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映画・演劇のレビュー

『窮鼠はチーズの夢を見る』

2020-09-13 15:59:14 | 映画
久々に本格的な恋愛映画を見た。恋愛だけを描く映画だ。それ以外のことは映画の外の出来事だ。彼ら2人の恋愛と真正面から向き合う。そこではお互いの想いがひとつひとつ丁寧に描かれる。それはいろんな方向に迷走する。そんな自分の心と向き合う。だが、それを感情的に描くのではなく実に冷静なタッチで描いていく。事実の検証をしていくように。感情移入させない。観察するように見つめる。引いた視線からクールに見守る。だから . . . 本文を読む
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ブルーシャトルプロデュース『承久の乱』

2020-09-12 22:56:50 | 演劇
ブルーシャトルプロデュースの新作だ。このコロナ下での上演である。リスクは大きい。だけど、それでも上演を挙行する。あらゆる対策を講じた上での公演だ。当然のこととはいえ、ここまで安全面での配慮が必要なのである。いくつもの制約を乗り越えて、妥協することなく、リスクを反対に作品の力と変えていく。それでなくては、今やる意味はない。 歌とダンス、殺陣を縦横に駆使した華麗で激しいアクションを持ち味とするこの集 . . . 本文を読む
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『静かな雨』

2020-09-02 20:18:38 | 映画
『4月の長い夢』がとても好きだったから、中川龍太郎の作品は見ることにした。宮下奈都の原作が大好きで、期待したのだけど、映画は同じお話なのに、なぜだか心惹かれない。だいたいこの小説はお話で見せる小説ではない。彼ら二人のたたずまいだけで見せる。映画も同じように彼らふたりをたたただ見守る。何もないお話だ。 繰り返される日常。彼女は毎日起きた時に前日の記憶を失うから、文字通り同じことを繰り返すしかないの . . . 本文を読む
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香月夕花『昨日壊れはじめた世界で』

2020-09-02 20:17:26 | その他
この世界は壊れ始めた。コロナの影響でそんなふうに思える昨今で、何もしたくないし、もう以前のような生活は取り戻せないかもしれないと不安になるそんなときに、この小説はぴったり寄り添う。なんだか、今の時代を予見したような小説だ。読みながら、先がこんなにも気になったのは久しぶりのことだ。   このお話のラストがどこにたどり着くのかが気になり、一気読みしてしまった。子供の頃、マンションの13階 . . . 本文を読む
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真夏の太陽ガールズ2020代替公演『テノヒラサイズの人生大車輪2020』

2020-09-02 19:14:33 | 演劇
この作品は「真夏の太陽ガールズ2020」の代替公演として上演された。まず、今年は「真夏の太陽ガールズ」が上演できなかったことは悔しいけど、それでも諦めず、こういう形での公演を実施したオカモト國ヒコとBALBOLABOチームは凄い、ということを言いたい。そこには、何があっても芝居をする、という強い意志を感じる。簡単ではない。だけど、やり遂げる。軽やかなフットワークを見せるこの芝居を持ってくるところも . . . 本文を読む
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『糸』

2020-08-30 09:33:17 | 映画
先週見た。『楽園』に続く瀬々敬久監督の新作だ。こういうメロドラマをなぜ、彼が引き受けたのか。よくわからないけど、ここに描かれる平成30年間は、特別なことではない。たまたま彼らが生きた時代が平成と重なったというだけのこと。そのくらいにさりげない。 2人の男女の出会いから結婚までの30年間。13歳の出会いから、始まる。別れ別れになった後の日々は別々のドラマとして交互に描かれていく。彼らがところどころ . . . 本文を読む
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『純平、考え直せ』

2020-08-30 08:48:56 | 映画
奥田英朗の原作小説を読んだのは、ずっと前のことだ。いつも通り、読みやすい小説で、ストーリーも単純だ。映画向きのお話だ。2年前の映画化されたこの作品を見て、なんだかとても身に沁みた。3日間の話だ。やくざのチンピラが、親分から鉄砲玉を言い渡されて過ごす最後の3日が描かれる。今読んでいる小川糸『ライオンのおやつ』(図書館で予約して半年、昨日ようやく順番がまわってきた!)はホスピスで人生の最期の時間を過ご . . . 本文を読む
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石川宏千花『青春ノ帝国』

2020-08-21 19:50:56 | 映画
この小説はこのタイトルから想像するような壮大なドラマではない。それどころは、ささやかで、そのへんに転がっていて、誰にも気づかれず、見過ごされてしまいそうなお話だ。夕暮れの中学校の職員室。夏の終わり。もうほとんど誰も残っていない。夏休みの時間。遠い記憶の果てから、電話がかかってくる。とても孤独で、つらいばかりだった、14歳の夏に呼び戻される。幼なじみからの突然の電話は、恩師の死を知らせる。電話の相手 . . . 本文を読む
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吉田篤弘『流星シネマ』

2020-08-17 21:24:48 | 映画
あぁ、この切なさ。また、あの夢の世界へといざなわれる。そこは、どこでもない町。そこに暮らす人たち。彼らの静かな日々。ひっそりと生きる姿。ただ、彼らに寄り添うように、本をめくる。お話らしいお話なんかない。そんなものはいらない。 ここで彼らと一緒に暮らせたらいいのだけれど、そんな夢はかなわない。だから、ゆっくりと、この小説を読む。ずっと読み続けていたいけど、それもかなわない。あっという間に、終わる。 . . . 本文を読む
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『思い、思われ、ふり、ふられ』

2020-08-17 20:26:06 | 映画
この思い切ったタイトルの少女マンガを今、あえて映画化する。三木孝浩は断らない。でも、それは仕事だから、と事務的に引き受けたわけでもない。この手の映画はもう散々作り尽くしたはずだけど、引き受けたのには理由がある。今まで作られたこの手の作品のフィナーレとして、究極の青春映画を作るためだ。散々やり尽くされてきたあらゆる要素をこの1作に放り込みながら、今まで誰も見たことのない映画にする。 「高校生の恋愛 . . . 本文を読む
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小嶋陽太郎『放課後ひとり同盟』

2020-08-16 19:49:42 | その他
小嶋陽太郎の小説は好き。『おとめの流儀』で出会って、それからすべての作品を読んでいるけど、はずれはない。というか、すべて最高にいい。読みやすいし、読むだけで元気になれる。今回の短編連作も、素晴らしい。5つのお話がどこかでリンクしているのも楽しい。いささかいびつな設定であろうとも、それを納得させるだけの強引さで引っ張っていく。大胆だけど、説得力がある。最初のお話からもう最高だ。こんな女の子が好き。周 . . . 本文を読む
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浪花グランドロマン『吐息を見つめて』

2020-08-16 19:14:42 | 演劇
芝居自身が大切なのは当然のことなのだが、もしかしたらそれ以上にコロナ対策の方が大変なのではないか、というようなとんでもない状況の中での公演となった。実に5か月振りになるウイングフィールドでの演劇公演である。NGRが満を持して可能な限りの対策を講じて芝居をする。もちろんそれは中途半端な作品ではなく、今だから可能な渾身の力作を放つ。前半の軽いタッチが、後半、というか、終盤で一転して重くなり、当日パンフ . . . 本文を読む
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『アルプススタンドのはしの方』

2020-08-14 19:01:19 | 映画
この映画は実は7月23日の公開初日に見たので、あれからもう3週間以上になる。つまらなかったわけではないけど、なんだか書く気にはならなかった。あざといと思った。嘘くさい。城定秀夫監督作品は、ネットフリックスで見た『性の劇薬』に続いてこれで2作目。彼の映画がキネマ旬報で大々的に特集されていて、見たことがなかったので期待したのだけど、この映画はいただけない。出来ることならピンク映画の傑作群を見てみたいけ . . . 本文を読む
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『君が世界のはじまり』

2020-08-14 17:57:41 | 映画
なんだかドキドキさせられる魅力的なタイトルではないか。大阪の僻地の高校が舞台となる青春映画だ。松本穂香主演。ふくだももこ監督作品。一時代を画した「キラキラ青春映画」ではない。内容は似ているけど、確かに同じように高校生の日々を描くけど、少し違う。いや、かなり違う。 「キラキラ青春映画」は少女漫画を原作にして、恋愛を中心に据えたものがほとんどだ。アイドルを中心にしたリアルとは一線を画す作品ばかりだっ . . . 本文を読む
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『泣きたい私は猫をかぶる』

2020-08-08 15:57:54 | 映画
ネットフリックスの配信で公開されたアニメ映画だが、本来なら劇場公開されたはずのちょっとした大作映画なのだ。丁寧に作られた作品だし、後半、猫の世界にいくところのスペクタクルなんて劇場でこそ、という感じだ。タイトルからは小さな作品のような印象だが、なんのなんの、大きなスクリーンに映えるそんな作品だ。山崎貴監督の『DESTINY 鎌倉ものがたり』と似ている。 ひとりの少女のある少年への想いがエスカレー . . . 本文を読む
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