マイケル・マンの新作である。いつもながらの男と男の対決ものだ。だが、なんだか弾まない。『ヒート』や『コラテラル』では、あんなにも興奮させてくれたのに。理由はどこにあるのか。30年代を舞台にしたこと、デリンジャーという実在のギャングのヒーローを主人公にしたこと、ジョニー・デップが主演したからか。
よくわからない。だが、見ながらなぜこんなにも弾まないのだろうか、とだんだん心配になってきた。いつも . . . 本文を読む
韓国で500万人を動員したメガヒット作。単純なアクション映画ではない。それどころかこの不快感。韓国人はこういう映画が大好きだ。タイプとしては同じく大ヒットした『殺人の追憶』のような映画で、これらの映画を見ていると、韓国の警察のバカさかげんに驚く。あんな杜撰な捜査を本当にしているのか。実話をベースにした映画らしいから、警察の描写もあながち嘘ではなかろう。『母なる証明』の時も思ったが、悪いのは犯人で . . . 本文を読む
思いがけない拾いものだ。東京芸大の学生が作った映画なのだが、従来の自主製作の学生映画ではない。衛星劇場やいくつかの企業も出資した一般用の劇場映画のスタイルになっている。キャストもプロの役者たちが主演している。伊坂幸太郎の原作を4人の監督が演出し、全体は1本の映画につながるように仕掛けられた。『フィッシュ・ストーリー』と同じ体裁になっている。短編連作であるにも関わらず、エピソードは完全に繋がってい . . . 本文を読む
1 May 『ボクサー』
2 Ugly duckling 『くちなしジョッキィ』
3 青年団 『東京ノート』
4 エレベーター企画 『マタハナス』
5 突劇金魚 『ビリビリHAPPY』
6 ジャブジャブサーキット 『河童橋の魔女』
7 A級MissingLink 『プロ倫』
8 妄想プロデュース 『約1800光年の走り屋』
9 劇団太 . . . 本文を読む
1 ラースとその彼女
2 ディア・ドクター
3 おっぱいバレー
4 風が強く吹いている
5 ヴィヲンの妻 桜桃とたんぽぽ
6 母なる証明
7 女の子ものがたり
8 チェ 28歳の革命
9 おと なり
10 グラン・トリノ
11から20 インスタント沼
正義のゆくえ
ターミネーター4
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オリバー・ストーン最新作。タイトルそのままのブッシュ大統領を描いた大作。オリバー・ストーンがどんなふうにブッシュを描くのか興味津々だった。オリバー怒りの鉄拳がどうブッシュに下されるのか、と思ったのだが、映画はストーンの映画とは思えないくらいにおとなしい。
まだまだ生々しいブッシュ政権時代を独断と偏見で描くことは出来なかったのか。いや、そうではあるまい。今回の彼の判断はブッシュをこき下ろすので . . . 本文を読む
オキサイド・パンとダニー・パンがタッグを組んでハリウッドに進出した記念すべき映画。パン兄弟はそれぞれ独立して行動することもあるが、基本的には2人で映画を作っている。数ある兄弟監督のなかで、単独監督もこなすことでは異彩を放つ存在だ。これは彼らの出世作『レイン』のセルフ・リメイクである。ハリウッドは外国人監督によくこのやり方を課す。安全圏で勝負させたいのだろう。というか、自分たちが安心して任せられる . . . 本文を読む
これ最悪や。最近見た映画で断トツ、ワースト1! よくぞここまでつまらない映画を作れたものだ。しかも、頭でっかちのアート映画ならいざ知らず。これはハリウッド製の娯楽大作のはずである。ビッグ・スターを2人並べて、スパイ・アクション、ラブ・ロマンスを期待させといてこれかい。
いくらスパイものとはいえ、観客をよくも、ここまで騙したものだ。こんなこと普通するか? 内容で勝負せいよ。つまらない映画をわざ . . . 本文を読む
ワンピース劇場版第10作。尾田栄一郎自らが書き下ろした原作をもとにして、さらには彼が製作総指揮も担当した渾身の1作。上映時間も1時間50分と今までで一番長い。空前の大ヒットを記録中である。
うちの娘は公開初日に行ったら、朝早く行ったのに、もう全日のチケットが完売だったらしい。その後も、先売券を買うために列ができるありさま。見たくてもなかなか映画館に入れないだなんて、冗談みたいな話を聞く。現に . . . 本文を読む
08年2月から、ある時は個別の短編として、またあるときは2本をセットにして、2年間にわたってさまざまな形で公演されてきた3本の短編が一挙上演される。隅地さんと阿比留さんのデュオが提示するなんだか少しおかしくて、よくはわからないけど、心魅かれていく空間は、従来のコンテンポラリーダンスとは一線を画する。(まぁ、コンテンポラリーってジャンルなんかではないはずだが)
2人は一緒にいるのに、別々の方向 . . . 本文を読む
カン・ドンウォン主演の幻想的な物語。ミステリ仕立てだが、なんだかコミカルな描写もあり、だんだんこの不思議な世界の迷宮に中に取り込まれていく。そしてその核にあるドラマに触れた時、なんともいえない甘酸っぱい優しさに包まれることとなる。これはなんと初恋物語だったのだ。
ストーカー少女(イ・ヨミ)と、神経を病む作家(カン・ドンウォン)。この2人を主人公にして追うものと追われるものが、出会うことなく迷 . . . 本文を読む
ジェームス・キャメロン監督12年振りの新作である。『タイタニック』以降映画界から引退したのかと思うほどのブランクだ。その間、海底に潜って3Dのドキュメンタリー短編映画とかを趣味で撮っていたりはしたけど、もう映画は辞めたのか、と思った。
それだけに、今回の新作は嬉しい。期待に胸ふくらませて劇場に向かう。これは3D新世紀を告げる映画でもある。従来の見世物感覚の3Dではなく、映画の深化のために必要 . . . 本文を読む
この本を読むことを通して、いしいしんじの原点に触れることができる。これを読むと『ぶらんこ乗り』がなぜ生まれたのかがよくわかる。今思うと貴重な作品集である。だが、独立した作品として読めば、なんだかどこにでもあるちょっと不思議な短編集でしかない。随所にいしいしんじテイストが満載されてあるからファン垂涎のものなのだが。
2000年。『ぶらんこ乗り』と出会った衝撃から9年。今年久々にいしいしんじの近 . . . 本文を読む
アルバニアからベルギーにやってきた移民女性、ロルナが偽装結婚で国籍を取得し、その後薬物中毒の夫とは離婚し、お金のために、さらにはロシア人と再び偽装結婚をしようとする過程が描かれていく。
映画は彼女の心の葛藤を省略を多用した独自の文体で見せる。2008年カンヌ国際映画祭では脚本賞を受賞したのもうなずける。見事なストーリーテリングだ。監督は『息子のまなざし』や『ある子供』『ロゼッタ』の鬼才リュッ . . . 本文を読む
「ひゃくはち」とは、人間の煩悩の数であり、野球の硬式のボールの縫い目の数でもある。たかが高校野球のために自分の人生を賭けてしまう子供たち。しかも、彼らの大多数はプロ野球選手になるわけでもなく、ただ甲子園を目指すためだけに戦う。
そんなふうに言えばなんだかかっこいいが、この映画の主人公たちは絶対甲子園に出ることはない。彼らのチームは春の選抜大会で甲子園に出場し、なんと準優勝する。今年の夏も甲子 . . . 本文を読む