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映画・演劇のレビュー

『龍三と七人の子分たち』

2015-04-30 21:54:18 | 映画
北野武監督最新作。『アウトレイジ』2部作(たまたま2部作になっただけだけど)の後、北野武が何をするのか、興味津々だったのだが、ようやくその全貌が明らかになった。公開2日目にさっそく行く。 がっかりだった。そんな気もしたけど、残念だ。もちろん、期待しすぎ、というわけではない。だから結構冷静に見たはずだ。でも、ダメだった。それにしても彼はやっぱりコメディは苦手みたいだ。(誰もが知っていることだが、 . . . 本文を読む
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オリゴ党『イルカゴロシ』

2015-04-30 21:47:14 | 演劇
2000年の作品を基本そのままで再演したようだ。キャストはメンバーが様変わりしているから、演じる側は新鮮だったはず。もちろん作品自体も少しも古くはない。とある生物研究所が舞台となる。そこで働く人々の関係性が描かれる。被験者の青年が夢の中で見る女性とのやりとりを挟みながら、お話はこの施設の職員たちの日常として展開していく。 ここで何が起こっているのか。その謎に迫るミステリタッチの作品、と言い切きれ . . . 本文を読む
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『南風』

2015-04-30 21:25:56 | 映画
僕はこの映画が見たかった。台北から日月譚まで、自転車で旅する。ただそれだけの映画がこの世界にある、というのがうれしい。こういう企画を立てて実現した。それだけで、僕はこの映画を全肯定したい。まぁ、もちろん、映画を見る以前から、その映画を好きになるなんて、異常かもしれない。一目惚れ状態で、喜び勇んで見た。 僕もこの夏、台湾をのんびり一周したい、と思っている。その途中で台北にも日月譚にも行く。たぶん。 . . . 本文を読む
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『ベツレヘム 哀しみの凶弾』

2015-04-30 21:25:14 | 映画
ベツレヘムを舞台にして、イスラエルとパレスチナ過激派の戦いを描く映画だ。こういう作品が当然作られる。この切実な問題に映画で答える。戦争ではなく、文化的なレジスタンスを試みる。もちろん、これはプロパガンダではない。一方的で政治的な映画は、観客の胸には届かない。そこにある真実に心打たれる。甘いだけの映画にはなるまい。なってはならない。設定にはいくらか、甘さはある。だが、こういう状況の中で、少年が何を . . . 本文を読む
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『海にかかる霧』

2015-04-29 17:57:15 | 映画
ボン・ジュノによるプロデュース作品で(脚本も手掛ける)、彼の傑作である『殺人の記憶』において脚本を書いたシム・ソンボの監督デビュー作品だ。期待は高まる。「『殺人の記憶』のスタッフが手掛ける」という常套句である宣伝文句に乗せられ、いやがうえにもどんどん期待値は上がる。それだけのがっかり度も高い。これではダメだ。 いったいどんな話なのか、予備知識もなく見たのだが、お話のターニングポイントとなる船長( . . . 本文を読む
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浪花グランドロマン『親愛なる凹と凸へ』

2015-04-29 16:53:54 | 演劇
NGR史上初の試みである。演出がなんと浦部喜行さんの手を離れたのだ。劇団創設25年目にして、これは彼以外が演出を手掛ける初のNGR作品となる。劇団の若手、細川愛美(25歳、ということはこの劇団の誕生した時に生まれている)が作、演出を手掛ける。今までのNGR作品とはまるで肌合いの異なる作品が生まれた。だが、それにも関わらず、これは確かに浪花グランドロマンではないか。そう思えるのが凄い。 今では老 . . . 本文を読む
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『ぼくを探しに』

2015-04-29 16:39:35 | 映画
江國 香織の『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』を読み終えて直後、この映画を観たのは、たまたまだ。でも、その運命の不思議に心打たれる。5歳の子供の内面世界を描いたあの小説を読み、改めて子供時代って何だったのだろうか、と思っていた。そこにこの映画である。 なんと今度は、2歳の赤ちゃんが主人公だ。彼の途切れた記憶の秘密に迫る。33歳になった彼は、2歳の時から言葉を失った。それだけではなく、成長も止めた . . . 本文を読む
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ババロワーズ『ショートショート・カタログ vol.1 ホワイトの巻』

2015-04-29 15:49:12 | 演劇
2年半振りのババロワーズとなる。なんと、そんなにも長く公演がなかったのだ。でも、今年は、今回のこの作品を皮切りにして、なんと9カ月連続で公演がある! 50本のショートショートとなるらしい。 これは彼らが初心に戻る企画であろう。たかせかずひこさんはババロワーズを始めた時、こういうコント集からスタートした。それは、3話、4話からなるオムニバス形式だった。それが長編へと変化した。もともと彼はババロワ . . . 本文を読む
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江國 香織『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』

2015-04-29 15:47:46 | その他
今年一番の凄い小説だ。たくさんある彼女の優れた作品の中でもかなりの上位に位置する傑作ではないか。たった5歳の子供の心に迫る。 彼の中では世界はまだ確立されてない。未分化の世界は神の領域と近い。彼は小さな虫たちと話ができる。でも周囲の人たちとはうまくしゃべれない。というか、彼はまだふつうには、しゃべらない。言葉が足りないのではない。しゃべるという行為を理解しないのだ。家族の彼に向けて発した言葉に . . . 本文を読む
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SSTプロデュース『湯たんぽを持った脱獄囚』

2015-04-24 22:12:51 | 演劇
今から、30年前に書かれた作品だけど、これはそんなにも新しい作品だったのか、と改めて驚く。今まで何度もいろんな集団によるヴァージョンを見ている。もっと古典だと思っていたのだ。今日この劇場にこの芝居を見に来ていた九谷保元さんが演じた作品も見ている。(田口哲さんの演出によるものだ)まだ、今よりずっと若かった九谷さんは、思い切り汗をかいて、この不条理劇を体現していた。もう何十年も前の話だ。(たぶん) . . . 本文を読む
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『攻殻機動隊 ARISE』

2015-04-24 21:43:25 | 映画
これは1時間ほどの中編作品で、4巻からなる。原作はもちろん士郎正宗、 総監督に黄瀬和哉 、脚本は冲方丁という陣容 。今回見たのはその①『Ghost Pain』である。 このブログには書いてないけど(たぶん)、実は昨年③の『Ghost Tears』を劇場で見て感心した。難解なのは当然だがこれが実にシンプルな映画になっているのだ。ラブストーリーでもある。中編映画の面白さを見せつけられた気分だった。 . . . 本文を読む
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坂木司『何が困るって』

2015-04-24 21:42:39 | その他
こういうショートショートをわざわざ読むほど僕は暇ではない。だが、たまたま手にとって読み始めたから、仕方なく読んだ。で、おもしろい。そんなことも、わかっている。坂木さんはストーリーテラーだ。星新一に負けないくらい。でも、僕はもう中学生で星新一から卒業した。なのに、これを読み始めてしまったのだ。困る。 この短編集に描かれる不思議は、ちょっとこわい。よくわからないまま、終わるものまであり、それもこわ . . . 本文を読む
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空の驛舎『追伸』

2015-04-22 21:43:47 | 演劇
3話からなるオムニバスなのだが、「三つの別々のお話」なのに、それぞれが微妙にシンクロしてくる。最後まで見たとき、まるで一本の作品を見終えたような感動がある。個々のお話は完結していない。にも、かかわらず、3本見た時、世界は完結していく。中村さんの上手いところは、そこにある。この淡さは、観客を不安にさせるほどだ。短編のお話として独立しないからだ。しかし、誰もがわかっているはずだ。僕たちは物語のような . . . 本文を読む
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『ドラゴンボールZ 復活の「F」』

2015-04-22 21:29:02 | 映画
前作『神と神』から2年。ようやく、というか、やはり、というか、ちゃっかり続編が登場した。それにしても今までもう、どれだけ悟空の冒険と付き合ってきたことだろうか。天下一武道会の頃から、幾星霜。でも、飽きない。新作が出る度に、見てしまう。だって、世の中にはもっと強いやつがいるからだ。改めてそんなことを思わせてくれる作品である。 今回はフリーザとの再戦である。悟空は、地球のために戦うのではない。彼は . . . 本文を読む
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吉田篤弘『ソラシド』

2015-04-22 21:28:24 | その他
これは1986年についてのお話だ。だが、あの時代を描くのではない。今から、あの時代を振り返るのだが、これはある時代のノスタルジアではない。ソラシドというユニットの音楽をめぐる冒険である。今では活動をしていない幻の2人組。彼女たちはレコードすら残していないから、今では彼女たちの音を聞くことは不可能だ。しかも、彼女たちの活動はメジャーではなかったから、今となってはその存在を知っている人もいない。(ほ . . . 本文を読む
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