習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ビューティー・インサイド』

2016-01-31 19:36:38 | 映画
昨年夏台湾に行ったとき、この映画が公開直前で宣伝されていた。(『海街diary』も同じように公開直前だったので、ポスターやチラシが出回っていた)面白そうなので印象に残った。しかも、夏のHPFでこの映画と同じアイデアの芝居があって、偶然の一致とはいえ驚いた。こんなとんでもないアイデアが韓国と日本で同時多発的に作られる。ひとつは映画として、ひとつは高校生のお芝居として。とても、興味深いと思った。よう . . . 本文を読む
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『シーズンズ 2万年の地球旅行』

2016-01-31 19:35:02 | 映画
このドキュメンタリー映画は、2万年の動物たちの歴史を描くスケールの大きな作品だ。大自然の脅威や、動物たちの営み、そんなのを描くネイーチャー・ドキュメントは後を絶たない。どれだけ作れば気が済むのか、とあきれるほど、同じような映画が公開される。 たが大スクリーンでそんな映像を見るのは嫌いではない。それはそれで楽しいくらいだ。疲れている時、ぼんやりと見ながら、すごい、すごい、と感心する。それだけで、 . . . 本文を読む
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額賀澪『屋上のウインドノーツ』

2016-01-31 19:33:14 | その他
このパターンの小説は収めるところが難しい。主人公たちにどこで負けさせるか、それはポイントだ。その点、この小説は実に上手い。変に引っ張らないのがいい。そこで、というところで、負ける。さらには、負けた後のお話になる。大事なことは勝つことではない。人生には負けることのほうが多い。だが、その負けっぷりを通して成長する。ドラマではないのだから、みんながみんな勝つわけではない。どんなに努力しようとも、負ける . . . 本文を読む
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『ピンクとグレー』

2016-01-26 21:53:15 | 映画
行定勲監督最新作。前作『真夜中の5分前』と同じように今回もミステリー仕立ての作品だ。確かに「開始から64分でだまされる」でも、あれは、誰でもあれをやられるとだまされるし、だますこと自体が映画の目的ではないのだから、その後が問題なのだ。なのに、その後があまり感心しない。モノクロ映像になり、そこからが実が現実の時間なのだが、それまでの色鮮やかなドラマとの対比があまり効果的ではない。 実は、この映画 . . . 本文を読む
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『の・ようなもの のようなもの』

2016-01-26 21:48:37 | 映画
この人を食ったようなタイトルは、今は亡き森田芳光監督の劇場用映画デビュー作『の・ようなもの』から来ている。もちろん、これはその、今からもう35年も前の映画『の・ようなもの』の続編なのだ。森田監督の弟子で、これがデビュー作となる杉山泰一監督作品である。30歳の若さでデビューした森田監督のもとでずっと助監督をしてきたもう50代になる杉山監督の満を持したこの第1作は、傑作だ。こんなすばらしい映画が作れ . . . 本文を読む
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劇団ひまわり『ひとり結婚』

2016-01-26 21:46:28 | 演劇
こういう企画にも劇団ひまわりは力を入れているのだな、と感心した。俳優養成所であるだけではなく、力のある劇団員の自主企画にも助力を惜しまない。そこから、役者だけではなく、作家や演出家も生まれてきたなら一石二鳥だし、ね。 あしだ深雪さんの脚本、演出作品だから、見に行くことにした。それにこのお話の発想が素晴らしいし。彼女がどう料理してくれるのか、興味津々。しかも、生まれて初めて河内長野に行く。普段な . . . 本文を読む
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『ザ・ウォーク』

2016-01-26 21:45:31 | 映画
初めて3D映画を見て感心した。この映画の最大の魅力はドラマと3Dの融合だ。今まで、そんな3D映画を見たことがない。 もちろん、『アバター』を見たときにも感動はした。その奥行きを重視した作りにも確かに驚かされはした。けど、3時間見ているうちに疲れてしまったし、浮き出てくる字幕にはいつまでたってもなれない。(最初のころはあの重い3D眼鏡にも辟易した。)その後も3D映画で様々な冒険がなされてきたことは . . . 本文を読む
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『藍色夏恋』

2016-01-22 22:56:26 | 映画
なんと12年ぶりになる。これは2003年に日本で公開された映画で、ロードショー時に今は亡き「3番街シネマ2」で見た。なんてさわやかな映画だろうか、と感心した。その年の僕のベストワンにした。それだけではない。きっとその後、初めて台北に行く、そのきっかけにもなった。たぶん。 それくらいにこれは特別な映画なのだ。もちろん、それまでもずっと台湾にはあこがれていた。きっかけは、ホウ・シャオシェン監督の映画 . . . 本文を読む
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村上春樹『職業としての小説家』

2016-01-22 22:53:45 | その他
12章仕立てで、村上春樹が自分のこと、小説のことを語るというスタイルの自伝的エッセイ。でも、エッセイを読むというよりもこれは「村上春樹」という小説を読んでいる気分。この35年間の作家人生を描く大河ドラマって、感じでとてもおもしろい。 それと同時に今まであまり語られることのなかった彼の考えがここにはしっかりと描かれてあり、人生論としても、生き方の指南書としても楽しめる。でも、そんなことを言うと、き . . . 本文を読む
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カラ/フル 『夕空はれて ~よくかきくうきゃく~ 』

2016-01-20 21:48:09 | 演劇
別役実の不条理劇を丁寧に描きながらも、その世界を、きちんと凶暴で不気味に見せていく演出のオダタクミの手腕に感服した。狭い空間を逆手にとり、生かしきる。そこでしか成り立たない密なドラマを組み立てる。抽象的なお話が、この空間故、迫りくる役者の肉感ゆえ、実にリアルに展開していくこととなるのだ。久々にそこに役者がいることが怖いな、と思った。彼らの圧倒的な迫力が芝居に有無を言わせぬリアルを与える。目の前何 . . . 本文を読む
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三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』

2016-01-20 21:25:47 | その他
これは三浦しをん版『東京バンドワゴン』だったんだ、と思うと、終盤のあんまりな展開にも納得がいく。と、いうか、それこそが彼女の意図なんだ、と思うと、なんだか胸が熱くなる。これからの時代、新しい家族の在り方を模索する日本人への彼女からのメッセージなんだ、と理解する。 核家族化が進展した高度成長期を経て、21世紀は「新しい家族」の形が生まれつつある。それは、他人同士が家族として暮らす社会だ。 独居 . . . 本文を読む
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椰月美智子『14歳の水平線』

2016-01-20 21:12:42 | その他
30年前14歳だった父と、今、14歳である息子の2人が3年ぶりに田舎である島で過ごす夏休みを描く冒険物語。だが、父と息子のお話は別々のものとして描かれる。2人が主人公なのに、2人は同じ場所にはいない。44歳の父と、息子は、同じ時間を別の場所で過ごす。父は母(彼の妻ではなく、文字通り実母)と実家で過ごし、息子は1週間のキャンプに行くからだ。平行するお話は今の少年のドラマと、30年前の父親のドラマで . . . 本文を読む
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無名劇団『恋人がビッグフット』

2016-01-20 21:10:20 | 演劇
昨年最初に見た芝居がこの無名劇団の芝居だった。ミステリタッチでストレートな作品で好感が持てた。そして、今年もまた、1月に彼女たちの作品を見ることになった。夏の『無名稿 あまがさ』も含めて毎回全然タッチが違う作品を見せてくれるのもうれしい。 今回はクリスマス・イヴの夜のできごと。4つのお話が並行する。少し季節外れになってしまったけど、よくあるトレンディ・ドラマのような(言い回しがなんとも、古いなぁ . . . 本文を読む
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『白鯨との闘い』

2016-01-15 20:35:52 | 映画
ロン・ハワードがこういう素材に挑んだ、というのに、興味を持った。まぁ、彼は何でもやる。あらゆるジャンルに挑戦して、きちんと勝利を収めるから、今回も彼の監督作品というだけで、見る価値があると思う。 だが、今回は少しがっかりさせられる。これだけの大作映画なのに、なんだか、既視感ばかりが募り、なんか驚きがない。この手のヒューマン映画なら今までもたくさん素晴らしい作品があった。今、あえて彼がこの作品に . . . 本文を読む
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湊かなえ『リバース』

2016-01-15 20:34:01 | その他
惜しいな、と思う。ラスト1行で失敗している。それさえなかったなら、かなり好きな小説だ、と思えたのに。甘いけど、その甘さを信じたいと思える。なのに、ミステリであることを重視して、しかも、見事なオチだとでも思って。作者の意図はわからないけど、あれでは台無しだ。僕は犯人捜しなんかどうでもいい。そんなことより、人の気持ちのほうが大事だと思う。 それは初めて彼女の小説を読んだときにも思った。デビュー作『 . . . 本文を読む
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