなく、1本の作品のようにつながっている。どこかで確かに。冒頭ウィルスの感染に対してのやり取りから始まったので今回はそこを追求していくのかと思ったら、そうではなく、いつも通りのパターンになり、全体の作りに緩さとストーリー性のなさに、不安になりつつも、目の前 . . . 本文を読む
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神原組 特別公演『スケッチ 夜の客人』

2021-09-22 09:11:20 | 演劇
とても胸に痛い作品だ。神原さんの覚悟が伝わってくる。でも、それはいつも熱い(暑苦しいくらいに!)神原さんなのに、なんだかとても体温が低い。だから反対に彼女の熱い想いは伝わるのだ。 敢えて1時間弱の作品にして、「スケッチ」と入れた。力作ではないよ、というサインだ。この小さな劇場に、さわやかな夜風が吹く。そんな芝居である。短かすぎるエピソードの連鎖だ。たった5つのエピソードである。ささやかすぎて物足 . . . 本文を読む
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演劇集団よろずや『青眉のひと』

2021-09-22 08:34:39 | 演劇
よろずやが旗揚げ25周年になるらしい。早いものだ。プラネットステーションでの旗揚げ作品『スナフキンの手紙』を見ている。あの頃はまだ学生劇団だったはずだ。あれから25年、地道に堅実にキャリアを重ねてきて今に至る、のだろう。作、演出、主宰の寺田さんの生真面目で誠実な人柄、マイペースで自分たちの芝居を大切にして育てていく姿勢があるからこれだけの時間を経ても続けていけるのだろう。 コロナで延期になってい . . . 本文を読む
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『マスカレード・ナイト』

2021-09-19 19:12:46 | 映画
大ヒットした『マスカレード・ホテル』の続編が作られた。とうぜんTVでは前作が宣伝も兼ねて放送されていたけど、それより先週、今週と『ボクらの時代』に長澤まさみと麻生久美子、木村佳乃が出ていたのを見てこの映画を見てもいいかなと思った。先週見た彼女たちのおしゃべりが面白くて、(しかも映画の宣伝なのにほとんど映画の話なんかどうでもよくて、子育てやら、なんやらを好きにしゃべっていたのがおかしい)ついつい映画 . . . 本文を読む
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『レミニセンス』

2021-09-17 17:09:48 | 映画
予告編を見てこれは面白そうとワクワクさせられた。クリストファー・ノーランの弟ジョナサン・ノーランが製作、というところが実はかなりパチっぽかったのに、しっかり騙されてしまった。要するに『インセプション』のような映画だと思ったのだ。 凄い大作映画か、と宣伝に踊らされ見てみたら、実際はしょぼくて、とんでもないB級映画で、がっかりさせられた。これは久々のハズレ映画だ。まんまとだまされた。 だいたいお話 . . . 本文を読む
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