習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

遊劇舞台二月病『night way』

2021-02-28 16:58:06 | 演劇
ウイングカップ再演大博覧会参加作品。今年で10回を数えるウイングカップを記念してウイングフィールドが、かつて大々的に挙行していた再演博覧会を久々によみがえらせた。ほんとうならもっと盛大に企画したはずだったのに、コロナのせいで公演中止や延期もあり、ようやくこの作品からのスタートとなった。 記念すべき第1回作品は、ウイングカップの第4回大賞受賞作であり、遊劇舞台二月病の原点となる作品だ。今回で2度目 . . . 本文を読む
コメント (1)

『あの頃。』

2021-02-28 16:18:00 | 映画
1994年から98年。舞台は大阪から、やがて東京へ。大学は卒業したけれど、就職もせず、もちろん、音楽で食べていけるわけでもない。(彼は下手なベーシストでプロを目指していたわけでもないし)何もせずにくすぶっていた。そんなとき「松浦亜弥」と出会った。彼女の熱狂的なファンになり、それを通して同好の仲間と出会い、充実した時間を過ごすことになる。そんな「あの頃」を描く。 これはアイドルの追っかけの話だ。彼 . . . 本文を読む
コメント

点々の階『点転』

2021-02-28 15:12:07 | 演劇
今回の久野さんはエンタメだ。とてもわかりやすくて、ドキドキさせられる。派手な芝居ではないけど、どちらかというと、とても知的で静かなお芝居なのだけれども、これはちゃんとしたエンタメなのだ。見終えたとき、スカッとして、あぁ、面白かったと思える。もちろん見ている間も、この先どうなっていくのか、ストーリーの奇抜さで観客を引っ張っていく。エンタメの王道だ。 ある女性の葬儀から始まる。彼女の葬儀にやってきた . . . 本文を読む
コメント

『ファーストラブ』

2021-02-24 20:24:21 | 映画
堤幸彦の最新作なのだが、思った通り中途半端な映画だった。メジャーの商業映画としてこの素材を取り上げるとどうしても詰めの甘い映画にせざるを得ない。このテーマを突き詰めるときつすぎるからだ。なんとか娯楽映画としても見ることのできる作品に仕上げる必要から、ここまでにとどめるしかなかったのだろう。それは彼の前作『望み』も同じだ。口当たりのよさを残さなくてはお客さんは来てくれない。 ミステリーとして興味を . . . 本文を読む
コメント

空の驛舎『ghost notes』

2021-02-20 15:34:50 | 演劇
今だから作れる作品。今でなくては作れない作品。だけど、今が治まった後にも、ずっと残る、残すべき作品。コロナ禍で私たちが何を思い、何と戦い、生きたのかをきちんと伝えたくれる証言になりえる。対面での芝居だからこそ出来たこと、人と人とがどう向き合い、生きていくべきなのかを教えてくれる。 大切なことは何なのか。それを教えてくれる。何が正しくて、間違いなのかなんてわからない。この先、何があるのかもわからな . . . 本文を読む
コメント

エイチエムビー・シアターカンパニー『忠臣蔵・急  ポリティクス/首』

2021-02-18 20:56:30 | 演劇
配信で見たのだが、2時間半の長尺なのに集中が途切れることもなく、一気に見ることができた。出来ることなら昨年12月の劇場で見たかった、と今更ながら公開させられる。それくらいに素晴らしい出来なのだ。実に残念だ。でも、こういう形で見る機会を与えてもらい感謝している。 先の2作が素晴らしく、完結編がどんなことになっているのか、とても楽しみだった。特に2作目の発想がすばらしく、忠臣蔵ってこんなお話だったの . . . 本文を読む
コメント

『すばらしき世界』

2021-02-18 20:38:19 | 映画
生きていくことは、こんなにもつらくて苦しい。それでもこの映画は、「すばらしき世界」と言う。助けてくれる人たちがいるから、こんな不条理にも我慢しなければならないと思い、耐える。正しいことがまかり通るわけではない。誰が正しくて誰が間違っているのかなんて、わからない。それに微妙なところだ。視点によって見え方は変わる。周囲の人たちの善意に支えられていても、うまくいかないことはある。特に終盤、見ていて、ハラ . . . 本文を読む
コメント

榎本憲男『見えないほどの遠くの空を』

2021-02-18 19:52:42 | その他
この映画を見たいと思う。きっとたいした映画ではないはずだ。感傷過多で、大甘で。でも、この小説をたまたま読んでしまった以上、見ないではいられない。それくらい、感情移入した。醒めながら、だけれど。きっと40年くらい前に見ていたなら号泣する。でも、今見たらしらけてしまう。たぶん。そんな気にさせられる小説だった。 榎本憲男監督のデビュー作である。10年前に作られた、ようだ。僕はこんな映画があったことなん . . . 本文を読む
コメント

『この世に私の居場所なんてない』

2021-02-16 23:27:59 | 映画
まず、この強烈なタイトルである。そこに心惹かれて見たのだが、予想を覆す別の意味での強烈さで、衝撃的だった。心が弱っているから、まさにこのタイトルの気分だったので、それだけで見ることにしたのだが、しんみりとしたヒューマンドラマなんかではなく、この荒唐無稽な展開に驚く。こんな話になるなんて誰もが予測はしない。 確かに後で見ると、紹介にはコメディと書いてあったが、ここまでブラックな映画をよく作るな、と . . . 本文を読む
コメント

片羽蝶『モノクロ 上の空』

2021-02-16 21:51:31 | 演劇
若い人たちによる旗揚げ公演を見るのは、なんだかドキドキしてしまう。しかも、このコロナ禍での上演である。先週のシイナナに続き2週連続でそういう貴重な機会に立ち会えたことがうれしい。彼らは今回の10周年を迎えるウイングカップに参加し、本格的なデビュー作であるにもかかわらず、というか、「それだからこそ」なのかも知れないが、渾身の力作を見せてくれた。真正面から自分たちが選んだ題材と向き合い、全力投球した。 . . . 本文を読む
コメント

『羊飼いと風船』

2021-02-16 21:44:51 | 映画
初期のキアロスタミ(もちろん、『友だちのうちはどこ?』)のような児童映画テイストかと思った。もっとほのぼのとした映画を期待していたから、なんだかシビアすぎて驚く。チベットの草原で暮らす少年たちの生活を追った牧歌的な映画だと勝手に思い込んでいたのだ。タイトルだってこんなだし。   でも、とてもいい映画だった。ラストで少年たちが父親から赤い風船を買ってもらえたのもよかった。ラストは甘い終 . . . 本文を読む
コメント

『わたしの叔父さん』

2021-02-16 21:34:21 | 映画
こんな映画が見たかった。終盤の展開は少し残念だけど、そこまでは素晴らしい。そして、あの唐突なラストもいい。叔父さんが入院して、でも、ちゃんと戻ってきて、日常も戻ってくる。だけど、それは単純なハッピーエンドではないことは明らかだ。近い将来叔父さんは死んでいく。あるいは、もっと体の不自由が進行する。その時、彼女1人で面倒を見ることは不可能になる。どこまでが可能で、どこからは不可能なのかの線引きは難しい . . . 本文を読む
コメント

『名も無き世界のエンドロール』

2021-02-14 19:46:10 | 映画
一応、101分、ラストまで飽きることなく見ることはできたけれども、ストーリーに無理がありすぎて、なんとかつじつま合わせをするだけで精一杯。突っ込みどころは満載だ。主人公2人があまりに美形すぎて嘘くさいんだけれども、こういう夢物語なのだから、そこは触れない。というか、それこそが大事なところかもしれない。2人のファンの女の子たちが喜ぶだけで、映画としては十分なのかもしれない。これは一種のアイドル映画な . . . 本文を読む
コメント

青年団『眠れない夜なんてない』

2021-02-12 21:06:08 | 演劇
「定年移住」を扱うのなら、そこでは老いについてを正面から描くだろうと思ったが、それだけではない。チラシには「ここで生きるのではない、ここで死んでいくんだ。」なんていうショッキングな文言もあったし、かなり身構えて見始めたのだけれど、芝居は思ったほど、ハードな内容ではなかった。それどころか、少し緩いくらいで、見ながら最初の緊張感は緩んだ。 今、自分も老後の生活について考えているから、彼らが何を求めて . . . 本文を読む
コメント

『夏、至るころ』

2021-02-12 20:45:12 | 映画
17歳の夏。高校生活最後の夏。人生において、ひとつの大きな区切りとなる時。これから何をしたらいいのか、将来に対する漠然とした不安を抱え、でも、何も出来ないで、時を無為にやり過ごしていくばかり。 夏祭りで太鼓を叩く。ずっと一緒だと思っていた友が離れていく。自分は何を選べばいいのか、わからない。静かに今を受け止めていく。まるで昔の侯 孝賢(『童年往時』や『恋恋風塵』の頃ね)の映画を見ているような懐か . . . 本文を読む
コメント