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映画・演劇のレビュー

淀川工科高校『カノン』

2016-07-30 22:22:30 | 演劇
  野田秀樹の作品を2時間にコンパクトにまとめて見せる手腕はなかなかのものだ。ただ役者たちの声が通らないし、活舌が悪いから、何を言っているのやら、わからないところも多々ある。つかこうへいの芝居ではないのだから、ちゃんと台詞が欲しい。   野田の芝居って情報量の多さは半端じゃないのだが、この作品はなんだかとてもシンプルでこんな話だったっけ、と思うほど。アレンジしたのだろうけ . . . 本文を読む
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北かわち皐が丘高校 『悩殺 ハムレット』

2016-07-30 22:05:28 | 演劇
  最初の40分を見逃したけど、これを見てよかった。昨年、突劇金魚の サリngROCKの『しまうまの毛』を見事に作った北かわち皐が丘高校が、今回はどんなものを見せてくれるのか、とても楽しみにしていた。それだけに、諸事情から「もう見られないかも、」という状態になり、がっかりしたけど、途中からでも見れてよかった。もちろん、期待以上の出来だ。   彼らはテンポよくこのむちゃくち . . . 本文を読む
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大谷高校『12人の怒れる女たち』

2016-07-30 21:59:14 | 演劇
  なぜ、今、『12人の怒れる男』なのか。わかるようで、わからないような。それは今回のアレンジの仕方についても。確かに大谷高校らしいウェルメイドな笑いに包まれた作品に仕上がっているけれど、この題材を使い、それをこういう仕立て方で見せることの意味がどこにあるのか、よくわからない。   これならお話自体も含めて今の自分たちに引き寄せたオリジナル作品を作った方がよかったのではな . . . 本文を読む
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金蘭会高校『僕たちが好きだった革命』

2016-07-30 21:54:49 | 演劇
  このタイトルの甘さと優しさが鴻上尚史のスタンスだ。革命をノスタルジアにしている。だが、そこにある悔恨こそがこの作品のテーマだ。あの頃の自分たちを肯定も否定もしない。もちろん、あれが青春だった、なんて言わない。高校生にまで飛び火した革命思想とは何だったのか。そこにも深入りしない。   あくまでも「僕たちが好きだった」という個人的な想いと、「革命」という社会とか、世界とか . . . 本文を読む
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いしいしんじ『海と山のピアノ』

2016-07-25 23:55:46 | その他
    この不思議な9つのお話はお互いに独立した短編であるはずなのに、どこかでつながっている。響きあう九つの「水」の物語、と帯に書かれてあるけど、まさにそんな感じだ。誰もが痛みを抱え、生きていく。大きな災害の後、どうしてそこから立ち直って、いくのか。 これは明らかに東日本大震災以降をイメージしたお話である。リアルな現実に対して、この作品は想像力を駆使して向き合う。 &n . . . 本文を読む
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『ウォルト・ディズニーの約束』

2016-07-25 23:50:53 | 映画
  いやな女の話だ。できることならこんな偏屈な女とは関わり合いたくない。なのに、ウォルトは彼女に20年間もオファーをし続けた。そして、ようやく念願が叶い、彼女をロスまで呼ぶことに成功した。もうこれで大丈夫だ、と彼は信じたはずだ。だが、甘い。それはまだ、始まりに過ぎなかったのだ。でも、こんな面倒な女を投げ出すことなく、彼と彼のスタッフは受け入れた。さぁ、どうする?    デ . . . 本文を読む
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瀬尾まいこ『春、戻る』

2016-07-25 23:36:06 | その他
こんなへんなお話あるか、と思いつつ読み進める。きっとどこかにオチはあるから、と思うけど、なかなか、それが見えてこないし、わからない。この仕掛けがわからないまま、結局最後まで読んで「やられたぁ、」と思う。そして、涙が止まらない。   これはこんなに優しい小説だったんだ、と改めて思う。瀬尾まいこの作品なんだから、きっとがっかりすることはないとは思ったけど、つまらないSF仕立てにもならない . . . 本文を読む
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関大一高 『誰』

2016-07-25 23:11:08 | 演劇
    今年のHPFオープニング・プログラムだ。関大一高は80分のオリジナル長編に挑む。当日貰ったパンフには台本は「箕面東高OG 原田結子」とあるが、彼女が高校生の時に書いたものなのかもしれない。舌足らずで、でも、とても切実な想いが込められた作品だ。   不思議なタッチで、落ち着いた作品。だから、最初はその摑みどころのなさに、戸惑う。何が描きたいのか、それすら . . . 本文を読む
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第27回 高校演劇祭 HPF 

2016-07-25 23:05:44 | 演劇
  3月20日に古賀さんが亡くなった。先日行われた古賀さんのお別れ会で、追手門高校の演劇部の顧問をされていた阪本先生が、古賀さんの声掛けで、このHPFが始まったということをお話をされた。阪本さんの言葉だからこそ、そのお話が胸を打つ。ずっと高校生たちと寄り添い、演劇部のために全力を尽くす。その阪本先生も引退されて、HPFから去った。阪本先生と一緒にHPFに最初から参加していた追手門も去って行った。 . . . 本文を読む
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柚木麻子『幹事のアッコちゃん』

2016-07-21 21:33:26 | その他
  シリーズ第3作。またか、と思いつつも、テンションが上がる。最初に『ランチのアッコちゃん』を読んだ時の感動は今でも僕の心に深く刻まれている。それくらいに衝撃的な感動だったのだ。   そうかぁ、と目から鱗、だった。こういう生き方が出来たなら人生は素敵なものになる。そこまで思った。あのささやかな本がそこまで思わせるほど、元気を与えてくれたのだ。「もっとアッコちゃんから指導さ . . . 本文を読む
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松竹座『七月大歌舞伎』

2016-07-21 21:21:53 | 演劇
たまたま今、俵万智の『恋する伊勢物語』を読んでいた。これは伊勢を彼女の解釈で解説するエッセイ集で、子供たちのために『伊勢物語』の現代語訳した彼女が訳だけではなく、伊勢の魅力をわかりやすく伝える為に書いたものだ。短いお話が多く、余白だらけの伊勢は、その余白を埋めることで普遍的な恋の姿を伝える古典の名作だ。わざわざ僕が何かをいうことはない。   高校の授業でよくやるのだが、在原業平ではな . . . 本文を読む
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A級MissingLink 『或いは魂の止まり木』

2016-07-18 19:58:02 | 演劇
  この芝居の初演も見ている。土橋演出によるそのオリジナル版も優れた作品だったが、今回の竹内銃一郎演出による新版のすばらしさはどうだ。こんなふうに作るのか、と改めて目を奪われる思いだ。今までの土橋さんの作り方に慣れていたから、このほんの少しの差異がとても新鮮だ。大胆な新解釈とかではない。脚本の持ち味、キャストの組み合わせの妙。それが結果的に台本の魅力をさらなり高みへと引き上げた。書いた . . . 本文を読む
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魚クラブ『一家団欒』

2016-07-18 19:42:37 | 演劇
  1987年の初演から30年。本当に久しぶりにこの作品を見る。大竹野正典の初期の代表作である。1昨年、「劇集成Ⅲ」が出た時、初めて読んだ。(というか、解説を書くため、ゲラで読んだのだが)やはり、おもしろかった。実は、初演時見た感動はもしかしたら自分がまだ若い頃だったからのもので、買いかぶりでしかなかったのではないか、と少し不安だったのだけど、戯曲を読んでみて大丈夫だとわかり安心した。 . . . 本文を読む
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窪美澄『アカガミ』

2016-07-17 07:32:38 | その他
    これは怖い。だいたいこのタイトルからして実に挑発的なものだ。近未来の世界を描く一種のSFなのだが、さりげない日常が描かれるだけで、ここにはまぁドラマは確かにあるにはあるけれども、そのドラマで驚かせようというわけではない。SFの衣をまとった純文学だ。 ここで描かれるのは、今のほんのすぐ先にある世界なのに、そこにはまるでこの世界が終ったあとのような光景が描かれる。20 . . . 本文を読む
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『インデペンデンス・デイ リサージェンス』

2016-07-17 07:17:13 | 映画
  20年振りの続編である。こういうタイプの映画の続編としてはめずらしいパターンだ。大ヒットした映画の続編は時期を待たずして作られるものだ。モノには旬というものがあるのだから、覚えられている間にささっと作るのがいい。なのに、20年である。しかも、この手のSF大作は今ではもうはやらないのに。   さらにはあのローランド・エメリッヒ監督作品なのである。悪条件はどこまでも重なる . . . 本文を読む
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