なんとSFなのか、と驚くが、あまり関係なくてほっとする。(ほっとする必要はないけど)朝の散歩の話題で、火星に移住とかいう話をするところから始まって、えっ、と思うがこれはナオコーラである。SFなんかじゃない。
彼女がそんな大胆なことはしないし、いや、する。要するにどちらでも同じことなのだ。たとえSF世界の話であろうと、いつもと同じくらいにいつものナオコーラなのである。
今 . . . 本文を読む
阿部定を村山由佳が描く500ページに及ぶ大長編。吉蔵の息子である吉弥の視点から定へのインタビューを通して描かれる。吉弥の友人である映画監督は大島渚がモデルなのか。それなら吉弥は若松孝二か? もちろんフィクションだけど、吉蔵の妾の子という視点の設定は凄い。現実の阿部定による調書や、当時の新聞記事を使いながら、虚実皮膜の間で、作家である村山由佳の視点から真実に迫る力作。
吉弥による関係し . . . 本文を読む