習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『永遠の0』

2013-12-13 21:46:26 | 映画
 素晴らしい映画だ。ラストの岡田准一の幽かな薄い笑い顔が心に沁みる。零戦で空母に激突する。機体が急降下していく。その時、彼は何を感じたのか。そこにタイトルが出る。映画が始まって既に2時間15分が過ぎようとしている。これはそんな「0」に向けてのドラマだ。生きて帰ると約束したから、何があっても死ぬわけにはいかない。臆病者と言われてもムダ死には出来ない。妻と娘のところに帰るため。このラストシーンが始まり . . . 本文を読む
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突劇金魚『夜に埋める』

2013-12-13 21:36:47 | 演劇
 朝子と川田が夜の海に漕ぎ出すラストシーンが美しい。夜の高層ビルの赤いランプが恐竜の目に見える。芝居はアトリエS-pace という小さくて狭い空間を実に見事、有効に使い切る。階段状で迷路のような抜け道だらけのこのセット(サカイヒロト)は、この芝居の重要な要素だ。闇と隙間のジグザグな通路、廃墟を思わせる。具象と抽象がごっちゃになる。そんな空間で展開する不思議なお話。  朝子は夜のビルの清掃の仕事を . . . 本文を読む
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三角フラスコ『花鋏』『指先から少し血が流れ始めた』

2013-12-13 20:45:15 | 演劇
こんなにもド真ん中。『指先から少し血が流れ始めた』は受け止めるほうも指し示すほうも、かなりの覚悟が必要な作品なのではないか。作者の中村賢司さんの今の気持ちが気負うことなく、かといって冷静すぎることもなく、等身大に提示されている。養護学校で働く。あまりの重労働で心身のバランスを崩していく。逃げるのではない。自分の力量不足を嘆くのでもない。ただ、疲れた。オーバーワークのため、子供たちを大切にしたいと . . . 本文を読む
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劇団きづがわ『真珠の首飾り』

2013-12-13 20:41:05 | 演劇
 これはとてもオーソドックスな芝居だ。正攻法で自分たちのメッセージを声高に伝える。伝えたいことがあるから、それをしっかり伝えきる、そのための芝居だ。しかし、それがひとりよがりの押しつけにはならない。気持ちのいいほどにストレートなメッセージがちゃんと届く。しっかり受け止めた、と言える。そんな芝居なのだ。演出の林田時夫さんの熱い想いが客席に沁み渡る。  日本国憲法がいかにして作られたのか、という戦後 . . . 本文を読む
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