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映画・演劇のレビュー

『BACK STREET GIRLS ゴクドルズ』

2019-02-25 20:39:50 | 映画
『翔んで埼玉』を見る前にもう1本ありえないようなバカバカしい設定の映画を見ておこうと思い、これを見た。予告編を見たとき、これは絶対にあかんわ、と思った。映画があまりに安すぎる。可能性がまるで感じられない。今時こんな映画が作られて、劇場公開されるなんて、ありえない。しかも、東映系で公開である。やくざ映画なら東映、というのは昔からの定番だけど、今ではそんな面影すらない。でも、昨年『孤狼の血』で久々にや . . . 本文を読む
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NEW FACE『赫く染まる』

2019-02-24 15:57:54 | 演劇
若手劇団の旗揚げ公演を見るのはいつも楽しい。まるで知らない集団がどんな新しい切り口を見せてくれるのかと思うと、それだけでドキドキするからだ。今回のこの作品の「上演時間が45分」というのにも、期待した。妥協しない短かさをそこに期待したからだ。 だが、仕上がった芝居はそうじゃなかった。これでは十分な長さを書けなかっただけではないか、としか言いようのない内容だ。ドラマを展開する前に終わってしまう。3人 . . . 本文を読む
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『ラブレス』

2019-02-24 15:12:29 | 映画
『父、帰る』『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』『裁かれるは善人のみ』。ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の第5作。今まですべての映画が傑作ぞろい。今回もなんの疑いもなく大傑作だろうと期待して見た。しかし、今までの4作品のような感動はない。というか、これはもうそういう次元には収まらない映画なのかもしれない。 この圧倒的な拒絶感に震撼させられる。主人公である失踪した少年の両親への感情移入は一切拒 . . . 本文を読む
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『レディバード』

2019-02-24 14:31:03 | 映画
TSUTAYAに行けば、見逃していた映画がどんどんレンタルされている。先日も新作5本見たが、今週は準新作で7本借りてきた。いずれも粒ぞろいの傑作ばかりで、見ごたえがある。1本ずつ簡単な感想でも書いておきたいけど、時間がない。 12本中で一番面白かったのが、この映画だ。アメリカの地方の高校生の1年間を綴る青春映画だ。こういうタイプの学園ものなら日本映画には山盛りある。ここ数年「キラキラ青春映画」と . . . 本文を読む
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『ヒューマン・フロー 大地漂流』

2019-02-23 21:20:52 | 映画
建築家であり美術家でもあるアイ・ウェイウェイが監督したドキュメンタリー映画。23カ国の難民キャンプや国境地帯を巡る壮大な人間叙事詩と、宣材には書かれてある。もしも、帰るところを失ったなら、人はどうなるのか、がテーマだ。自分が暮らす場所を追われて国外に生きる場所を見出すために脱出するが、受け入れ先はない。難民収容所での暮らしは人を疲弊させていく。 アイ・ウェイウェイがレポーターになりインタビューを . . . 本文を読む
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ブルーシャトルプロデュース『新選組 終ノ章』

2019-02-23 10:46:33 | 演劇
昨年4部作として上演した『新選組』を、今回再演するだけではなく、さらに2章を追加して6部作として完結させる画期的なプロジェクト。2作品を同時上演するというアイデァも面白かったが、4作品とも主人公を変えて新選組の4人のお話として上演した。もちろんそれが同時に新選組自身のクロニクルになるというスタイルだ。昨年見た時にも書いたが、4作品にはどうしてもばらつきが出来て、完成度には差が出た。トータルな作品と . . . 本文を読む
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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版』

2019-02-20 20:23:15 | 映画
前日、TVをつけたときこの映画が放送されていた。たまたまジェニファー・コネリーが躍るシーンで、ついついしばらく見とれていた。少年時代のエピソードのハイライトであり、導入部分でもある。悠々たるタッチで綴られていく。20分くらい見てしまった。さすがにそれ以上をTVで見るのはしんどかったし、CMになったので、やめたけど、30数年ぶりにほんの少しだけどこの映画を見て、その圧倒的なスケールとさりげなさに魅了 . . . 本文を読む
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『半世界』

2019-02-20 19:31:18 | 映画
映画を見ながら、身も心も身体もとんでもなく苦しくなった。この映画が描く世界があまりに息苦しくて耐えられない。それはこの映画がつまらない、ということでは断じてない。この映画が素晴らしいことは断言する。これは今年一番の傑作であろう。(まだ、2月なのだけど) 凄い映画だ。だけど、作品の完成度と僕の抱いた気分は別問題だ。映画が凄いから、こんなにも苦しいのだ。ここに描かれる「世界」はあまりに苦しい。地方で . . . 本文を読む
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『アクアマン』

2019-02-16 16:32:39 | 映画
なにも数ある映画の中からこの映画を選ばなくともいいじゃないか、と言われそうなくらいにバカバカしい映画をわざわざ劇場に見に行く。でも、こういう映画はできるだけ大きなスクリーンで見るべきだと思う。DCの新作。『ジャスティス・リーグ』にも登場していたアクアマンの単独主演映画。1昨年の『ワンダーウーマン』もそうだったけど、群れになって戦うヒーローものより、そのヒーローの世界観が反映される独立した作品のほう . . . 本文を読む
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瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』

2019-02-16 14:02:31 | その他
こんなにも心を揺さぶられる小説にはなかなかお目にかかれない。ありえないほどとんでもないお話なのだが、それが奇想天外というのではなく、笑えるくらいにふつうに描かれていく。彼女の置かれた立ち位置のみがありえないのであって、彼女の生活や日常はごくありふれている。15歳の少女の3年間の軌跡が綴られる。回想(というか、読者に対する説明のような感じ)で挿入されるそこに至るまでの軌跡も含めてひとりの女の子の生い . . . 本文を読む
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『メリーポピンズ リターンズ』

2019-02-15 18:30:18 | 映画
  なんとメリーポピンズが帰ってきた。さすがにジュリー・アンドリュースが演じるわけにはいかないけど、正統的な続編として登場する。映画のテイストもちゃんと前作を踏襲する。ということは、クラシックな映画になる。今の時代にそぐわない。古き良き時代の映画。のんびりしていて、テンポも遅い。悪く言うとかったるい映画。あまり何も考えないで、ふわふわした世界に浸っていればいい。悠々たるタッチで2時間1 . . . 本文を読む
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『ミスターガラス』

2019-02-15 18:28:58 | 映画
  シャマランの映画で1番好きなのは、2作目の『アンブレイカブル』だ。『シックスセンス』で衝撃のデビューをした後、それを遥かに超える衝撃を与えた映画である。でも、この衝撃はちょっと常軌を逸していた。それはないわぁ、という声もちらほら。それくらいにあの映画はむちゃくちゃな展開を見せる。前半はミステリで後半にはヒーロー物に様変わりする。そんなむちゃな映画に続編を作る。しかも20年近くの歳月 . . . 本文を読む
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スケッチブックシアター☆プロジェクト『世界中アイスランド』

2019-02-15 18:22:30 | 演劇
  劇団大阪に所属していた武藤さんが再び個人商店に舞い戻ってスケッチブックシアター☆プロジェクトとして放つ最新作。台本は伊地知克介に依頼した。伊地知さんの独自の世界観が前面に出る作品を、ちゃんと武藤色に染め上げる。お互いが遠慮するのではなく自分をちゃんと押し出しながら共同製作ならではの新鮮さでこのほのぼのとしたささやかなお話を形作る。   これはちょっとしたユートピア伝説 . . . 本文を読む
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浪花グランドロマン『ホワイトスノー 神宿る此岸の曲がり角』

2019-02-15 18:20:16 | 演劇
なんとも不思議な感触になっている。今までの浪花グランドロマンとはひと味もふた味も違う作品に仕上がった。いつもの浦部さんなら、もっとウエットな芝居だったのに、今回はなんだかドライなタッチだ。それが確信犯としてではなく、なんだか迷走してそこに至っている、という感じがする。浦部さん自身もこの素材を上手く扱い切れてない。距離感をつかめないまま作った、って感じ。手探りで芝居自身も進行していく。ちょっぴり不安 . . . 本文を読む
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『ファースト・マン』

2019-02-15 18:04:54 | 映画
  アポロが月に着陸する。人類が初めて月面に立ったときを描くのだが、これって、1950年代の終わりから69年という今からもう半世紀も前のできごとなのだ。描かれる時代も風景も今からは遙か昔の世界で、映画はちょっとした時代劇なのだ。NASAが舞台の宇宙開発のお話なのに、である。今までもこういうタイプの映画はたくさんあったけど、この映画の懐かしさはそれをノスタルジックに描くからではない。反対 . . . 本文を読む
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