オーストラリア産のホラーらしい。これもNetflixのオリジナル映画最新作。でもこれはホラーではない。ホラー・タッチの心理サスペンス映画だろう。彼女には7歳の頃、行方不明になったままの妹がいた。両親は彼女より妹を可愛かった。だから、彼女は妹が嫌い。
彼女は大人になって、今7歳になった娘とふたり暮らし。離婚した夫と彼の新しいパートナーが娘の誕生日パーティーにやってくる。父は亡くなった。母は認知症に . . . 本文を読む
2022年のスペイン映画。『オズの魔法使い』を下敷きにして少女の旅を描く。Netflixオリジナル映画は最新映画を世界同時配信で提示するから、今何の評価も定まってない傑作といきなり出合える可能性もある。反対に何の情報もないからハズレくじもある。なかなかスリリングだ。この映画もかなり前から気になっていたけど、なかなか見る決心がつかなかった一作。
主人公ドーラ、16歳の誕生日から始まる。お父さんとふ . . . 本文を読む
なんとこれはミュージカル映画なのだ。アニメーションミュージカル。だから土屋太鳳が歌う、歌う。彼女は踊って歌うAIなのだ。だからこれはSFミュージカル。何なんだ、これは、というような設定の映画である。『サカサマのパテマ』『イヴの時間』を手掛けた吉浦康裕が原作・脚本・監督を務めたオリジナル長編アニメーションだ。転校生のシオンが教室でいきなり歌いだすシーンでドン引きする。でも、こんなのはただのご挨拶。こ . . . 本文を読む
YA小説と図書館では分類されているけど、これはほとんど児童文学のノリだ。こんなアホな中学生はマンガの世界か、児童書にしかでてこないだろう。大人の小説ではこのノリは絶対ない。バカバカしい。付き合いきれない。なのに、それがなぜか嫌ではない。それどころか、なんだか気持ちいいくらいだ。作者はこれを無意識にするのではなく確信犯。わざとこういうキャラクターをでっちあげた。そして、それが過剰にならず、ちゃんと寸 . . . 本文を読む
これは79歳の末期癌の老人の話だ。彼には妻と2人の娘がいる。上の娘は40になるのに結婚もせずに今も家にいる。定職も持たずフリーター。3冊本を出した作家なのだが、今は泣かず飛ばず。下の娘はちゃんと結婚してふたりの孫もいるから安心だ。
彼が余命1年の宣告を受けた時からお話は始まる。そこには4人家族の葛藤が描かれる。それぞれの視点からそれぞれの想いが描かれていく。1年は決して短くはない。ち . . . 本文を読む
『ミッション・インポッシィブル』の新作公開を前にして、この『タイラー・レイク』の新作が公開された。まぁ別にトムさんを意識しているわけではないだろうが、これもまた同じアクション映画で、最高に過激な作品シリーズだ。どちらもどれだけ凄い新機軸を見せてくれるのか、楽しみにしている。
まず、こちらから。クリス・ヘムズワースも命掛けの凄まじいアクションを見せてくれる。だけど、話がなんだかヘボすぎて、ついてい . . . 本文を読む
東京23区、家賃5万以内のワンルームマンションを探しての小さな旅。銀座が大好きな作家が、(もちろん小野寺)SUUMO(このエッセイを連載したパートナーでもある)で物件を探して、そこに住んだらどうなるかを夢想しての街歩き。だがこれは部屋探しではなく、あくまでも部屋を起点にした街歩きだ。そこに住んだら、周囲に何があるかを探検するほうが目的。そして23区あるのだから、23話。
こんなエ . . . 本文を読む
定年退職を迎えたシングル・キャリアウーマンが、中学時代の仲良しと同居生活を始める。60歳になり、仕事を引退してたったひとりになった可南子さんは、義父母の介護を経て、夫とも死別して、子どもたちも独立した芳子さんと同窓会で再会して45年ぶりで再び意気投合。なんとふたりは芳子の家で一緒に暮らすことになる。そこに近所に引っ越してきた同じ60歳の女性に、ひきこもりの中学生男子も加わって、漫画好きの彼女たちは . . . 本文を読む
池田千尋監督の新作。一見、高校生の男女が主人公のよくある青春映画。だけど池田監督である。ありきたりでも、単純でもない。この手の映画としては考えられないくらいにとてもテンションが低い。話自体はよくある少女漫画レベル(実際マンガの映画化だし)でお話にはツッコミどころ満載だけど、それをこの低いテンションで見せていくから、あまり腹は立たないし、なんだかさらりとしてるから、それを素直に受け止められるくらい。 . . . 本文を読む
30日から後半の『決戦』が公開されるが、たまたまこの前半を見ることになった。前作も時間の都合で、見る予定はなかったのにたまたま見て、まさかの面白さで驚いたが、今回は前作のヒットを受けて調子に乗ってる気がしてあまり見たくはなかった。だいたい今時1時間30分程度の映画を作って、2部作公開にするってなんか詐欺みたいだ。3時間の大作にして公開しろ、とは思わないけど、なんか商売優先の胡散臭さを感じた。2時間 . . . 本文を読む
最後まで読んで胸一杯になった。わかっていたことだけど、わかっていた通りに心に沁みてきた。じんわりと沁み入る世之介の優しさ。
これは夏目漱石の最高傑作『三四郎』に匹敵する優れた作品である。40年以上前に大学の卒業論文で『三四郎』を書いたことを思い出した。三四郎の生き方が心に沁みた。この先彼がどんな人生を生きることになるのか、そんなことを考えながら、卒論を書いた。あれはきっとただの感想文 . . . 本文を読む
あの大作『カオス・シチリア物語』や素敵な小品『サン・ロレンツォの夜』の監督タヴィアーニ兄弟が放つとても小さな映画。いや、クレジットを見て「あれっ?」っと思う。監督パオロ・タビアーニとある。兄弟で映画を作ってきたはずなのに、なぜ? 調べるとすぐにわかる。兄のビットリオが亡くなったからだ。これはパオロ・タビアーニ初の単独監督作品となる。彼も1931年生まれなのでもう92歳になる。彼らの代表作『カオス・ . . . 本文を読む
G-フォレスタが今回取り上げるのは『ナイル殺人事件』。アガサ・クリスティの作品は昨年の『そして誰もいなくなった』に続いて2作目となる。本格推理ものに堂々挑戦して、安心の一作に仕立てた。
メリハリがあり、わかりやすい。ある種お決まりのパターンなのだが、こういうお約束は心地よい。前半1時間40分。休憩の10分を挟んで後半は40分。解決編だ。バランスよくまとめた。
豪華な舞台美術が素敵だ。豪華客船の . . . 本文を読む
気がつくと1日で上巻を読み終えている。なんだかサクサク読んでしまう。たいしたことは書かれていない。だけど、癖になるようにずっと読み続けている。さすがにもったいないから、1冊で止めた。
横道世之介38歳。(すぐに39歳になったけど)18歳の時に上京してもう20年になる。相変わらずの毎日だ。特別な事件もなく、穏やかに毎日が過ぎていく。9月から始まった小説は2月に至る。
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ついに横道世之介シリーズの完結編だ。上下2巻の大作。毎日新聞に連載中から気になっていたが、我慢して読まなかった。新聞連載中に毎日少しずつ読むのは僕には無理。毎日新聞を取っているから、連載当初から楽しみにしていた。毎日進行しているのは確認できるけど、まだ読めない。2021年11月から苦節2年。ようやく今朝から読み始める。冒頭の修学旅行の枕投げのシーンから胸いっぱいになる。「あっ、世之介だ、」と思う。 . . . 本文を読む