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映画・演劇のレビュー

『マッドバウンド 哀しき友情』

2022-02-28 11:13:13 | 映画
2016年のネットフリックス映画だ。こういう大作映画をちゃんと買い付け、公開している。今ではどんどん自主制作しているけど、これは当時アカデミー賞受賞のため配信と同時に劇場公開もされ、4部門にノミネートされ話題になった作品らしい。 たまたま予告編を見て興味を持ち、見てみた。確かに凄い映画だ。この手の黒人差別を扱う映画は枚挙に暇はないし、膨大な数の作品が今もどんどん作られている。もちろん、それでも足 . . . 本文を読む
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原宏一『ラストツアー 佳代のキッチン』

2022-02-28 10:42:15 | その他
シリーズの第4作であり、完結編だ。コロナ禍の2020年を舞台にして、しばらく休業を強いられていた佳代が再起動する姿を描く。今まで彼女がかかわってきた人たちの元を訪れ、そこでの彼らの現状を描きつつ、彼らがコロナによってどんな苦境にあり、そんな現状とどう向き合っているのかを久々に再会した佳代とのやり取りを通して描いていく。確かに完結篇らしい展開だが、登場人物が多すぎてその結果お話がどうしても中途半端に . . . 本文を読む
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思い出の森田芳光。相米慎二。

2022-02-27 12:27:46 | 映画
年末に依頼されて「映画について、今思うこと」というようなお題で原稿を書いた。2000字程度の分量の予定で書いたのだが、依頼先から1000字に縮めて欲しいと言われたので、短くしたら何が何だかわからなくなってしまった。そこで、ここに最初の原稿を残しておこうと思う。2021年の映画について、ということで、僕がまず思ったのは「森田芳光」のことだった。今年(もう昨年になるけど)は亡くなられてちょうど10年だ . . . 本文を読む
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『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』

2022-02-27 09:27:02 | 映画
週末なのに芝居もなく、暇なのでたまたまみつけた映画を見始めた。全くなんの情報もなく。この映画が劇場で公開されていたことすら知らなかったのは意外だ。少なくとも大阪で公開されているような映画なら、見ていないものも含めて、知らないことはなさそうなのに、この作品は全く気付かなかったようだ。まぁ、最近はすさまじい量の映画がいきなり公開され一瞬で消えていくようだから、ぼんやりしていたらそういうことも起こりえる . . . 本文を読む
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夏川草介『始まりの木』

2022-02-26 17:29:23 | その他
夏川草介が医者の世界を離れた作品を手掛けるのは初めてではないか。今回の主人公は民俗学者だ。大学の准教授と院生のふたりが旅をする。凸凹コンビの掛け合いの面白さでお話を引っ張っていく。飄々とした主人公はいつもの夏川草介の小説でおなじみのタイプだ。第1話のタイトルがいきなり『寄り道』とは、笑わせてくれる。本題から逸れていくように見せかけて実はそこにこそ大事なものがある、と気づかせてくれる。民俗学なんて、 . . . 本文を読む
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『雨にゆれる女』

2022-02-26 16:32:00 | 映画
『金魚妻』なんていうエセ・ポルノを見たから、少し久しぶりに日活ロマンポルノのことを思い出してみた。僕のロマンポルノベストワン作品は斎藤水丸監督の『母娘監禁・牝』だ。学生時代から就職してしばらく、ロマンポルノがなくなるまでの日々にかなりの作品を見たはずだ。根岸吉太郎や金子修介のデビュー作もここから生まれた。廣木隆一の映画もここから見始めた。学生時代は新世界日活でアルバイトもしていた。なんだか懐かしい . . . 本文を読む
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『金魚妻』

2022-02-26 10:36:40 | 映画
ネットフリックスの新作だ。8話からなる長編連作。篠原涼子主演のこの作品は、驚きの内容である。なんとこれは「現代のロマンポルノ」なのだ。主婦の浮気が描かれるからではない。これはロマンポルノの記念すべき第1作である白川和子主演の『団地妻・昼下がりの情事』へのオマージュではないか、と僕は勝手に想像したからだ。 まず、その理由を述べる。この作品にはあきらかに意味のないセックスシーンが毎回挿入されている。 . . . 本文を読む
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彩瀬まる『川のほとりで羽化するぼくら』

2022-02-26 10:01:22 | その他
2021年の8月の出版になるから最新作になる『新しい星』のひとつ前の作品になるけど、読んでなかったらしい。4話からなる短編集だが、ふだんの彼女の作品とはいささか毛色が異なる。これはなんだか実験的な作品集になっていて少し驚く。 冒頭の仕事を辞め、慣れない育児に奮闘する主夫を描く作品(『わたれない』)がとても面白かった。自分も昨春から仕事をやめて主夫をしているから、わかるわかる、と思うところもある。 . . . 本文を読む
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『ドリームプラン』

2022-02-25 15:20:39 | 映画
これは実話をモデルにした「スポーツもの」である。テニス界のレジェンドでもある姉妹と、その指導にあたった父親(ウィル・スミス)を主人公にしたよくある感動のスポーツ秘話、なのなら、あまり食指はそそられない。しかも、2時間半もの長尺である。彼らがどういうふうにしてテニス界の頂点にたどり着いたのか、とか、どうでもいい。もちろんそんな映画ではなかった。 この映画が面白いのは、そういう定型とは一線を画したお . . . 本文を読む
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吉田修一『ミス・サンシャイン』

2022-02-25 14:47:30 | その他
今では引退している日本映画界のレジェンドである大女優、和楽京子こと、鈴さんのもとに行き、彼女の倉庫のようになっているマンションの片付けをすることになった青年(岡田一心)のお話。 引退して10年になり、もう80歳になる大女優(読んでいて最初は八千草薫や若尾文子をイメージしたけど、もちろん特定のモデルがあるわけではない。そこにはいろんな女優のイメージが重ねられる。)が、大学院生である青年と過ごす時間 . . . 本文を読む
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高楼方子『ゆゆのつづき』

2022-02-25 14:12:31 | その他
先日始めて読んだ児童文学のベテラン作家である(らしい)高楼方子の『黄色い夏の日』があまりに素晴らしかったので、彼女の本をもう少し読んでみようと図書館の児童書の棚に向かったらあまりにたくさんの本が並んでいて驚いた、という話は前回に書いた。そこでまず絵本の『わたし、パリにいったの』を手にした。幼い姉妹のお話だ。姉が妹が生まれる前に両親とパリに行ったときの写真をふたりで見る。それだけの話だ。妹はアルバム . . . 本文を読む
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『牛首村』

2022-02-23 14:44:37 | 映画
シリーズ第3作。清水崇監督がようやくこのパターンでなんとか結果が出せたと思えるレベルの作品に仕上がっているのがうれしい。もちろん、これを『呪怨』を凌ぐ傑作だ、とかいうつもりは毛頭ない。だけど、悲惨な出来だった前2作を叩き台にして、ついにそれなりの作品が誕生したのは喜ばしいことではないか。主人公のKoki,が魅力的で彼女を見てるだけでも、楽しめる。 日本の田舎を舞台にして架空の秘境の村でのおぞまし . . . 本文を読む
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『ちょっと思い出しただけ』

2022-02-23 13:10:15 | 映画
最近こういうさりげない映画が増えている気がする。映画だからと、大仰にドラマチックに語ろうとするのではなく、映画なのにさりげなく、どこにでもあることを、さらりと描く。そんな映画だ。映画が特別ではなく日常になりつつあるのだろうか。(まぁ、作品自体が素晴らしかったならそんなこと、どうでもいいのだけれど。)これは等身大の自画像を見ているような気分になる映画だ。 そして、それだからこそ、これはとても小さな . . . 本文を読む
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伊藤彰彦『最後の角川春樹』

2022-02-21 09:32:07 | 映画
夢中になって一気に読んだ。僕と同世代の伊藤彰彦が書いた渾身の力作だ。2年間40時間に及ぶ角川春樹との対談をベースにして角川春樹の全貌に迫る。映画史家である伊藤が個人的な思い入れからスタートして角川春樹を調べ尽くし、挑んだ。一応インタビューという体裁をとるけどなんだか対決のようだ。いや、ふたりで力を合わせて「角川春樹という生き方」の誕生から現在までを余すところなく詳細に語り尽くす。聞き倒す。自分が知 . . . 本文を読む
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『アンチャーテッド』

2022-02-20 20:13:37 | 映画
久々の大冒険大活劇だ。『スパイダーマン』に続いてトム・ホランドが主演する。ヒットしたら続編がどんどこ作られるのだろう。できれば『インディジョーンズ』のような壮大なスケールの映画だったらいいな、と期待して見たのだけれど、残念ながら『ハムナプトラ』レベルの作品で、がっかりした。あほらしい映画は好きだし、突っ込みどころ満載も悪くはない。だけど、あまりにいいかげんで、笑えない。 相棒のミスター『猿の惑星 . . . 本文を読む
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