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映画・演劇のレビュー

最果タヒ『恋の収穫期』

2025-06-30 15:47:00 | その他
最果タヒの小説である。思春期の女の子たちの恋愛小説。だけどこれは少女漫画のようなありきたりな話ではない。なんと近未来小説。だからSF。だけど当たり前のSFではない。彼女が手掛けると不思議な魔法がかかる。東京とそれ以外の世界に二分化した世界。それ以外の世界、軽井沢の高校が舞台となる。東京から転校生がやって来た。みんなは彼に夢中になる。初日に23人が彼に交際を申し込んだ。それをすべて受け入れて、帰りの . . . 本文を読む
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佐藤正午『熟柿』

2025-06-30 05:51:00 | その他
タイトルの『渋柿』って、「じゅくし」と読むみたいだ。知らなかった。「しぶがき」だと思った。だから何って感じだけど。と書いて「じゅくし」って『熟柿』じゃん、と気づく。バカすぎて自分が恥ずかしい。タイトルを見た違えていたのだ。なんて、アホなことを書いている場合ではない。だけど実はそんなアホな、以上のことかがこの小説には書かれてある。主人公の明らかに勘違いな人生は『熟柿ってと『渋柿』程度のレベルではない . . . 本文を読む
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『F1 エフワン』

2025-06-29 16:45:00 | 映画
『トップガン マーベリック』のジョセフ・コシンスキー監督がトム・クルーズではなく今度はブラッド・ピットと組んで挑んだ。『マーベリック』同様、これは高齢者が頑張る映画である。トムもブラピももう還暦世代だからそういうことになる。以前ロッキーが、(というかスタローンだけど)この手の世代交代映画を作っていた。イーストウッドだってやっていた。だけど今はトム、ブラピがする。ただ、彼らはスタローンとは違う。無理 . . . 本文を読む
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『罪人たち』

2025-06-29 06:17:00 | 映画
アメリカで大ヒットしている作品だけど、日本ではこんな地味な公開のされ方をしているのは仕方ない。これはなかなか宣伝が難しい映画だ。社会派映画ではなく、娯楽映画だけど、大作なのにマニアック。スクリーンは少ないがミニシアターからIMAXでも公開されている。それにしても、ホラー・アクション・スリラーって何? なんともポイントが絞りきれない映画だ。だからドキドキするし、刺激的な作品になった。舞台は1930年 . . . 本文を読む
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Gフォレスタ『青い空の真下で2025 FINAL』

2025-06-29 05:51:00 | 演劇
阪神淡路震災直後を描く(といっても、仮設の話だから当然半年は過ぎてからの日々)Gフォレスタの旗揚げ公演作品である。仮設住宅を舞台にしたこの作品は今回で5度目の再演となる。そしてこれをファイナルにする。あの日被災したすべての人たちに丸尾拓が祈りを込めて捧ぐ。この30年、節目節目にあの頃を振り返るために(5年ごとに)上演してきた。作品としての完成度は決して高くはない。この明るさと唐突な展開は最初見た時 . . . 本文を読む
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長谷川まりる『お絵かき禁止の国』

2025-06-29 05:04:00 | その他
2019年の講談社児童文学新人賞佳作を受賞した作品。中学3年の女の子がクラスメイトの女子を好きになる。自分はおかしいのではないか、と悩む。だけど好きは止まらない。児童文学という枠の中でこういうお話がファンタジー風に、ではなく、シリアスでちゃんと描かれる。かなりハードだ。相変わらずのことだけど、分類なんてどうでもいいなと思う。これが誠実な作品で彼女たちがしっかり現実と向き合う姿が描かれる。大事なこと . . . 本文を読む
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『でっちあげ』

2025-06-28 11:05:00 | 映画
最初の部分のあまりのおぞましさに震えた。こんな教師がいたなら、怖い。これはホラー映画だ、と思う。サブタイトルに『殺人教師と呼ばれた男』(映画にはこんなサブタイトルはついてない。宣伝用のタイトルである)とあるから、ここまでは現実ではないことはわかっている。だけどこういう奴がいたら怖いし、ないとは言い切れない。『呼ばれた』だけで、彼が殺人教師というわけではない。福岡で23年前に起きた事件。これは実話を . . . 本文を読む
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『突然、君がいなくなって』

2025-06-28 07:40:00 | 映画
たった80分の映画である。脚本、監督はルーナ・ルーナソン。アイスランド映画。彼女の映画は初めて見る。取り上げるのは身近な人の死。大切な恋人が事故で亡くした。彼とは昨日まで一緒にいた。彼はつき合っていた遠距離恋愛の彼女と別れて、自分と正式に付き合うことにした。だから故郷の彼女に別れを言うために今朝車に乗って出て行った。その途上でトンネル事故に遭い亡くなった。レイキャビクの夏の長い一日。ふたりで夕暮れ . . . 本文を読む
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朝倉かすみ『棺桶も花もいらない』

2025-06-28 07:31:00 | その他
これはかなり怖い。老年に達した女が派遣で日雇い労働者をしている。離婚後、ひとりで生きてきたが、コロナでクビになり、今に至る。毎週金曜日に給料を手渡しで貰い生活している。かつかつの暮らし。ある女から「ずっとのおうち」の話を聞く。犯罪であるが、安心である。そこの管理人にならないかと誘われる。ここから始まる、というところで終わる。安定と犯罪がセットになった誘惑。これは5話からなる短編集である。先に書いた . . . 本文を読む
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『ルノワール』

2025-06-27 05:34:00 | 映画
『PLAN75』の早川千絵監督の新作は80年代後半(バブル期)を舞台にして11歳の少女を描く青春映画。ここまで徹底して彼女目線を貫いたって凄い。わからないことも,そのまま。説明描写はない。幻想と現実がごっちゃになって差異はない。えっ?と思うシーンが連発。わけがわからないシーンもそのまんま見せる。彼女が想い感じたことを映像化する。普通なら父親(リリーフランキー)や母親(石田ひかり)の心情を説明的に描 . . . 本文を読む
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落合由佳『ぼくらのお祝いごはん』

2025-06-27 05:17:00 | その他
『おはなし日本文化』というシリーズの一作でテーマは和食。神戸遥真もシリーズの一作(書道)を手掛けている。これは落合由佳だから手にして読んだ。これはさまざまな児童文学の作家たちによる10冊の中の一冊。とても気持ちいいお話だ。小学校の料理クラブ、その卒業生お祝い会で和食パーティーを開催することになって、5年のまとめ役になった和くんは同級生の心春とふたりでメニューを考える。児童文学という枠組みに日本文化 . . . 本文を読む
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沖田円『丘の上の洋食屋オリオン はなむけのひと皿』

2025-06-26 13:17:00 | その他
シリーズ第2作。オリオンにまた行きたい、という願いが叶う。ここに来れば誰もが知っているし、食べたことのある懐かしいメニューが並ぶ。今回だってナポリタンにミートドリア、野菜たっぷりのカレー。なんて庶民的なメニューか。チキンライスも食べたい。桃のムースケーキや冷製かぼちゃスープと続く美味しい料理にデザートの数々。そして何よりはここのスタッフ(猫のネロも含めて)の暖かさ。ここに来れば誰もが幸せになれる。 . . . 本文を読む
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『川沿いのホテル』

2025-06-25 20:21:00 | 映画
ホン・サンスの2018年作品。タイトルの漢江沿いにあるホテルからほとんど出ない。主人公であるふたりのそれぞれの部屋、1Fの喫茶室。ホテルの外、漢江。近所の食堂。登場人物め6人だけ。老詩人と彼のふたりの息子。傷心の女性と彼女の先輩女性。ホテルの従業員。シンプルの極みのような映画。かなり高い評価を受けているみたいだが、僕は乗れなかった。あまりに安易な展開でついていけない。さすがにこれはやり過ぎ。モノク . . . 本文を読む
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『28年後』

2025-06-25 16:54:00 | 映画
ダニー・ボイル監督の『28日後』の続編である。『28週後』(これはダニー・ボイル作品ではない)のさらなる続編でもある。今回再びダニー・ボイルが監督を手掛ける。単純なホラー映画ではない。コロナ禍以後という時間の中で作られたサバイバル映画であり、ひとりの少年の成長を描く。これもまた、『メガロポリス』同様、ある種の寓話である。感染によって封鎖されたイギリス。感染者だけが棲む本島から離れた狭い孤島で暮らす . . . 本文を読む
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『メガロポリス』

2025-06-25 16:47:00 | 映画
フランシス・フォード・コッポラ86歳。180億の自費を注ぎ込んだ、きっと最後の映画。もう体力的にも、気力だってないだろう。もちろんお金もない。この映画が大ヒットして資金が回収されたり、利益をあげることが出来るならいいけど、たぶんそんなことは望めない。これまでだって何度となく、破産している。今回もたぶん。だけど彼は挑戦をやめない。彼をそこまで「追い詰める」ものは何なのか。いや、それは彼が「追いかける . . . 本文を読む
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