習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『奇跡のリンゴ』

2013-05-30 23:00:07 | 映画
 中村義洋監督がこういう感動の実話の映画化作品に挑むって、なんか不思議でどんな作品が仕上がってくるか、予測もつかない。それだけにとても楽しみだった。『みなさん、さようなら』でこれまでのキャリアの総決算をした後だから、これは彼にとっては新しいスタートとなる作品だ。襟を正して劇場に向かう。    ユーモラスなタッチでほのぼのとした少年時代が描かれる。昭和50年代から始まる。青森の自然の中、木村少年の . . . 本文を読む
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『王様とボク』

2013-05-30 22:53:15 | 映画
『ブタがいた教室』の前田哲監督が、12年間眠り続けていた少年が、意識を取り戻す、という話を映画にした。主人公はその少年ではなく、その友人だった男(松坂桃李)で、彼は当時5歳だった仲良し3人組のひとり。ブランコから落ちて昏睡状態になったまま、ずっとベッドで過ごしてきた1人と、その後の時間をふつうに生きた2人。この3人の話なのだ。彼が目覚めたことを知り、彼に会いに行く松坂と、一切かかわりを持とうとしな . . . 本文を読む
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『トリシュナ』

2013-05-28 22:39:51 | 映画
マイケル・ウインターボトム監督の新作なのだが、今回は劇場未公開となってDVDリリースのみ。東京国際映画祭では上映されたようだが、その扱いはないだろ、と思う。 トマス・ハーディー原作の『テス』の映画化である。昔、ポランスキー監督がナスターシャ・キンスキー主演で映画化している。あの時は3時間の大作だったが、今回はそれを現代のインドを舞台にして、大胆な改稿を施し2時間弱に仕立てた。  始まりは . . . 本文を読む
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『極道の妻たち NEO』

2013-05-28 22:08:28 | 映画
 8年振りとなるシリーズ最新作、ということらしい。だが、シリーズの新作というより、極妻のパチモノって感じだ。低予算で極妻もどきの映画を作った、って感じ。主演も黒谷友香と原田夏希(なんと彼女が悪役を演じているのだが、そのメイクがまた凄い。原形をとどめていない!)とか、って、それってあまりにしょぼい。もともと極妻はやくざ映画の変わり種で、視点を少しずらしただけ。東映が得意のやくざ映画。だから最初は五社 . . . 本文を読む
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演劇集団☆ゴサンケ『BLOOD's』

2013-05-28 22:05:01 | 演劇
 こういうエンタメ作品は、作り手の熱気がどれだけ伝わってくるかが、成否の分かれ目となる。そこが空回りしたり、上から目線ではまるで話にならない。ウェルメイドであることは大前提だが、最初からそうはいかない。何度も公演を重ねながら、技術はレベルアップを図ればいい。それより何を見せたいのか、どう見せるのか、という作り手のセンスが問われる。  これは映画『トワイライト』シリーズのような話で、人間とバンパイ . . . 本文を読む
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カンセイの法則『田舎に住む人たち R』

2013-05-28 22:02:55 | 演劇
先日見た映画『県庁おもてなし課』とよく似た筋立てだが、こういうワンシチュエーションのコメディはカンセイの法則の得意ジャンルだろう。隈本さん演じる課長を中心にして、やる気のない面々と、その周辺の人たちとののどかなやりとりは悪くない。 だが、話の作り方があまりに緩くてこれでは説得力はない。ここまでルーズな部署を許すような町役場はないのではないか。まぁ、この冗談のような設定をあまり気にしなければ、 . . . 本文を読む
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山田詠美『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』

2013-05-28 22:00:10 | その他
このタイトルにそそられた。ここまでストレートに言われると、思わずひるむ。わかっているけど、そんなこと考えずに毎日生きているから。でも、みんなそんな不安を抱えて生きている。めったに死なないよ。でも、澄生は死んだ。小説はそこから始まる。 大切な家族を失った。心が壊れる母親。それをなんとかして支えようとする家族。父と澄生の妹である真澄(「私」)、弟、創太(『おれ』)、下の妹の千絵(「あたし」)それ . . . 本文を読む
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スクエア『楽園ジゴク』

2013-05-26 21:32:07 | 演劇
 横山拓也さんと組んだ『えだにく』以降、上田一軒さんの演出は変わったのではないか。今回、久々にスクエアを見て、そんなことを思った。以前のような無理がなくなった気がしたのだ。自分たちの作っているものはコメディだから、というくくりなんかもう気にしない。作りたいものを作るだけ。それをコメディと呼ぶのなら自由にどうぞ、って感じだ。彼は『えだにく』のとき、その不思議な空間(でもそれは彼らにとってはただの日常 . . . 本文を読む
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『ラストスタンド』

2013-05-24 23:00:13 | 映画
シュワルツェネッガーの本格的復帰作品。とても楽しい娯楽大作。アクション映画として楽しめるのがいい。(もちろん今ここで先日の『ジャッキー・コーガン』を貶すつもりはない。)作りはB級、でも派手でAクラスの予算をちゃんと用意してある。パターンの極みのような映画だがそこがいい。変に新しいことをしようとはしない。 気張った映画ではなく、昔ながらの作りなのがいい。欲張らない、わかりやすくて熱くなれる。西 . . . 本文を読む
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『クロユリ団地』

2013-05-24 22:57:57 | 映画
 中田秀夫監督の久々の本格ホラー映画なので期待した。『リング』の時代から遙か遠く離れた今、再び初心に戻って和製ホラーの醍醐味を再び。そんな気分で映画と向き合う。しかも、今秘かにブームとなっている(?)団地ムービーだ。中田監督には『仄暗い水の底から』という団地(マンションか)を舞台にした傑作ホラーもあるし。何を見せるのか期待は高まる。  だが、映画はまるで弾まない。しかも、家族が本当はいないことに . . . 本文を読む
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小桃企画『四季一会 夜毎の鳩』

2013-05-24 22:53:35 | 演劇
 『四季一会』は男女の会話劇。4編からなる。ほんの一瞬の何でもないような時間の出来事。特別な事件があるわけではない。さまざまなシチュエーション、時間、季節が用意されている。だがそれがそれぞれのお話に大きな影響を与えているわけではない。  この瞬間、2人の心が微かに揺らぐ。そんな心の揺れるさまが描かれるだけだ。あまりにささやか過ぎて、何も心に残さないまま、通り過ぎて終わるものまである。だが、僕らが . . . 本文を読む
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三谷幸喜『清須会議』

2013-05-24 22:52:20 | その他
三谷幸喜の次回監督作品となるこの小説はとても軽い。シチュエーション・コメディの名手である彼がこの小説を映画としてどう見せるのかは、読んでいるだけでもう目に浮かんでくる。役者たちは(たぶん役所広司が主人公だ。確認しなくてもこの本を読めばわかる。)いろんなことを考えて、きっと楽しい芝居を見せてくれること請け合いだ。 もちろん、映画化を前提にして書かれたはずのこの小説を幾分軽めで薄味に仕立てたのは . . . 本文を読む
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『ジャッキー・コーガン』

2013-05-22 21:37:40 | 映画
殺し屋ブラッド・ピットが冷酷に仕事をこなしていく。なんていう、かっこいいアクション映画を期待して見ていると、肩すかしを食らってしまう。だいたいブラピはいつまでたっても出てきません。しかも、ようやく出てきたのに、まるでアクションとかしてくれないです。車の中でだらだらしゃべっているだけ。というか、淡々と事務的に仕事の話をしている。その後も、胸のすくようなアクションは見せてくれません。犯人を捜すでもな . . . 本文を読む
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『チキンとプラム  あるバイオリン弾き、最後の夢』

2013-05-22 21:35:50 | 映画
 なんだか昔の大林映画みたいで、あるいはフェリーニの映画みたいなシーンもあって、(『アマルコルド』とか、ね)あの巨大なおっぱいは、『ボッカチオ 70』かなんか、だったっけ。そんなこんなのなんだか懐かしい映画みたいで、とても楽しみにしていた。劇場公開時に見る予定だったけど、いつものことで、上映がすぐに終わって今回のDVDリリース待ち。ようやく解禁。ツタヤに行く。  へんな映画だ。そこが面白ければい . . . 本文を読む
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ThE2VS2『成人式』

2013-05-21 22:53:03 | 演劇
2VS2の第20回記念公演。おめでとう! そんなめでたさを、誰よりも自分たちが一番楽しんでいる。そこが彼ららしい。観客を楽しませるためにはまず自分たちが楽しむ、そんな彼らの姿勢が好き。でも、それは一歩間違うとただの自己満足の甘えにつながる。まぁ、そんなこと、言われなくても自分たちがちゃんとわかっているからいい。 彼らのデビューから7年間の軌跡をこの1本で振り返って見ることが出来る。これはそん . . . 本文を読む
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